鳴女さんの令和ロック物語   作:ディヴァ子

72 / 116
 でんきタイプの使い手って割と色物が多い気がスル。


鳴女さんのマッタネーンジム攻略

 マッタネーンシティはブリスベンをモチーフにしているから、当然だが海辺のポケモンが多い。

 しかし、一番に多いのは、どくタイプのポケモンだろう。

 メノクラゲにドククラゲ、エボシカツラやギルネックスなど、割と洒落にならん毒を持つ輩が沢山いる。マッタネーンジムもそうだった。

 ならば、はがねタイプを用意して対抗すれば良いと思うかもしれないが、そうは問屋は卸さない。

 何故なら、ティアーザ地方のどくタイプは“必殺技”を習得しているからだ。それが「アシッドレイン」と「アシッドクロス」である。

 アシッドレインは文字通り“酸性雨”を降らせて攻撃する技(威力80/命中100)で、30パーセントの確率で火傷を負わせる追加効果がある。それだけなら熱湯のどくタイプ版だが、何とこの技、はがねタイプに効果抜群を取る事が出来るのだ。

 一方のアシッドクロスはアシッドレインの物理版であり、効果も完全に同じ仕様である。クロスポイズンを覚えられる奴なら大抵は習得出来るのも大きい。

 この二大武器によってどくタイプは大幅に強化され、はがねタイプは肩身が狭くなってしまった。

 特にクレッフィーやナットレイは実質的に4倍弱点を抱えてしまい、ティアーザ地方では採用率がかなり下がっているという。

 つまり、毒を以て毒を制すのが、一番の対抗策と言える。

 ストリンダーはでんきタイプも複合しているので、出来ればニドラン系統が欲しい所。それが無理なら、せめてじめんタイプが複合している何かが欲しい。

 

『……と言う訳で、お前、囮になれ』

「な、何で!? 放せ、放せぇ!」

『うるせぇ、早く死ね』

「うわぁああああっ!」

 

 という訳で、無理矢理引き摺って来たボブを森に放した。逃げられても困るので、ピクシーリングを没収しているけど、代わりにパイモンドを逃がした状態で未使用のフレンドボール(電車で貰った一点物)と一緒に預けたから、何とかなるやろ。

 

『パァイモォオオンドゥッ!』「ひぅ……!」

 

 ……うん、これは駄目かもしれんね。ボールを構えるどころか、委縮して動けなくなってるもん。

 でも、助ける気はない。使えないなら、せめて囮にはなってもらわないと。

 

『ブヴォオオオオッ!』「あうぅっ!」

 

 と、さっそくパイモンドが暴れ出した。このままこいつらがワチャワチャしていれば、好戦的なポケモンが寄って来る筈だ。

 さぁて、何が出るかな~?

 

『ガニァアアアン!?』

 

 すると、さっそく「げんこつポケモン」のガニモンクが現れた。

 クリスマスアカガニによく似たポケモンで、本来は孤島に棲んでいる種族なのだが、ペットブームで持ち込まれ、大陸のあちこちに生息域が広まったらしい。

 だが、タイプはみず/かくとうの複合。欲しいポケモンではない。このままボブに頑張ってもらおう。

 

『ゲェンコツゥ!』『モンドァッ!?』

 

 近くで暴れられて腹が立ったのか、ガニモンクがいきなりクラブハンマーを仕掛けて来た。パイモンドの無駄にデカい身体が吹っ飛ぶ。

 うーん、弱い。流石は特殊版イワーク。

 

「うぅぅ……い、今の内に――――――」

『誰が帰ってきて良いって言ったよ』

「げはぁっ!」

 

 逃亡犯がいたので、蹴り戻してやった。トレーナーがポケモンを見捨てちゃいかんでしょ(笑)。

 

「うわっ!?」『カニィイイン!』

 

 さらに、運の良い事にガニモンクの前に躍り出てしまい、標的がボブに変わった。偶然ではあるが、パイモンドを庇った形になる。感動的だね(笑)。

 

『ギギャギャギャギャ♪』

 

 ほーら、ボルデビサスも鎌を鳴らして笑ってる。やーいやーい、ざまぁ見ろ~♪

 

「ううぅぅ……ポケモンの……ポケモンの癖にぃいいいっ!」『カニァッ!?』

 

 しかし、ここでボブが火事場の馬鹿力を発揮。今までの鬱憤と悪夢で味わった絶望に対する八つ当たりとして放った体当たりからの突き上げが上手く決まり、ガニモンクの身体が宙に浮いた。

 

『モンドリャアアアアアッ!』『ヤナカニニィーッ!』

 

 そして、空中で身動きの取れなくなったガニモンクに、パイモンドのアイアンテールがクリーンヒット。クラブハンマーで負わされた傷の恨みを晴らさんとしたその一撃はガニモンクを一発でKOし、ラブリーチャーミーな敵役の如く星に変えた。今夜は蟹座がハッキリと見られるかもしれない。

 

「……助かったよ」

『モンドゥ……!』

 

 再び対面するボブとパイモンド。

 だが、さっきとは打って変わって、何処か相手を認めるような、そんな瞳で見つめ合っていた。おや、これはもしかして?

