鳴女さんの令和ロック物語   作:ディヴァ子

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 第2のジムって結構鬼門。


鳴女さんのトゥハーデジム攻略

 さてさて、お邪魔しましたよ、トゥハーデジム。

 内部は煮え滾るマグマの海。所々に小島が浮かんでおり、その上にジムトレーナーが待ち構えている。

 

『――――――って、どうやってあそこまで行くんだよ!』

 

 つーか、落ちたら死ぬだろ!?

 

「大丈夫です。これ、グツグツに煮えたシロップなので」

『それはそれで死ねると思うのだが』

 

 いや、熱湯に叩き落ちた時点でアウトだろうが。

 

「島を渡るには、あの宙を浮かぶ足場に運んでもらうしかないですね」

 

 アデルが指差す先には、なるほど、それらしい小さな足場が一定のルートで常時動いている。

 

『何か暗黒面に堕ちそうだなぁ……』

 

 アンタが憎くなりそう。

 でもまぁ、最初のジムなだけあって、ギミックは簡単だな。落ちないように気を付けて渡るだけだもん。

 ちなみに、挑戦は1人ずつなので、先ずは私から。それじゃあ、行ってみよう。ヒョイッとな!

 

《第1問! 「かこうポケモン」は次の内のどれ? 「バクフーン」「リザードン」「ヒードラン」》

『ゑ?』

 

 何これ、浮島に足を踏み入れた途端、クイズが始まったんだけど。

 

「頑張って下さーい! 正解すれば、トレーナーと戦わずに進めますよー!」

『グレンジムと一緒じゃねぇかよ』

 

 ジムリーダーは禿げのカツラとかじゃないだろうな。

 しかし、うーん、「かこうポケモン」ってどれだっけ?

 どいつもこいつも火山に棲んでそうだし、そもそも分類まで覚えてねぇよ。ポケモン勝負に全然関係ないもん。

 

『えーっと……「バクフーン」?』

《バッカモーン! 外れだぁっ!》

『うるせぇなぁ、声が!』

 

 バカ外れです、ぐらいで良いんだよ!

 

《そんな馬鹿者には厳しく指導しなければな! という事で、お出でませシラヌイ!》

「チェーストォァッ!」『トレーナーの方もうるせぇなぁ!』

 

 あと、何か見た目のせいで、マグマ団と戦ってる気分になるんだよね。このクソ熱い場所で平然とフードを被ってる感じが、まさにそう。色んな意味で暑苦しい。

 

 ――――――ジムトレーナーのシラヌイが勝負を仕掛けて来たッ!

 

「行け、ガーディ!」『ガウッ!』

『殺って来い、アズレーン!』『ホォロロゥ!』

 

 ジムバトル最初の一戦は、ガーディ(Lv15)VSアズレーン(Lv15)。同レベルの対決だ。狛犬みたいな奴と、スカイブルーの空飛ぶエチゼンクラゲが対峙する様は、物凄くシュールである

 とは言え、タイプ相性的に負けは無い。さっさと片付けてやろう。

 

「ガーディ、「かえんぐるま」!」『ガウルルルッ!』

 

 ……と思ったけど、意外とヤバそう。一発目から火炎車はアカンやろ。こっちは等倍ダメージで通っちゃうんだぞ!

 

『ヤローッ、「みずのはどう」でお返しだ!』『ハロォオオン!』

 

 だが、アズレーンもレベル15で水の波動を覚えたから、効果抜群取っちゃうもんね。威嚇されようが、こっちは特殊寄りの耐久型だからノープログレム。

 

『アォォ~ン?』

 

 しかも、上手い事混乱も入った。このまま仕留めてやる。

 

『アズレーン、「すいとる」!』『ホォオオン!』

『ウガゥッ!』「くっ、ガーディ……!」

 

 フハハハ、勝負ありだな。金と経験値を置いて、マグマの海に沈むがいい!

 

《第2問! ロケット団の最高幹部と言えば?》

 

 と、次の浮島で、またしてもクイズが。こんな赤道直下の大陸で、カントー地方の犯罪組織の事情をお題目にするなよ。

 

『「サカキ」!』

《バケギャモーン! 外れだぁっ!》

『そっちも問題あるだろうが!』

 

 しまった、サカキは首領だった。えっと、そもそも誰さんだっけな。ポアロ?

 

《そんなウツケ者にはン熱血指導だぁ! お出でませ、エンテン!》

「芸術はぁ、爆殺だぁあああっ!」

『いや、殺しちゃイカンだろ……』

 

 ――――――ジムトレーナーのエンテンが勝負を仕掛けて来たッ!

