鳴女さんの令和ロック物語   作:ディヴァ子

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 鳴女さんのあの目を見タラ、絶対に誰かは考えると思うンダ。


鳴女さん、狸料理に舌鼓を打つ

『うぬぬぬ……』『何だ、どうなった?』『刑部様が復活されたのか?』

 

 おうおう、居るね居るねぇ、化け狸共が。寝起きなのか知らんけど、ちょいとボケが入っているようだな。

 やぁやぁ、諸君。ディナーが良く似合う胸の大きいイイ女、鳴女さんだ。

 さっそくだけど、頂くとしよう。

 

『えい』

『『『ぎゃあああああっ!』』』

 

 一瞬で三匹の狸を頸チョンパして、まずは頭、それから胴体を丸齧りにする。

 

「お味の程は?」

『とりあえず、一杯やりたくなる味だな』

 

 例えるなら、コンビニのおつまみって感じ。高級料亭の豪かさや、手料理の味わい深さは無いが、何となくお酒と一緒にカゴに入れたくなる、みたいな。

 まぁ、不味くはない。取り立てて美味しくもないけど。ドカ食いするにはピッタリだが、途中で飽きそうではある。味付けを変える調味料が欲しい所だ。

 

「なら、零余子ちゃんでも呼びます?」

 

 チャラトミが提案して来た。こいつから見ても零余子は食材扱いのようである。少し可哀想な気がしてきた。

 

『いや、今は配信中の筈だからよしておこう』

 

 配信とは、謂わば最先端の創作活動。それを邪魔する程、私は野暮ではない。

 だので、零余子に限らず、配信の予定が入っている奴は連れ歩かないようにしている。今日はチャラトミが空いていたから引っ張って来ただけだ。便利だからってのもあるけど。

 

『その代わり冷蔵庫の零余子食品を使う』

「結局零余子ちゃん食うんじゃないスか」

 

 べべんっと零余子印のワイン(血)とふりかけ(骨)を呼び寄せた私に、チャラトミが突っ込む。一部だから良いんだよ。ついでに藤花印のオイル(溶解液)も取り寄せておく。

 これだけあれば、幾ら食べても飽きないでしょー。

 

「俺のは使わないんスか?」

『お前のは貴重品だからな』

 

 それは最後に取っておく。大味な奴に使いたい所だな。

 

『……という訳でそーい』『『ぐあああああっ!』』

 

 そんな感じで、背後から飛び掛かって来た二匹の化け狸を処刑する。岩に化けて不意打ちするつもりだったんだろうが、妖気駄々洩れなんだよ。エコーロケーションもしているからバレバレである。

 

『おりゃー』『ぎょぇええええっ!』

 

 さらに、地面に同化してやり過ごそうとしていた化け狸を一匹、爪刀で一突きにする。妖気を隠すのは上手いが、臭いがなぁ。緊張で汗を流してたら意味ないと思うんだ。

 

『おのれぇ!』『貴様ぁ!』『死ねぇ!』

『お前らが死ね』

『『『ずばぁあああっ!』』』

 

 そして、化け狸としてのアイデンティティーをかなぐり捨てて、真正面から襲って来た連中を音波でミンチ肉にした。血が零れないように中身だけシェイクしたった。

 

『そろそろ調理もしようか』

 

 それから、キッチンと洞窟を繋げっぱなしにする事で、料理を出来るようにする。ハンバーグとソーセージでも作るとしよう。

 

「はいはい」

 

 むろん、チャラトミがな!

 うーむ、炊事洗濯掃除も出来るとか、こいつ本当に主夫だなぁ。あの駄目亭主とは比べ物にならない。色々と便利だし、本当に旦那にしちまうか?

 ……いや、結婚はもう良いかなー。あの頃は独り身だと面倒事が多かったからしただけだし。このままが一番だろう、お互いに。

 

「はい、零余子食品と藤花食品を組み合わせたケチャップにソース」

『おう、ご苦労だ』

 

 ……ちょっと迷って来たな。籍だけでも入れとく?

