鳴女さんの令和ロック物語   作:ディヴァ子

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 オラは釣りキチ?


鳴女さん、ドロンゴルシティへ

「はぁ……はぁ……っ!」

『お、生きてたのか。……惜しい!』

「惜しいじゃないよ! 僕はまだ死にたくないんだよぉ!」

 

 残念ながら、ボブは無事だったようだ。本当に惜しい。

 しかも、手持ちがもう1匹増えている件について。生き延びた上にポケモンをゲットするとは、やるじゃな~い♪

 

「鳴女さん、ボブを捨てちゃ駄目って言ったでしょう」「そんな犬みたいな……」

『だって家じゃ飼えないし、良い人に拾って貰った方が……』「偽善者めがっ!」

 

 そういう奴がいるから、捨てポケが無くならないんだぞ、とボブは捲し立てた。お前も随分丸くなったじゃないか。全ては私のおかげだな。感謝して貢げ。

 ちなみに、私たちは今、電車には乗っていない。ボブが電車恐怖症を拗らせたので、ポケモンにライド中である。ボブはパイモンドに、アデルはウルファングに、私はボルデビサスに騎乗している。パイモンドが地を這い、ウルファングとボルデビサスが空を行く感じだ。この中ではウルファングが圧倒的に速いが、ある程度は歩調……というか、飛行速度を合わせてくれているので、何ら問題はない。

 あるとしたら、旅路の夜が宿無し野宿で確定している事だろう。それもこんなパサパサした場所で。何で文明の利器がそこにあるのに、使えないんだよ。やっぱり置いて行こうぜ、その生ゴミ。

 

「あ、ワルビルの群れだ!」

『『『『『ビアビアビアァール!』』』』』

 

 と、砂地を直走っていたからか、ワルビルの群れが現れた。

 ドロンゴルシティに続くM1番道路は、基本的に海岸沿いなので緑も多いが、波打ち際故か宿泊施設がまるで無く(ビーチはある)、間を繋ぐクラビトンタウンまで結構ある。

 逆に少し内陸に寄れば小さな町が幾つかあり、休める場所も多いが、人の手が加わっているせいか所々が乾燥しており、こうしてじめんタイプやいわタイプに襲われる事になる。

 まぁ、有利だから別に良いけど。精々経験値にしてやるぜ。

 

「パイちゃん、「いわなだれ」!」『パイモォオンドォッ!』

『ウルファング、「れんごく」!』『ウルフォオオオオッ!』

『ボルデビサス、「ソーラーレイ」!』『ビザァアアアォ!』

『『『『『ビアガーデェエエン!』』』』』

 

 レベル40に差し掛かろうとしている、私たちのエースポケモンの容赦のない攻撃が降り注ぎ、ワルビルたちは砂の海に沈んだ。

 余談だけど、今の面子はこんな感じ。

 

《私のメンバー》

 

◆ボルデビサス(いわ/くさ) Lv38(♀):「ストーンロール」「そらをとぶ」「ソーラースラッシュ」「ソーラレイ」

◆エルシアン(むし/あく) Lv36(♂):「メガホーン」「エアスラッシュ」「だいちのちから」「ナイトバースト」

◆ヒドクーイ(どく/ひこう) Lv36(♀):「どくどく」「はねやすめ」「エアスラッシュ」「アシッドレイン」

◆アズレーン(くさ/みず) Lv37(♀):「ねっとう」「ギガドレイン」「アクアリング」「あまごい」

◆ムコニャル(あく/どく) Lv34(♀):「つじぎり」「アシッドクロス」「シャドークロー」「つきのひかり」

◆ラランテス(くさ) Lv37(♀):「ばかぢから」「ソーラースラッシュ」「にほんばれ」「リーフストーム」

 

《アデルのメンバー》

 

◆ウルファング(いわ/ほのお) Lv39(♂):「アクセルロック」「ジュエルスプラッシュ」「れんごく」「そらをとぶ」

◆クラトン(いわ/みず) Lv40(♀):「ストーンバレット」「なみのり」「アクアジェット」「まもる」

◆ジャラガンダー(くさ/ドラゴン) Lv42(♂):「リーフブレード」「アクアブレイク」「ドラゴンクロー」「スケイルノイズ」

◆イオーム(エスパー/ひこう) Lv36(♀):「じんつうりき」「おしゃべり」「エアスラッシュ」「うたかたのアリア」

◆カロンダイト(むし/あく) Lv34(♂):「アシッドクロス」「つじぎり」「ネバネバネット」「きゅうけつ」

◆ジャカロップ(フェアリー) Lv40(♀):「ムーンフォース」「おねだり」「つきのひかり」「メガホーン」

 

