零余子:「嘘吐けぇ」
そして、私は仕方なくシックスとモノの後を追った訳だが、
「もう学校に入ったのか……」
二人の足はかなり早く、既に第二ステージ「学校」へ突入していた。
このステージは「いじめっこ」がそこかしこに蔓延り、「ティーチャー」が首を長くして待っている、社会の牢獄。入学したが最後、二度と卒業出来ない、公共施設としては問題しかない場所だ。
つーか、汚いなここ。全体的に年季が入っていて黴臭いし、いじめっこがティーチャーの目を盗んで散らかしまくってるから、そこら中ゴミだらけである。ハンターの森とは別方向で歪んでるよなぁ、ここ。
いや、今はそんな事よりもシックスたちだ。
幸い、二人が先に行っているおかげで、パズル要素は大体解決しているから、迷いなく進める。
『ウ~ヒャォ~ッ!』『ギャーギャーッ!』
「うーわー」
まぁ、見付からないかどうかは別だが。ホーム・ア○ーンなポイントは跳んで躱せるけど、この脳味噌空っぽ軍団は馬鹿みたいにいるから、シックスとモノが通過していたとしても、無限に湧いて来る。なるべくしてなった奴らは、幾らでもいるのである。
「オラオラオラァッ!」
『バッ!』『ギャッ!』
とは言え、普通に勝てるが。シックスに素手で殺されるような連中に押し負ける筈が無いだろ。
「あっ……!」『ピキィ!?』
『クワァッ!』
そんなこんなで、脳足りんの群れを粉々にしつつ、何も学べない校舎を突き進んでいると、授業の準備をしていたティーチャーとバッタリ遭遇。相変わらず気持ち悪いビジュアルしてますね。ノームくんも怖くて固まってるよ……。
『クケェーッ!』
さらに、当たり前のようにティーチング定規セット(黒板用の取っ手が付いている定規類)を決闘ディスクに変形させ、決闘を挑んで来た。首をゆらゆらと伸ばしながら。だからキモイって!
《君は、生き延びる事が出来るか?》
「墜ちろカトンボ!」
もちろん、隈取夢子ちゃんも覗き見。うわー、スッゲェ殴りたい。
ま、それは後でだ。今は決闘が先である。話し合いなんて必要ない。何でも決闘で解決すれば良いんだよ!
「運命のダイスロール!」『キィッ!』
ダイスの結果は私が「6」でティーチャーが「1」。お前、運悪過ぎるだろ。
とりあえず、先攻は私ね。ハンターの時は後攻だったからさ。
ちなみに、同じデッキは使えないらしく、今回は別の物を使用している。
「メインフェイズ! モンスター1体とカードを1枚セットし、1000LPを払って「サモン・ダイス」を発動! ダイスロール、「5」! 出でよ、「ゴッドオーガス」! 効果発動! 出目は「3・3・4」! カードを2枚ドロー! 更に3枚伏せてから、ターンエンド!」
まずはT配置をしてから、このデッキの切り札の一つ、「ゴッドオーガス」を特殊召喚。手札を補充しつつ、場を整えてからターンを明け渡した。先攻は攻撃出来ないからね。
さぁ、お前のターンだぞ!
「あ、ドローフェイズで「出たら目」を発動するね」『………………』
このデッキの要だからね、これ。
……だが、こいつ何を使ってくるんだろう?
定規繋がりで「ブンボーグ」を使うのか、もしくはン熱血指導でもしてくるのか。ろくろ首みたいだから、「魔妖」という可能性も――――――、
『キィィィッ!』
しかし、ティーチャーが繰り出したのは、「ブンボーグ」でも「熱血指導」でも「魔妖」でもなく、
「「ギミック・パペット-ハンプティ・ダンプティ」だと!?」
「ギミック・パペット」だった。ン熱血指導じゃなくてファンサービスとは。造形的にはドクターが使いそうだけど、あえてこっちが「ギミック・パペット」を使用する辺り、ティーチャーが児童をどう見ているのかがよく分かる。所詮、熱血教師だったのは過去の話か。今はもう児童をいびって愉しむだけの老害だ。
そんなクソ婆は、この私が退職させてやる!
