鳴女さんの令和ロック物語   作:ディヴァ子

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平成ゴジラシリーズの怪獣ではバトラが一番好きデス。


破壊神

 突如、異界より舞い降りた、黒き邪龍。

 絵に描いたような、ファンタジーのドラゴンそのままの姿をしたそれは、出現して暫くは宙を舞うだけだったが、ふとある1点――――――カントー地方に目を向けると、

 

『ゴァアアアアアアアアアアッ!』

 

 口から猛烈な爆炎を吐いた。

 1秒……先ず地面からあらゆる物が蒸発し、

 2秒……空気さえも燃え上がり、原子崩壊を起こし始め、

 3秒……それで、全てが消え去った。

 後に残るは、気化し損ねた岩盤がグツグツと煮え滾る、煉獄の大地のみ――――――、

 

『………………!』

 

 と言いたい所だったが、驚いた事に、カントー地方は無事だった。

 正確に言うと、モンスターやポケモン、人間が密集している1区画だけは無傷で、残りは上記の通り灼熱の地獄と化している。逃げ遅れた者がどうなったかは……想像するまでも無いだろう。

 では、何故ここだけ無事なのかと言うと、カントー全土のポケモンたちが、全PPを消費して分厚い光の壁を張ったからである。

 だが、それまでだ。黒龍の吐いた爆炎――――――それも全然本気ではない、軽い挨拶代わりの炎を防ぐだけで、全ての壁張り要員は行動不能になった。それ程の威力があったのである。

 

『コォォォ……!』

 

 むろん、自分以外を一切認めないこの邪龍が見逃してくれる筈も無く、今度は“溜め”を入れた、本気の爆炎を吐こうとしている。まさしく、カントー地方“最後の日”だ。

 

 

 ――――――バギャアアアアッ!

 

 

 しかし、そこで思わぬ横槍が入る。煮え滾る大地の底から、赤紫色の稲妻が迸り、黒龍に直撃したのである。

 

『ギゴォォアアヴヴヴッ!』

 

 さらに、煉獄を突き破って、巨大な蟲が現れる。黒をベースとして極彩色の模様が入った棘々しい甲殻で覆われ、天をも貫きそうな1本角を持った、馬鹿デカい芋虫。

 地球生命(ガイア)が生みし戦闘破壊獣――――――「バトラ」だ。

 彼の役目は、地球生命を脅かす存在を武力で以て徹底的に破壊する事。即ち、今も尚我が物顔で空を舞う黒龍――――――「ミラボレアス」の撃退である。

 

『ギガァアアッ!』

 

 と、バトラが角だけでなく、眼からも稲妻状の破壊エネルギー……「プリズム光線」を乱れ撃ちし、ミラボレアスを墜としに掛かる。

 しかも、凄まじい機動性により当たらないと見ると、口や気門から炎王龍「テオ・テスカトル」のような粉塵を放出し、空中で放電の向きをランダムに変えるという荒業を披露した。

 

『ガヴォッ……!』

 

 流石のミラボレアスもこれは避けられず、轟音と共に墜落する。

 だが、その程度で死ぬ筈もなく、翼も活かした6足歩行で急速に接近しながら爆炎を吐き、バトラを火やられ状態に追い込む。

 もちろん、別世界で怪獣王の放射熱線にも平然と耐えて見せたバトラが斃れる訳もないので、むしろ怒りを更に増して猛進する。

 巨大怪獣が大いに暴れながら高速で移動した為、道中の森や集落は消し炭となったが、そんな事は致し方のない犠牲だとばかりに、2匹は気にも留めない。

 

『ゴギャアアアアヴヴヴン!』

『ギガァッ! ギゴァヴォ!』

 

 そして、紅蓮滾るカントーの地にて、地球生命の存亡を懸けた大怪獣バトルが幕を開けた。

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 やぁ、俺の名前はフィオレーネ。何故か中身だけ彼女と入れ替わった(もしくは上書きされた)、憑依系の転生者だ。記憶や経験は身体が覚えていても、それをコントロールするのは俺という、ウルトラマンティガみたいな状態である。

 一応、周りに気を使って一人称は「私」にしてるし、口調もそれらしくしてるから、転生物を知らない人には「何か変わった?」ぐらいにしか思われていない筈だ。同じような立場の六花ちゃんには即行で気付かれたけど。彼女、中身はあの妓夫太郎らしいね。必然的に残りの姉妹も中の人が誰なのか想像が付くが、あまり追求しない方が身の為だろうなぁ。

