バスターズハウス内の雰囲気は、絶望的である。
極・黒鬼戦での疲労やマスターニャーダの訃報で手一杯な彼らは冗談も開かず、ただソファに、魂が抜けた殻のように座る。雰囲気の要であるホノボーノさんは、ブリー隊長とともにバスターズ協会へ出ているため、重く暗い空気を拭えないでいた。
「あの……」
口を開くのは、ゲンシャ。
だがそれに反応を示す者はいない。ムードメーカーのエンマ大王すら、その右腕“ぬらりひょん”により連れて行かれ、ここにいないせいで暗い雰囲気にも磨きがかかっている。ちなみに連れて行かれた理由は「仕事、まだ半分も終わってませんよね? 時間置いてるうちに多分増えてましたよ、大王様」とのこと。
だが、彼女は大王の一族。一度決心したならば折れていてはいけない。
ゲンシャの妖術はコマさんと同じ“回復”“炎”の属性であるが、その妖力はコマさんとの比にならないほど強大だ。さらに、『同時に妖術を重複させ、効果を累乗させる』といった器用なことも可能であり、広域に回復作用を効かせる《円陣回復の術》を重ね重ね発動させることで、ホノボーノさんのような癒し効果をバスターズハウス全体にもたらせた。
その影響力は凄まじく、ピリピリと張り詰めた空気が緩和されていくのをジバニャンたちは肌で感じられた。先の戦いで生死の境目を彷徨ったフユニャンの身体的損傷は、既に完治と言っても過言ではないほど回復しきっている。
寝たきりの彼らが起き上がり、床に半分埋まったウィスパーが呑気にいびきをかき出した頃、ビーグルのエンジン音が元ある場所へ帰ってくる。
帰ってきたふたりの表情は、やはりどこか悲しげだ。それも当然だろう、現役時代に時間を共に過ごした旧友の死を、そう易々と受け入れられるような軽い心意気ではないのだ。
心の傷は、ゲンシャにも手を出せない。己の無力さに苦しみながらも、それでも回復の手だけは中途半端に終わらせることはなかった。これくらいしかできない、だからこそこれくらいしなければいけない、と。
「――まっ……さか、こんなことになるなんてな」
ブリー隊長の言葉には、何とも言い難い感情がこもっているのを感じられる。王族の妖力があってしても、死と言うものは重く、深く、そして暗いものだ。
人間の死と妖怪の死は違う。人間の場合は、死後、妖怪になるなり即成仏するなり天国か地獄に魂を置かれるなり、様々だ。だが、妖怪の死――正確には
マスターニャーダの魂は先なく、虚しく消え去る。
彼は文献に残されるような偉大な妖怪ではあるが、それでも限りはある。いずれ消えるのは、もうどうしようもないことではあるのだ。ただ、伝説だけは残るだろう。真の意味で
そのまま精神面ではあまり快くない雰囲気で、一夜は越えてゆくらしい。
朝日が照らす頃には少しでもマシになっていてほしい、その一心で、ゲンシャは用意された部屋でひとり眠りについた。
この日彼女は、酷い悪夢に
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