鳴女さんの令和ロック物語   作:ディヴァ子

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鳴女さん、生配信する

《フォフォフォッ!》《グヘェァァッ!》《フォァァァォ!》《クココココ!》《ヒヒヒヒ!》《ガォガォグォ!》《イヒィィィ!》《アヘアヘアヘ!》《ケヒィィン!》

 

 召喚された9体のエヴァンゲリオン量産機が、カントー地方を蹂躙している。ミラボレアスとバトラの喧嘩に巻き込まれ疲弊し切った住民とポケモン、モンハンのモンスター(長いから「ガチモン」と呼称する)たちに勝ち目は無く、次々と踏まれ、殴られ、噛み砕かれていく。そこに慈悲は一切ない。

 

『こちらに見えますは、エヴァンゲリオン量産機になりま~す。そして、今蹂躙されているのは、カントー地方の皆様で~す』

 

 そんな有様を映し出した画面を指差しながら、私は陽気に解説を進めた。

 ……やぁ、久し振りだな、諸君。鳴女さんだ。ちょっと新婚バカンスに出掛けてたけど、ようやく戻ってきたから、ついでに生配信もしちゃうよ♪

 題して、「鳴女さんの令和ロック物語 最終章:世界最期の日を見届けろ!」って所かな。

 そう、私たちは今、遂に始まった世界最期の日に直面している。

 ただし、画面越しにだが。無限城に皆で集まって、人間共の愚かな内輪揉めを、高みから見物しているのだ。

 ちなみに、皆というのは鳴女組の面子だけではない。日本在住の、チャンネル登録をしてくれているメンバーも召喚している。理由はもちろん、安全圏から見学して貰う為である。私はユーザーを大事にする主義なのよん。

 

「あのー、すいません……」

 

 と、メンバーの1人が手を上げた。彼は確か、

 

高橋 翔(ショウ・タッカー)さんじゃないか。どうかしたのかな?』

 

 バックベアードやヴォルフガングと同レベルのヘビーユーザー、NN:ショウ・タッカーさんだ。相変わらず勘のいいガキは嫌いそうな顔してますね。一発錬金しとく?

 

「えっと……ここは何処で、どういう状況なのですかな?」

 

 気にする所はそこなのね。目の前に和風サイクロプス(♀)がいるというのに。

 まぁ、無限城に招かれたのは私のファンばかりだし、最近はしょっちゅう妖怪だの怪物だのが取り立たされているから、仮に私が「鬼」だとしても、今更驚かないのだろう。流石にフワッと転移しちゃった事に関してはビックリしてたようだけど。この前つばめがテレビで発した「お前ら殺す!」宣言も影響しているのかもしれない。

 つまり、ここに来た奴らは、ハナから変な奴らだという事である。

 

『ここは無限城。何時ものライブ会場にして、私の居城だ』

「ようするに、貴女の創り出した亜空間という認識でよろしいか?」

『ああ、概ねその通りだ』

「……という事は、貴女が死ぬと、ここも消えてなくなると?」

『半分正解だな。そこに居る玄上ちゃんは私の分身。彼女と私、両方が死ななければ、影響は無いさ』

「そうですか、安心しました」

 

 あ、安心出来ちゃうんだ。良い感じに狂ってますねー。

 

「つまり、俺らは安全って事?」

「ま、そういう事なんじゃないかな?」

「つーか、鳴女氏、妖怪だったのか」

「今更? この前テレビでやってたじゃん。ネットでもニュースになってたし」

「それもそうか。だからって、ファン止めたりはしないけど」

「そもそも、あの放送があった後も普通に動画見てたし、世論なんてどうでもいいよ。引きこもりのオタクには関係ない」

「……ってか、あの総理大臣、ちょっと極端過ぎるしな。付いて行けねぇよ」

「うん、私も私もー」

 

 それは他のメンバーも一緒なようで、特に私が「鬼」である事を気にする素振りは無かった。無残様曰く「お前に同調する奴は皆変」らしいから、こいつら全員精神がキマっているのだろう。それでこそ私のファンたちだ。

 

「それはそうと、何故カントー地方は襲われているんですか?」

 

 再びタッカー氏が質問して来る。自発的に挙手してくれる人が居ると、話が進め易くて助かるねぇ。

 

「それに関しては俺から話しましょう!」

『おっ、久々のチャラトミwikiキター!』

 

 すると、今度はチャラトミが解説役を買って出た。正直、私はペチャクチャ自由に喋るタイプだから、真面目なプレゼンに関しては、こいつの方が適任である。夫が活躍してくれるのが嬉しいだけかと聞かれれば、否定は出来ない。だって女の子だもん。

 

「総理大臣のつばめ氏は、カントー地方の人間とポケモンやガチモンたちを攻撃する事で、「戦争」の引き金を引きたいんですよ」

「戦争?」

「そう……人間と、それ以外とで殺し合う、血みどろの戦争をね」

 

