「オラオラオラオラオラァッ!」
『目障りよ、死に直しなさい!』
《良いぞ、全て壊すんだぁっ!》
ガンガンガンガンキモイ命を
しかし、数が多いな。それに何か顔ぶれが大体同じような気がする。まるでコピー商品である。
「工場で生産でもしてるのか?」
『ゾンビを?』
「いやまぁ、そうだけどさ……」
ここまで似たような奴ばかりだと、型番有りの人造生物って感じがするんだよね。ゲームの遣り過ぎかなぁ……って、待てよ?
「ゲーム……?」
何か引っ掛かるぞ。思い出せ、私!
《何か「HODシリーズ」のゾンビみたいだな》
「それだぁ!」
無惨のおかげで思い出した。そうだよ、「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド(略して「HOD」)」だよ!
HODはセガを代表するガンシューティングゲームで、第一作目は洋館を舞台にゾンビを撃ちまくる、まさしく「死の家」と呼ぶに相応しい出来栄えだ。
本作におけるゾンビは厳密に言うと死体ではなく、遺伝子操作により誕生した“ミュータント”とでも言うべきクリーチャーであり、見た目が腐っているのは合成生物が故の不安定さが原因である。
まぁ、劇中で死亡した人物が後にゾンビ化して現れたり、何なら制作陣がゾンビ呼ばわりしたりしているので、正直そこまで徹底している訳でもないようだが……。
また、チャプター毎に登場するボスのオーバーテクノロジーっぷりも有名で、空中を浮遊したり属性魔法を使って来たりと、意味不明な能力を備えている。名称が大アルカナで統一されている事も含めて、何かスタンドっぽいんだよね。最初に倒したチャリオットなんて、まんまシルバーなサイボーグだし。
「……あれは現実を参考にした物だったのか?」
鬼太郎ファミリーがそうであるように、過去の体験をメディアミックスした例は幾つもある。HODシリーズも、その1つなのだろう。そう言えば、カミーラの本名に思いっきり“キュリアン”って入ってましたね。あの子、ゲームの登場人物でもあったんだ。ダニエルしか出て無いけど。
ま、良いさ。ゲームが過去を参考にしているのなら、ある程度の事前情報を得られているも同然。楽勝だな。風呂入って来る。
《おい、帰ろうとするな》
「あ、バレた?」
《鳴女みたいな奴の考えている事は手に取るように分かる》
「全然嬉しくないけど凄いな」
『ほら、馬鹿言ってないで先に進むわよ』
「《はーい》」
お母様に従いますよ~だ。
そんなこんなで、サムだのシリルだのカゲオだのエビタンだのモウラーだのと言った、懐かしい面々を次々と撃ち殺し、時にはリアルファイトで殴殺しながら進み続けると、
『キヒヒヒッ! 血祭りに上げてやるぞ、貴様ら!』
「《お久しぶりです》」
『何の話だ!?』
鳥頭に蝙蝠の羽を持つ、
◆『識別コード:Type 041 Hangedman』
◆『弱点:翼以外全部』
蝙蝠タイプの小型ゾンビ「デビロン」のドス個体であり、ご自慢の翼で空中を舞い踊りながら爪で引っ掻いて来るのが特徴のボスキャラだ。
だが、その細身が災いして防御力が低く、翼以外の全て身が弱点という哀しみを背負った敵でもある。全身を装甲化したChariotとは真逆のコンセプトキャラだと言えるだろう。
その分、機動力が厄介な敵であるが、これだけ手数が揃っていれば問題あるまい。
『
「『お前がな!』」
さぁ、覚悟の用意は出来ているか!?
「とりあえずパス!」『ええっ!?』
こいつを相手に鈍重なヘビィボウガンなんぞ背負っていられいられないので、隣にパスしてからクイーンレガリアを召喚し、飛び上がった。そのムカつく面、ダイレクトアタックしてやんよ!
『キィキィ!』『キチチッ!』『ピキャアッ!』
「邪魔邪魔ジャマーッ!」
Hangedmanの指示で襲い来るデビロンの群れを、真っ向から叩き潰す。こんなヒトダマコウモリ擬きに負ける程、私は雑魚じゃない。背後からの援護射撃もある。よく初見の武器を扱えるね、オルチーナ。
「お前もだぁ!」
『ギェエエッ!?』
まさか正面突破して来るとは思わなかったのか、Hangedmanは面白いくらいに攻撃を食らい、墜落した。
『……ハッハァアアッ!』
「何だと!? いやーん♪」
と言うとでも思っていたのかと言わんばかりに、何事も無く引っ掻いてきた。幸い攻撃力は大した事無いが、空中で叩かれた以上、落ちるのはこちらである。
しかし、打撃を与えたからには、操虫棍の効果でエキスを奪い取って――――――、
『無駄だ!』
「なっ……ベホマァアアアアアッ!」
やろうとしたら、何故か逆にこっちの妖怪エキスが吸い取られた。な、何でやねーん!
