鳴女さんの令和ロック物語   作:ディヴァ子

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 今回、ようやくラスボス同士が接触しマス。イヤ、鳴女さんは裏ボスでしタネ。


鳴女さん、バックベアードと対面する

 YA-HA-ッ!

 こんばんはだ、諸君。アメフトは別に好きじゃないけど、アメフト漫画は大好きな鳴女さんだ。今日も何処かで鬼太郎が鬱なダークサイドに足を踏み入れているような気もするが、そんなのどうでも良いぜ!

 さて、本日は超時空要塞「ブリガドーン」にお邪魔している訳だが、凄いなこりゃあ。いきなりドデカいザルに乗せられ(チャラトミによると、本来魔女は「箒」ではなく「カゴ」や「ザル」で空を飛ぶんだそうな)、不自然に浮かぶ積乱雲に突っ込んだかと思うと、彗星煌めく宇宙空間みたいな所に案内されたんだからな。その中で悠然と構える「ブリガドーン」を見た時は、素直に感動した物である。“「LH-3210(カーゴ・ホーラー)」じゃん”ってな。ロマンだよなぁ、あの貨物戦艦。

 さらに、内部も要塞のような堅苦しさは無く、どちらかと言うと貴族的な煌びやかな内装をしている。床はレッドカーペットだし、天井は失楽園の絵巻物だし、壁には高そうな絵画や骨董品が飾られているし。机や椅子なんかの調度品も良い仕事をしていて、一緒に連れて来たチャラトミが凄い目移りしてたな。曰く「これ全部売ったら先進国を2、3は買える」とか。ヤバいじゃん、逆に怖くて触れないよ。今の稼ぎじゃ、1個壊しただけで破産しそう……。

 

『お、このダイヤ、奇麗じゃのう』『何カラットあるのかのう?』

 

 だから、気安くアクセサリーを観るような感じで近付くな、子供組ぃ!

 少しでも傷付けたら、しばき倒すからな、オラァッ!

 

『……しっかし、よくもまぁ、こんなに美術品を集められたな』

「殆どはヴォルフガングの趣味ですよ。彼、芸術品に目が無い物で……」

『よく破産しないな、そいつ』

「世渡りが上手いんですよ。今も正体を隠して、とある大企業の名誉会長をやってますからね」

 

 ほぅ、丸子の居た呉服屋とは雲泥の差だな。やっぱり高い趣味は相応の金が無いとイカンよ。

 

『ちなみに、そのヴォルフガングって何なんだ?』

「幹部の一人で、狼男ですよ。あ、噂をすれば……」

 

 すると、廊下の角から、紅色スーツのダンディな貴族様が。こいつ、絶対にモテるな。で、思わせ振りな態度をしつつも最後は袖にして、独身を貫くタイプだ。

 

『そうなんだろ?』

『いや、あの、いきなり、そうなんだろう、と言われましても。……ところで、貴方はもしや、鳴女様では?』

『おう、そうだが?』

 

 何だ何だ、完全に初見の幹部にまで顔と名前が知られているとか、どういうこった。

 

『……「「奏」の呼吸」のファンです。是非、後程演奏をお聞かせ下さい』

『あっ、あんたもしかして、何時も50000円のスパチャしてくれる「大尉」さんか!?』

『はい。何時も名演奏を聴かせて貰い、心を満たされておりますよ』

『ご視聴ありがとうございます。これからも頑張りますので、よろしくお願いします!』

『いえいえ、こちらこそ。……さて、何やら用向きがあるようですので、私はこれにて失礼いたします』

 

 そう言って、仏のような笑みで一礼し、大尉殿は去って行った。

 

『よし、一丁地獄滅ぼすか!』

「急にやる気満々ですね……」

『ファンの為なら努力も協力も惜しまないのが、私の方針だ』

「凄く分かり易い人だなぁ……」

 

 いや、だってさぁ、会うどころか恩義すらも無い奴の為に頑張るとか無理でしょ、普通は。そんな知らない奴よりも、私の演奏を確かな形で応援してくれる人の方が100億倍は価値あるわ。

 

『というか、バックベアードの所にはまだ着かないのか? 結構歩いてる気がするんだけど』

「すみません、何分艦の中枢におられますので」

 

 馬鹿と煙は高い所に何とやらってか。

 

「……しかし、確かにこのまま歩かせるのも何ですね。“足”を呼びましょう。衛兵、例の物を」《了解了解(ラジャラジャ)

 

 と、流石に客人を長歩きさせるのはどうかとアデルも思ったのか、近くの衛兵(錬金生物)に何かを準備させる。やがて、何処からかフヨフヨと半透明な物体がやって来た。見た所、クソデカいミズクラゲみたいだが……。

 

『何だこれ?』

「「クリッター」の幼生です。大丈夫、品種改良していますから、安心して乗れますよ」

『そう言う問題なんだろうか』

 

 クリッターと聞くと、どうも「トモダチ」と称して食われる気がしてならないんだよなぁ。

 つーか、クリッターって海月だったのか。空飛ぶ海月なんて有りなのか?