《ボブの手持ち》

 

◆パイモンド【パイちゃん】(いわ/じめん) Lv49(♀):「いわなだれ」「じしん」「とぐろをまく」「まもる」

◆ガニモンク【モンくん】(みず/かくとう) Lv47(♂):「クラブハンマー」「アームハンマー」「まもる」「ビルドアップ」

◆チャバヌキ【チャバ】(ノーマル/くさ) Lv38(♀):「きりさく」「リーフブレード」「やどりぎのタネ」「みきり」

 

 うん、皆して鍛え過ぎやろ。殆ど最終進化形態になってるし。私の手持ちも無進化であるアズレーンを除けば、進化し切っていないのはボルデビサスだけである。「クィーンのすがた」と「プレトリアンのすがた」のどっちにするか迷ってるから、まだ進化はさせないけど。

 それはそれとして、ボブも結構育てたな。最高レベルがダイパの伝説(Lv47)を超えてるじゃん。パイモンドは進化条件がクソ程面倒臭いから仕方ないとは言え、もうすぐ50代はヤバくないか。これは素直に凄いと思う。

 うーん、私もポケモンにニックネーム付けてみようかなー。

 と言うか、そろそろ寝よう。朝からぶっ続けで走り続けたけど、流石に1日は無理だった。せめて町に辿り着きたかったけど、思った以上に砂地のポケモンに足止めされたから仕方ない。

 

「ボブくんも、大分ポケモンに慣れましたね」

 

 月明りをバックに、馬鹿デカい洞窟の中で焚火を囲んでいると、アデルがポツリと呟いた。彼女の目の前では、パイモンドとガニモンクに背もたれ、チャバヌキをヨシヨシしているボブの姿があった。お前、実はセカンドネーム「ハルモニア」だろ。

 そもそも、ボブという名前自体がこいつの本名ではない。死んだ誰かの物を名乗っているだけだ。中身と雰囲気が全然一致してないしな。

 

「いや、そんな事は……」

 

 思わず否定するボブだが、説得力が皆無である。もういいじゃん、ポケモンはトモダチで。

 

「いやいや、素人目から見ても、ボブくんはポケモンと仲良くなれてますよ」

「そうかな?」

「ええ、そうです。だから、もう少し自信を持った方が良いですよ。お互いの為にもね」

「……はい」

 

 それでも微妙な顔をする辺り、こいつのポケモンに対するトラウマは相当だな。一体どんな殺され方で家族を失えば、ここまで闇が深くなるんだ?

 私には分からん感覚だな。

 

『……って言うかさ、あんまり肩入れし過ぎなんじゃねぇの?』

「そんな事は……」

『仮にそうだとして、無意識な方が問題あると思うがね』

「………………」

 

 まったく、どいつもこいつも。そんな有様じゃ、別れが辛くなるだけだろうに。

 この私を見習え。私はお前らの事、壊れにくい玩具ぐらいにしか思って無いんだぞ。もしくは将来的なオヤツだね。と言うか、アデルは何時になったら気付くのかな。早くネタばらしをして「楽しかったぜ、お前との友情ごっこ」って言わせてよー。

 まぁ良いさ。私は私の生きる道を進むのみ。

 さーて、寝よ寝よ。オヤスミナサト~♪

 さてはて、やって来ましたよ、ドロンゴルシティ。

 モデルはオーストラリアのシドニー。オペラハウスやキモイ顔のパークがあるアソコである。建物のデザインが独特で、とりあえず印象には残るって感じだ。

 マッタネーンシティ以上の湾岸都市であり、ティアーザ地方の交易の殆どを担っている世界都市であり、先の名所が点在する観光都市でもある。その為、ここが首都だと勘違いされる事も多いとか。

 しかし、私の目的は観光などではない。ジム戦である。前回はアデルを生贄にしたので、今回は私が先陣を切って進ぜよう。

 ……いや、待てよ?

 

『よし、今回はお前が行け』

「何で!? ボクはトレーナーじゃないんだけど!?」

『いやいや、3匹もポケモン持ってるじゃないですかー』

「そんな事言われても……」

『つーか、お前のせいで電車に乗れなかったんだから責任取れや』

「……はい」

 

 という事で、有無を言わさずボブをジムへぶち込む。敵情視察って奴だ。その間に、私たちは観光でもしてよう。

 

「いえ、私はボブくんの応援に行きます。初めてのジム戦は緊張するでしょうから」

『止めはしないんだな』

 

 まったく、お前は本当に変な所でお人好しだな。昨日あまり入れ込むなって注意したばかりだろ。

 ま、良いさ。私一人で楽しんじゃうもんね~♪

 