 

『つーか、お前は何を食べてんの?』

「狸肉入りの麻婆豆腐っスね。流石にそのまんまは無理なんで。臭みはあるけど、山椒を強めれば案外イケるっスよ。鳴女さんも食べます?」

 

 そう言って、自分の分までしれっと作るチャラトミ。ちょっと覗いてみたら、元が化け狸とは思えない、実に美味しそうな見た目の麻婆豆腐が出来上がっていた。

 

『美味い……』

 

 化け狸の妖気が溶け出し、零余子や藤花の血肉で煮込まれている為か、普通に食べられた。味覚や消化器官の改造を施して来た甲斐があるという物である。

 ――――――どうしよう、マジで婿取りする?

 旦那を掴むなら胃袋掴めって言うけど、逆もまた然りだな。ガッチリ鷲掴みされちゃってる気がする。こいつ、本気で料理上手いんだよ。人食い鬼の味覚に合わせて調理出来る人材なんて、早々居ないぞ。

 うん、少なくとも食材候補からは外すかな。食べてしまうには勿体無い。

 

『ふぅ……』

「賢者タイム?」

『阿保か。まだまだ満足出来ねぇよ』

 

 美味しいチャラトミ食堂の料理を平らげ、次の食材を探す。まだ腹二分目くらいだからな。もっと食べるぞ~♪

 

『こ、こいつ……!』『何て残虐なの!』『化け物めぇ!』

 

 怯え、隠れ、逃げ惑う雑魚共をどんどん食材に変えて進んだ先の広間に、色物な狸が三匹居た。タキシード、着物、法被と褌って、どういう組み合わせなんだよ。

 つーか、散々人間相手に好き勝手やってたお前らが言うな。

 

「おっ、こいつら八百八狸の幹部三兄弟っスよ。タキシード姿が「団一郎」、着物姿が「団二郎」、法被に褌が「団三郎」っス。かの有名な「団三郎狸」の子孫ですね」

 

 さらに、ここに来てチャラトミwikiにより知りたくもない事実が判明。一匹オカマなのかよ……食欲無くすなぁ。

 

『うぉおおおっ、死ねぇ!』『ウザい』

 

 と、団一郎が刃仕込みのシルクハットを投擲して来たので、普通に切り捨てた。こいつはクセェ、ゲロ以下の臭いがプンプンするぜ。

 

『キェエエエッ!』『うるぁあああっ!』

 

 続いて、団二郎が簪と鉈で、団三郎が棍棒で殴り掛かって来る。

 

『フン、トゥッ!』

『『ギャォオオオッ!』』

 

 もちろん、襖ラッシュで細切れにしてやった。弱いなぁ。これで幹部とか笑える。

 

『お前もだ』

『させるかぁ!』

 

 ただし、団一郎はそこそこやるらしく、身体を膨張させて巨大化した上、一部を金属に変換する事で刃を防いだ。

 

『食らいやがれぇえええっ!』

 

 そして、場所が場所なのか、小振りな機関車に化けて突進して来た。

 なるほど、そんな使い方もあるのか。幅を利かせる事で襖に取り込まれるのを防ぐとは、中々考えてるじゃないか。

 

『お前が食らえ。今必殺の目からビーム!』『ごばぁああああっ!』

 

 だが、無意味だ。私の目から放たれた破壊光線によって、団一郎の偽汽車は木端微塵になった。

 ……実際はビームではなく、体内電気の電磁力による高温高圧で体液を飛ばしているので、正確にはレールガンなのだが、何時かは本当のビームを撃ちたいと思っている。

 さてさて、たぶんこれで化け狸は品切れだろうし、チャラトミに料理をさせて――――――、

 

『ガァヴォオオオッ!』

 

 と、団一郎のミンチが散らばる地面から、鎧武者のような怪人が現れた。




◆偽汽車

 鉄道が普及した明治時代に全国区で発生した怪奇現象。棲み処を荒らされた動物妖怪たちが引き起こした物で、狐や狢の場合もあるが、殆どは狸の仕業である。
 見た目こそ汽車だが、所詮は似せただけの虚仮威しなので、勇気を出した運転手により轢殺される個体が多かった。命を賭した彼らの抵抗も、人間の科学力には勝てなかったのだ。
 ちなみに団一郎の偽汽車は、小さいが側だけはきちんと金属に変えている(血中の鉄分を使用している)為、相応の威力があるものの、鬼太郎の体内電気をパクって目からビームを習得した鳴女さんの敵ではなかった。
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