妖怪ウォッチバスターズ『FUTURES!』   作:妖怪紳士奴

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   《 《 前 書 き 》 》

 申し訳ございません。番外編多いですね。

 しかし、「本編の構想ができず滞っている」わけではないです。ではなぜか? 至極単純、楽しいからですねぇ、はい。

 冗談は抜きで理由があり、「前情報があったほうがいい」からです。全員が全シリーズのプレイをしていることはないでしょうし、忘れた人も勿論いるでしょう。

 例えば、今回の場合では“ムゲン地獄”についての話(初代妖怪ウォッチのエンドコンテンツ)となります。しかし本編でしっかり説明を入れるには文字数を必要とし、しかしggrksとも言えるわけなく…………だからこのような機会に、説明としても【旅路】を設けるわけです。

 でも正直言うと、理由の7割近くはこれをやっててめちゃくそ楽しいからなんですよね……まるでわちゃわちゃプレイしてた子供の頃に戻っている、追体験ってやつの、そんな感じがするんですよ。

 だから、「楽しんで作ってるんだなぁ」的な雰囲気で見ていただければ幸いです。決して本編のネタ切れではないので、ご安心ください。投稿頻度は遅いですけどね。

 では、本文へと。







+番外編δ.【旅路】ー地獄釜道ー

 ■■■の日常に、妖怪たちが戻ってきた。

 

 

 人間と妖怪の間をマオが取り持ってくれたおかげで、()()()()()()()()()()()()()妖怪エレベーターを再度開くことができたらしい。

 

 

 しかし時を同じくして、奇怪な現象が起きている。

 

 

 

「暑いからと言ってダラダラしてばかりではいけません。心頭滅却すれば火もまた涼しと言います。このような日こそ、しゃきっとしましょう。

 

 いやあ、こんなに暑いとあの日のことを思い出しますね。■■■くんにお別れを告げ、人間界を去ったあの日のことを。

 

 …………■■■くん。妙だと思いませんか?

 

 マオくんが妖怪と人間の仲を取り持ってくれたおかげで戻って来られましたが、妖怪エレベーターが再び開かれるまで、(わたくし)たちはかなりの時間を過ごしました。それなのに、人間界ではまだ夏休みが続いています。

 

 長い! 夏休みがあまりにも長すぎます!

 

 ……実は心当たりがあるのです。(わたくし)たちが人間界に戻るまでの間には、かなりのいざこざがありました。そのいざこざのドサクサで、あの地の封印が解けてしまったに違いありません!

 

 その名も『ムゲン地獄』!

 

 妖魔界のどこかにあると言われていますが、どこにあるのかは誰も知らない未知の場所。そこに封じられた妖怪が目覚めると、世の秩序が乱れると言われています。妖魔界から妖怪があふれ出たり、同じ時間を繰り返したり……そう、まさに今の状況ではありませんか!

 

 妖怪マル秘情報によると、どこかのお金持ちが情報を持っているようです。……と言うわけで、■■■くん。そのお金持ちとやらを探しに行きましょう」

 

 

 

 少々ツッコミどころはあれど、時間が繰り返すと言う謎の現象の手がかりを探しに出る。運が良いのか悪いのか、時間はいくらでもある。新たな妖怪に出会いながら、地道に情報をかき集めていった。

 

 

 その結果、ある豪邸に辿り着く。閑静(かんせい)な高級住宅地そよ風ヒルズ、その北東端に建つ蔵岩(くらいわ)邸。そこを尋ねると、大黒柱の蔵岩社長が少し話を聞かせてくれた。

 

 

 

「こんなことを言っても、誰にも信じてもらえんと思うが……若い頃から決まって、いつも同じ夢を見るのだ。団々坂の西のトンネルを先に進んで抜けると、そこには……

 

 そこには美しい草原と青空が広がっていて、ポツンと、小さな小屋が建っているのだ。

 

 ただ、それだけの夢なのだが妙に気になってしまってな。

 

 探してみても見つからなかったが本当にあるのなら、行ってみたいものだ」

 

 

 

 ただの、お金持ちのおじさんの夢の話。だがそれが、ウィスパーの超絶敏腕(びんわん)紳士センサー(仮)に反応したらしい。そこに行ってみようと豪邸を後にしようとした時、蔵岩夫人に呼び止められた。何か、思うところでもあったのだろうか……なんて考えたが、その思うところとやらが想像以上の収穫になる。

 

 

 

「あの……すいません。ちょっといいですか?

 

 実は、あの人が夢と言っていたことは夢ではないんです……

 

 たしかに、私たちはあの場所に行きました。それはとても素晴らしい風景でした。あの人も、とても満足していましたし、今でも私たちの思い出の場所でもあります。でも……

 

 ある時、その場所にあった小屋からとてもまがまがしい何かを感じたのです。実は私には見えるんです。あなたのそばにいる、アヒル口の妖怪さんも。

 

 あれ以来、私たちがあの地を訪れることはなくなりました。あの人が、夢と思うようになったのも、まがまがしい何かのせいかもしれません。

 

 でも、そんなことはどうでもいいんです。私たち二人の思い出として、あの風景は、心に残っているのですから。

 

 あの日、あの場所でカギを拾いました。カギが落ちているなんて不自然ですよね。でも、私は誘われませんでした。

 

