鳴女さんの令和ロック物語   作:ディヴァ子

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 清水に不魚住。


鳴女さんのドロンゴルジム攻略

『何ズラ、これは?』

「いや、訛られても困るんだけど……見ての通りだよ」

『見ての通りだから困ってるんだよ』

 

 一先ず、ジム戦を終えたらしいボブに話しかけてみたのだが、やっぱり意味☆不明だった。何で皆して釣りしてるんだよ。

 

「おっと、ヒンバスが釣れましたね」

 

 あと、何でジェフリル(OMAE)まで一緒にフィッシングしてんだよ、仕事しろよ。

 

「地方巡業の休憩時間ですが、何か?」

『お疲れ様です』

 

 スマイル団は真面目に働いてるなぁ……。

 というか、どういう状況なんだ、これは。

 

「このジムでのミッションは釣りなんだ」

『そりゃあ、見れば分かるけど、勝利条件とかどうなってんの?』

「うーんとね、ジムトレーナーと一緒に釣りをして、より大きい魚を釣った方が勝ちなんだけど……」

『その口振りだと、他にも色々と条件がありそうだな』

 

 現に今し方、ジェフリルがヒンバス釣り上げたしな。

 たぶん、基本的にコイキングが多いけど、極少数だが他の魚ポケモンも混じっているのだろう。おそらくだが、そちらの方が点が高い。

 だが、単純にそれだけを狙えば良いという訳ではなく、何処ぞのアプリよろしく模様によってはコイキングが得点を上回る可能性もある。かと言って、水中の魚ポケモンをハッキリと見分けるのは、素人では難しい。

 つまり、なるべく大きくて活きの良い物を選びつつ、僅かな光具合の差を決め手にするのが一番良いだろう。

 そうと決まれば、先ずはフィッシングだ。割と釣りは好きなんだよね。あの独特な待ち時間が心地良いのよ。

 

「よく来たね、チャレンジャー。早速だけど、一緒に釣りをしようよ。勝ったらそのまま先に進んで良いからさ」

 

 何処か日本の山奥を思わせる馬鹿デカい釣り堀(湖)の一角に、最初のトレーナーが居た。名前はマコモというらしい。ちょっとボサついたセミロングの黒髪と翡翠の瞳が特徴の可愛らしい女の子で、花柄のスクール水着と水玉模様の浮き輪が眩しい「浮き輪ガール」である。

 お前、釣りする気あるんか。狐のお面をお祭り気分で付けやがって。

 ま、良いさ。とりあえず釣ろう。使うのはお互いにボロの釣り竿で。

 

「『………………』」

 

 うーん、この、

 

「あっ!」『引いてる!』

 

 よし、タイミングはほぼ同時。問題は何が釣れるかだな。魚影を見る限りコイキングばかりのようだし、模様と大きさで勝負するしかない。

 ……果たして、結果は?

 

「あちゃー、三色ニシキのコイキングかー」

『よっしゃ、ツートンの赤いコイキングだぜ!』

 

 レア度はツートンの方が上だから、私の勝ちだ。幸先良いね。

 

「いきなりレア物を釣り上げるだなんて、凄いね! 普通はここでニシキを釣っちゃう所なんだけど」

『ワハハハハ! 私は運が良いのさ!』

 

 何せ家には座敷童子が居るからな!

 さて、次は誰かな~?

 

「……来たな。さぁ、さっさと竿を構えろ」

 

 ドロンゴルジム第2の刺客はサビト。錆び付いた赤髪に右頬の抉れた傷が特徴的な、将来はイケメンに成長しそうな男の子だ。未来があればだけど。

 だってこいつ、海パン姿なんですけど。やっぱり狐のお面を付けてるし。マコモといいこいつといい、フィッシング舐めてんのか。

 いや、確かにポケモンの釣りは、現実のように難しくはないけどさ。コイキングばっかりだし、阿保みたいに食い付くし。

 

「『………………』」

 

 何だろう、微妙に息苦しいんだけど。さっきのゆったり空間を返して。

 ちなみに、今回は良いボロの釣り竿。良いボロって何、舐めてんのか?

 

「……来たッ!」『こっちもだ!』

 

 今回もまた同時。釣れたのは、

 

『よっしゃ、金ぴかのコイキン――――――』

『ホォグルドォ!』

『――――――ぐぅ?』

 

 色違いの金ぴかなコイキングだったのだが、通り縋ったオニドリルがハヤテの如く掻っ攫ってしまった。そこはピジョンじゃないのかよ。無駄に色違い用意しやがって!

 

「フッ……オレの勝ちだな」

 

 一方のサビトはウェーブのピンク。アラベスクタウンに引っ越しちまえ。そのまま意地悪なパープル婆に揉まれて来い。

 ……クソッ、釣った魚(・・・・)で勝負をする以上、釣果を掬われた私の負けは確定である。

 つまり、ここからはポケモンバトルだ。

 

「そして、次もオレの勝ちだ!」

 

 海パン姿で言われてもなぁ……。

 

 ――――――海パン野郎のサビトが勝負を仕掛けて来たッ!