『オレ様には能力反射装甲が備わっている! 特殊能力は無意味だぜぇ!』
「何だ、その後出しジャンケンみたいな設定!」
ふざけるなよ貴様ぁ! どうして素直に殺されないんだ! 私はお前の苦しむ姿が見たいんだよ!
『凄い手前勝手な事を考えていそうな気がする!』
マインドスキャンするんじゃねぇ! 野郎、ぶっ殺してやる!
「操虫棍が通じない? ならいらねぇよ、こんなもん!」
『ウギャオッ!?』
という事で、私は役立たずな武器を投げ槍して、Hangedmanの額を穿った。
「波、波、波が出る5秒前! 【
『ゲロォオオオオッ!?』
さらに、口から【超電導波】……と見せ掛けた気光ブレスを発射、今度こそHangedmanを叩き落してやった。
『ば、馬鹿な……オレには魔法反射装甲も備わっているのに……』
「このブレスは魔法攻撃ではなく、純然たるエネルギー攻撃。つまり物理的なダメージなのだ」
『何だそのオレ様ルール!?』
「喧しい! 文句はランランに言え!」
『えっ、誰、パンダ!?』
「いいや、家の
『絶対に嘘だぁっ!』
「煩い黙れ、そして死ぬが良い!」
死んだゾンビだけが良いミュータントだぁ!
「やっぱりそれ返せ、オルチーナァッ!」
『いや、勝手過ぎない!?』
「うるせぇ! お前も殺すぞ!」
『いや切れ過ぎでしょ!?』
知るかぁ! 私はもっとゆっくりと余暇を過ごしたかったんだよぉ! それをお前らがぶっ壊したんだ! だから、今度は私が全部ぶっ壊してやるぅっ!
『た、助けてくれぇ……!』
「OK!」
『プギャアアアアアアッ!』
『《これは酷い》』
そして、私はオルチーナから奪い返したニャノンで、戦闘力53万みたいな命乞いをするHangedmanを穴開きチーズにしてやった。どうだ、楽になっただろう?
「はぁっ……最っ高に気持ち良いぃいいいっ!」
『《………………》』
「……何か言いた気だな?」
『《疲れてるのよ、アデル》』
「じゃかぁしいぞコラァッ!」
さぁ、いい加減この馬鹿騒ぎを終わらせようか。やる事はもちろん皆殺しだぁ!
◆◆◆◆◆◆
その後、しっかりと回収したクイーンレガリアとネコ獣砲ニャノンで雑魚敵をクラッシュしながら、屋敷の奥へ奥へと進んでいたのだが、何時の間にか内装が変化していた。白いサイバーな壁・床・天井が続く、例の未来オーバーな研究施設である。
ゲームをした当初は「1個人でこんな施設持てるか」と突っ込み、後に公式から「カレッブ・ゴールドマンが出資していた」と回答が為され、「例えそうでもオーバーテクノロジー過ぎるだろ」と再突っ込みしたものだ。「スタンドの矢を使いました」と言われた方がまだ納得出来る。それは今でも変わらない。こんな意味不明な施設を誰にも知られずに作るなんて、それこそ魔法でしょ。
「そう言えば、3姉妹はどの辺りに居るんだ?」
『ちょっと待って。……うん、うん、分かった。3人共、もうすぐこっちに合流出来るそうよ。あっちでは目ぼしい成果は無かったみたいね』
「そうか……」
今更だけど、血の繋がりで距離を問わず念話が出来るって便利な能力だよね。血縁者にしか適用されないって弱点にも繋がるんだろうけど、それでも破格の能力である。念話通信って妨害され易いからね。
逆に言うと、そんな凄い能力が有るにも関わらず、ローズと交信が出来ていないという今の状況は、それだけ異常事態という事だ。少なくとも、ローズの身にとんでもない事が起こっているのは確かね。早く見付けてあげないと。まだ赤ちゃんだもん。
「よし、それじゃあ次はこっちに――――――」
『キュァアアアアアッ!』
角を曲がろうとしたら、糸に巻かれた。何じゃこりゃあ!?
「フゥン!」
『《スゲェ馬鹿力》』
「レディに何て事を言うんだ!」
私は魔女という名の妖怪なんだ、これくらいは簡単よ。
いや、それよりも、この糸の出所は何処だ?
