妖怪ウォッチバスターズ『FUTURES!』   作:妖怪紳士奴

18 / 32
16.色を捉えろ!

 場は乱戦を極めていた。

 

 

 さくらニュータウンにジバニャンとウィスパー、そこから南西のおつかい横丁にてUSAピョンとロボニャン、そしてその北に位置する団々坂でコマさんが戦っている。抑えきれない数の暴力は月兎組員に耐え忍んでもらい、その隙に1体ずつ討伐する……それができればスムーズに事が運んだだろう。だが属性魂の影響で多様な妖術を扱うようになったのが相手であれば話が別だ。

 

 

 そもそもミツマタノヅチは3頭から妖術を出す、単純計算で3倍の威力・範囲がある。代わり映えのない火炎放射を対処するのは簡単だが、複数体の様々な妖気が同時に来てしまえば、受け流すのは容易ではない。特に水と雷のような相性の良い掛け合わせが飛んできたとなれば、ダメージは避けられない。

 

 

 

「ま……まずいズラ…………このままじゃあじひりん(・・・・)ってやつズラよ……!」

 

 

ジリ貧(・・・)、徐々に余裕がなくなっていくことを指す言葉だ。ロケットパーンチ!」

 

 

 

 脈絡なく攻撃をかましたのはロボニャン。言葉の通り、拳がロケットのように飛び出す技を連打する。飛ばした拳が即補充されるのは未来のスーパーテクノロジー。現代では仕組みを理解できないが、考えるのは野暮、というものだ。

 

 

 

「USAピョンが“ベイダーモード”へと移行した! あれは想像以上の体力を消費する、だから私は君のところへ来たのだ!」

 

 

 

 ベイダーモード、それは暴走一歩手前を自ら作り出す状態だ。宇宙服を模したヘルメットの下部に2箇所設置されたボタンを同時押しすることで、中に特殊な黒煙が発生する。そこに赤い糸目が灯されればベイダーモードとなり、身体能力の超上昇と擬似半狂乱状態に変貌する。

 

 

 だが大いなる力には大いなる代償が伴うと言うように、スタミナと精神力がガンガン削られる。故に短期決戦となるのだが、まぁまぁな高耐久のミツマタノヅチには相性が悪く、更にそれが大量発生しているともなれば長期戦は免れない。

 

 

 その為に回復妖術を使用できるコマさんがいれば助かる、というわけだ。本来ならば回復を専門とするヒーラーが最適なのだが、月兎組はバスターズと違い戦場の慣れがあまりなく、最良の回復能力を選択する冷静さなどが足りないので、コマさん以外に頼れる回復役がいない。

 

 

 

 

 

 それと同じ頃、ジバニャンは苦戦を強いられていた。

 

 

 

「食らうニャ! 《ウィスパーヨーヨー》!」

 

 

「ぶべらっ!!」

 

 

 

 ウィスパーの伸縮性を活かし、ヨーヨーの要領で連続攻撃を繰り出す技。効果はあれど、結局ウィスパーが一番ダメージを受ける、割りに合わない技だ。なのにいくつかの派生技があるのだが、それはまた別の話。

 

 

 

「《ウィスパーヨーヨー》! 《ウィスパーヨーヨー》!!」

 

 

「ぶびっぐべっ」

 

 

「《ウィスパーヨーヨー》ーーーッ!!!」

 

 

「もういいやろが! こンのジバ野郎!!」

 

 

「くっ……ウィスパーが見るも無惨な姿に……仇は取ってやるニャン!」

 

 

「オメーがやったんでしょーがァい!!」

 

 

 

 遊ぶ程度の余裕はあるらしい。だがその油断が悲劇を招くのを、今はまだ知る(よし)もない。

 

 

 

  ※  ※  ※

 

 

 

 “電撃の巨人”――特攻野郎Bチームの雷神こと、でんじん親方の二つ名。強靭な筋肉はブリー隊長には及ばないものの、それを覆う脂肪が衝撃を遮断するクッションとなり、また別の利点を生み出す。巨体から放たれる電撃を纏った拳は、巨人の振りかざす一撃にも劣らないとまで語られる。ただそれはある程度の脚色を仕組まれた結果の伝説ではあるが、(あなが)ち間違いでもないのもまた事実だ。

 

 

 それはいつのことか、認識する間もなく音沙汰無くなった。ふぶきちゃんの一時的な離脱以外は、ジバニャンたちの休暇を言い渡して以降ずっと妖波とにらめっこ状態。バスターズに来た今までのどの探索任務よりも、絶望的な雰囲気が空間を指揮していた。

 

 

 だが、ふぶきちゃんが持ってきた()が、少し後に状況を打開する(すべ)となる。

 

 

 

「ウィルオーウィスプ・ウィスパー(・・・・・)だと?」

 

 

「ええ、奴は確実にそう言ったわ」

 

 

「たしかにウィスパーの出自は謎だらけだが……なにか関係があるのか?」

 

 

「流石にないとは思うけどね…………」

 

 

「ふたりとも! これを見るボーノ!」

 

 

 

 話に割り込む形でホノボーノさんが声を荒げ、妖怪単体では読み難い(かす)かな妖波を識別する機械に指差す。

 

 

 半球状の機械に地図が映っており、一般妖怪の青・ビッグボスの黄・正体不明の赤で妖怪と位置を示す。ほぼ全妖怪のデータを内蔵しており、反応を解析すれば大抵の正体はわかる。ちなみに人間は白。この機械はバスターズハウスの基本設備ではあるが、ここバスターズ協会地下2階にある特注の巨大機は全てにおいて性能が段違いだ。

 

 

 そこには、識別不能の反応が赤く灯っていた。その場所は、ナギサキ。少し遠い場所にある小さな港町だ。

 

 

 同時に、桜町(さくら中央シティを含め、それに隣接する全区域の総称。過去にそう呼ばれていたことから、全区域を指す場合にはこの名称が用いられる。)の一帯に大量の反応があった。色は黄。データ解析の(すえ)、ミツマタノヅチであることがわかる。

 

 

 

「うっそぉ……ジバニャンたち全く休めてないじゃない」

 

 

「ホノボーノさんはミツマタノヅチの方に行ってくれ! 俺たちが赤の反応を追う…………!」

 

 

「了解ボーノ!」

 

 

「行くぞ、全員出撃だーッ!」

 

 

「「「GO! バスターズ!」」」

軽いアンケート。良ければ評価や率直な感想もお願いします

  • 面白い(原作プレイ経験あり)
  • 普通(あり)
  • 面白くない(あり)
  • 面白い(原作プレイ経験なし)
  • 普通(なし)
  • 面白くない(なし)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。