今話は【旅路】と題し、『ゲーム妖怪ウォッチシリーズ』のストーリー────つまり現在の過去にあたる話を大雑把に纏めるシリーズとなります。
主人公が妖怪ウォッチを手にする、ウィスパー・ジバニャンと出会う軌跡の話です。存じてある方は読み飛ばしていただいて構いません。「知らない」「忘れた」「今一度理解を深めたい」等想う方は、どうぞご覧ください。
以降番外編では【旅路】と題して時々、ゲーム内の話である過去のストーリーを纏めていきます。【旅路】が付いていない場合は、他の内容であるとお考えください。
以上です。続きをどうぞお楽しみくだされば、幸いです。
夏休みのある日、小学5年生の少年■■■は
この山の中間地点辺りに、神社がある。
そこの周囲で珍しい虫を探す。友達と虫取り勝負しており、それに勝つために、できるだけ珍しいのを捕まえようとしているのだ。だが木の上、草の中、どこを見てもミンミンゼミとアブラゼミとダンゴムシしかいない。そんな簡単に見つかるものなら珍しいと言われないのだから当然だろう。
すると一匹、カブトかクワガタか、黄金に光る虫が飛ぶのを見つけた。それは鳥居を通って、御神木の方へ消える。
それを追いかけるように、■■■も鳥居を
御神木、予想以上にそれは大きかった。確かに何らかの神が宿っていても不思議ではない、むしろ宿っていないはずがないと思わせる力がある。周囲は森ではあるが、御神木を中心に半径数十メートルの円を描いて木が生えていない空間がある。その中心には、根と一体化しかけた
『いぃ〜れぇろぉ〜いぃれぇろぉ――』
前触れもなく、謎の声が響く。
『いぃ〜れぇろぉ〜いぃれぇろぉ〜いれろぉいれればいれずんば――――――』
また、謎の声が響く。■■■は本能的に、100円玉を一枚、普通の小さな手に握りしめた。
硬貨を入れ、つまみを回す。1回、2回、3回、手首を捻り回す。
そこから出たのは、石ころひとつ。だがよく見ると、それはちゃんとしたカプセルであった。
本気で力を入れ、カプセルを開く。その際の衝撃により、しりもちをついた。
中から出てきたのは、白い、頭にふよふよのついた幽霊のような形の、よくわからない何かだった。それは「ウィスパー」と名乗った。自らを妖怪だと言う。
ウィスパーは■■■に時計を手渡す。妖怪ウォッチ、と言う時計だ。それを介して妖怪に干渉できるらしいが、そうやすやすと信じられる話ではない。
「フッフッフッ……妖怪たちはあなたの暮らすこの町のいたるところに
長い話を終え、それになんやかんやあり、ウィスパーは執事として■■■に添うこととなった。
※ ※ ※
魚屋前の交差点に、ある猫の妖怪がいた。二足歩行する、二頭身の赤い猫妖怪だ。右耳が少し欠けており、二股に別れた尻尾の先には人魂が灯っている。首輪は飼い猫だったからだろう。黄色の腹巻きはタイヤ痕かと不穏な思考をしたが、それは関係ないらしい。寒いから着けているということか。しかし死因はトラック。
その猫妖怪は地縛霊。交差点の呪縛があり、ここから離れることができない。ただ、毎日毎日、ここを通るトラックに正面から殴りかかり、何度も敗け、それでもいずれ「トラックに勝つ」ことを夢見ている。
助けになりたい。■■■はそう思った。それを伝えれば、猫妖怪――ジバニャンが、「盗られたエミちゃんの写真を取り返してほしい」と懇願した。
エミちゃん。生前の飼い主の名だ。その写真が、彼を束縛するのだろうか。否、束縛したのは、彼女の言葉であった。
『車に轢かれて死ぬなんて…………ダサっ――――――』
だがそれは本来、エミちゃんの、目の前でジバニャン――アカマルを
それでも、彼女を愛している。トラックに勝利する、ダサくない自分になってから、また、会いに行こうとしている。
路地裏にいた妖怪が例の写真を持っており、■■■はトモダチ妖怪の力を借りてそれを取り返した。写真には、優しそうなツインテールの少女がいる。
ジバニャンは感謝を見せる。だが「写真すら取り返せないオレっちはダサい」と言葉を連ねる。しかし■■■は、そこで終わるのを拒んだ。
「全然ダサくなんてない、むしろすごいと思う! 見返すんじゃなくて見直してもらうためにあきらめずにトラックに挑むなんてさ! オレには絶対できないよ」
その優しい言葉が、ジバニャンの、地縛霊の呪縛を解いた。
■■■はジバニャンの妖怪メダルを手に入れた。妖怪メダルとは、人間と妖怪の絆。妖怪ウォッチにそれを挿入することで、妖怪を召喚することができるアイテムだ。
ひとつの長い夏休みに起きた、ちょっと違う普通の日常。それはいつしか、一種の伝説とすら語り継がれる物語に繋がる。これらが、全ての始まりだった。
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