妖怪ウォッチバスターズ『FUTURES!』   作:妖怪紳士奴

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【第1章】すべてが新たに動き始める
1.依頼者の名は……


 鬼時間……悪しき妖怪が暴れ回る、おそろしい現象……。

 次々と起こる鬼時間に、恐怖のどん底にたたき落とされる妖怪たち。

 だが、正義の心に燃える妖怪たちが立ち上がった……! 

 彼らの名は……『妖怪ウォッチバスターズ』!!

 

 

 

 

 

 『バスターズ』と呼ばれる者らは、鬼時間に潜んだ強大な力を持つ危険妖怪『ビッグボス』を討伐し、発生した鬼時間を終わらせることやその他依頼を受けて解決することなどを仕事とする、例えるなら万屋+防衛軍のような存在。

 

 

 その中でも、『赤猫団』『白犬隊』の2チームが頭ひとつ抜けて有名だと言えよう。

 

 

 その2チームは、凶悪なビッグボスである“ウィスマロマン”撃破や、ラスボスの異名に相応しいビッグボスの中のビッグボス“ブシ王”を退ける、さらに妖怪たちの王である存在“エンマ大王”直属の依頼を完璧にこなすなど、A級のバスターズチーム(チームには実力に応じてE<D<C<B<A<S級と分類されるバスターズスコアがあり、それとは別で功績に応じ1~99の数字で表されるバスターズランクというものもある)と遜色無い活躍を見せる実力派チームだ。

 

 

 今日も、彼らをはじめとするチームごとにあるアジト、バスターズハウスには数多くの依頼が入り込んでくる。

 

 

 しかしこの日の依頼は珍しく少なく、午前中は鬼時間の発生も見られなかった。その時間だけを切り取れば、平和と呼ぶに相応しい。

 

 

 そろそろ昼飯時だ。バスターズハウス内が賑やかになる頃、呼び鈴が鳴る。微妙なタイミングに、どうやら来客のようだ。

 

 

 赤猫団のリーダーである、赤いネコ妖怪“ジバニャン”が扉を開けると、嫌な生ぬるい風が室内に入り込んだ。そこには金髪に黄色の瞳、少し装飾の施された赤いワンピースを着た妖怪が立っている。

 

 

 その見た目からは、かのエンマ大王を連想する。が、彼よりも大人らしく、何より、可愛さも残った美しい女性である。それを踏まえてなお大王と似た雰囲気を醸し出す彼女は何者なのか。不思議な感覚がジバニャンを襲い、へんてこな混乱へ導いた。

 

 

 だが悶々とさせる感覚以前に、彼女は来客だ。まずは対応をしなければいけない。

 

 

 

「と、とりあえず入るニャ。3階のソファで座って待っててニャン」

 

 

 

 とりあえずジバニャンは彼女を招き入れた。

 

 

 彼女は何やらにこにことしているが、その瞳にはどこか少し暗い雰囲気がある。容姿とは不相応な闇を孕んでいるらしい。

 

 

 

 

 

 3階、談話室。休憩室とでも例えるべきか。軽いシャワールーム、トイレ、寝室があり、中央には向かい合った2つのソファや、テレビなどが置かれてある。冷暖房設備もしっかりしておりボードゲームまである、休憩するぶんには困らない場所だ。

 

 

 片方のソファに客人を座らせ、向かい側にはジバニャンや、赤猫団の隊長兼教官“ブリー隊長”が座る。その形相は、やはり真面目なものだ。

 

 

 ブリー隊長は全バスターズをまとめる組織『バスターズ協会』から、赤猫団を育て上げるために派遣された者のひとり。一昔前に「伝説のバスターズ」とも謳われた最強最高のS級チーム『特攻野郎Bチーム』リーダーだった超実力者だ。バスターズランクは解散時89、そこまで登り詰めたのは歴代で彼らのみ。

 

 

 聞き手の準備が整ったところで、彼女はふと話し始めた。

 

 

 

「ボクは“ゲンシャ”。パパ――先代閻魔大王の娘で、立場的にはエンマちゃん――現エンマ大王のおば(・・)にあたるのかな?人間感覚で考えればまだまだ成人まもなくって感じで若いんだけどなー」

 

 

「ニャ……ニャンですとぉー!?」

 

 

 

 唐突にぶち込まれた衝撃発言にジバニャンはそう叫ぶしかなかったが、ブリー隊長は「なんだ知らなかったのか……」と、少々呆れ気味な表情で苦笑していた。

 

 

 彼女の依頼から、次なる序章が幕を開ける。深い絶望と微かな希望、思いがけない真実、複数度の決戦。全てが終わる頃、また上へ上へと成長するだろうか。それとも、悪夢に首を折られ霧散するのだろうか。

 

 

 赤猫団の、バスターズの、妖魔界の、人間界の、全世界の、総てを背負う新たな戦いは、ここから始まった。

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