深淵卿 陰陽師編でやはり嫁騒動が起こり、またまた一波乱ありそうな終わり方をしてましたね。
とりあえず現段階で追加された新たな嫁の部分を修正したバージョンをこのサイトで投稿しようと思います。
pixivの方ですが、現在色々書いているこのデバイスではpixivに入れないのでしばらくはこちらで活動すると思います。
これも全然進んでないので更新はすぐ止まります。ゴメンナサイm(_ _)m
できる限りがんばります。
誰もが寝静まり眼下の家々の光もすっかり消えている深夜に、街灯が一つも見当たらない山の中で街を見下ろしながらペットボトルのお茶を飲む黒装束の青年がいた。青年はペットボトルをしまうと再び山を登り始めた。
青年は暗闇の森の中でも迷うことなく真っ直ぐに目的地に進んでいる。さらに疲れているような様子もない。
ならなぜ、休憩をしていたかというと、単純に景色がいいかな?と思ったからである。実際は電気が消えているためそこまで綺麗ではなかったが、空はかなり綺麗な星空だった。
「これくらい綺麗な星空は今時珍しいよな……今度ラナにも見せてあげたいくらいだ」
ラナというのは青年の彼女のうさ耳お姉さんである。
普通の人が聞けば「……は?」となるが、別にこれは青年の趣味でもなんでもない。本当にうさ耳が付いているのだから仕方がない。
そう、今現在この山をゆっくり夜空を楽しみながら登っているのは世間を騒がせた『帰還者集団』の魔王たる南雲ハジメの右腕、遠藤浩介もとい深淵卿であるっ!
何かと面倒ごとを任されたり、引き受けたりしている彼は、帰還者の仲間内から『さりげなく人類最強』の称号をもらっている。
実際、浩介は魔王の右腕という称号に対して、プライドのようなものがそれなりにある。そのため無茶な要求や任務でも出来る限り自分の手で解決してきた。
まぁ、その結果が嫁が今現在5人に加え、明らかに
それもこれも彼の彼女のラナが「魔王たるボスの右腕ならお嫁さんもたくさん居ないと!」と言って世界にいるまだ見ぬお嫁さんを探そうなんて言い出したためこんなことになっている。
「はぁー……」
今までの地球に帰ってきてからのファンタジーな戦いを思い出しているとやはりどうしてもため息が出てしまう。もしかしたら今回の騒動で6人目?7人目?のお嫁さんなんてものが出来るかもしれない。できないはずだが、可能性がゼロとは言い難い。
「とりあえず、今日挑んでみてダメだったら南雲がなんとかしてくれるだろ」
そもそも俺が今日ここに来たのはあくまでも俺で倒せるくらいなのかどうかを測る戦力分析が最優先なのだ。俺が戦って勝てそうならばそれでよし、無理そうなら俺が出来る限り情報を引き出して南雲が引き継ぐ。
そのため無理して勝たなくてもいいのだ。
そんなこんなで目的地である山上にある木造の建物(事前に聞いた話だと学校の教室らしい)が見えてきた。
ただでさえ薄い気配に“気配遮断”を使って建物に近づく。すると建物の中から
「ぬっひょーーーーー!これはいい乳をしてますねぇ〜〜〜うおぉぉこっちの尻もやべーーーー!!」
穴が開くかというぐらいにグラビア本を凝視している黄色いタコのような触手生物がいた。
(あの話マジだったのか、黄色いタコ型生物なんて……)
とりあえず気づかれたような様子はないので、建物の入り口からそっと中に入り、先ほどタコがいた部屋へと行って普通にドアを開けた。
「にゅ?」
「…え?」
バッチリと目が合った。
いや、まぁ普通のことと言えば普通のことなんだが、俺からすれば相当な困惑ものである。
なにせ、今は気配遮断を使っているし、たとえ使ってなかったとしても自動ドアが3回に1回しか開かず、ヒュドラの本拠地でも食事をしてても気付かれなかったぐらいに影が、いや気配が……いや存在が薄いと言われている俺なのだ。
相手がグラビアに夢中になっていたため問題ないと判断したがそれは傲りだったようだ。
「………」
「………」
沈黙の気まずい空気が漂う中、取り敢えず俺はこのタコの暗殺にかかるため緑色のゴムナイフで切りかかった。
「にゅやっ!いきなりですか!?」
「なんかごめん!」
がしかし、瞬間移動かと思うぐらいの速さでタコはかわして、俺に非難の声らしきものを浴びせる。
ゴムナイフなんかで殺せるものかと思うかもしれないが、これはどうやらこのタコのにだけ効く武器だそうだ。国が用意してそう言ったのだから間違いない。
拳銃やライフルなんかもあったが某魔王ならともかく、俺には到底銃なんて無理なのでナイフを選択した。
「まったくこんな夜分遅くに暗殺とはどこの殺し屋も懲りませんねぇ」
余裕の表情とともにタコは俺の攻撃の尽くを躱していた。事前に情報をもらっていたとはいえ実際目の当たりにするとこうも追いつけないとは……
このままではキリがないと判断し、いったん攻撃の手を緩めるとタコは俺に対して無数の触手をこちらに向けてきた。
