憧れの剣と魔法の世界に転生した主人公。
だが、生まれは貧しく、ようやく独り立ちできる年齢になったかと思うと住んでいる町が魔物に占領され、戦奴として駆り出された。

初めての戦場で、美しい女騎士が目の前に立ちはだかる。幼い頃から鍛えた力と知恵で戦おうとするが、戦いの中、この世界の非情なルールに気付いてしまう。

一発ネタ。

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セクハラは定め、定めは死

 昨日まで一緒の釜の飯を食っていた仲間の頭が砕かれた。巨大なメイスが仲間の脳漿を辺りに撒き散らす。

 

 大振りの攻撃だった。隙を突かれなければ当たらぬような、鈍重な攻撃。だが、目の前の仲間はそれを許すほどの隙を与えてしまった。

 

 ――おっぱいを触りに行ったのだ。そして揉みしだいている間に殺された。

 

「やろぉ! よくもやりやがったな!」

「戦場で隙を見せる方が悪い」

 

 とても戦場にいるとは思えぬドスケベアーマーを着た女騎士が胸を揺らしながら言った。正論すぎてぐぅの音も出ない。

 けど、お前の鎧もどうかと思うよ? 肩とかは金属で覆ってるのになんで胸だけは薄い布なんだよ……。

 

「死ねぇ!」

 

 仲間の一人が剣で突く、女はメイスでそれを弾き返す。その僅かな隙を逃さず、もう一人の仲間が女騎士のケツを揉みしだいた。

 

「げっへっへ! いいケツしてるじゃ……グハァ!」

 

 仲間がメイスの石づきで喉を砕かれた。今ケツ揉む必要あった? いや、マジで、お前ケツ揉む寸前まで剣構えてたじゃん。なんなら振る動作入ってたじゃん。なんで急に心変わりしたの? お前の中では命よりもセクハラする方が重要なの?

 

「チッ! この女騎士やりやがるぞ! かこめ!」

「雑兵が何人来ても同じだ」

 

 うん、三人で囲んでも一人が戦って、後の二人は胸とケツ揉んでるからね。実質一対一だもんね。何人来ても同じだよね。

 

「なぁ……戦ってる最中に体触りに行くのはやめないか?」

「そんなの無理に決まってんだろ!」

「えっ、そんな即答できるレベルで無理なの?」

「雑兵にすらなっていない素人まで戦場に引きずり込むとは、そちらの人材不足は深刻らしいな」

 

 常識なの? お前らの中では戦いの最中にセクハラするのは常識なの?

 

「なぁに手こずってんだてめぇら……すぐに片付けねぇと豚の餌にしちまうぞって言ったよなぁ~?」

「ひっ、た、隊長殿!」

 

 緑色の肌を持つ、巨漢。その体躯は人間を軽く超え、手には巨大な斧を抱えている……オークだ。俺たちの町は魔族に支配され、俺たちは戦奴として駆り出されている。

 

「ほう……多少は戦いがいがありそうな奴が出てきたじゃないか」

「ふん、なめた口を聞けるのも今だけよぉ……!」

 

 オークが人間の背丈ほどもある巨大な斧を、まるでただの棒きれでも振るうかのように薙ぎ払う。巨大な体躯で巨大な質量をぶん回す、それだけが単純に強い!

 女騎士がメイスで受けるが、受けきれずに軽く弾き飛ばされた!

 

 ついでに何故か胸元の布が千切れて露出度が上がった! なんでだよ! 体にかすりもしてなかっただろ! なんで受けたメイスに傷一つ入ってねぇのに胸と太ももの部分が破れるんだよ! 物理法則無視すんなよ!!!

 

「くっ! ……やるようだな」

「ぐはははは! 今ならまだ、降参すれば俺の雌奴隷として飼ってやってもいいぞ!」

「アスラトの騎士を舐めるなよ……!」

 

 女騎士とオークが激しく打ち合う! メイスと斧の質量同士のぶつかり合い! 弾ける火花! 膂力で勝るオークを女騎士が技量で翻弄する! 熟練の戦士二人による、拮抗した戦いだ……!