 まぁ、それはそれとして、

 

「何じゃこりゃああああっ!」

「知るか! オマエの所のバケモンだろ! さっさとお持ち帰りしろ!」

「無茶を言うな小娘ぇ! そっちこそ、あの戦闘破壊獣をどうにかしろ、役目でしょ!」

「ゆうたみたいな事言ってんじゃねぇよ!」

「まぁまぁ、2人共、お茶でも飲んで落ち着きなよ」

「「お前は存在してはいけない生き物だ!」」

「それは無惨様なんじゃないかなぁ?」「おちゃおいしー」

 

 もう駄目だこれは。人間がどうにか出来る相手じゃない。

 つーか、ミラボレアスってあんなデカかったっけ?

 確かにモンハン世界じゃ大きい方だけど、バトラとタメを張れるようなサイズじゃなかったと思うけど。口から平成版みたいな放射熱線吐いてるし。

 こんなゴジラVSバトラみたいな状況、どうしろってんだよ!

 ゾ、ゾーフィを呼べぇ! 今すぐゼットンを起動するんだ!

 

「それが地球ごと滅ぶだろうが!」

 

 ですよねー。ついでに起動まで数日掛かるし。もう駄目だぁ、お終いだぁ!

 

「クソッ、せめてカントーの住民たちを避難させられないものか……!」

「無理だねぇ。さっきの光の壁でエスパータイプの連中は軒並みダウンしてるし、モンハンのモンスターたちも恐慌状態だから、逃げられるのは精々ひこうタイプ使いか飛竜のライダーくらいなんじゃない?」

 

 この円花(やろう)、冷静に言いやがって!

 

「……それか、馬鹿みたいに余ってる初代「わざマシン30」を使うとかね。あれならモルフォンだろうとブーバーだろうと覚えられるからねぇ」

「「それだ!」」

 

 中身は確か「テレポート」だったよな。まさに今1番必要としている技である。

 

「――――――というか、あんまり違和感なく「それだ!」って言ったけど、わざマシンもあるのか」

「ああ。何か知らんけど、ガラクタの一部が変形して出来たらしい。詳しくはオレも知らん」

 

 それで良いのかカントー地方。

 まぁ、ガラル地方では巣からわざレコードが出て来るくらいだし、ポケモンの不思議なエネルギーが奇跡を起こしたのかもしれない。そう思っておこう。夢と冒険の世界だからね、あそこは。

 

「ならば、君たちはわざマシンの回収と習得に努めてくれ! 私は騎士らしく、殿を務めよう!」

 

 本来のフィオレーネさんだったら、そう言う筈だ。命を捨てる気は更々無いから、あくまで囮をするだけだが。俺の意見とフィオレーネさんの意志、双方の折衷案がこれである。“いのちをだいじに”って奴だ。その為には、機動力が要るな。

 

「えーっと……そこの雲母(きらら)みたいに飛べる犬! 君に決めたっ!」

『ウルファァングゥ!?』

 

 とりあえず通りすがりの、空飛ぶほのおタイプのフクロオオカミみたいなポケモンを、翔蟲でライド・オン。

 こいつの名前は……ウルファングとでも呼んでおこうか。さっきから「ウルファング」って鳴いてるし。アニメ準拠で適当に名付けさせて貰ったが、存外様になってる気がする。

 という事で、宜しく頼むぞ、ウルファングくん!

 

『ウルファァッ!』

 

 顔面に火を噴かれた。

 

「ファルコン・パンチ!」

『キャィン!?』

 

 殴り返した。

 

「……今度余計な事したら、その頚斬り落とすぞ」

『クゥ~ン……』

 

 よし、暴力は全てを解決するな。無限の彼方へ、さぁ行くぞぉ!

 そんな感じで、俺たちは荒れ狂う2大怪獣へ向かって飛び立った。

 

「カッコつけんなよ、ヘタレ野郎め」

 

 すると、後方から黒いリザードンに跨った六花の姿が。どうやら、一緒に戦ってくれるらしい。ヘイトが分散するのは有難いけど、“ここは任せて先に行け”みたいな事はするなよ、寝覚めが悪いから。

 

「誰がそんな事するかよ。オレには守らなきゃいけない奴らが居るんだ」

「そうか。なら死なない程度に頑張れ」

「言われなくても!」

 

 それじゃあ、一狩り行こうぜぇ!