 あなたには、妖怪のおともだちがたくさんいるようですね。あなたに、このカギを差し上げます。

 

 あなたが、今日ここに来られたことに、なにかしらの意味を感じます。

 

 そのカギを使うか使わないかはあなた次第です」

 

 

 

 この話にウィスパーの超超絶凄腕敏腕執事センサー(笑)が、今度は「今までにない何か」を感じ取ったらしい。信用に足るかは、わからない。だがこれが重要なヒントであったことは、■■■にもわかった。

 

 

 

  ※  ※  ※

 

 

 

 団々坂の西のトンネル――――――

 

 

 ガードレールが一部壊れており、その先の木々を少し抜けると、それは確かにあった。そうあまり長くはない、古びたトンネルだ。

 

 

 そこを通り抜けた先にあったのは、一面に広がる草原と大きな青空。草が暖かい風に揺れ、入道雲が遠くに見え、少し進めば透き通る小川が流れている。人の手で作られたトンネルの先にあると思わせない、それはまさに異世界だった。いや、本当に異世界なのかもしれない。団々坂は高場になっており、北西の道路から見下ろせば住宅地が見える。だがそれからあまり離れていないはずのここには、人気(ひとけ)はおろか高低差もない。あるとすれば、果てに見える山。考えてみれば、それはおかしいことだろう。

 

 

 その中で、トンネルを通り抜けて直線数十メートルの場所。見るからにそれらしい木製の小屋があった。手前にトタン屋根が出っ張り、戸には巨大な金属の錠がされている。その前に立つと、()()()()()()()()()()()()()()()()が溢れ出ていた。

 

 

 ゆっくりと扉を開く。すると、下へ下へと続く梯子(はしご)があった。怪しい妖気が濃く満ちている空間には似合わない、黄金の光がそこから漏れている。

 

 

 おそるおそる、一寸先が闇の場所に降りる。

 

 

 そこにあったのは、赤みを帯びた禍々しい空間に浮く、大きな緑の畳だった。足を踏み入れるが、不安定に揺れるなんてことはない。不思議なことに地面として成り立っている。

 

 

 周囲を見渡せば、同じような地面が上下左右前後360度いろいろな場所に浮いていた。覇気のある強そうな妖怪たちが、そこら中にいる。

 

 

 時々ある少し華やかな橋を渡りながら進む。すると道中、先のない(ふすま)があるではないか。形状が、鬼時間から脱出する際にくぐり抜ける襖と酷似している。

 

 

 それを開けば、辺りは光に包まれ、気付けば別の場所。普通のは別の畳上にワープするが、なぜかと言うべきかやはりと言うべきか、鬼時間が発生した町にワープするのもある。その場合は鬼時間脱出の襖を開けると、また別の畳の上に移動する。

 

 

 進む先々、今まで相対したボスたちに似た妖怪と戦った。皆共通して黒が基調となった毒々しい色をしており、そして今までのとは比べ物にならない強さを見せた。例えば第1階層のボス、“()(ごく)(おお)(さん)(しょう)”。姿形はミツマタノヅチだが、分厚く頑丈なだけだった皮が、鋼鉄より硬く、ゴムより(しな)やかになっている。そもそもの耐久力に加え衝撃の吸収が合わさり、その防御力は桁違いなものだった。弱点の目を露出させる前に全滅――なんてのもありえないものではなかった。

 

 

 地獄大山椒を筆頭に7体のボスを倒し、()()最下層の、第8階層へ下がっていく。すると長い橋が続き、奥には広い間が待っていた。左右には等間隔に(びょう)()が並べられている。この最果てに、ありえないほど巨大な釜があった。蓋には『封』と赤字で刻まれた3枚の御札が貼られているが、1枚が濃い(しょう)()(なび)いている。剥がれていたのだ。

 

 

 これが原因で封印が解かれ、今のような現象に繋がっていたのだろうとウィスパーは推測し、封印し直そうと、いけしゃあしゃあと呪文を唱えようとした。だが、敏腕執事の唐突のくしゃみの衝撃により、その封印は完全に解かれる。そこまで封印が限界状態になっていたのであれば、どちらにせよ戦闘態勢になるのだろうが……何とも、締まらない。

 

 

 ググッと蓋を押し上げたのは、丸々とした漆黒の塊。眼を赤青に光らせ、細長い手を伸ばし、不気味な白い歯を見せた。

 

 

 “どんどろ”。昔々から始まり60年前についに幕を閉じた戦『平釜平原の大合戦』で散った妖怪たちの塊でできたとされる、悲惨な負の怨念が凝縮された妖怪。かつて妖魔界を襲い、その当時の妖怪たちが全ての力を出し切ってようやく封印した厄災。その名は禁句とされていることもあり、どれだけ大きな影響を与えたのかは容易に想像がつく。

 

 

 だが長い期間が経過したことや()()()()()によりひどく弱体化していたのか、■■■らの尽力により撃破。そう強力な力でではないが(ひと)()ずの再封印を果たした。

 

 

 これにより、永遠に終わらない夏休みは、終わりを迎えられる。

 

 

 

 

 

 しかし時を経たずして、更なる物語が繋がれ始めた。それは『妖怪ウォッチの()()』から始まり、歴史を変えうる大事件へと発展する――――――

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