『さーて、何処に行こうかなー』

 

 オーストラリアと言ったらオペラハウスってイメージあるけど、音楽は自分で弾くって感覚だから、見た目しか楽しめないんだよなぁ。かと言って、真昼間からラグビーを観たいとは思わないし……。

 

『そうだ、動物園に行こう』

 

 現実で言うタロンガ動物園に相当する施設があった筈。サファリゾーンやノモセ大湿原の例に倣えば、ここにも珍しいポケモンが陳列されてるだろうし、ワンチャン1匹くらい記念で手に入るかも。駄目なら奪い取ってやる。

 という訳で、お邪魔しまーす♪

 

「ワッハッハッハッ! ここで会ったが百年目ぇ!」

『――――――って、何でお前がここに居るんだよ』

 

 だが、入園と同時に見慣れた奴と出くわした。もちろん背は縮んでるし、何故か赤ずきんみたいな恰好をしているが、間違いなく零余子である。

 

「何でなんだと聞かれたら、答えてやるが世の情け! 私に黙って面白そうな事をしているから、参加配信する事にしたのよ!」

『配信だぁ?』

「……ああ、そっか。アンタ、事情を知らずにinしたんだもんね」

『勿体ぶってないで早く教えろよ、レッドキャップ』

「人を殺人鬼扱いしないでくれる? ……そんなに知りたきゃ、ポケモンバトルよ!」

 

 さらに、どういう訳か、ポケモンバトルをする事になった。場所が入り口付近のバトルコートだから良いけど、何でやねーん。

 

『そもそもお前、ポケモン持ってるんか?』

「ご心配なく! きちんとクロックアップでティアーザ地方のポケモンを揃えて来たわよ!」

『仮面ライダーかお前は』

 

 何だか知らんが、この宇宙の法則を乱す手段を持っているようだ。教えろ、その方法を!

 

「バトル形式は50フラットで、手持ちは3匹! お互いの指揮能力が物を言うわ!」

 

 ――――――野生の零余子が勝負を仕掛けて来たッ!

 

「行って、ディプソーン!」『フォオオオンッ!』

 

 零余子の初手はディプソーン。

 化石ポケモンの一種で、プリンカラーになったディプロドクスのような姿をしている。タイプはアローラゴローニャと同じく、いわ/でんき。見た目通りに鈍重だが技と特性が優秀であり、雨降らしで雷を必中にしつつ高い特攻で一撃必殺を狙ってくる。長い尻尾と太ましい身体のおかげで物理技も充実していて、攻めに関しては申し分ないステータスである。

 しかし、いわにでんきという弱点の多い組み合わせ故に、思ったよりも耐久力がなく、長期戦には向いていない。特に4倍弱点のじめん技を受けると、ほぼ確実に瀕死となる。そこら辺をどう補うかが、トレーナーの腕の見せ所だろう。

 ふむ、雨が降り始めた事を鑑みるに、おそらく雨パの起点役としての採用かな?

 

『殺れ、エルシアン!』『ギゴォァヴヴヴンッ!』

 

 だが、残念。私の先頭はエルシアンだ。お前のいわ技で弱点を突かれるが、逆にこちらからもじめん技で4倍弱点を突き返せる。

 

「ディプソーン、「パワードジュエル」!」『ディプロオオス!』

『ぐぬぉっ!?』『ゴヴヴヴッ……!』

 

 何ィ、先制されただとぉ!?

 素早さ種族値がハウボル系統とタメを張れるくらいにすっトロいこいつが何故……ハッ、まさか!?

 

「その通り! 「せんせいのツメ」を持たせているのさ! 丸子ちゃんのLUCKブーストは、アンタだけの特権じゃないのよ!」

『チッ……やってくれる』

 

 しかし、運が良いのはお前だけじゃないのさ!

 

『だが、弱点を突かれた事により、「じゃくてんほけん」の効果発動! 攻撃と特攻を二段階上げてやるぜ!』

「なっ……それは序盤で手に入るような物じゃ――――――」

『さっき入り口で100万人入園記念で貰った』

「そんな馬鹿なぁ!?」

『馬鹿はお前だけだ! 私に逆らった事を後悔して死ぬがいい! 「だいちのちから」!』

『ゴヴォァアアアアアッ!』『フォォオオ……ッ!』

 

 先ずは1匹目。ディプソーンをパワーアップした大地の力で叩き落してやった。

 

「クソッ! こうなったら……行け、アロウズ! 大地を照らせ!」『ガヴォオオオッ!』

 