 

 どちらかが少しでも隙を見せれば……終わる!

 

 

 

 

 

 オークが女騎士のおっぱいを揉んでる間に頭を砕かれて死んだ。

 

「オ、オークの隊長がやられたぁ!?」

 

 うん、そりゃあんな激戦の最中におっぱい揉みにいったら死ぬよ。しかもすげぇご丁寧に胸元の布ちょっとずらしてから直に揉みにいってたもんな……。

 

「あの女騎士、た、ただもんじゃねぇ! 俺たちじゃかなうわけがねぇ、に、逃げろー!」

 

 仲間たちが次々と敗走していく。うん、それが正解だと思うわ。ぶっちゃけお前らが戦っても、セクハラしにいってる間に殺される未来しか見えねぇわ……。

 

「お前は逃げないのか?」

「逃げたところで、町は魔族に支配されているしな。帰る場所もない」

「ほう? ではおとなしく私に殺されるか? 悪いが、降伏を認めるつもりはない。大人しく捕虜のままでいる確証もないのでな」

 

 見たところ、この女騎士は一人旅っぽいもんなぁ……そもそも、ここって主戦場から少し離れたところだし、隠密でなんかやりにきたのかもな。

 

「こっちもみすみすやられるつもりはないよ。未来に希望はないが、それでも簡単に捨てれるような軽い命ってわけじゃあない」

「では、ここで散れ! ……ぐっ!?」

 

 女騎士が急に下腹部を抑えて蹲る。もしや、先程の戦いでどこか怪我でもしてたのか……!?

 

「くそっ……! こんな時に……♥ 淫紋……♥♥ がっ……♥」

「なんでそんなもん付けてんの!?」

「我がアスラトの女騎士はっ♥ 力を得る代償としてぇ♥ この淫紋おぅ♥ つけなければならん、のだぁ♥」

「えぇ……もうちょっとなんとかならんかったの……? というか、いくら力を得るためとはいえ、戦闘中に発作的に出るようなもんつけるのはダメだろ……」

「アスラトのぉ♥ 騎士を舐めるなぁ♥ この程度の発情、抑え込んでぇ♥」

 

 その時、一陣の風が吹いた。先程の先頭で千切れた草の欠片が女騎士の無駄に露出と隙間が多い鎧に入り込む。

 

「おっほっ♥ ダメッ♥ ダメッ♥ こんなところに入り込んだら♥ 戦闘中なのに♥ イッちゃうぅぅぅうーー♥♥♥」

 

 女騎士が目の前で痙攣しながら果てた。こっちは何もしていないのに、なんか勝手に発情して勝手に果てて、今は草原の上で死にかけの魚みたいにビクンビクンと痙攣している。

 

 先程まで抜いていた剣を、鞘に戻す。この剣は、この世界に転生してから生活必需品以外で初めて買った、思い入れのある品だ。この剣の為に、荷運びをし、汗水を垂らしながら溝をさらった。それだけにようやく買えた時は嬉しかった。

 

 剣を買ったのは、当然冒険をする為だ。小さい頃から将来の為にと体を鍛え、魔法の訓練もして、いつか大冒険をしてやろうと思っていた。

 

 だって……この世界は憧れの剣と魔法のファンタジーなのだから!!!

 

 

 自然と、頬に涙が伝った。

 

 一度溢れた涙は、止まらない。男が簡単に泣くもんじゃないとはわかっている、それでも、止まらない。だって、わかってしまったからだ。この世界は剣と魔法のファンタジーなんかじゃない……。

 

「どう考えてもここ、エロ同人ゲーの世界じゃねぇかっ……!」

 

 俺の幼い頃からの憧れは、目の前の未だ痙攣している女騎士が粉々に打ち砕いた。




一発ネタ。


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