「ヌルフフフ、ではこちらの番ですね!?」
タコは驚きのあまり固まってしまった。
なぜなら今の今まで目の前で自分を攻撃していた俺が煙ともに消えてしまったからだ。
そう、俺は念のため分身に建物に入ってもらい俺は建物から少し離れた所から分身の様子を確認していたのだった。
その結果、逃げを選択し、南雲に任せることにした。あんな高速タコをまともに相手にできるのはそれこそ南雲かその嫁〜ズだけだろう。
というわけで俺は家に帰宅したのだった。
「というわけで帰還しました」
「おう、迷惑かけたな」
「いや、別にいいよ。俺はもう慣れたから」
南雲家のリビングにて俺は実際に戦ってみた感覚を南雲に伝えていた。
その場にはなぜか、普段俺の任務については何も言ってこないユエさんや、白崎さんにティオさんまでいて、何がなんだかわからないなか取り敢えず報告を済ませる。
「いや、エンドウは反省すべき。任務を失敗してきた」
「いや、別に失敗というわけでもないであろう?勝てなさそうなら情報を集めるというのがもう一つの任務だったのじゃから」
ユエさんの厳しい態度とは裏腹に、フォローしてくれるティオさんに心打たれつつも、俺の中の警鐘が「アレ?ティオさんってこんないい人だっけ?」と告げている。
「そ、それじゃあ、俺はもう帰っていいよな?南雲」
「まぁ待てよ、別に急ぎのようでもあるわけじゃないんだろ?せっかくだしゆっくりして行けよ」
(なんか、ますます怪しくなってきたな)
普段の南雲はこんなことは絶対に言わない。俺に対してかなりの信頼を置いてくれているのは確かだが、ここまで言ってきたことは初めてである。
「い、いや、悪いよせっかくの休日なんだから………ひっ!?」
嫌な予感がして帰ろうと思って立ち上がると、後ろから南雲が右肩を、白崎さんが左肩をガッ!!してきて動けなくなった。
「「…………」」
「えーと……まだ、何か御用でしょうか?」
内心冷や汗が止まらないが、怖いくらいの笑顔で何も喋らずこっちを見られると流石に堪えるのか、自然とそんなことを言っていた。
「いやな?俺も昨日お前がちょうど山にいるであろう時間に考えてたんだよ。国からもらった資料によると、いくら遠藤でも一晩でこれは無理かな〜ってさ」
「………どうぞ」
肩に手を置いたままニコニコと語り出す南雲に続きをうながして俺に諦めの感情が芽生え始める。
「それでもう一回国の資料に目を通してたら、あの校舎を使ってる『椚ヶ丘中学3年E組』の人達が暗殺の訓練とともに件の超生物の暗殺をしてるそうなんだよ」
「それで俺はそこで中学生を鍛えればいいのか?はっきり言ってできないと思うぞ?まずそもそも気づかれるかどうか……」
「違うの遠藤くん、先生じゃなくて生徒として参加して欲しいの」
「そう、遠藤、お前には中学生としてあの超生物の暗殺をしてくれ。もちろん帰還者のことは悟られないようにな?」
「…………」
中学生?俺が?高校生も終わりを迎えそうな俺が?
流石にそれには無理があると思うが、こうも肩ガッ!されて足止めされているのを見るに本気なのだろう。
「安心しろ遠藤。不自然じゃなくしてやるから」
「は?それってどういう……」
「今だ!」
南雲が声をかけるとともに素晴らしい動きでユエさんとティオさん、白崎さんが俺を三角形に取り囲んで魔法を使い始めた。
だんだん意識を保てなくなり、その場に倒れ伏してしまった。
「お……お……ぃ…おい、起きろ遠藤」
「う、う〜ん。何が起きて………は?」
気絶してたらしい俺は、南雲に起こされ体を起こすと目の前にはそれなりの大きさの鏡があった。それ自体は別に驚くようなことではない。
ならなぜ驚いたかというと、気を失ったと思ったら体が縮んでしまっていた!なんて某名探偵みたいなことになっているからである。いや、まぁ某名探偵ほど小さくはなっていないが感覚で言うとちょうど中学3年くらいの時の俺になっていた。
ここにきて俺はようやく諦めた。もう何をしても無駄だと。
「再生魔法で時に干渉して肉体を戻しつつ、変成魔法で肉体を作り替え、昇華魔法でその強度をあげ、ユエと香織、ティオの魔力に俺の魔力を使ってお前を中学3年くらいに戻した。ちなみに技能とかはそのままにしてあるから明日から頑張ってくれ。それとこれ、全部対超生物の物質に作り直した深淵卿グッズだ」
「はぁ〜、もうわかったよ。諦めるよ」
「ん、賢明な判断」
「それにしても明日からって急だなぁ、準備とかしてないぞ?」
「その辺は国に用意してもらったから大丈夫だ」
こうして俺は明日から椚ヶ丘中学に3年E組の転校生として通うことになった。
どうでしたか?まぁ、プロローグなんで短かったですよね。
安心してください!次回も短いです!というかこの作品は基本3〜4000字くらいで投稿しようと思ってますので基本短いです。ゴメンナサイ
気に入ってもらえたら嬉しいです。