 次なるポケモンはアロウズ。

 こいつも化石ポケモンの一種で、アロサウルスをベースにカルタノサウルスの角とテリジノサウルスの前足をくっ付けたハイブリットな怪物であり、ガチゴラス並みの体格からは考えられない素早さで敵を延々追い回し、爪と牙で八つ裂きにして弱らせるという、実にアロサウルスらしい襲い方をするポケモンである。タイプはガチゴラスと同じ、いわ/ドラゴンタイプ。

 ただし、特性はまるで別物で、かたいツメで物理攻撃力を上げるか、日照りで先制ソーラースラッシュで意表を突いてきたりと、結構トリッキーな戦い方をするのが特徴。そもそも見た目の割りに耐久力が無いので、搦め手を使わざるを得ないのが現状と言えるか。

 

「「ダイヤクロー」!」

『ジュラァアアッ!』『ギゴォヴァアアッ……!』

『くっ、戻れエルシアン!』

 

 流石にガチゴラス並みのタイプ一致技を耐えるのは無理か。

 だが、わざわざ晴れにしたのが命取りだ。何処ぞのドラゴンストーム(笑)よろしく、天候変化で自らの首を絞めるがいい!

 

『行け、ボルデビサス! 「ソーラースラッシュ」!』

「「ソーラースラッシュ」!」

『無駄無駄無駄ァッ! 突破不可能よぉ! 「ソーラーレイ」で止めを刺せ!』

『ギギャアアヴォッ!』『ゴギャァッ……!』

 

 互いに等倍であり、向こうの手数の方が多いものの、耐久力は圧倒的にこっちの方が上なので、普通に殴り勝った。やーいやーい、ジュラ紀の代表格やーいやーい♪

 

「クッソーッ! 仇を取れ、ストレゴン!」『ボヴォァアアアッ!』

 

 最後の1匹も、これまた化石ポケモンのストレゴン。

 名前からお察しの通り、ジュラ紀の代表的草食恐竜であるステゴサウルスがモチーフで、見た目も殆ど原典に近いが、肩にスパイクが生えていたり、背中の骨板が刀剣のようになっていたりと、トウジャンゴサウルスやケントロサウルスの要素も見受けられる。タイプは意外な事に、いわ/くさの複合。ただ、はがね技もそこそこ覚えるので、全く関係ない訳ではない。

 

『戻れ、ボルデビサス!』

 

 基本特性が草食であり、くさ技メインのボルデビサスでは勝ち目が薄いので、ここは素直に退いておく。

 

『ぶっ殺せ、ラランテス!』『しゃらんらしゃらんら~♪』

 

 だから、お前の相手は別の草だぁ!

 

「げっ……!」

 

 今更後悔しても、もう遅い!

 

『食らえ、「ばかぢから」!』

「「ニードルガード」!」

『焼け石に水でしかないぞ! 「ばかぢから」「ばかぢから」「ばかぢから」「ばかぢから」!』

『シャラップゥ!』『ボワヴォッ……!』

 

 幾ら守って反射ダメージを入れようと、この脳筋スタイルに勝てる訳が無ぁい!

 

「逃げる!」『逃がすかぁ!』「いいや逃げ切る!」

 

 しかし、勝負が決した途端、零余子は即行で逃げ出した。何てすばしっこいメスガキだぁ!

 

『チッ、白けたな。……仕方ない、ジムに挑むか』

 

 そろそろボブも終わった頃だろうし、お開きと行こう。

 

『勝負だコラァッ!』

 

 と言う事で、私はスタジアムの前へ舞い戻った。ドロンゴルジム戦、開始である。

 そして、扉を開けた、その先に待っていたのは――――――、

 

《お~っと、アデル選手、これは大きいコイキングを釣り上げたぁ!》

『なぁにこれぇ?』

 

 三度の飯よりフィッシングな、釣りキチ共がコイキングを跳ね上げていた。




◆レディバ(ティアーザのすがた)

・全国図鑑№165
・分類:ながれぼしポケモン
・タイプ:むし/かくとう
・性別:あり
・特性:てつのこぶし/ふみん/テクニシャン(隠れ特性)
・種族値
 HP:40
 こうげき:80
 ぼうぎょ:30
 とくこう:20
 とくぼう:40
 すばやさ:55
・図鑑説明
 夜行性のポケモンで、流れ星の夜が特に活発になる。その昔、星に乗って空から降って来たと言われており、地元では“流星の化身”と呼んで神聖視している。温厚な性格で時には人助けもするが、悪人は不思議なボールに閉じ込めて連れ去ってしまうという。捕まえた悪人には、改心するまで責め苦を与えるらしい。
 最近の研究により、驚異的な超能力を持つイオルブたちに対抗する為、拳を捨て去り、群れて守りを固めた事が分かった。
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