15.過去からの手掛かりと……
『
見つかった妖怪ウォッチは、破損箇所があった。
レンズが右半分割れ、それを開くボタンは壊れて
『抜け殻、綿すらない
一帯には毛の末梢すら痕跡が残されていない。頼りの綱は始めから繊維が解けている、御粗末な事態。
『“我が名”と“記憶”を剥奪する。
しかし誰がどう口を出し、胸倉を掴み首を振り、絶望の淵へ手繰り寄せるとしても、ケータが確認されるまでは止まることを知らない。例え最悪な終焉を迎えることになろうが、助けられる可能性がゼロでない限り、世界中の全空間を踏み歩いてでもどうにかする。
『但し相応の貢献に基づき、返して
どうにかしなければいけない。
ケータの代わりなんていない。ケータでないといけない。ケータを失うなんて、有り得ない。
『堪えない事実は
バスターズは今、
『天野 景太を見殺せ』
人間と妖怪の未来をこれからも紡ぐため、
『偽れ、ヘイトピーアーカイブス・ウィスパー。我が霊よ、隷よ。令に従え』
これ以上ない終末の手前に立たされている。
『
「ぎゃあぅええぇぇぇええうぃいいすぁぁぁぁあ!!!!」
悪魔が叫ぶような断末魔をあげたのは、ウィスパーだ。
主のいない部屋にひとり、恐怖を織り込む悪夢だけに満たされる。同時に、記憶の小分けられた棚の鍵が、幻の中に現れるようになった。
それは、ウィルオーウィスプに関する重要な鍵となる。
※ ※ ※
「何かあったかニャ? ウィスパー、顔色が悪いニャン」
「あ、えぇ……少し気分が良くありませんが…………大丈夫です」
「ウィスパーがまともな口調になるのはかっこいい時か何かある時ズラ」
「うぅむ……」
夢は記憶に定着しにくい。他の要因に意識が持っていかれている場合は尚更だ。無理に記憶を抉じ開けようとするが、生憎ウィスパーはそこまでハイスペック妖怪でないのは察しの通り。
“記憶を思い出させる妖怪”は存在する。が、そう都合良く出てくるのは
その時だ、ロボニャンを介し送られてきた連絡。USAピョンからの救援要請だった。「ミツマタノヅチの大量発生」、まさに地獄と呼ぶに相応しい響きである。
※ ※ ※
“ミツマタノヅチ”。3つ首のビッグボス。首頭のどれかに弱点の目玉が守られているが、下手な攻撃ではびくともしない頑強な皮膚に覆われており、効率良くダメージを通さなければ倒すのに苦労する相手だ。
それ自身の出没頻度は多く、場所によれば結界に閉じ込める等の対策がされる程だ。が、以前に、幸運を呼び寄せる妖怪“ツチノコ”が関わることにより対策を無碍にされたことがある。
バスターズを一度は半壊させた凶悪なビッグボス、ウィスマロマン特製の謎のお菓子“魔シュマロ”を3体のツチノコが接種した瞬間、それがミツマタノヅチへ変貌する奇妙なマジックに東奔西走、それはそれは見事に翻弄されていた。
とにかく、今回もそれに近い現象が引き起こされたのだろうと推測できる。場所は現在いるさくらニュータウン、その西の団々坂、更にその南のおつかい横丁。そこら一帯に大量発生したと言う。
「どこにもいないズラよ?」
犬も歩けば棒に当たる。コマさんも角を曲がればビッグボスに当たる。
「もんげー!!」
「も……もっ…………」
気付けば、いつの間にか孤立してしまったコマさんは既に囲まれていた。
纏うのは例に漏れず紫の濃ゆいオーラ。極玉をふんだんに盛り込んだ贅沢極状態フルコース祭り−ミツマタノヅチ編−開催。どうやら、簡単に合流することは許されないらしい。
「もんっもっもんげええええええええええ!!!」
一斉に吐き出された火炎放射がコマさんを襲う。
しかしこれでも、バスターズチーム白犬隊隊長なのだ。この程度の炎攻撃なら正直どうとでもなる。同じ火属性を持つので尚更だ。だが当然そんなに甘くはなく、大滝・雷・竜巻・地割れ・吹雪、目まぐるしい数の妖術が田舎の狛犬妖怪一匹に向けて猛威を
この妖術の異様な多彩さは恐らく、属性
そもそも、ここでの
厳密に言えば、妖術を練れる
その
だがそれがこれだけ使われているとなると、相当数の妖怪が下敷きになったと思われる。この程度のことのために……これは悪魔の所業そのものだ。
「こんなの……あってはならないことズラ! ありえないことズラ! こんなひどい妖怪は、オラがバスターズとして粛清してやるズラーッ! 《ひとだま乱舞》!!」
極ミツマタノヅチは、未だ大量の仲間を抱えて
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