「でも、ちょっとくらい遠慮してくれませんかねぇ!」
「ハンプティ・ダンプティ」から「シザー・アーム」を出したって事は、「ギガンテス・ドール」出す気満々じゃん。させるかぁ!
「リバース罠発動、「無差別崩壊」! 出目は「2・3」! 消えろ、人形共!」
「無差別崩壊」の効果で、全力で阻止する!
『クァアアッ!』「何ィ!?」
だが、そっちは囮だったらしく、まずは「ビスク・ドール」が登場し、追加で「ネクロ・ドール」が暴走召喚され、「ネクロ・ドール」と「ビスク・ドール」でオーバーレイ・ネットワークを構築、「No.15 ギミック・パペット-ジャイアントキラー」がエクシーズ召喚された。
そして、増えた「ゴッドオーガス」を砲撃して、2体を破壊。
さらに、「RUM-アージェント・カオス・フォース」で「CNo.15 ギミック・パペット-シリアルキラー」にカオス・エクシーズ・チェンジ。最後の「ゴッドオーガス」を殺しに掛かって来た。
「……リバース罠発動、「リフレクト・ネイチャー」! 「ゴッドオーガス」の恨みを受けろ!」
しかし、ただ破壊されるのも癪なので、「リフレクト・ネイチャー」で反射ダメージを与えてやった。
『キィィイイイイイッ!』
私の反撃により確信した勝利の誇りに傷が付いたのか、ティーチャーが「ネクロ・ドール」2体で「No.40 ギミック・パペット-ヘブンズ・ストリングス」をエクシーズ召喚し「アージェント・カオス・フォース」を再発動、「CNo.40 ギミック・パペット-デビルズ・ストリングス」へカオス・エクシーズ・チェンさせ、怒り任せに「シリアルキラー」と「デビルズ・ストリングス」で殴り掛かって来た。
――――――そういう所が素人だってんだよなぁ。
幾らカードパワーが高くとも、使用者が馬鹿では、その力を活かせない。教師として失格である。
「……ぶち抜かれるのは、お前のLPだ! 殺れ、「ダイス・ポット」!」『レロレロレロレロレロ!』
サイコロ軸のバーン型【ギャンブル】を相手に、「出たら目」を真っ先に破壊せず、リバースモンスターへ攻撃を仕掛けるなんて、ド素人もいい所なんだよ!
結果はもちろん、私が「6」でティーチャーが「1」。さっきのダメージも相俟って、一撃で彼女のLPは吹き飛んだ。あんだけ派手に展開した癖に、ハンターどころか凡骨より手応え無いな、こいつ。
さて、罰ゲームとして、レロレロと便所掃除でもしてもらおうか。
『キヒヒヒ』『ギャーギャー!』『ケキャーッ!』
いや、その必要も無いわね。陰からコソコソと様子を窺っていたいじめっこたちが、敗北し倒れ伏したティーチャーに駆け寄る。
むろん、助ける為などではない。
『ギァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!』
「誰にも慕われない教師は、哀れね。さようなら」『ぴきゅー』
そして、今までの恨みを晴らさんと襲い掛かるいじめっこたちに嬲り殺されるティーチャーをバックに、私たちは学校を卒業した。
さぁ、次は病院ね。やだなぁ……。
◆ティーチャー
リトルナイトメア2の第二ステージ「学校」の支配者。年季の入った女教師であり、何処ぞの校長先生のように首を長く伸ばせる。男女差別が激しい上に児童をいびる事が大好きという、どうしようもない人物であり、互いの信頼関係は無いに等しい。「いじめっこ」も頭空っぽのなるべくしてなった馬鹿だから、どっちもどっちだが。「ベリーリトルナイトメア」を見る限り、シンマン(ノッポ男)と何らかの関りがあるようだが、やっぱり詳細は不明。プリテンダーにでも聞いてみて。
今作での使用デッキは純正の【ギミック・パペット】。そこはドクターが使えよと言いたい所だが、もしかしたら彼の所から逃げて来たマネキンを使っているのかもしれない。
だが、ファンサービスを出来る程の腕は無いらしく、零余子のサイコロ軸バーン【ギャンブル】の地雷を踏みまくり、あっさりと敗北した。
本編では追撃しないだけで倒される描写は無いが、こちらでは闇のゲームをしたばかりに、今までの報いを受ける破目になった。