ブリー隊長らがナギサキの戦闘に身を投じるのとほぼ同時刻。
大量のミツマタノヅチに奮闘しつつも、余裕ひとつない状況へ悪化していっていく。
「《回復の術》ズラ! もう少し耐えて欲しいズラよ!」
「フーッ、フーッ…………」『ヴゥゥウン――ヴェイダーモーゥド――』
四方八方十六方、空へ撃たれた赤い光線がハザードランプのように光る。それは、離れた箇所からも目視できた。
「ニャニャ、あれはUSAピョン……かニャ?」
「ビームの色が変色していますね、あれはベイダーモード……そこまで追い詰められていると言うのですか……!?」
「オレっちたちも遊んでる暇はニャい……っ!」
「いや遊んでたのはあんただけでウィス」
全体の戦意が下がってきていたが、いつの時も頼りになるのは“伝説のバスターズ”である。
「ボーノ! みんな頑張るボーノー!」
“ほほえみの伝道師”ホノボーノさん。完全上位互換《極楽の術》を超える癒しを与えた《回復の術》と、その効力を100%保ちながら効果範囲・時間を拡げる《回復の陣》の発現は妖術界隈を大いに沸かせる結果を
急遽駆けつけたホノボーノさんの元祖であり本家、かつ妖術界の真打である《回復の陣》。それが全体に行き渡り、戦況を改善するのに時間はかからない。
実際、事足りない戦力を補う最善の策になった。もし来たのがブリー隊長やふぶきちゃんであれば、敗走はしないものの多少の被害は免れなかっただろう。強力な隊員を前線に出す、それだけが戦闘の全てではない。教官・隊長たる
「よし……ウィスパー時間稼ぎニャン!」
「戦闘力がなくても
ビッグボスの動きを数秒止める電磁罠でんじんトラップ、時間差で大炸裂する設置爆弾スーパーメラメラボム、対象を追跡して確実に攻撃する
「ネ〜コォ〜…………パーーンチ!!! “
いっぱいの力を溜め放つ《ネコパンチ》。そこに炎属性の妖気を織り交ぜたことで、言葉通り火力アップ。
「ギョルォロロロロロロォォオ――」
相当
ウィスパーが大量のアイテムとともに保持していた
だが常時回復のバフがある現時点では、苦戦する要素と言えば精神的疲労だけの単調な掃討戦。各地で脅威が消えていく、今回も勝利を得た。
――――――誰もがそう思っていたが、どうも
「ヨォ、貴様らが求める
ゲロりそうな程の高密な妖気を纏わせた人魂が、音もなく、しかし声を荒げて、予告もなく現れた。それを目前にしたのは、コマさんとUSAピョンとロボニャンの3人。
「どうだ、開戦
「…………2人とも気を付けろ、恐らくコイツがウィルオーウィスプだ」
「な、なんて妖力ズラ……一刻も早くブリー隊長に!」
「歓迎ムード、ではないな。それにブリー隊長とやらはもう使い物にならんさ」
「ッ! まさか、そんな筈はない! クソっ私のデータで分析し得ない相手と言うのか!!」
「
怒り心頭を発す。肉体への影響を顧みない、黒煙が漏れ出てしまう程の量のドーピングで光線銃を構え、乱射乱乱射。正気の沙汰でない、だがそれはお互い様だ。
「あの時、我は4の存在を作った」
撃たれるビーム全てを自身に歪曲させ、吸収する。かと言ってもそれを返すカウンター攻撃の気配はなく、まるで天才気取りが最高級のワインを
「ひとつは、不適切な闇と
ひとつは、雑多な運命に狂う厄災“黒い太陽”。
ひとつは、人間と妖怪の数奇で奇貨な“繋がり”」
ロボニャンの機械の体にまでヤバいと直感させる悪寒が迸る。誰かに睨み殺されるような、根源的恐怖にも似た悪寒。
「ひとつは、分身または奴隷もしくは亡霊。さて、そろそろ起きないか? 我が“
奴は強く囁いた。
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