『おや、漸く始める気になったか。どいつもこいつも出歯亀だな』
空中に現れた「ブリガドーン」や「宝船」を見て、私は思わず嘆息した。
……やぁ、諸君。この私、鳴女さんだぜ。
いやはや、どの勢力も腰が重くて困るね。もう量産型エヴァ、全部斃しちゃったよ。
ま、戦争の引き金なんて誰も引きたくないわな。全責任が圧し掛かるもんね。
だが、私は一向に構わん。何故なら、責任を負う気など毛頭ないからだ。やるだけやって、後は野となれ山となれ、が私のモットーである。やーい、やれやれー。
「行くぞ、我ら鬼滅の刃の下に!」「行きますわよ!」
『日本妖怪の底力、見せてやれ!』
おっと、地上戦も始まったか。左右から鬼殺隊と日本妖怪の大津波が押し寄せてくる。陣頭指揮は鬼殺隊が
『ああ、なるほど。“信じてるぞ鬼太郎”って事ね』
なら、ここはつまらない場所になるかもな。相手をするのも面倒だから、高みの見物でもしてよう。という事で、散(という名のラ○ダージャンプ)!
「なっ、消えた!?」「上ですわ!」
『構うな! このまま突っ込め!』
おうおう、血気盛んですねぇ。あっという間に大混戦ですよ。
村田隊士、滅茶苦茶頑張ってるじゃん、独自の呼吸法なんて編み出しちゃってさ。後藤似の女隊士も奮闘していらっしゃる。サイコロステーキ先輩っぽい女子は……うん、何あれ、ケダモノ?
それにしても真名ちゃん、君、変わり過ぎじゃないかな。児泣き爺と砂掛け婆は、何か知らんけど若返ってるし。アンタらヤバい薬でも決めたんか?
刃と爪が交わり、血肉が湧き踊る。怒号と悲鳴が木霊して、この世の地獄でタップダンスだ。
いやー、壮観壮観。これは良い見世物である。まるで人がゴミのようだぁ!
《黒鴉様、
『構わん、撃ち方始め!』
《了解! 全艦、攻撃用意!》
……って、おいコラ、ちょっと待てや。
《水龍砲、撃てぇ!》
と、宝船が舳先からプラズマ化した水素の加粒子砲を一斉掃射してきた。お前ら何時から科学サイドになった。
『バーリア!』
とりあえず、バリアだよバリア。
《バーリア!》
後ろの「ブリガドーン」もバリアした。おい、パクるなバックベアード。
《これは最初から搭載されている機能だ。前回の大戦で学んだのでな》
『あっそう……』
つーか、話し掛けてくるなよ。天狗ポリスも必死に頑張ってるんだからさ。
《ならば、その努力に報いろう。……主砲、発射!》《ぶっぱなすのじゃ~♪》
『おぉおおおおおおっ!?』
すると、バックベアードの鶴の一声で、「ブリガドーン」が主砲を(丸子の声で)発射した。「C」の欠けた所から魔力のビームを撃つ感じ。一瞬で射軸上の空気が燃え尽きて、稲妻を迸らせている。波動砲かと見紛う程の、とんでもない威力である。ちょっと火傷しちゃっただろうがよ!
《五番、六番、八番艦、蒸発!》
《七番、九番艦、余波により撃沈されました!》
『散開しろ! 狙いを一ヵ所に定まらせるな!』
当然、直撃した「宝船」は瞬時に消滅。周りの2隻も巻き込まれて墜落した。それでもまだまだ居るのは内緒。蜘蛛の子を散らすって、こういう事を言うんだろうなぁ。大きさがダンチだけど。
《逃がすと思っているのか。……ベア子、やれ!》
《了解ですわ、お父様!》
と、何処からともなくベア子の声が聞こえて、「宝船」艦隊の背後に時空の歪が発生。
《黒鴉様!
《識別、
『何だと!? 新造するだけでなく、修復までしていたのか!?』
出現したのは、第一次世界最期の日で活躍した、初代「ブリガドーン」。
そう、バックベアードが乗っているのは二代目であり、初代の方はベア子が指揮を執っている。コアは大戦時から変わらず、アデルとアニエスの母親「ザンビア」が使われている。「エヴァ」といい「ブリガドーン」といい、何で母親の魂をコアにしたがるんだろう?