 

「燃えよ、ロコン!」『コォオン!』

『ドラマチックにするな! 行け、ハウボル!』『ボルンガァ!』

 

 ジムバトル二戦目は、ロコン(Lv16)VSハウボル(Lv16)。これまた同レベル対決だった。向こうだけが弱点を突かれるのも同じ。

 

「ロコン、「やきつくす」!」『ロコァアアアッ!』

『ワハハハハ! ほのお技など、無駄無駄無駄ァ! ハウボル、「ストーンロール」!』『ボラボラボラァッ』

「ギェエエエッ!」『ロコォオン』

 

 あっという間に汚い花火だ。ロコンは物理耐久が壊滅的だからなぁ。

 

《さぁ、これがラスト、第3問! 技マシン28とは、「しねしねこうせん」である?》

『……、……はい!』

《判断が遅いぃっ! そして外れだぁ! お出でませ、キエン!》

「もっと熱くなれよ!」『黙れ修○!』

 

 ――――――ジムトレーナーのキエンが勝負を仕掛けて来たッ!

 

「行け、ウルフル!」『ウルッ!』

『今更そんな物……リベンジだ、ハウボル!』『ボルッシャアッ!』

 

 ジムバトル三戦目は、ウルフル(Lv16)VSハウボル(Lv16)。まさかのライバル戦の再現である。

 しかし、真面ないわ技を手に入れた私に、負けは無い!

 

「ウルフル、「おにび」!」『ウルッ!』

『甘い! 「まもる」!』『ボルゥッ!』

 

 ハウボルが鬼火を放って来たが、それは守るで防いだ。

 

「ならば、「はじけるほのお」!」『ウファッ!』

『「まるくなる」からの「ストーンロール」!』『マルボローッ!』

 

 さらに、弾ける炎を受け切り、丸くなってからストーンロールを発動。これで威力が倍になるから、実質的に一撃必殺も同然だ。

 

『ウルゥ……!』「戻れ、ウルフル!」

 

 そして、最後のジムトレーナーが倒された事で、私はジムリーダーへの挑戦権を得た。一際大きな孤島にある階段を上り、スタジアムへの入り口に歩を進める。

 さぁ、来やがれ煩い人!

 

 ――――――ワーッ、ワーッ! イェーイ!

 

 観客席は最初のジムとは思えない程に満員御礼。ガラルと同じく、地方興しの一環なのだろう。ならば、有終の美で飾ってやろうじゃないか。

 ……で、肝心のジムリーダーであるが、

 

「よく来たな、チャレンジャー! オレはジムリーダーのアマレ! よろしくな!」

 

 炎を思わせる焔色の髪と眼力のある瞳が特徴的な、キリッとした顔立ちの女性で、途轍もなくスタイルが良い。胸部ミサイルが無ければ、男と間違えていた事だろう。身長も元の私よりずっと高いし。

 だが、何よりの特徴は、その恰好である。ロングのセーラー服に指開きグローブを嵌めているというスケバン全開なコスチュームに、炎が描かれた朱色の羽織を纏っていて、おまけに刀まで持ってると来た。

 いやぁ、何と言うかねぇ?

 

『何やってんスか、煉獄さん……』

 

 思わずチャラトミみたいな口調になってしまった。

 それ程までに、アマレは女性版の煉獄 杏寿郎をしていた。これがおっぱいの付いたイケメンって奴か。とりあえず、鬼にならない?

 

「これまで何人もの挑戦者を見て来たが、オレのクイズに全問不正解する奴は、お前が初めてだ!」

『やかましいわ! 死になさい、煉獄 杏寿郎!』

 

 つーか、割と難しかったぞ、お前のクイズ。あと、最後の問題は引っ掛かるのが礼儀だろうが、馬鹿者めぇ!

 

「……しかし、幾ら知識が有ろうと、実戦で活かせねば意味は無い! さぁ、お前の強さを示して見せろ!」

『言われずともやってやらぁ!』

 

 ――――――ジムリーダーのアマレが勝負を仕掛けて来たッ!

 

「行けッ、キュウコン!」『クォオオオオン』

 

 アマレが繰り出したのは、日照り持ちのキュウコン。登場と同時に強い日差しが差し始め、快晴状態となった。

 最初のジムなので、アマレの手持ちは2匹。ゲームと違い、ジムリーダー戦に限っては、ポケモンの頭数を揃えなければいけないらしいので、私も2匹のみだ。

 面子はハウボルとアズレーン。他は戦闘力が足りないので、大人しく経験値だけを吸わせて貰おう。

 よーし、バトルじゃオラァッ!