 

「……良いの?」

『パイモォン!』

「分かった……」

 

 予想通り、ボブの当てたフレンドボールに、パイモンドがすんなりと収まった。ボブが初めて手持ちのポケモンをゲットした瞬間である。

 

『――――――って、囮になんなきゃ意味ねぇだろ、このクソカス共がぁっ!』

「理不尽っ!」『モンドォムヨォーッ!』

 

 しかし、役割は全然果たしてないので、再度森へ追い立てた。その後もボブを囮にし続けたのだが、

 

「うひゃああああっ! た、たたた、頼むぅ、パイちゃん!」『パイモォオオンドォッ!』

 

 単にボブの修行パートになっているだけの気がするのは、私だけか?

 ちなみに、「パイちゃん」はパイモンドのニックネームであり、苦楽を共にする内にボブが自然と呼ぶようになった。

 ……いやねぇ、私もレベリングはしてるんだよ。

 手持ちの平均レベルが30近くに達したし、ヨルウィ、ハービィ、ムコニャの4匹は、もう少しで進化レベルになる。条件付きの奴ばっかりだけど。

 だが、お目当てのポケモンが中々出て来ない。私はじめんタイプが欲しいんだよ!

 

『マスタァアアアアッ!』

「ひぃいいいいいいっ!」

 

 しかし、私の願いも空しく、現れたのはガニモンクの進化形、ガニマスター(Lv28)。

 タスマニアオオガニの如くクソデカい蟹型ポケモンで、何とキングラーより大きい。ハサミはキングラーとは反対に右側が肥大化している。ステータスは見た目通りの重戦車で、攻撃力や防御面は高いが素早さは非常に低い。

 タイプにかくとうが入っている上にキングラーと同程度の技範囲を持っているので、パイモンドでは荷が重いだろう。

 まぁ、ガニモンクを瀕死にさせ過ぎたせいだから、ただの自業自得なのだが。

 

『ガニマタァアアアッ!』

 

 とか言っていたら、さっそくガニマスターがクラブハンマーを繰り出して来た。いわ/じめんタイプかつガラス玉ボディのパイモンドが食らったら、瀕死を通り越して即死してしまう。本当に見掛け倒しだな君は。

 

「避けて、パイちゃん! そして「ロックカット」!」『モンドァッ!』

 

 だが、イワークと同じく、その見た目に反してパイモンドは意外と素早い。あくまで“いわタイプとしては”だが、それでもガニマスターには先手を取れる。

 

「続けて「いわなだれ」だ!」『パイモォオオオッ!』

『ガニギギギッ……!』

 

 さらに、ロックカットで高速化した上で岩雪崩を食らわせ怯みを狙うという、理に適った戦法で本来なら格上のガニマスターを翻弄している。

 

「よ、よし、今だ! 行け、ルアーボール!」『マスターベーシ……』

 

 そして、ゴミ箱に捨ててあったルアーボールを使い、2匹目の手持ちとなるガニマスターをゲット。

 マッタネーンシティでは月に一度「ルアーボールセール」なるイベントが発生し、その日だけショップのおまけがルアーボールに変化する。似たようなイベントは各都市で発生しており、場所ごとに違うガンテツボールが手に入いる。

 そのせいか、ボブの手持ちはかなり豪華なボールに入っている。全部モンスターボールに収まっている私やアデルの面子とは対照的である。何気にバランスも良いし。

 ……って、違う違う違う。ボブの手持ち事情なんて、どうでも良いんだよ。

 いい加減、手頃なポケモン、出て来いやぁ!