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

『ギゴァアアヴヴッ!』

 

 バトラが1本角に稲妻を纏いながら振るう。

 

『グヴォォォッ!』

 

 さっきまでは火花が散る程度の一撃だったが、今度の角撃は違った。邪悪に染まったミラボレアスの甲殻をいとも容易く切り裂き、内部にまでダメージを与えた。

 地球の意思により生み出されたバトラは、地上で起きた事をインプットされている。中でも鳴女が用いた、微小化した酸素による分子破壊攻撃は大いに参考となった。

 つまり、微小化した酸素を高濃度で放出し、敵の甲殻を分子破壊したのである。この攻撃には防御力は意味は無く、食らった時点でお終いだ。

 ……常軌を逸した再生力がない限り。

 

『――――――グルヴォァアアアアッ!』

 

 一旦は沈黙したミラボレアスだったが、一瞬だけ眼光が赫く染まったかと思うと、全身をマグマのような紅熱が血走り、凄まじい憤怒の蒸気を上げながら甲殻が赤黒く変色する。その過程で傷は溶けるように塞がり、新品同然のボディとなった。

 これぞ「焔の禍」、「運命を解き放つ者」。伝説を遥かに上回る災厄たる怒れる邪龍……“紅龍ミラボレアス”の爆誕である。

 

『ガヴォォォッ!』

 

 さらに、ミラボレアス……否、ミラバルカンが再び宙を舞った。空中から爆炎を吐くつもりだろう。

 

『ギガァアアッ!』

 

 しかし、バトラの射程と火力を舐めてはいけない。1本角と両眼から放たれるプリズム光線は、数キロ先の相手にも正確に命中する。

 

『……ゴァアアアアアッ!』

 

 だが、不意打ちならまだしも、極限状態となったミラバルカンに集束の甘いプリズム光線など、大したダメージにはならない。もっと成長せねば(・・・・・・・・)

 

『グギャヴォオオオォン!』

 

 爆炎で地上を焼き払うかと思われたミラバルカンだったが、地表ではなく天空へ向けて爆炎の塊を吐き、そこで炸裂させ、無数の隕石として降り注がせた。

 

『ギゴァアアア……ッ!』

 

 マグマにも耐えるバトラの甲殻も、この超高温には敵わず、少しずつひびが入る。

 

『ギャヴォオオオオオッ!』

 

 これをチャンスと見たか、ミラバルカンは隕石攻撃を中断し、全身に爆炎を纏い、レンズフレアの如く破壊の光を放ちながら、バトラ目掛けて体当たりを敢行した。着弾と同時に核爆発が起こり、周囲一帯を纏めて蒸発させる。この攻撃には、流石のバトラも消滅――――――、

 

『………………』

 

 しなかった。

 しかし、完全に沈黙してしまい、動く様子はまるで見られない。

 

『グルルル……ゴァアアヴッ!』

 

 そんなバトラを鼻で嗤いながら、ミラバルカンが襲い掛かるが、

 

 

 ――――――バチバチバチバチィ!

 

 

『ギゴァアアヴヴヴヴッ!』

 

 バトラの身体が赫いプラズマ粒子に変換されたかと思うと、その場で変態、成虫形態となった。

 

『ゴルァッ!』『グゥォッ!?』

 

 そして、自らも空へ舞い上がり、完璧に集束された強力無比なプリズム光線でミラバルカンを攻撃する。これには堪らずミラバルカンも墜落した。

 

『ギゴァアアヴッ!』

『……ギャヴォッ!』

『ゴァヴゥゥゥッ!?』

 

 だが、更なる追撃は許さず、角で切り裂こうと接近するバトラを、ミラバルカンは体内で熱エネルギーを炸裂させ、衝撃と爆光をばら撒き、吹き飛ばす。

 

『ガァアアアアッ!』

 

 しかし、成虫となったバトラは死なない。地球生命を脅かす存在であれば、例え隕石でも迎撃する事が使命の彼は、並大抵の攻撃では斃れないのである。仮に死ぬとしても、それは相手を道連れにする時だろう。

 

 

『ギゴァアアヴヴッ!』

『グルヴォァアアッ!』

 

 こうして、舞台を地上へ戻し、大地を這いずるミラバルカンと再び舞い上がったバトラが迎撃するという、大怪獣超決戦が再開されようとした、その時。

 