 

『殺るぞ、アズレーン!』『ホロワーッ!』

 

 いやー、嬉しい鳴き方するねぇ。

 

「敵は鈍重なアズレーンだ! 何かされる前に畳み掛けるぞ! 「あやしいひかり」!」『キュォオオン!』

 

 しかし、素早さは圧倒的に負けているので、先手は譲ろう。なけなしのチーゴの実(ネオ・ボランティアからの支給品)を持たせているから鬼火でも良かったんだが、贅沢は言えないか。所詮、混乱は運ゲーだし。

 

『アズレーン、「あまごい」しないと煮て焼いて食うからなぁ!』『……ホォオオロッ!』

 

 そんなもの、私とアズレーンの絆には通用しないぜ!

 

「くっ……雨が降り始めたか!」

 

 降り始めた雨を前に、アマレが眉を顰める。

 そりゃそうだ、ほのお技が半減される上に、私のアズレーンは「うるおいボディ」だからな。元々キュウコンの火力はそこそこ程度だし、天候変化を特性に頼っているポケモンは日本晴れを持っていない筈。ダメージが回復に追い付かず、競り負けるのが目に見えている。勝てない要素が鬼火くらいしかない。

 さぁ、処刑の時間だぁ!

 

「キュウコン、「じんつうりき」!」『キュオオオッ!』

『アズレーン、耐えて「みずのはどう」を当てないと酒に漬けてやるからな~♪』『ホワワワッ!』

『コォォン……!』「キュウコン!」

 

 よっしゃ、混乱入った。あとはアクアリングを張って耐えるのみ!

 

「しっかりしろ、キュウコン! 「れんごく」!」『キャォオオン!』

『危なっ!?』『ホワァアアォゥ!?』

 

 こいつ、混乱しているのにロマン技撃って来やがった。一見するとただのヤケクソに思えるが、ポケモンの確率は0と100以外は信用出来ないから怖いんだよ。1/2の確率で確定火傷を叩き込まれるのは厳しい。

 これはアクアリングを張ってる暇は無いな。面倒な事になる前に、さっさと仕留めてしまおう。どうせ、次のポケモンはレボリアルしてくるだろうからな。

 

『アズレーン、「みずのはどう」!』『テョワワワワァン!』

『コォォン……』「くそっ、戻れキュウコン!」

 

 これでキュウコンは倒したが、問題は次だ。一体何を使って来る?

 

「これで終わりではない! 始まりなのだ! 行くぞ、ルージュラ!」『ムラムラジュラジュラムラジュラジュラ!』

 

 アマレの繰り出した切り札は、まさかのルージュラだった。

 しかも、このルージュラ、青い。蒼い炎が闘気となって燃え上がっている。図鑑によると、これはティアーザの姿で、ほのお/エスパーの複合らしい。マフォクシーと同じタイプってマジか。

 

「燃えよ、アマレ! 焼き尽くせ、ルージュラ! 煉獄の炎で火柱を打ち立てろ! 「レボリアル」だ!」

『ジュラァアアアアアアアアアアアッ!』

 

 さらに、予想通りレボリアル化し、とんでもない大きさになった。これ程嬉しくない巨人っ娘がいるだろうか。観客席は沸いてるけど。

 

『アズレーン、こっちも「レボリアル」だ!』『ホロォオオオオオン!』

 

 むろん、このままだといいように嬲られるだけなので、こちらもアズレーンをレボリアルさせる。炎の巨人と水の超獣が相対する様は、まさに大怪獣バトルである。

 

「食らえ、我が奥義「れんごく」!」『ジュラァアアムッ!』

 

 と、ティアーザルージュラが投げキッスの要領で煉獄を撃ち出してくる。これは必中化しているので、避けようがない。通常種と同じく特攻が高いのか、結構削られてしまった。

 

『ホォォォ……!』『耐えろ、アズレーン! そして、今度こそ「アクアリング」だ!』

 

 だが、そのくらいでアズレーンは落ちない。既にキュウコンを起点に場は整っている。アクアリングも張った。火傷もチーゴの実で消えている。仮にもう一度食らったとしても、雨は私の味方だ。回復出来ない状態異常など無い。

 あとは、攻め続けるのみ!

 

「そうはさせない! ルージュラ、「ばくれつパンチ」!」『ジュラムララァッ!』

『何ィ!?』『ホロァッ……!』

 

 また混乱かよ。というか、何故に爆裂パンチ。レボリアルに特化させ過ぎやろ、煉獄さん!