 

『……ん?』

 

 その時、私の視界に“ソイツ”は現れた。

 ――――――それから三刻程。

 

『「あ」』

 

 私はマッタネーンジムの前で、アデルとバッタリ再会した。

 

「……今まで一体何をしてたんですか?」

『修行。そっちこそ、その様子だと勝てたようだな』

「はい、どうにか。お陰様でシダッパがジャラガンダーに進化しましたよ」

『おお、頑張ったじゃねぇの』

 

 あのナゾノクサ擬きも進化してドラゴンになったのか。感慨深いなぁ……。

 

「勝てそうですか?」

『もちろん』

 

 その為にレベリングをして、新戦力も手に入れたんだからな。

 

「……ところで、ボブくんはどうしたんです?」

『ん? 森に捨てて来たけど?』

「捨てて来たじゃないでしょうがぁっ!」

 

 アデルはプラトーンみたいなポーズで叫ぶと、森へ向かってRダッシュしていった。

 ま、そんな事より、いよいよ以て私自身がマッタネーンジムへ挑戦だ。

 

『頼もーっ!』

 

 とりあえず、挑戦者用の入り口からジムへ進み入る。

 

「あっ、アナタはさっきの喧しい観客!」

『じゃかあしいぞ、スマキング』

「そんな妖怪みたいな名前じゃありませーん!」

 

 先ずは一番手、対魔忍スマ。手持ちの強化具合を知りたいから、敢えて音ゲーには負けておいた。

 余談だが、今回の曲は「ドラえもんのうた」だった。何でやねん。しかも、踊りではなく、太鼓を叩く破目になった。趣旨を変えるな。

 

「うへへへ、勝ちましたよ!」

『いや、わざと負けたんだよ』

「ムッキィーッ! 減らず口をーっ! そんな悪い子は、あたしがお尻ペンペンしてやりますぅ!」

 

 ――――――バトルガールのスマが勝負を仕掛けて来たッ!

 

「行けぇ、エボシカツラ!」『エボリューション!』

 

 スマの先鋒はエボシカツラ(Lv23)。

 カツオノエボシをモチーフにしたポケモンで、触手の部分が電磁鞭のようになり、傘の部分に王蟲みたいな複眼が発生している。タイプはでんき/どく。

 

「殺ってこい、エルシアン!」『エルッシャォオオッ!』

 

 対する私の先鋒は「くろばポケモン」のエルシアン(Lv35)。

 ヨルウィの進化形であり、懐いた状態で夜にLv30以上にすると進化する。タイプはむし/あくの複合。全身が装甲で覆われ、頭に一本角が生えたラッフルズセセリのような姿をしており、色合いと凶悪な容姿のせいでバトラの成虫にも見える。

 待ちに待った進化形態という事で、モルフォンもビックリな種族値の暴力具合であり、覚える技もメガホーン(進化時)、ナイトバースト(Lv36)、破壊光線(Lv48)、プリズムレーザー(Lv62)と、全く以て容赦がない。補助技は若干物足りないが、蝶の舞を覚える時点で充分である。

 さらに、こいつにはある秘密兵器がある。

 

「エルシアン、「だいちのちから」!」『ギャォオオオン!』

「ウッソォ~!?」『エボララァッ!』

 

 それが、この大地の力だ。流石は地球意思の生み出した破壊神。じめん技もちゃっかり覚えてくれる。むろん、じめんタイプが4倍弱点のエボシカツラなど、一撃必殺だ。

 

「うぬぬぬーっ! こうなったら、お願いオトスパス!」『シャクトォオオッ!』

 

 おっ、次はオトスパスか。オクタンを使うようなジムだからな。違和感はない。でんきタイプのポケモンより明らかに強いけど。

 だが、無意味である。

 

「エルシアン、「エアスラッシュ」!」『エンダァアアアッ!』

「『オォーノォーッ!』」

 

 バタフリーが覚えられて、エルシアンがエアスラッシュを使えない訳ないだろ!

 という事で、初戦は問題なく突破。

 

「来たわね! アンタの連れには負けたけど、やられっぱなしのアタシじゃないわ!」

 

 お次は花魁道中のマキヲ。今回は普通に踊りだったけど、選曲が「オラはにんきもの」なのはどうなのか。結局はわざと負けるから、どうでも良いんだけどね。

 

「さぁ、今度はポケモン勝負でコテンパンにしてやるわ!」

『いよっ、人気者!』

「うるさーい!」

 

 ――――――バトルガールのマキヲが勝負を仕掛けて来たッ!