『キシャアアアアアアッ!』
「《お久しぶりですpart2》」
すると、向こうから飛び出して来た。
全身が鋼鉄の装甲で覆われた、馬鹿デカい蜘蛛。皆大好き、HOD切ってのクソ雑魚ボスキャラ、
だが、この個体も何らかのアレンジが加えられているのか、甲殻が毒々しい紫色になっている上に、まるでHOD4のLoversを彷彿とさせる巨大な鋏角が発生している。ノリも踏襲しているのなら、あれで弱点をガードするのかもしれない。
◆『識別コード:Type 6803 Hermit』
◆『弱点:頭部』
「おりゃー」『そーい』
とりあえず、魔弾と鈎爪で攻めてみました。
――――――ガキガキガキィン! ボキィッ!
『「硬ぁっ!?」』
魔法も能力も無効化する様子は見られないが、単純に馬鹿硬かった。煤すら付いてないんですけど。
しかし、こいつも所詮はHermit。パープルになろうが、頭を殴れば一巻の終わりだぜぇ!
『ボァアアアアアアアアッ!』
『「火ィ噴いて来たぁっ!?」』
お前は何時からヤツカダキになったんだ。
『キュァアアアアアアッ!』
『「スライディングぅ!」』
さらに、小蜘蛛を放って糸で引っ張って貰う、お馴染みの動きまで再現。その上、亜種個体を参考にしているのか、毒の塊まで吐いて来た。
お前、幾らクソ雑魚ナメクジだからって、他作品の力を借りるんじゃない!
つーか、どうすりゃ良いんだ、こいつ。ダメージ自体が与えられないんじゃ、どうしようも――――――、
《ハンドパワーです!》
『キィイイイイイッ!?』
おおっ、出たな超能力ベイビー。そうか、装甲が分厚いだけで魔法や超能力は通じるんだな。だったら搦め手で弱らせてやる!
「【
『無駄無駄無駄ァッ!』
という事で、閃光玉で目晦まししてから高圧の重力を発生させる魔法で足止めし、動けなくなった所にオルチーナが只管炎と氷の魔法をぶち込んで行く。Chariot時にもやった、熱疲労作戦だ。これで装甲が無力化……、
『キュアアアアアォオオオッ!』
「『いや、だから硬いって!』」
されなかった。Chariotだったら今頃紙装甲になってる筈なのに。一体何で出来てるんだ、その甲殻!?
《いや、効果はありそうだぞ》
しかし、全くの無意味という訳でもなく、少しではあるが、装甲にヒビが入り始めた。
ならば、このまま行けば勝てると言いたい所だが、明らかに手数が足りてない。Hangedmanの時とは逆に、ぶっ壊してもぶっ壊しても斃れないんですけど!?
マ、マズい、これじゃあ今すぐにでも魔力が枯渇して――――――、
『『『そうは行かないわぁっ!』』』
『ギュアアアアアアアアアアアッ!?』
と、魔力切れというRPGみたいなピンチに陥った私たちの前に、口元が汚い3人の美女が現れた。ベイラ、カサンドラ、ダニエラの吸血鬼3人娘が合流したのである。
「よしゃあああっ!」
『死に晒せぇええ!』
《いい加減にしろ!》
『ギギィィ……ッ!』
そして、勝負の流れを掴む為、3姉妹とも協力して遠慮の無い魔法攻撃を仕掛けた事により、Hermitはようやく斃れた。くそっ、モンハンみたいな耐久力しやがって、恥を知れ!
「……終わらせるわよ!」『そうね』《もう疲れた……》
さぁ、後はラスボスの顔を拝むだけだ。張り切って行こう!
……魔力が切れちゃったけど。
◆ベイラ、ダニエラ、カサンドラ
オルチーナ・ドミトレスクの娘たちで、所謂中ボスポジションのキャラクター。
厳密に言うと“娘役”であり、オルチーナと血の繋がりは存在しておらず、カドゥを女性の死体に植え付け、そこから生まれた蠅のような生物が群体となって人に擬態しているだけである。これらの虫は肉食で、何人ものメイドが犠牲となっている。虫の集まりなので物理的なダメージは与えられないが、寒さが弱点であり、凍り付くとそのまま死んでしまう。
ベイラは物静かで頭が切れ、カサンドラは快楽殺人鬼、ダニエラは痛々しいメンヘラと、それぞれ個性は有るが、基本的に人間を見下している上に真面な戦闘経験が無い為、イーサンという化け物の前に屈する事となった。
本作ではきちんと血の繋がった娘で、アスワングの能力として虫に分裂はするものの、ちゃんと生身が存在している。末妹のローズを猫可愛がりしており、此度の一件では母親であるオルチーナよりも先に、目を血走らせて逆襲した。