 

『ホァン!』『クソッ!』

 

 しまった、自傷して持続時間を減らしちまった。潤いボディは“状態変化”は消せないからな。

 

「今だ! 炎の呼吸・玖ノ型「レボリアルフレア」!」『ジュルゥウウッ!』

 

 その隙に、ティアーザルージュラが煉獄を変化させた「レボリアルフレア」を放って来た。ダイバーンと同程度の威力と日差しを強くする効果によって、一気に追い詰められた。

 その上、レボリアルも時間切れ。お互いに元通りになった事で、益々こっちが不利になった。

 

「仕留めろ、ルージュラ! 「サイコキネシス」!」『ジュララララッ!』

 

 そして、雨乞いをされる前に仕留めてしまおうという算段か、ティアーザルージュラがサイコキネシスで畳み掛けて来る。

 

『……ホロォッ!』

 

 しかし、何とアズレーンは悲しませまいと持ち堪えた。まさかのリアルタスキ状態だ。そこまで懐いてたのか……もしくは後が怖いと思ったか。どちらにせよ、このチャンスを逃す訳にはいかない。

 

『アズレーン、「あまごい」だ!』『ホロロッカァッ!』

「ルージュラ、「サイコキネシス」!」『ジュラァッ!』

 

 さらに、サイコキネシスを喰らうと同時に雨を降らせ、アズレーンは遂に力尽きた。良い仕事をしたぞ、アズレーン。後はボールの中で見ていろ。私が勝利する瞬間を! 

 

『仇を討て、ハウボル!  「まるくなる」からの「ストーンロール」!』『ボルボルボルッ!』

『ジュルァアアアアッ!』「くっ、戻れルージュラ!」

 

 そして、ハウボルのストーンロールコンボが決まり、ティアーザルージュラは倒れた。どうやら種族値の傾向は通常種と同じらしい。

 

「ハッハッハッハッ! 煉獄よりも熱い、素晴らしい試合だった! ワッショイ、ワッショイ!」

 

 こうして、割とギリギリの試合運びではあったが、トゥハーデジムをクリアする事が出来た。

 

「まさか、このオレが負けるとはな! 「フレアバッチ」を受け取ってくれ! それと、これはオレの奥義「れんごく」だ! 是非とも使ってくれ!」

『……どうも』

 

 さらに、最初の1つ目たる「フレアバッチ」と、あんまり嬉しくない技マシン45「れんごく」を貰った。誰に使えば良いんだよ、こんなロマン技……。

 

「ジム巡りはまだ始まったばかりだ! 誰もが頂点を目指し、強くなろうと足掻いている! 時には己の弱さや不甲斐なさに打ちひしがれる事もあるだろう! だが、そんな時こそ心を燃やし、歯を食いしばって前を向け! 君ならそれが出来ると、信じているぞ!」

『アッ、ハイ……』

 

 本当に最後まで暑苦しい奴だな、こいつは。

 まぁ、賞賛は素直に受け取っておくよ。褒められるのは普通に嬉しいからな。

 さぁーて、次はアデルがジムに挑む番だし、ゆったりと見学してますかねー。

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 ――――――超時空要塞「ブリガドーン」、来賓用寝室にて。

 

『……上手く行くでしょうか、父上』

 

 フヨフヨのクリッターベッド(キングサイズ)でスヤスヤと眠る鳴女とアデルの姿を見ながら、ベア子が不安そうに尋ねる。傍らではヴィクターが何かしらの機械(マシン)をせわしくなく弄り、夢の世界を安定させている。

 

『さてな。……あくまで、これは鳴女とアデルの問題だ。最後のチャンスを物に出来るかは、こ奴次第さ』

 

 ベア子の質問に、バックベアードは淡々と答えた。

 そう、これは彼らが用意した、アデルにとって一世一代の晴れ舞台(プレゼンテーション)。ここで鳴女の信頼を勝ち取り、アニエスを救う一手となるかを試されているのだ。

 

 二人の悪夢は、まだまだ続く……。




◆クラトン

・ティアーザ図鑑№007
・分類:ぶたばなポケモン
・タイプ:いわ/みず
・性別:あり
・特性:げきりゅう/そうしょく(隠れ特性)
・種族値
 HP:65
 こうげき:46
 ぼうぎょ:67
 とくこう:48
 とくぼう:67
 すばやさ:22
・図鑑説明
 非常に大人しく臆病なポケモンだが、食欲はかなり旺盛であり、常に水草を食んでいる。時には陸に上がってまで草を食べる食いしん坊。足がヒレになっている為、陸上では動きが殊更鈍い。
 人間による環境破壊に加え、持ち込まれたゼニガメとの餌の取り合いに負けて絶滅した。今こそ水中以外では鈍間なポケモンと認知されているが、昔はもっと素早く動けたらしい。甲羅に含まれる成分の一部が隕石に似ている為、宇宙から来たのではないか、とも言われている。
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