 

「ヤッチマイナー、キデビル!」『デモォーン!』

 

 マキヲの先陣を切るポケモンはキデビル(Lv25)。

 イエローデビルフィッシュによく似たポケモンで、でんき/あくという珍しい組み合わせのタイプを持っている。性能としては高速アタッカーであり、対を成すブルデビルよりも耐久力が低い。

 

「エルシアン、「メガホーン」!」『ギゴァアアヴヴッ!』

『デビデビィーッ!』「ぐわばぁーっ!」

 

 それはつまり、エルシアンに一撃で倒される、という事だ。

 

「クッソーっ! 仇を頼むよ、カラマネロ!」『ラクゥーケン!』

 

 アッサリとキデビルが負けたのを受けて、マキヲが切り札のカラマネロを繰り出して来た。烏賊の癖に馬鹿力でビルドアップする脳筋野郎である。

 

「いや、普通に「メガホーン」するわ」『エンドォオオン!』

『イカァアアアッ!』「イヤーン!」

 

 もちろん、筋トレなんぞさせる間もなく、メガホーンで一発だ。本当に何なんだよ、このジムは。軟体動物を切り札に設定するなよ。

 さて、続くヒナツルは手の内が分かっているので、普通にゲームに勝って先へ進んだ。来るとは思ってたけど、何が悲しくて「サザエさんのうた」を熱唱せにゃならんのじゃーい。

 そして、遂にこの時が来た。

 

『さてと……茶番劇はここまでにしようか』

「言ってくれるじゃねぇか。だが、その派手に高い鼻っ柱、今すぐにへし折ってやんよ!」

 

 ――――――ジムリーダーのホウセンが勝負を仕掛けて来たッ!

 

「派手散らかせ、ストリンダー!」『ゲンキサンバァ~イ』

 

 ホウセンの初手はもちろん、ハイなストリンダー……って、あれ?

 

『おまっ……何でロウなストリンダーになってんの!?』

「ジムリーダーは、対戦相手のレベルに合わせてポケモンをある程度(誤差が2レベル以内まで)変えられんのよ!」

『ズルい!』

「いや、ズルではねぇだろ……」

 

 いいや、ズルい。何気にレベル35だし。技構成は「どく+でんき+音技+補助技」って感じかな。

 しかし、そっちがそう来るなら、こっちにも考えがある。選び抜き、鍛え上げた、私のポケモンを見るがいい。

 

『行け、エルシアン!』『ギゴァアアヴヴヴッ!』

 

 私の一番手はエルシアン。大地の力で弱点を突けるからね。素早さでも勝ってるし、早々にストリンダーを倒して切り札を引っ張り出す。その上で“新たな切り札”で何もかも吹っ飛ばしてやるのである。

 

「ハッ、甘いんだよ! 「エレボリアル」だ、ストリンダー!」『ジュラアアアアアアッ!』

『なん……だと……!?』『エルァッ!?』

 

 だが、ここで予想外の事が起きた。何と後続ではなくストリンダーがレボリアルしたのだ。それも「エレボリアル」という、ダイマックスで言うキョダイマックス形態を披露して。

 四つん這いだったキョダイマックスの姿に対して、こちらは二足歩行であり、尻尾が雷神の太鼓のようになっている。派手にカッコいい。

 しかし、そっちがエレボリアルするなら、こっちだってレボリアルしてやらぁ!

 

『エルシアン、こっちも「レボリアル」だ!』『ギゴォァヴヴヴン!』

 

 オラオラァッ、大怪獣バトルの始まりだぜぇ!

 

「フン……なら派手に痺れろ、「でんじほう」!」『バリバリッチャァッ!』

『ぐぉおおおっ!?』『ゴアァアアアアッ!』

 

 くっ……何故、先手を!?

 

「エレボリアルってのは、一部の能力が二段階上昇した状態で固定されるんだよ!」

『マジかよ……!』

 

 これでエルシアンは麻痺して、先手を取るのは絶望的――――――、

 

『なぁんて言うと思うかぁ! 「クラボのみ」で麻痺を治癒して「ちょうのまい」!』

「何だとぉ!?」

 

 持ってて良かった、クラボの実と蝶の舞(思い出し技)。これで速さは上回ったぞ!

 

『死ねぇ! 「ナイトバースト」!』『エルダァアアアアアアアアッ!』

「ぬぐぉ!? このっ……「エレボリアルベノム」!」『ドックラァッ!』

『うごはぁっ!』『グゥゥゥ……!』

 

 エルシアンのナイトバーストがストリンダーを抉ったが致命傷には至らず、アシッドクロスを上書きした「エレボリアルベノム」で猛毒状態にされた上に、場を「ポイズンフィールド」に変えられてしまった。どくタイプ技の威力が上がる事に加え、どくタイプ以外はスリップダメージを受けるという、とんでもないフィールドである。

 だが、死なば諸共よぉ!