 

「一応、日本にも「海月の火の玉」って妖怪が居ますよ」

『解説どうも』

 

 チャラトミwikiは何でも知ってるねぇ。

 まぁ、問題が無いというのなら、有難く座らせていただくか。

 おっ、案外良い座り心地じゃん。プルプルで軟らかいから、背中を預けて寝そべっても全然問題無いし。ヒンヤリスベスベで、とても気持ち良い。ついでに微弱な電気で全身をマッサージしてくれたりと、至れり尽くせりだ。子供組なんて、もう寝ちゃってるよ。

 

『きゅん♪』

 

 あと、何か鳴き声が可愛い。……一匹、家で飼っちゃ駄目かな。後で相談しようっと。

 そして、抗い難い眠気と戦う事、数十分。

 

「鳴女殿、着きましたよ」

『……んはぁゆ? ああ、そうなの』

 

 イカン、あんまりにも寝心地が良過ぎて、変な声が出てしまった。恥ずかしい。

 ――――――で、ここが艦の中枢部か。如何にも大魔王が居ます、って扉だな。開けたら暗黒世界だったとか言われても納得出来る。

 

「……ベアード様、鳴女殿をお連れしました」

『入れ』

 

 アデルが扉越しに一礼すると、中から渋い声が聞こえて来た。

 さらに、扉を開けてみれば、そこには目玉の付いた黒い太陽が。こいつがバックベアードか。圧が強いんだよなぁ……。

 

『とりあえず、初めましてだな、鳴女』

『こちらこそだ、バックベアードさん』

 

 自己紹介されたので、一先ずさん付けで呼んでみる。直ぐに呼び捨てになるかもしれんけどね。

 ……それにしても、圧迫感が凄いわ。部屋はエネルギーコアを中心に天球儀が描かれたドーム型で、結構な広さがある筈なのだが、こいつのせいでかなり狭く感じる。どうにかなりませんかね。

 

『フム、このままでは話し難いか。ならば、本来の姿を示そう』

 

 すると、空気を読んだバックベアードが、人型形態を取った。一気に広くなりましたよー。

 

『さて、それではさっそく話し合いと行こうか?』

『いや、その前に一つだけ聞きたい事がある』

『何だ?』

 

 うん、意外と話が通じるボスキャラだな。無惨様だったら絶対キレてたし。

 

『……ピカチュウとイーブイ、どっちが好き?』

「何故いきなりそんな事を!?」

 

 いやぁ、少しでも親交を深めようかと。

 ちなみに、私はメタモンが一番好きです。あのプルプルした間抜け顔が堪らんのよ。

 

『私はピッピが一番好きだ』

「嘘ぉ!? あ、いや、申し訳ありません! 黙ってます!」

 

 コメディアンかお前ら。

 それにしても、ピッピが好き……というかゲームを知ってるんだな。カンナさんのぬいぐるみ好きが発覚した時以来の衝撃を受けたわ。流石はオタクなベア子の父親である。

 

『それはそうと、次の「携帯獣」はどのバージョンをプレイする気だ? あとやっていないのは例のリメイク作くらいだろう』

『ゑ』「……ベアード様?」

 

 その発言、もしや――――――、

 

『毎回50000円は落としているんだから、「「操」の呼吸」もきちんと励めよ、鳴女』

『最近やたらとスパチャしてくれる「お父様」ってあんたかい!』「ベアード様ぁ!?」

 

 さっきは知らない奴とか考えてすいませんでした。

 よーし、鳴女さん、頑張って会議しちゃうぞ~♪




◆鳴女さんの実況動画

 チャラトミに勧められて始めた、鳴女の動画チャンネル。
 実演動画を纏めた「鳴女さんの「奏」の呼吸」と実況動画を纏めた「鳴女さんの「操」の呼吸」の2つに分かれており、「操」は無表情な顔でイキイキとプレイするギャップが人気で、「奏」は純粋にその技術力(と、時折見え隠れする美しくも逞しい肉体美)に注目が集まっている。コラボ動画としては、チャラトミとの「お勉強シリーズ」、零余子との「食物連鎖の二人プレイシリーズ」の再生数が多い。
 ちなみに、「奏」には「大尉」、「操」には「お父様」という大御所登録者が居るのだが、その正体は……。
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