 大空 つばめは人間至上主義であり、鬼殺隊の面子もそれは同じ。妖怪か、ポケモンか、ガチモンかは、関係ない。人間以外は皆敵なのだ。

 だから、一応は人間が居るから、化け物ごと1ヵ所に取り囲むだけで済ませているが、故有れば攻撃するし、根絶やしにしたいと思っている。今がその時である。

 そして、正義漢の鬼太郎が率いる日本妖怪たちを焚き付け、戦場に引きずり出し、芋蔓式に他の勢力も戦いに巻き込むつもりなのだ。人間至上主義のつばめらしい、自分の事しか考えていない発想である。

 結局の所、彼女は自分の復讐を遂げたいだけなのだ。自分の人生を滅茶苦茶した妖怪を滅ぼして、憂さ晴らしをしたいと、そういう事だろう。それに同調する隊士たちも、同じ穴の狢である。鬼殺隊は何時の世も変わらないなぁ……。

 だが、そうは行かない。

 例え(・・)それが全勢力にとって(・・・・・・・・・・)予定調和だとしても(・・・・・・・・・)私が目立たない(・・・・・・・)のは許せん(・・・・・)

 何故なら、私はウーチューバー。令和をロックに生きると決めた配信者。バズる為なら、何でもしてやるのさ!

 

『……という事で、先に行く。ちゃんと来いよ(・・・・・・・)

「了解っス。存分に楽しんで下さいな」

 

 私は玄上にゲートを開かせ、この世の煉獄と化したカントー地方へ躍り出た。

 

『ホォ? ……ゲァアアアッ!』

 

 私の転移に気付いたエヴァ量産機の1体が、ATフィールドを展開する。呆けたり、無謀な挑戦をしない辺り、優秀なダミープラグを使っているようだが、甘いな。デカけりゃ強いって訳じゃないのよ。

 

『………………』

 

 私は爪を妖刀に変え、更にそれを大きく延長する。これぞEVA(エバー)さんを遥かに超える、ウルトラスーパービッグサーベル!

 

『グヴゥゥゥ!』

 

 私が何をするのか察したのか、量産機がATフィールドを厚くし、万が一に備えてクロスガードの構えを取ったが……無駄な事だ。何故なら、私は無敵だからさぁ!

 

『ゴパォアッ!?』

『………………』

 

 先ずは1体(エーステ)。自分よりも遥かに巨大な、色んなナマモノをクチャクチャしている、気色の悪いフルフル擬きを一刀両断した。真ん中から二枚に卸された量産機が、私が見下ろす中で(・・・・・・・・)、ゆっくりと崩れ落ちる。

 そう、今の私は空をも飛べるのである。強大な妖力で磁場を歪め、翼も推進器も無しに、宙に浮かべるのだ。端的に言えば、ドラゴン○ールの舞空術である。便利だよね、この能力。飛べるし、浮かべるなんて、まさに魔法よねー。

 

『グヴェェェ!』『グケェェッ!』

 

 おっと、他の量産機も邀撃に来たか。あの使い勝手がカス以下な大剣ではなく、量産型の「ロンギヌスの槍」を標準装備だ。金掛かってんねぇ。

 

『………………』

『ゴゲッ!?』『グベァッ!?』

 

 向かって来た木偶の坊を、バッサバッサと斬り捨てる。どちらも一刀の下、一撃必殺で仕留めてやりましたよ。所詮は有り合わせの素材で造った廉価版か。弱過ぎる。

 ま、これなら簡単に(・・・・・・・)誘い出せそうね(・・・・・・・)。バックベアードも納得するでしょ、タブンネ。

 

『フン……』

 

 ――――――さぁ、ここからは私のエレクトリカルストリームだ。死にたい奴から掛かって来なさ~い★♪




◆エヴァンゲリオン量産機

 「新世紀エヴァンゲリオン」の劇場版に登場する、汎用人型決戦兵器「エヴァンゲリオン」の量産機。フルフルを擬人化したかのような、気持ちの悪い見た目が特徴。こう見えて折り畳み式の翼で空を飛べる。秘密結社「ゼーレ」の虎の子兵器であり、S2機関による無限の活動時間、渚カヲル(タブリス)の思考パターンをインプットしたダミープラグ、ATフィールドを貫通する量産型「ロンギヌスの槍」、そして中途半端な再生能力によって、何度でも何度でも蘇って襲い掛かって来る。必殺技は「鳥葬」。サード・インパクト発動時には口が裏返って雑で気色悪い綾波コラと化した。何故そうなった……。
 この世界線では鬼殺隊が狩ったポケモンやガチモン、人間を素材につばめの細胞を混ぜ合わせて造った、イコール・ドラゴン・ウェポン染みた混沌兵器。ダミープラグもつばめの思考パターンを採用している。
 だが、あくまで量産型なので、つばめたち鬼殺隊は更なる隠し玉を用意している。
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