投稿予約するの完全に忘れてました。
「それでは授業を終わります。では実験に使用して残ったお菓子は先生がいただきます!」
「ちょっ!それ俺達が買ってきたやつじゃん!!」
「先生今月ピンチなんです!」
理科でお菓子から色を抜き出すという実験をしていたのだが………
生徒からお菓子を奪わないと食べて行けない先生っていったい………というかこの超生物給料で生活してんのね。
殺せんせーがブーイングの嵐に見舞われている中1人の生徒が立ち上がった。その生徒は殺せんせーの前まで来ると後ろ手に持った試験管を殺せんせーに突き出して言った。
「毒です!飲んでください!」
その一言でブーイングの嵐だった教室は静まりかえり、誰もが驚愕の目を向けている。そして、殺せんせーにそんなアホな暗殺?を仕掛けた眼鏡っ子の
いくらなんでもこれで飲んで死んだなんてなったら哀れすぎてなんもいえねぇな……
「これはまた正直な暗殺ですね。奥田さん」
「あ、あの、私みんなみたいに不意打ちとかできなくて…でもでも、化学は得意なので、真心こめて作ったんです!」
いやいや、真心って……それで毒が美味しくなるわけでも、まして、毒性が消えるわけでもないのに飲むバカがどこに……
「せっかく作ってくれたので、いただきましょう」
ここに居たわ。
ていうか、奥田さん1人で毒作ったのか?危ないなんてレベル通り越してるような気がするんだが……そもそも、化学が得意だからって、そう簡単に毒って作れるものなのか?
そんな考えを巡らせている間に殺せんせーは3本ある試験管の内一本を躊躇なく飲み干した。
「ぐっ!ぐううううぅぅぅっ!!」
殺せんせーは突如苦しそうな声を上げ、気持ち体をかがめた。
これで死んだら俺が中学生になった意味って………
ニョキ
「「「「は?」」」」
呻き声が止んだかと思うと、殺せんせーの顔が水色になり小さい二本のツノのようなものが生えた。
「水酸化ナトリウムですね。人体には有毒ですが先生には効きません」
「そ、そうですか……」
「では次は……」
薬品名と効き目を言うと間髪入れずに2本目の試験管の中身を飲み干した。
「ぬうっ!ぐおおおぉぉぉぉっ!!」
バサッ
今度はツノはそのままに顔が薄緑色になって、頭に羽が生えた。
無駄に主張の強い顔になってきた。いや、前から顔色が(文字通り)変わってたから主張強かったけども。
「酢酸カリウムですか。これも先生の顔色を変えるだけですね」
「は、はぁ」
「では次で最後ですね」
これまた薬品名と効果を言って最後の試験管の中身を飲み干した。
「ぬっ!ぐうっ!ぐ、ぐおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぁぁぁあああ!!」
今まで以上に苦しんでいる様子の殺せんせーだがどうにもわざとらしい感じがする。
奥田さんには悪いけど、殺せんせーに効いていないと確信して今度はどんな変な顔になるのかと考えを巡らせていると………
ポン
「「「…………」」」
あれは……なんだ?真顔か?
殺せんせーの顔はパーツが増える事はなく逆に、すべてのパーツがなくなり色も真っ白になって、口までもが目と同じように点になっている。
「王水ですね。これも先生には真顔に変えるくらいの効果しかありません」
「そ、そうなんですか…」
真顔であってたのかよ……って言うか王水ってあれだよな。金属をなんでも溶かせるってやつだっけ?そもそもなんで中学生が王水を作れるのかって話だけど、この調子だと毒殺なんて無理そうだな。
そもそも今更だけど、なんで劇毒の目利きが出来るんだよ。普通飲もうなんて考えないだろ。
「先生の事は嫌いになっても暗殺のことは嫌いにならないでください」
「古くね?」
放課後になると各々が帰宅を始めたり、校庭で射撃の練習をしていたり、普通に友達と喋ったりしている中、浩介はあの奥田さんが理科室の方へと笑顔で向かって行くのを見た。
今日最も怖い王水を渡してダメだったのに、また毒を作るつもりなのか………と呆れたが、まぁ、人には人の暗殺があるのだろうし、口を出すのは無粋か……とも思い、その場を後にした。
翌日いつも通り誰にも気付かれない中、自分の席に座って若干遠い目をして、クラスメイト達を眺めていると、笑顔で試験管を手に持つ奥田さんが目に入った。
渚達に試験管について聞かれたため、答えているようだったのだが聞き耳を立てていると、どうやら昨日殺せんせーが理論上は一番効果があると言って、一緒に作ったようだ。
つまり昨日浩介が奥田さんを見かけたのはまさにそういうことだったらしい。
いやいや、ターゲットと一緒に作った毒をターゲットに飲ませるってどうなのよ……しかも、レシピもターゲットが持ってきたものだし………
「ねぇねぇ、この冊子は何?」
「これですね。殺せんせーが私にくれたんです。毒の取り扱い説明書です。毒の正しい保管方法などがわかりやすく漫画で書いてあるんです」
「へ、へぇー…漫画で………」
毒の保管ってどこに保管すんの?まさか、家で保管するんじゃないよね?もし親とかに見つかったりでもしたら……殺せんせー解雇なんてレベルじゃないぞ?