「暴れ過ぎだ!」『バギュァアアアアッ!』

「いい加減にしなさーい!」『ウルゥッ!』

 

 2人の勇者が現れ、2大怪獣へ立ち向かう。黒いリザードンに跨る六花と、ウルファングを駆るフィオレーネだ。

 

「つーか、どっちを攻撃するんだ!?」

「ミラボレアスだ! バトラは地球生命の代行者だから、侵略者を攻撃した方が覚えは良いだろう!」

「なるほど、そういう事なら……行け、リザードン! 「りゅうのはどう」!」『バヴォオオッ!』

「ウルファング、「パワージェム」!」『ウルォオオオッ!』

『グルヴァッ!?』

 

 さらに、突然の闖入者を睨んだミラバルカンのその眼を、ピンポイントで攻撃。

 

『ゴギャアアアアアアヴォオオオッ!』

 

 結果、更に怒らせてしまった。

 

「おい、全然効いてないぞ!?」

「当たり前だ! このサイズ差で、相手が禁忌の古龍なら、一般ポケモンの技程度、蚊に刺されたような物だろう!」

「じゃあ、どうするんだよ!?」

「足りない分は、他で補え! 私に良い考えがある! 六花、少し頼む!」

「あ、おい、何処行くねーん!?」

 

 しかも、何故かフィオレーネは踵を返し、六花1人が取り残されてしまった。何でやねん。

 

『ギャヴォオオン!』

「くそったれがぁ!」『ギュァッ!』

 

 さらに、目にゴミが入った怒りでミラバルカンのヘイトが完全に六花へ向いてしまい、彼女は空を全力で逃げ惑う破目になる。爆炎がすぐ脇を掠め、牙が真横でガチリとなり、隕石が四方八方から襲い掛かって来た。それでも落ちない辺り、両者の絆と的の小ささが窺える。とは言え、墜とされるのも時間の問題だろう。

 だが、悪い事ばかりではない。

 

『ギゴァヴヴッ!』

『グルォッ……!?』

 

 ヘイトが六花に向かっているという事は、余所見をしているも同然であり、フィオレーネの想定通りに、バトラの攻撃がミラバルカンを襲った。別にバトラは協力する気など更々無いが、使える物は何でも利用する所存である。敵の敵は都合の良い味方だ。

 

「待たせたな!」『カニドウラク!』

 

 さらに、六花を囮にするという騎士に有るまじき行為をしたフィオレーネが、何処からか拾って来た野生の矛砕ダイミョウザザミにライド・オンして現れた。

 

『カニカマボコ!』『キュァアアッ!』『バリバリダァッ!』『パヴォオオオオン!』『グヴェアアアヴォッ!』

 

 しかも、その背後には大勢の二つ名持ちモンスターを引き連れたウルファングが遅れて登場。口に咥えた大量のエンエンクで纏めて誘導したらしい。

 つまり、フィオレーネはモンスターハンターライズ:サンブレイクの出身らしく、操竜三昧でミラバルカンを斃すつもりなのである。

 

「死ねコラァッ!」『オダヤカニ!』

『ギャヴォッ!?』

 

 先ずは矛砕の水泡ブレスで水属性やられを付与しつつ蟹パンチを叩き込み、

 

「征夷大将軍アタック!」『ハナヤカニ!』

 

 鎧裂でズバズバと切り裂いて、

 

「ディアブロス、「ギガインパクト」!」『グヴェアアアアアアヴォッ!』

『ゴヴァアアアッ!』

 

 鏖魔の必殺捨て身タックルでミラバルカンを薙ぎ倒した。サイズ差があるとは言え、二つ名持ちたちの攻撃はそこそこ利いているようだ。

 

「翔蟲を貸すから、お前も乗れ!」

「マジかよ!? つーか、どうやって操るんだよ!?」

「考えるな、感じろ」

「説明しろ! ……ああ、もう! どうにでもなれぇえええっ!」

 

 加えて、翔蟲を付与された六花が荒鈎爪に跨り、攻勢に乗っかる。手隙の黒いリザードンはウルファングと協力して、タイミング良く操竜が出来るよう、二つ名たちを空から攪乱し続けた。

 

『ギャヴォオオオオオオオッ!』

 

 もちろん、ミラバルカンもやられっぱなしではない。隙を見て爆炎を吐き、巨体を振るって、二つ名たちを蹴散らす。

 しかし、やはり手数の多さには対処し切れず、何よりバトラが折を見て邪魔をして来るので、思うように反撃出来ないまま、少しずつダメージが蓄積していく。幾ら体力が無限大エナジーでも、再生が追い付かない程の連撃を叩き込まれては、身体にもガタは来る。

