妖怪ウォッチバスターズ『FUTURES!』   作:妖怪紳士奴

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18.大・掃・討

 ブリー隊長らがナギサキの戦闘に身を投じるのとほぼ同時刻。

 

 

 大量のミツマタノヅチに奮闘しつつも、余裕ひとつない状況へ悪化していっていく。

 

 

 

「《回復の術》ズラ! もう少し耐えて欲しいズラよ!」

 

 

「フーッ、フーッ…………」『ヴゥゥウン――ヴェイダーモーゥド――』

 

 

 

 四方八方十六方、空へ撃たれた赤い光線がハザードランプのように光る。それは、離れた箇所からも目視できた。

 

 

 

「ニャニャ、あれはUSAピョン……かニャ?」

 

 

「ビームの色が変色していますね、あれはベイダーモード……そこまで追い詰められていると言うのですか……!?」

 

 

「オレっちたちも遊んでる暇はニャい……っ!」

 

 

「いや遊んでたのはあんただけでウィス」

 

 

 

 全体の戦意が下がってきていたが、いつの時も頼りになるのは“伝説のバスターズ”である。

 

 

 

「ボーノ! みんな頑張るボーノー!」

 

 

 

 “ほほえみの伝道師”ホノボーノさん。完全上位互換《極楽の術》を超える癒しを与えた《回復の術》と、その効力を100%保ちながら効果範囲・時間を拡げる《回復の陣》の発現は妖術界隈を大いに沸かせる結果を(もたら)す革命だった。次元の違う回復妖術は『女神のほほえみ』とすら呼ばれ、それを生み出し広めた彼は、()()()()()()()()なのである。

 

 

 急遽駆けつけたホノボーノさんの元祖であり本家、かつ妖術界の真打である《回復の陣》。それが全体に行き渡り、戦況を改善するのに時間はかからない。

 

 

 実際、事足りない戦力を補う最善の策になった。もし来たのがブリー隊長やふぶきちゃんであれば、敗走はしないものの多少の被害は免れなかっただろう。強力な隊員を前線に出す、それだけが戦闘の全てではない。教官・隊長たる所以(ゆえん)は、緊急事態にも屈しないその判断力だ。

 

 

 

「よし……ウィスパー時間稼ぎニャン!」

 

 

「戦闘力がなくても()()()()()()()があるでウィッス! “でんじんトラップ”! “スーパーメラメラボム”! “ロボニャンパンチF”! “フォースバスターG”!」

 

 

 

 ビッグボスの動きを数秒止める電磁罠でんじんトラップ、時間差で大炸裂する設置爆弾スーパーメラメラボム、対象を追跡して確実に攻撃する投擲(とうてき)爆弾ロボニャンパンチF、一直線の大ビーム砲を放つ使い捨て光線銃フォースバスターG。様々なアイテムを駆使してミツマタノヅチの目玉を露出させる。弱点のそこに、巨大な一撃を。

 

 

 

「ネ〜コォ〜…………パーーンチ!!! “(ホムラ)”ぁっ!!」

 

 

 

 いっぱいの力を溜め放つ《ネコパンチ》。そこに炎属性の妖気を織り交ぜたことで、言葉通り火力アップ。

 

 

 

「ギョルォロロロロロロォォオ――」

 

 

 

 相当(こた)え、叫びながら3つ首を地面に落とした。ぼるんっと消えて、残った鬼玉は中々の大きさがある。

 

 

 ウィスパーが大量のアイテムとともに保持していた(バスターズ)ランチャーでそれを吸収し、やりきった感だけは満ち足りた。だが残念ながら、倒すべき相手は数体程度ではないのだ。

 

 

 だが常時回復のバフがある現時点では、苦戦する要素と言えば精神的疲労だけの単調な掃討戦。各地で脅威が消えていく、今回も勝利を得た。

 

 

 

 

 

 ――――――誰もがそう思っていたが、どうも()()()はそれを許してくれないらしい。飛ぶ鳥を落とす勢いで向けられた指を折り曲げ()り潰す、出鼻を挫かれるなんてものじゃない悪意が月兎組たちを襲う。

 

 

 

「ヨォ、貴様らが求める()()の登壇だ。歓声を吐け雑魚共!」

 

 

 

 ゲロりそうな程の高密な妖気を纏わせた人魂が、音もなく、しかし声を荒げて、予告もなく現れた。それを目前にしたのは、コマさんとUSAピョンとロボニャンの3人。

 

 

 

「どうだ、開戦嚆矢(こうし)の前祝いは楽しめたか? であれば結構、でなければ『YES』の白旗を滲んだ天国(ディストピア)()げるまで脅そう」

 

 

「…………2人とも気を付けろ、恐らくコイツがウィルオーウィスプだ」

 

 

「な、なんて妖力ズラ……一刻も早くブリー隊長に!」

 

 

「歓迎ムード、ではないな。それにブリー隊長とやらはもう使い物にならんさ」

 

 

「ッ! まさか、そんな筈はない! クソっ私のデータで分析し得ない相手と言うのか!!」

 

 

野郎(ヤロー)…………テメー許さないダニっ!!!」『プシュッーヴゥウウウウン――ヴェイダァモーゥド――』

 

 

 

 怒り心頭を発す。肉体への影響を顧みない、黒煙が漏れ出てしまう程の量のドーピングで光線銃を構え、乱射乱乱射。正気の沙汰でない、だがそれはお互い様だ。

 

 

 

「あの時、我は4の存在を作った」

 

 

 

 撃たれるビーム全てを自身に歪曲させ、吸収する。かと言ってもそれを返すカウンター攻撃の気配はなく、まるで天才気取りが最高級のワインを味利き(テイスティング)するかのようにただ飲み込む。

 

 

 

「ひとつは、不適切な闇と(さだめ)()じた“地獄と極楽”。

 

 ひとつは、雑多な運命に狂う厄災“黒い太陽”。

 

 ひとつは、人間と妖怪の数奇で奇貨な“繋がり”」

 

 

 

 ロボニャンの機械の体にまでヤバいと直感させる悪寒が迸る。誰かに睨み殺されるような、根源的恐怖にも似た悪寒。

 

 

 

「ひとつは、分身または奴隷もしくは亡霊。さて、そろそろ起きないか? 我が“記憶(ウィスパー)”よ。その瞬間だ! 運命らの()()()は…………!!」

 

 

 

 奴は強く囁いた。

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