《主砲発射!》《了解、ベア子ちゃん!》《了解です、ベア子様♪(CV:野○藍)》
おっとと、こっちも主砲を発射したか。威力は二代目よりも劣るが、それでも「宝船」を一撃で蒸発させる程度の火力はある。これは酷い挟み撃ちだ。
《全機発進!》
《露払いよ!》
『クケケケ!』『コツコツコツ♪』『バギャットォ!』『ボチャケェ!』『ピキキキ!』
『ギュァアアッ!』『バリバリダァッ!』『キュァアアッ!』『ヒュルァッ!』『ピュウウウッ!』
さらに、西洋妖怪お得意の使い魔軍団が投入される。それも全員が飛竜種に跨った、ガチモンライダーズである。火力も体力高い高軌道戦闘機(竜)とかズル過ぎる。
うーん、こりゃあ空中戦は勝負あったか?
《そうは行きませんよ》
《きゃああああああ!?》
しかし、そう簡単に終わらないのが日本妖怪だ。突然、空の彼方から撃龍槍みたいな物が飛んできて、初代「ブリガドーン」のバリアを貫通しつつ、串刺しにした。表面に突き立てられた程度だが、それでも西洋妖怪の陣営に与えた影響は大きい。あのバリア、あくまでエネルギーの障壁だから、大き過ぎる質量までは止めきれないのよね。それが
《圧縮した妖石を槍状に加工した徹甲弾……この用意周到さ、ぬらりひょんか!》
《ご名答。そして初めまして、バックベアード殿。先代がお世話になったようで》
そして、現れたるは八幡船によく似た飛行戦艦(黒塗り)が十数隻。むろん、乗り手はぬらりひょん一派である。総大将様の能力で姿を隠してたな、これは。
《今回の貴様は
《誉め言葉と受け取っておきますよ。続けて撃て!》《了解ですぅ~!》
《きゃうぅぅっ!?》《またやられた! 硬くてぶっといの!》《チョー痛いんだけどぉ!?》
さらに、またしても初代「ブリガドーン」に集中砲火。落とし易い、それでいてバックベアードが庇い立てしたがる方から攻撃する辺り、戦いという物をよく分かっている。汚い流石ぬらりひょん汚い。
うむむ、これはそろそろ手を貸してやらないと、いい加減にマズいかなー。アデルに文句を垂れられるのも嫌だし……。
――――――ドギャヴォオオオオッ!
『ドワォッ!?』
いや、今度は何よ!?
《ぬらりひょん様、本艦の真下から「妖怪城」が出現! 攻撃を受けています!》
《中国妖怪……玉藻前とチーですか!》
《その通りよん、ぬらちゃ~ん♪》《漁夫の利は得させんよ、裏方ども》
……って、何だ中国妖怪の皆様かよ。出て来るとは思ってたけど、今になって出陣か。女狐が指揮を執るだけに、慎重で狡猾なタイミングだな。まさに漁夫の利を得に来ましたって感じ。
それにしても、随分と派手な登場のし方をするねぇ、戦場のど真ん中の地面を突き破るとかさ。地上戦をしている連中が大分減ったじゃん。あははは、人や妖怪が死んでるんですけど~♪
あと、前々から思ってたけど、その「妖怪城」ってどういう代物なの?
紫禁城みたいな本丸の真下から凧の触手と蟲の節足がいっぱい生えてるとか、気持ち悪いんだが。マジきしょーい。死ね。爆ぜろ。それからたこ焼きに為れ。食わずに捨ててやる。
『あらまびっくり~♪』
いやはや、初代&二代目「ブリガドーン」に「宝船」と「八幡船」、タコムシな「妖怪城」と来たか。上も下も大混乱、大混乱~♪
役者が揃いも揃っちゃって、本当に……た~のし~ぃ♪
◆八幡船
主に倭寇の際に用いられた、日本の海賊船。教科書にも載ってるアレ。古代日本では他国への海賊行為を「バハン」と言い、その当て字の1つが「八幡」である。由来は定かではないが、一説には「海上安全を祈願して八幡大菩薩の幟を立てたから」と言われている。罰当たりにも程がある。
今作ではぬらりひょんの飛行戦艦になっている。黒塗りなのは「黒船」をイメージしたから。