モンスターハンター~剛腕巨躯の狩人令嬢~   作:ゲオザーグ

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手が進まなかったとはいえ投稿サボってたわけではないですが、前回から引き続き弄って幾つか追加でイメージイラスト作ってました(さすがに装備は再現できなかったのでそれっぽいもんで誤魔化してますが)


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ただ「ちょっと露出多くね?」ってのはまだいい方で、武器が途中で曲がったり大剣とは違う何かになってたりと、ちょくちょく記念に保存する分には後で笑えるからいいけど、人に見せるのは・・・ってのも出てきたり・・・


()4本の黒角ー5

 ディアブロス亜種を仕留めたクリスティアーネ達は、武器の手入れを済ませると、残る片割れを求め、エリア5北部にある洞窟のエリア6を通り、当初目指していたエリア3の先にあるエリア7に向かっていた。

 

「地底湖の影響でしょうか。日光がないにしても、一転して肌寒いエリアですね……」

 

 夜になれば同じくらい冷えるとはいえ、先程まで歩いていた砂原地帯に隣接しているとは思えないほどの温度差に、暑さにこそ強いが寒さは想定していない装備とあって、思わず体を縮こませるエルネアを眺めながら、クリスティアーネが呟く。

 

「そうだろうな。幸いディアブロスはここに寄らないから、さっさとエリア7に――」

 

 それに応えながらアダイトが先に進もうと促しかけた矢先、地底湖に激しい着水音が響き渡り、水切り音と共に現れた、褐色の鱗に覆われたモンスターの体躯を、天井の亀裂から差し込む日光が照らす。

 

「おいおい、ガノトトスまでいたのかよ……」

 

 こちらには気づいていないと思われるが、薄暗い水中で、反射して輝く目に気づき、思わず足を止めてしまったアダイト。ガノトトスはガレオスよりもずっと大型の魚竜種で、体格だけなら、ディアブロスを相手にしても十分戦えるだけある。おそらく縄張りを主張する咆哮を耳障りに思い、襲い掛かって返り討ちに遭ったのだろうが、砂原地帯に比べ、環境が落ち着いた日陰の岩場なのを抜きにしても、どうにも他のモンスターと衝突が多過ぎやしまいかと、気付かれる前に駆け抜けながら内心愚痴る一行だが、おそらくそれだけ今回の対象となったディアブロス亜種2体の衝突が、周囲のモンスターに影響を及ぼしていることを考えると、先程見たボルボロスの様に、追い立てられたモンスターがまかり間違って向かってくるのではと、依頼した村の切羽詰まった様子も、なるほどと理解できてしまう。

 

「おそらく先程のボルボロスにガノトトスと、他のモンスターと争い続けて、相当気が立ってるでしょう。突進に備え私が最前に立ちますので、アダイトさんはエルネアさんを守りつつ、隙を見て閃光玉を投げ、視界を封じてください」

 

「おう、任された」

 

 4人の中で、最も体格に秀でているのはクリスティアーネだが、装備の違いもあると言え、踏ん張りがきくナディアが正面に構え、身軽な片手剣のアダイトにサポートを頼む陣形を組み直して洞窟を出ると、周囲には事切れたゲネポス達が倒れ伏し、その長たるドスゲネポスも、今まさにディアブロス亜種の黒い角に腹を貫かれ、勝ち誇るかの如き唸り声と共に高々と掲げた頭を血や内臓が伝い、黒い体躯を日光に輝かせる。

 

「繁殖期を迎えたディアブロス亜種は、一際狂暴になると聞いてましたが、ここまで暴れ回っていたとは……」

 

「元を辿れば、先程の個体共々被害者ではありますが、これ以上暴れられては、それこそ依頼主の村どころの被害規模ではありません。縄張りに帰る意思がない以上、ここで私達が倒さねば……」

 

 ある意味伝聞以上の惨状に、思わず息をのみつつも、警戒を込め、盾を構えた左腕に力を籠めるナディアに、クリスティアーネも事情を憐れみこそすれど、さすがにここまで見境なく周囲のモンスターを相手に暴れ回っているとなれば、見過ごすことはできないと気を改め、背負っていたフルミナントソードを引き抜く。直後彼女たちに気づき、振り返ったディアブロス亜種が、勢いよく首を振り、ドスゲネポスの遺体を遠心力を使って引き抜き、エリアを囲う岸壁に叩き付け、ドサリと地に落ちる音と共に、走り出す。

