“妖力”。妖怪の持つ特有の能力であり、どこにでも漂う“妖気”と呼ばれるエネルギーを転換する力。魔法のための魔力と思ってくれて遜色ないだろう。
どこにでもあるはずの妖気の中でも特殊なものが、分ければ2種類ある。特定の土地に存在する定着型妖気と、妖怪自身にある潜在型妖気だ。前者は場所の曰くやそこにいる人々などにより量や特性を変え、後者は妖怪そのものの認知や才・果ては危険性など、本人に関連するもので量や特性を変える。
妖力は妖怪の力そのものだ。妖力が多いほど、単純に強い力が上乗せされる。それは、行う戦闘にも与える影響にも言えることだ。
ビッグボスには、ある現象が起きることがある。
“
それを行うアイテムの名は“極玉”。高密度な妖気の真球状の塊である。発生源は不明だが、ビッグボスの種類と同数の種類があることから、彼らの妖気を一定数凝縮してできると考えられている。そんな謎も多い極玉は複製も難しいレア物であるため、基本的には、全バスターズの中枢であるバスターズ協会に保管されている。
「ニャぁんですとぉー!?」
ビークルの窓から外を見ていたジバニャンは驚きを隠せなかった。
そこには、2本のねじれた金色のツノが特徴の、筋肉質で巨大かつ漆黒の肉体を持つビッグボス“黒鬼”がいた。だが、それだけでは驚くことではない。気配が普通では、尋常ではないのだ。
錯乱するほど真っ赤に光る瞳と、酔いそうなほど高密度な妖気の、鮮やかな紫のオーラ。それは間違いなく、“極”・黒鬼だった。
何種類かいる鬼の中で特に強力な黒鬼が、狂化暴走している。SOSも妥当の、超が付く厄介者だ。
「なっなぜヤツがこんなとこで極状態なんでウィッスゥ!!?」
「わからないニャン! だけど今からやるべきことは、アイツを倒す! それだけニャ!」
2人は意気込み、まずジバニャンが飛び出る。
「え――ぐふぅっ!?」
それと同時に車内のウィスパーへ向かって、人型の9尾の狐妖怪が吹き飛ばされてきた。察するに、黒鬼の金棒スイングをモロに受けた、と言ったところだろうか。
「君は……ジバニャンか……援護に来てくれたのか……っ!」
彼は“キュウビ”。前述の通りの狐妖怪であり、ハーレムで有名なA級バスターズチーム『ナインテイルズ』のリーダー。炎の妖術を得意とする、また相当な実力者だ。赤猫団の先輩でもあり、容姿や強さゆえに男女ともにモテモテでもある。
「ウィスパー! 今すぐ傷の手当てをするニャン! オレっちは前線に!」
「りょ、了解でウィッス!」
100メートル以上先にいる黒鬼の元へ、ジバニャンは走る。
先んじてそこで戦闘していたのは、2人の妖怪だった。
「もんげー! ジバニャンが援護に来てくれたズラか!」
「兄ちゃん! 攻撃がくるズラ!」
彼らは“コマさん”“コマじろう”兄弟。赤猫団の同期『白犬隊』のリーダーと副リーダーであり、なにかと縁のある2人だ。兄のコマさんは白、弟のコマじろうは薄茶の狛犬の妖怪である。コマじろうは“KJ”と言う異名を持っており、妖魔界イチの有名ラッパーでもある。コマさんは優しくおっとりとした性格であり、コマじろうは社会でも通ずるほどのしっかり者だ。まさに、ふたりでひとり。コマさんは炎と回復、コマじろうは雷の妖術を得意とする。
「グゥゥゥルゥゥォォォォオオオオア!!」
恐怖心を煽る声で黒鬼は叫ぶ。
その漆黒の肉体に白い模様――《憤怒の紋様》を浮かび上がらせ、更なる身体強化を見せた。
風が吹き荒れ、赤灰色の曇り空から大粒の雨が降り始める。雷も鳴り始め、荒れる天気の中で多くの建物のネオンがキラキラと輝く。
戦いはまだ始まったばかり。
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