 

「地球の力、お借りします!」『ギゴヴァゥッ!?』

 

 そして、最後の最後に、ちゃっかりフィオレーネがバトラを操竜。直接攻撃で止めを刺しに行った。

 ちなみに、この時フィオレーネは翔蟲ではなく大翔蟲を使っており、激昂ラージャンもビックリで怪力で巨体過ぎるバトラを制御している。流石は後にラスボスを拳で叩き落す女である。

 

「食らえ、「しねしねこうせん」!」『バドォオオオッ!』

『グギャヴォオオオオオオッ……!』

 

 まるで意味不明な破壊光線がミラバルカンを穿ち、遂に禁忌の古龍を追い詰めた。

 

『……グガァアアアッ!』

 

 すると、ミラバルカンは上空に火球を放つと、そこに次元の扉を形成、踵を返して逃げ始めた。とうとう再生力が追い付かなくなったらしい。少しでも時間を稼げればその限りではないのだろうが、ここでそれは無理という物だろう。ここは逃げるが勝ちだ。

 

「「逃がすな、撃ち落とせ!」」

『グガァアアアアアアッ……!?』

 

 しかし、今更そんな都合の良い展開など許される筈も無く、無慈悲な二つ名持ちたちの一斉攻撃+バトラの全力攻撃によって撃ち落とされ、地表に激突したと同時に大爆発を起こし、今度こそ死亡した。無数の属性やられで脆弱化していた甲殻で耐えるのは、流石に無理があった。

 

 

 ――――――ドクン……ドクン……!

 

 

 それでも、不死身の心臓だけは止まる事無く、崩壊し始めた時空の乱流に乗って、異世界の彼方へと消えて行った。何時かきっと元の黒龍へと再生し、別世界へ現れる事を想起させながら。

 

「短い間だったが、世話になったな」

「おい……!?」

無限(ゆめ)の彼方へ、さぁ行くぞーッ!」

 

 さらに、これ幸いとばかりに、フィオレーネが時空乱流の中へ飛び込んで行く。元の世界に還れる保証も無いし、行く先など知らないが、ここに留まるつもりが更々無かった彼女は、迷う事無く突き進んだ。内心ではこれを夢だと思っているからこその思い切りの良さだが、はてさてどうなる事やら……。

 

「……まさしく嵐だったな」

 

 そして、六花とリザードンだけが取り残される。二つ名たちは正気に戻って散り散りとなり、ウルファングも逃亡、

 

『ゴヴヴゥゥゥ……』

 

 肉体的に限界に達していたバトラは自らを封印して卵へと還り、深い深い地球(ガイア)の底と潜って行った。

 

「これで終わり……な訳ねぇか」

 

 だが、これは始まりに過ぎない。

 

『フォフォフォフォ』『クホホホホ』『ニタァ……!』

 

 第3新東京市の方角から、フルフルによく似た頭部を持つ、純白の汎用人型決戦兵器――――――エヴァンゲリヲン量産機が9体、こちらへ向かって飛来してくるのが見えたからだ。

 

「何が始まるってんだよ……」

 

 

 ……世界最期の日さ。




◆バトラ

 “黒いモスラ”の異名を持つ戦闘破壊獣。名前は「バトルモスラ」の略で、その名の通り幼虫の時点でゴジラとタメを張れる恐るべき生命体である。
 地球の意思が外敵を排除する為に生み出した存在であり、マグマの熱やゴジラの熱線にも耐える強靭な甲殻と、あらゆる物を破壊するプリズム光線を武器に、地球生命を脅かす者を徹底的に破壊する。
 ゴジラシリーズでは宇宙の彼方から飛来する巨大隕石(後のスペースゴジラと思われる)を迎撃する為に誕生したが、この作品では来るべき世界最期の日に備えて覚醒を待っていた……のだが、突然やって来たミラボレアスに危機感を覚え、急遽孵化した。
 ちなみに、鬼滅の連中が次々と転生しているのは来訪者のせいだが、それ以外の存在が馬鹿みたいに集結しているのは、来訪者という癌に蝕まれて焦りに焦った地球意思の手違いの姓である。
 つまり、今回の一件は地球意思の見せた隙が原因だったりする。
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