妖怪ウォッチバスターズ『FUTURES!』   作:妖怪紳士奴

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25.未来の姿

 さくらニュータウンの西に位置する土地、団々坂。昔懐かしの駄菓子屋や銭湯、古いアパート、時計屋、寺などで有名な場所だ。そこの寺こそが正天寺である。

 

 

 それなりの大きさがある木造の寺の奥には小さな墓場がある。墓場はここら一帯でも珍しいもので、そのせいか異様な雰囲気が際立つ。

 

 

 ここの坊主“和尚(おしょう)さん”は『妖怪を合成進化させられる』なんて特別な力を持っているが、曰く「坊さんってのは昔から妖怪たちと付き合いが深いからの〜」だと。噂では妖怪をガシャに封印した経験もあるとか。もし協力を得られるなら、光明が見える。

 

 

 しかし最もネームバリューとなるのが『全てを見通す水晶玉』。竜の子の妖怪“りゅーくん”が頭上に乗せてある水晶玉のことで、言葉通りの能力がある。イカカモネ議長の件において、実際に黒幕がそれであることを見抜いた確かな実績もあり、信用に足る存在だ。

 

 

 

「お邪魔するニャ〜……アレ? 和尚さんはどうしたんだニャ?」

 

 

「ジバニャンとエンマさまが来ることは、りゅーくんは気付いてたのだ。でも和尚さんは昨日から出てて、明日帰ってくるって言ってたのだ」

 

 

「残念だな……だが話が早いな、りゅーくん。早速だがウィルオーウィスプって奴のことを見せてくれないか?」

 

 

「のだ」

 

 

 

 水晶玉から紫の煙が湧き、晴れていくに連れて白い何かが映ってくる。見覚えのあるそれは――

 

 

 

『――貴様ら妖怪に我々のイカりを見せてやろうじゃなイカ……と、懐かしさに悶えることはできたか? 覗き猫』

 

 

「ウィルオーウィスプ……!」

 

 

 

 そこに映るのは、期待通りの人魂だった。

 

 

 

『懐かしい、と言うのも可笑しいか? 時は過ぎても年が過ぎないのだからな』

 

 

 

 ジバニャンの脳裏に浮かんだのは、ウィスパーが「ムゲン地獄の封印が解かれたことにより夏休みが繰り返されている」と断定した、あの時の記憶。

 

 

 

「どういう……ことニャ?」

 

 

『ほォう、予想が固まっていながら聞くか? ならば少し応えてみよう。我こそがあの頃から同じ時を繰り返し、2010年に閉じ込めさせていたことをな。

 

 時の流れは残酷なのだ……未来も、過去も、すべて改変される運命にある。その運命は変えられない。我が力より強大な、運命。不服ながら、それに怯える瞬間が永く続いたものだ…………。

 

 しかし……それも終わりだ。これより世界は進む。進ませないが為に、決定した運命が訪れないように、破滅する最後の日まで……!』

 

 

「よく知らないけど、そんな勝手はさせないわよ!」

 

 

「ああそうだ、させてやるもんか。オレたちが見届けるぜ、お前の最後の方をな!」

 

 

『フフフ……ならば、期待しておこうか』

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 一瞬だけパックプキスの姿が映り、水晶玉に大きな亀裂が入り、接続が消えた。

 

 

 

「割れっ! 割れたのだあ!! えええええ!?」

 

 

「水晶玉ってさ、未来を一方的に覗き見できるんじゃなかったっけ……当たり前みたいに返事してたけど」

 

 

「それに、あの時から姿が変わっていた……嫌なものを見たな」

 

 

 

 虚弱な2本の複手、首周りから流れる黒布、鎖骨から繋がって生える鰭や翼に似た形状のもの、下腹部の柄、そこから全身に入った邪悪な紋様。柄は妖怪ウォッチのデザインと同系統の、しかし渦が逆方向の模様に見えた。

 

 

 パックプキス、奴は元から形状変化の習性があったが、それとは少し違う気配がある。例えるなら、それは順当な強化形態。

 

 

 遅れて、輪廻が門を潜る。

 

 

 

「どうでしたか? 水晶玉は。外は妙に面白いこととなってますが」

 

 

「ああ、どうだろうな……って、面白いこと?」

 

 

「転がっているのですよ、巨大カプセルが」

 

 

「はぁあっ!?」

 

 

「鬼時間! それもガシャどくろ系統の奴ニャン! カプセルに触れると閉じ込められるニャンよ!!」

 

 

「ほう、これが……鬼時間、初めての経験ですよ」

 

 

「いつも通りなら学校の屋上から来てるはずニャ!」

 

 

「では、先に向かってください。私は彼に用がひとつ」

 

 

 

 りゅーくんを指す輪廻を置き、3人で東へ、坂上へ、“さくら第一小学校”へ足を運ぶ。ジバニャンは道中、バスターズハウスへ現状の報告をした。

 

 

 

「さて、水晶の玉よ」

 

 

「りゅーくんの水晶玉はしばらくおやすみになるのだ……」

 

 

「おや、そうでしたか」

 

 

「だけど……()()()はいつか役に立つのだ」

 

 

「……その根拠は?」

 

 

「りゅーくんは竜の子なのだ、水晶に頼ってなくとも!」

 

 

「ふっ……そうですか……! 感謝しましょう、竜の子。貴方の未来視、信用させてもらいますよ。では、また」

 

 

 

  ※  ※  ※

 

 

 

 カプセルに捕まることなく、屋上へ足跡を付けた3人。

 

 

 雲に乗る黄金の餓者髑髏、“ガシャどくろG”。眩い骨々はどれくらいの価値があるのだろうか。横に抱えるガシャを回しながら、それは空っぽの目でこちらを睨んでいる。やはり当然のように紫のオーラを纏う、極状態。

 

 

 

「ナメてかかる道理はない! さっさと《エンマ玉》の弾幕に折れることだな!」

 

 

「ボクだって一応、それくらい撃てるんだからね!」

 

 

「オレっちも負けてられニャい! 気合いの必殺《ネコパンチ》を受けるニャー!」

 

 

 

 猛攻に対し黄金らしい耐久力で怯むことなく、ガシャを回す。出てきたカプセルは《燃えさかる赤玉》。すかさず開けて、天から溶岩を降らせた。

 

 

 

「おいおい、火の扱いに長けた大王へそれは悪手だなっ!」

 

 

 

 反撃の火炎がガシャどくろGを燃やし、弱点の左胸(ハート)を守る絆創膏を尽かせた。

 

 

 

「一点めがけて《ひゃくれつ肉球》! ニャニャニャニャニャニャニャニャーっ!」

 

 

「ガッシャアアアアアアアア…………!!」

 

 

 

 ビッグボスが崩れ落ちるのは、迫力がある。

 

 

 苦戦はまっったくない、バスターズにとって久しい完勝を気持ち良く終えた。

 

 

 

 

 

 

 数手遅れた輪廻を除いて。

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