 

「守ってもらえるのはありがたいけど、そればっかりの私じゃない!」

 

 先程の個体よりも1周り半ほど大きいこともあって、受け止めたナディアはそのまま押し込まれ、ズルズルと後退していく。そのまま先程のドスゲネポスの様に角で貫かんとする走り続けるディアブロス亜種に向け、アダイトと共に横に逃げ、巻き込まれずに済んだエルネアがジャグラスアサルトに麻痺弾を込め、放つ。

 1発、2発と撃ち込み、エルネアが装填し直した3発目が当たったディアブロス亜種は、体を縮め、小刻みに痙攣させて脚を止める。それを合図に防御体制を解除し、攻めに転じたナディアは、ドロスハープーンIでの砲撃から、重量を活かした振り下ろしを叩き込み、左の角と牙を折ると同時に、アダイトとクリスティアーネが足元に潜り込み、甲殻の薄い腹部や尻尾下を攻撃していく。

 そうしてしばらくやられるままだったディアブロス亜種だが、痺れが失せ、大きく体を伸ばしたと共に、先程の個体同様口から煙を吐き出し怒りを露わにすると、即座にその場で大きく体を仰け反らせながら甲高い咆哮をあげ、思わず4人が身を強張らせた隙に砂中へと潜り身を隠し、間もなく土煙を挙げてクリスティアーネに迫り、彼女を突き上げる。

 

「か……っはぁ……!」

 

「クリス!」

 

 幸い新調間もないギザミシリーズと、落下地点が岩盤でなく砂地だったおかげで命拾いはしたものの、宙を舞った際に顔を覆っていた『ギザミヘルム』が外れ、落下した際に束ねていた黒い長髪が顔にかかったまま、うつ伏せに倒れ伏す同期の姿に、何故か背丈も髪色も全く異なる、かつて自分がその実を犠牲に助けた少女が浮かび、咄嗟に駆け寄ろうとするアダイトだが、思わず声を発したことで次の標的にされ、慌てて中央に聳え立つ岩の陰に身を潜め、突進をやり過ごす。

 

「くっ……ナディア!エルネア!俺が注意を引くから、クリスを頼む!」

 

「お任せを!」

 

「了解……!」

 

 ならばとアダイトは即座に思考を切り替え、残る2人に彼女を託すと、脚を止め振り返らんとするディアブロス亜種の懐に潜り込み、その場に引き留める。怒りに身を任せた状態でも、ディアブロス亜種からすればチクチクと身を裂くフロストエッジの冷気は疎ましかったようで、左半身を大きく引き、反動で突き飛ばそうとするが、咄嗟に盾で受け止めたアダイトは、距離こそ多少開けられるも、思ったほどダメージはなく、即座に駆け寄り、再度注意を引くべく攻撃を仕掛ける。

 そうして視野狭窄なディアブロス亜種の意識がクリスティアーネから外れたタイミングを見計らい、即座に彼女の元に駆け寄ると、ナディアが肩を貸して起こし、エルネアがギザミヘルムとフルミナントソードを拾い、隣のエリア10に避難する。

 

 

 

 

 

 

「クリスさん!私が分かりますか!?」

 

「う……ナディ……ア……様……あり……がとう……ござ……います……」

 

 ゆるい傾斜を描く砂の壁を背もたれ代わりに座らせ、必死に声をかけるナディアに、弱々しく途切れ途切れながらも応えるクリスティアーネ。背中の感覚と、開けた視界から、失った装備を求める様に震える手をゆっくり持ち上げると、エルネアが掴み、緑色の液体、『回復薬グレート』が入った瓶を握らせる。

 

「大丈夫、武器とヘルムは回収してある。まずはこれを飲んで」

 

 零さぬようにと手を添えたまま、瓶をクリスティアーネの口元へと運ばせ、中身を飲ませると、多少はマシになったようで、手を離した腕が幾分力を取り戻し、助力なく瓶を隣に置く様子を見て、エルネアはナディアと共に安堵する。