 

『関係あるかぁ! 「エアスラッシュ」!』「「まもる」!」『この……「ナイトバースト」!』「ぐぉおおおっ!?」

『バリレナイィィ……!』『エンドォォ……!』

 

 ストリンダーは何とか時間稼ぎをしようとしたが、一度蝶の舞を発動しているエルシアンの攻撃を受け切れる筈もなく、短期決戦のゴリ押しで道連れにする事が出来た。

 これでお互いに1匹ずつ。文字通りのラストバトルだ。

 

「派手に勝って来い、ナマルゴン!」『ガヴヴヴァアアアアアッ!』

 

 ホウセンの大将はナマルゴン(Lv36)。

 鰭がアンテナになり、頭部にお化け染みた眼球が発生した、金色のクリオネと言った感じの姿で、タイプはでんき/ドラゴンという、ゼクロムと同じ組み合わせである。こちらは基本特性が雨降らしで、特殊アタッカー型だが。

 

「殺って来いやぁ、ラランテスぅ!」『しゃらんらしゃらんら~♪』

 

 対する私は、さっき捕まえて進化まで漕ぎ着けた、ラランテス(Lv34)だ。

 色違いの個体であり、本来ならティアーザ地方には生息していない筈なのだが、何故か森に1匹だけ佇んでいた為、レベルが制限ギリギリの19だった事も相俟って、衝動的に捕まえてしまった。

 はっきり言って、見た目の華やかさと人気に反して、バトル性能は良くない。

 しかし、私はこいつに惚れ込んだ。この何者にも縛られる気のない、自由で不貞腐れた瞳の色に。

 それに、こいつはただのハナカマキリ擬きじゃないんだよ。

 

「吹き荒べ、ナマルゴン!」『ザァザアアアッ!』

 

 ナマルゴンの特性によって雨が降り始める。確かこいつ、「くもがくれ」とかいう意味不明な技を早い段階で覚えるんだよな。単体で使うとただの影分身だが、雨が降ってると最高段階まで回避率が上がるんだっけ。

 だが、このラランテスは一味違うぜぇ!

 

『ラランテス、「にほんばれ」!』『しゃららら~ん!』

「何ィ、先制されただとぉ!?」

『こいつは「せんせいのツメ」を持ってるんだよぉ!』

 

 ※ムコニャが野生ポケモンから泥棒しました。

 

「くっ……「くもがくれ」だ!」『シュシュシュシュッ!』

 

 やっぱり使って来たか。

 しかし、雨が止んでいれば単なる影分身よ!

 

『食らいやがれ! 必殺、「あまのじゃく」の「ばかぢから」!』『シャララララァーン!』

「うごぉっ!?」『ナマァアアルッ!』

 

 どうだこの野郎。カラマネロと違って両刀型だから、逃げ切れはしないぜ!

 

「この野郎! 「りゅうせいぐん」!」『ゴロゴロゴロォ!』

『ドワォ!?』『しゃらぁ~ん……!』

 

 り、龍星群んんん~!?

 テメェ、それがジムリーダーのやる事かぁ!

 だが、流石に一発じゃ落ちないぞ。これで止めだぁ!

 

『ラランテス、「ばかぢから」!』『シャラァアプッ!』

「くぅぅ……ナマルゴン、「かみな――――――」

『「ソーラースラッシュ」!』『シャラッシュゥウッ!』

『ナマナマシィイイイ!』「クソッ、戻れナマルゴン!」

 

 快晴のおかげで怒涛のラッシュを食らわせ、どうにかナマルゴンを落とし切った。タイプ相性なんて、レベル積んで殴り勝てば良いんだよぉ!

 

「チッ、仕方ねぇ。負けは負けだ。「エレキバッチ」を受け取れ。ついでに、この技マシンもな。中身はもちろん、「でんじほう」だぜ!」

『……どうも』

 

 こうして、私は絶対に欲しかったエレキバッチと、お断りしたくて仕方ない技マシンの電磁砲を受け取るのだった……。




◆ムコニャ

・ティアーザ図鑑№016
・分類:ねこまたポケモン
・タイプ:あく/どく
・性別:あり
・特性:どくしゅ/するどいめ/えんかく(隠れ特性)
・種族値
 HP:40
 こうげき:55
 ぼうぎょ:25
 とくこう:50
 とくぼう:30
 すばやさ:100
・図鑑説明
 夜行性で闇に紛れて獲物を狩る。その爪には強力な毒が有り、引っ掻かれた者は忽ち命を奪われてしまう。毒の強さは変幻自在で、時には弱い毒で相手を洗脳し、棲み処に案内させてから一網打尽にするなど、悪知恵が働く。
 また、夜な夜な高い所に上っては月の光を吸収し、進化のエネルギーを溜めていると言われ、その力を使って死者を蘇らせ、遠隔操作する事が出来るらしい。
 一方で犬ポケモンには滅法弱く、ガーディなどに吠えられればたちどころに逃げ出すという。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。