異世界ライフは魔女と共に~魔女の嫁として送る、久遠のTS百合生活~   作:オサカナ

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38話 ビルの上での交流

「あ~やってるね」

「あっ! セシルさん」

 

 驚きの中、僕がやや固まっていたところに聞きなれた声を聴き、屋上から下を見下ろすと買ったものが入っているであろう袋を持ったセシルさんが見えた。

 そしてその直後、僕がそうしたようにふわりと跳躍をしてこの屋上まで上がってきた。

 

「おやおや……レンちゃん、女の子にひどいことしちゃダメだよ~」

「そんなんじゃないですよ。ちょっと一勝負しただけです。てか……この子男でしょ」

「ん~早速ばれちゃってる?」

「みたいで~す」

 

 拘束を解かれた彼はセシルさんの方へと歩いていきながら、案の定ここまで予定通りであったかように、軽い口調で言葉を交わす。

 どうせそんなことだろうと思ってたよ……

 

「紹介するよ。この子はこの辺に住んでる高校生の古賀アキラ君、今日の夕方ちょっといろいろあって出会ってね……」

「で……例のスライムのやつのモニターとなってもらったと」

「そうそう! さっすがレンちゃん、話が早いね!」

 

 そういえばついさっきコンビニにセシルさんが買い物に行っていた。きっとその時に彼と会ったのだろう。

 そもそも……あれを持ち込んでいる時点で、こちらで試してもらう人を探すつもりだったわけだ。

 

「この子はね、レンちゃんに凄く会いたがってたんだよ」

「ほう……そうなの?」

「はい! まさかこうして本物に会える日が来るなんて……俺、今メッチャ感動してます!」

「は、はあ……」

 

 ちょっと待った……まずその見た目で俺って言われると少し脳が混乱する。自分も大して変わらないかもしれないけどさあ。

 

「えっと……そうですね、先輩って呼んでいいですか?」

「ん? いいけど」

「はい! しかし先生も言ってましたがホントに美少女ですね!」

 

 もう彼が心の底から本当に感激していることは、その興奮ぶりからも一目瞭然だ。

 

「ねえ、先輩……ちょっとハグしてもいいですか?」

「それぐらい構わないけど……やっぱり女の子同士というか、こういう立場同士でしてみたいってことだよね?」

「うわっ! さっすが~わかってますね」

 

 まあ僕もその張本人だし、女の子を体験してみたい男が実際なってみたら何を試してみたいかくらいはなんとなくわかる。

 僕としてもこんなに可愛い女の子が抱きつきたいと言ってるんだから、断ることもないだろう。

 

 そしてもう必要もないしセシルさんもいつの間にそうしてるから、髪色も戻しゆっくり向かってきたアキラ君を僕は両手を広げて受け止めた。

 

「う~あ~」

「……」

 

 むむ、やっぱり……可愛いなこいつ……

 本来のアキラ君について僕は知らないけど、今この状態では160センチくらいの僕より、一回り低い身長。

 そんな抱きやすい大きさで現実ではちょっと有り得ないくらいの美少女が、僕に抱きついてきているのだ。

 

 サラサラの髪のいい匂い、柔らかい感触。ドキドキしてくるのも納得だ……

 ていうかさあ……僕より少しばかりでかいよな、これ……

 

「もういいかな……」

「ああ、はい。堪能しました。ありがとうございました」

 

 少し経ち、アキラ君を引きはがした。ちょっと僕としても思った以上にいい気持ちだった。

 それにセシルさんも……

 

「ねえ、アキラ君。今の私にもやってくんない?」

「えっ、ええっ!? んん……」

「……ほら、やってあげな」

「はい……」

 

 今の光景を見て、少年も少女も大好きのセシルさんが何も言ってこないわけがない。さっきじっと見つめていたのもわかったし、予想通りそのタイミングを見計らって声をかけてきた。

 しかし当のアキラ君はいきなりこんなこと言われてちょっと躊躇してしまうところがあるのだろう。

 

 そんな奥手なところを垣間見せたアキラ君に、僕はちょっと自分を重ねて……言葉と手の二重の意味で背中を押してあげた。

 

「むぎゅ……」

「ああ……いい。本当にそれ可愛くできてるよね。私たちがやった時よりずっと上手くできてるよ」

 

 実に嬉しそうな表情で小さなアキラ君を抱きかかえるセシルさん。僕よりも背が高いから、丁度胸の辺りで顔を埋める感じになっている。

 普段からされている僕はともかく、他の同年代の男子から見たらうらやましい限りだろう。

 

 それにしても確かにそうだ。今のアキラ君の格好は僕たちが作った道具によるもので、もちろん僕たちもそれを試した。しかしあそこまでのクオリティはできなかった。最初に見たときちょっと感心したのもそれが理由の一つだ。

 やっぱ普段からアニメやゲームに囲まれてるものの想像力……否、妄想力の違いか……

 

「ふう気持ちよかった……ありがとうね~」

「俺もよかったです。あと服の上からだとよく分からなかったですけど……先輩と比べて結構でかいですね」

「だってさ」

「まあ……それは個人差ってことで」

 

 別にそれはどうだっていい。僕は自分の胸もこれくらいで丁度いいと思ってるし……

 

「もちろん、レンちゃんも~」

「……! むぎゅ……」

 

 そんなことを考えながら、自分の胸元を見ていたら、音もなくセシルさんが前方に回り込み抱きついてきた。

 いつものことではあるけど……見られているそばだと恥ずかしいんですけど。

 

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