 

「ふぅ……お手数おかけしました。早く戻って、1人残ってディアブロスを引き留めてくださっているアダイト様に加勢しなくては」

 

「気持ちは分かりますが、彼への援護は私が先に向かいますから、もう少しだけお休みください。エルネアさん、お願いします」

 

「任せて。クリスが動けるまでは、私が守る」

 

 とは言え朦朧としながらも、この場にいないこともあり、アダイトが自分を助けるため、1人残ってディアブロス亜種を足止めしていることを認識し、落ち着くや否や、己が失態と理解しているからこそ、それを払拭せんとばかりに立ち上がろうとする姿には思うところがあったようで、肩に手を置き腰を落とさせたナディアが、一足先に向かうことを告げると、エルネアも、少し離れたところに突き立てられたフルミナントソードを隠す様に、ジャグラスアサルトを構えて隣に座る。

 

「えっと……エルネア様……」

 

「アダイトが心配なのは、私も同じ。だけど今はそれ以上に、彼も私も貴女が心配。せめて、私が抑えても体が動くまでは、休んで」

 

 予期せぬ足止めを突き付けられ、言葉に詰まるクリスティアーネに、追い打ちの如く腕を組み、意地でも立たせんとするエルネア。同期最年少の彼女と、男性陣と並んでも引けを取らない自分との対格差だけなら、軽くあしらい容易く立ててしまえそうだが、体の不自由に加え、心配の意図は十分伝わるとあって無碍にもできず、そのまま突き付けられた2本目の瓶に詰まった回復薬グレートを飲み干させられ、何とか体の動きに支障がなくなる。

 

「あの、さすがにもう大丈夫かと……」

 

「……本当はもう少し安静にした方がいいけど、あまり悠長にできないのも事実。仕方ないから、一緒に戻ろう」

 

 ダメージを受け、休息を命じられた自身より、今も戦う同期達が同じ目に遭いかねないと心配するあまり、落ち着かないクリスティアーネを見ていると、自分も落ち着かなくなることを自覚するエルネア。それを認め、半ば折れる形で、念のためともう1本回復薬グレートを飲ませると、先に立ち上がり、引き抜いたフルミナントソードと共に、手元に置いていたギザミヘルムを差し出す。

 

「ありがとうございます、エルネア様。この失態は、すぐさま活躍で覆して見せましょう!」

 

 改めて礼を言いながら受け取り装着し、エリア7へと駆け付けると、戦闘は佳境に差し掛かっており、閃光玉の光を浴び、視界を封じられながらも暴れ藻掻くディアブロス亜種は、残っていた右の角も折られ、槌状の尾端も、先程クリスティアーネがやって見せた様に切り落とされている。

 

「アダイト様!ナディア様!お待たせしてすみません!」

 

「クリス!あまり無理はするなよ!何とか追い込んだが、生命の危機を感じてか、さっきからずっと怒りっぱなしだ……!」

 

 ディアブロスは瀕死になると一際狂暴化しやすく、そこまで追い込みはしたものの、焦って最後の一押しが間に合わず、それこそつい先程のクリスティアーネが如く、返り討ちに遭うハンターも数多い。

 しかし4人に恐怖はなく、後僅かを切り抜けるべく攻撃の手を緩めぬ近接武器3人の裏で、エルネアが少し離れたところにあるものを用意する。

 

「よし、シビレ罠起動……!こっちに呼んで!」

 

「分かりました!こちらです!」

 

 エルネアの合図に応じ、放電するシビレ罠を背後に構えたナディア目掛けて突進した勢いのまま踏み抜いてしまい、再度痺れて動きを封じられるディアブロス亜種。そのままともに押し込まれるも、装備のおかげで感電しないナディアは、トドメをさすべく、口にドロスハープーンIの先端をディアブロス亜種の口にねじ込み、竜撃砲の発射準備をする。

 

「これで……トドメです!