「きっと私を応援してくれたんですよ!国語なんて分からなくても、私の長所を伸ばしたらいいって!」
もはや渚達の会話しか聞いてない浩介だが、それでも一応殺せんせーが来る気配がしたため、傾けていた意識を戻してこれから何が起こるか予想をする。
毒って言っても殺せんせーがわざわざ本当に自分に効果がある毒を作るとは思えないからな。「実はなんともありませんでした〜」なんてして少し疑うことを教えるくらいのもんだろ。
そう思ってた時期が俺にもありました。
「あっち行ったぞ!」
「ダメだ!速いくせに今までより小さい分当てられない!!」
「天井の隙間とか反則だろ!!」
「なんなんだよこれ………」
今現在、殺せんせーは銀色の溶けたような体?になっていつも通りの速さでヌルヌル動いてみんなの攻撃を避けまくっている。
そう、溶けた体でものすごい速さで、だ。ここに南雲家の誰かがいたのならば必ずこう言うことだろう。
「はぐれメタルスライムだっ!!!!」
と。実際に浩介も「あぁ、どっかで見たことあるなぁ」なんて思ったが、めんどくさくて思考を放棄してしまった。
なんでこんなことになっているかというと……
「先生、これ…」
「おや、さすがです。では、さっそくいただきます」
殺せんせーが教室に来て、すぐに奥田さんは殺せんせーに毒を渡し、もちろん殺せんせーは躊躇うことなくそれを飲み干した。
飲み干した後数秒経つと、ドクンッと殺せんせーが一度震えた。
「ヌルフフフフフ。ありがとう奥田さん。君のおかげで先生は新たなステージに進むことができそうです……」
「え……それってどういう…」
クラスのみんなは殺せんせーの発言に呆然としていたが、毒を渡した本人の奥田さんは、ほぼ無意識のような様子で殺せんせーに尋ねた。
しかし、殺せんせーはその質問に対して返事をする事なく、体をかがめて溜めのような事を行った。
そして……
「ニュ……ヤアァァァァァァアアアアアア!!!」
という雄叫びと共に光を放ち、それが止むと殺せんせーは元々立っていた場所にはおらず、教卓の上に銀色で溶けた殺せんせーがいた。
「ふぅ」
「「「溶けたっ!!?」」」
「君に作ってもらったのはね、先生の細胞を活性化させて流動性を増す薬なのですよ」
殺せんせーは穏やかに説明をしていたが、当の奥田さんはと言えば呆然と殺せんせーを見ていてあまり聞いていそうになかった。
結局、殺せんせーが片岡さんの机に入ったところから暗殺大会が開始され、今に至る。
「ちょ、奥田さん、あの薬って!?」
「騙したんですか?殺せんせー!」
ようやく思考を取り戻した奥田さんは、悲しそうな声で殺せんせーに問いかけた。
「奥田さん。暗殺には人を騙す国語力が必要なんです。どんなに優れた毒を作れても、それを今回みたいに馬鹿正直に渡しては、ターゲットに利用されてしまって終わりです」
「………はい」
「そこで…渚君!君が先生に毒を盛るとするなら、どうしますか?」
「え?」
当然話を振られた渚君は少し考えてから答えた。
「う〜ん、先生の好きな甘いジュースで毒をわって、特性ジュースです。とか言って渡す…とか?」
うん、普通なら誰でも…とまではいかなくても、何かに混ぜるまでは思いつくもんだよな。
「そう。人を騙すには相手の心を知る必要がある。言葉に工夫をする必要がある。上手な毒の盛り方。それに必要なのが国語です」
「はっ……」
なるほど、殺せんせーはこれを分からせるために、会えて奥田さんを騙したわけか。まぁ、それでも殺せんせーがパワーアップしたのはこちらとしては痛い気もする。
浩介が一人でこれからについて考えている中、殺せんせーによる奥田さんへの特別指導が続いていた。
「君の理科の才能は将来みんなの役に立たせられます。それを多くの人に分かってもらえるために、毒を渡す国語力も鍛えてくださいね」
「はい!」
先生の激励に、奥田さんは嬉しそうに返事をした。
まぁ、これはこれでいいか。将来優秀な学者が育つと思えばなんともないさ。いざとなったら南雲がやってくれるだろうし。
今回も読んでいただきありがとうございます!
今回は浩介にはあまりフォーカスが当てられませんでしたが、まぁ、奥田さんメインの回なので、ね?
8/24
誠に申し訳ございませんがカクヨム甲子園に応募するための作品を描きたいので、しばらくお休みさせていただきます。カクヨム甲子園の締め切りが9月12日なので少なくともそれまでは更新出来ません。
次回がかなり先になるのであらかじめ連絡させていただきます。