 

 言葉の通り放たれた竜撃砲が、喉を焼き切りながら、鎖骨付近を突き破って漏れ出し消えると共に、その命の灯も消し去られたディアブロス亜種は、力なく倒れ伏す。

 

「ハァ……ハァ……これでディアブロス亜種2体……狩猟完遂です」

 

「おっ……疲れぇ!何とか勝てたが、やっぱり俺達には、まだ荷が重い相手だったなぁ……っ!」

 

「そうだね……でも、クリスがやられた時は最悪を危惧したけど……全員無事で、よかった……」

 

「その節は、ご心配をおかけしました……今回は皆様のおかげで得た、薄氷の勝利でしたね……」

 

 単純な疲労に緊張もあって、思わず終わったと実感した途端その場に座り込んでしまう4人だったが、互いを称賛しあい、立てるようになると、ディアブロス亜種の遺体を囲い、その身に剥ぎ取りナイフを突き立てがなら愚痴を漏らしあう。

 

「これほどの大物となりゃ、報酬も期待できそうだが、しばらくはのんびり療養させてもらおうかね……」

 

「そうですね。特にクリスさんは、戻ったら改めて診てもらうべきでしょうから、狩猟は控えてくださいね?」

 

「努力はしますが、今回のような場合は、ギルドの方にお願いしますね……?」

 

「実力を認めてくれるのはいいけど、経験不足なのを無視して押し付けてくるのは、あまりにも無責任。せめてもう少し活躍してからまわすべき依頼……」

 

 

 

 

 

 

 集会場に戻った4人を迎えたのは、帰還を待ちわびていたメンバーにタイミング悪く合流したドラコが、いつも通りとばかりにディノを争う声だった。

 

「そう言えば、あの時ドラコいなかったね」

 

「確か故郷(ワーニェ村)の方から、ゴシャハギ狩猟の依頼がないか確認した後、代わりに火山へ採掘に向かわれていましたね。ちょうどクリスさんとすれ違うくらいで、なんとも不運なニアミスでした」

 

「何だかドラコ様を除け者にしてしまったようで、急に申し訳なく……」

 

「確かに話を聞いてれば、ディードみたいにすぐ名乗り出たろうが、そこはドラコの間が悪かっただけだから、あまり気にしなくていいだろ」

 

 専ら突っかかるドラコの声ばかりだが、集会場の外まで届く言い争いに苦笑しながらも中に入ると、2人の他にもレイン、アカシ、ヤツマ、カツユキ、ヤクモと、居合わせた同期達が帰還に気づき、顔を向ける。

 

「ディアブロス亜種……無事狩猟成功です!」

 

「ギリギリだった……」

 

 生還した4人の姿に安堵を浮かべる仲間達に成功を報告すると、歓喜の声と共に駆け寄り、次々に労いと称賛の言葉をかける。

 

「お帰り!……死闘だったんだな」

 

「ドラコ!ああ、なんとか勝ったぜ……」

 

「その様子、かなりの激闘だったと見る。よくぞ戻られた……!」

 

「事前準備を念入りに議論しただけあって、よくやったよ。さすが試験でイャンクックとババコンガを連続で倒しただけあるな」

 

「すごいよクリス!ディアブロスを倒しちゃうなんて!僕だったらビビッて何もできないまま、リタイアして戻るとこなのに……」

 

「お前も一緒にドスジャグラスを討ったんだ、もっと自信を持て。しかしとうとう同期から、ディアブロス程の大物を仕留める奴が出るとはな……」

 

「こりゃあ俺達もうかうかしてらんねぇな。とりあえず、ここ最近生活優先で、採取や小型モンスターの相手を主にしてたが、そろそろ大型モンスターの狩猟も、本格化させてくか!」

 

「その通り。同期の躍進、誠に嬉しい限りです。我々も、置いて行かれぬ様気を引き締め挑まねば」

 

 こうして予期せぬ大金星を挙げたクリスティアーネを称える同期達の歓声は、そのまま慰労会へと移行し、翌朝に解散するまで絶えることがなかった。




イラストばっかもなんだし、一気に書き上げちまおうと思ったまま結構経ってしまいましたが、締めの部分は先んじて触れていただいた『モンスターハンター 〜寒冷群島の紅き鬼狩り〜』の部分も使わせていただきました
https://syosetu.org/novel/369476/9.html
しかし予期せぬ激戦に展開したせいか、締めがめっちゃ雑になった気がする……
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