 

 字面もヒデェ!

 

「行け、マリルリ!」『ルリマリィ~ン♪』

 

 サビトの初手はマリルリ(Lv35)。伝説上の生き物(ドラゴンタイプ)を正面から殴り倒す、力持ちな「みずうさぎポケモン」である。等倍でも充分に危ない。

 つーか、今更だけど、ここ、みずタイプのジムなのね……。

 

『殺ってこい、ヒドクーイ!』『ヒュィイイウッ!』

 

 よーし、ここは素直にどくタイプで攻めよう。出番だヒドクーイ(Lv36)。こいつは強いぜ!

 

『食らえ、「アシッドレイン」!』『ヒュィィィッ!』

「くっ……!」『ルリリィ……!』

 

 何故なら、こいつは滅茶苦茶速いからな。百舌鳥の名は伊達じゃない。蜂鳥なんて目じゃないぜ。ついでに火傷も負わせたし、本当に優秀な子だわ。ジム戦では今回が初陣だけど。

 しかし、流石はマリルリ。特性を活かせていない頃から変わらない、その耐久力は純粋に脅威だ。

 

「――――――見えた、隙の糸!」『ルリァッ!』

『ヒュィアッ!?』『嘘ぉ!?』

 

 さらに、何とこいつ、的確に急所に当てて来やがった。道具や特性、技の効果ではなく、長年の研鑽によるものだろう。おのれ鱗滝ィ!

 クソッ、ヤバいヤバいヤバい、あるかもしれないとは思っていたけど、ヒドクーイが一撃で落とされるとは。言っちゃ悪いけど、この子クロバットより耐久力あるのよ?

 せっかくの初陣で叩き落されるなんて、可哀想な事しやがって。絶対に許さねぇぞ!

 

『お願い、ラランテス!』『しゃらんらしゃらんら♪』

 

 こうなったら、ラランテス(Lv39)でゴリ押ししてやる。今回のテーマは、「特攻」だぁ!

 

「マリルリ、「じゃれつく」!」『ルリルリルリルリルリィ!』

『ぐぉおおおっ! ……つぅーっ、ラランテス、「リーフストーム」!』『シャララララーン!』

『ルリァッ!』

 

 フハハハ、ラランテスはリーフストームも使えるんだよぉ!

 だが、問題は次に何が出て来るか、である。兎の最後っ屁のせいでHPは半分を切ってるし、相手によっては何も出来ないまま沈められる可能性もある。

 

「行け、ウソフキン!」『ウソフキィッ!』

 

 出て来たのはウソフキン(Lv37)。

 ……よし、勝った!

 ウソフキンはティアーザウソッキーの進化形で、スナフキンのコスプレをしたウソッキーみたいな姿をしている。タイプはいわ/みずの複合。特性はがんじょう/いしあたま/よびみず(隠れ特性)の3つ。

 ようするに、絶好のカモだ。

 

『ラランテス、「リーフストーム」!』『シャランシュッ!』

『ウソゥゥ……!』

 

 チッ、頑丈持ちだったか。

 

「ウソフキン、「メガホーン」!」『ウソフキィヤァッ!』

『何だとぉ!?』

 

 チクショウ、そう言えばこいつ、思い出しでメガホーン覚えるんだった……!

 

『……しゃら~ん!』

 

 しかし、ここでラランテスが食いしばり効果を発動。私を悲しませまいと持ち堪えた。お前~♪

 

『やってくれたな、この野郎! 「ばかぢから」で死ねよやぁ!』『シャララララララッ!』

『ドペェーッ!』「くっ、戻れウソフキン!」

 

 最後は馬鹿力でウソフキンを一刀両断。ギリギリではあるが、サビトに勝利した。マジで危なかった……。

 

『ほら、じっとして』『しゃら~』

 

 ちょっと良い傷薬を使ってあげよう。せっかく頑張ってくれたからね~♪

 さて、次のジムトレーナーはカットしていこう。どうせムラタだからね。普通に釣りで勝ちました。どっちも金ぴかコイキングだったけど、ムラタの釣果がオニコルド(オニドリルの進化形)に掻っ攫われたからね、しょうがないね。

 

『フゥ……変に疲れたな』

 

 そして、いよいよジムリーダー戦に到達した。

 

「………………」

 

 フィールドの中心に立つは、死んだ魚のように光が無い青い瞳を持ち、無造作に伸ばした髪を後ろで纏めた、スタイルの良い女。右が無地の赤・左が黄色と緑の亀甲模様の羽織という「片身替」の姿をしており、その内側は振袖袴である。

 さらに、他のジムトレーナーと同じく頭に狐のお面が。こいつだけ大人びているせいで結構な違和感がある。

 まぁ、何と言うかですねぇ、

 

『いや、何か言えよ嫌われ者』

「……俺は、嫌われていない」

 

 また柱(♀)かよ。ふざけんなよ冨岡(とみおか) 義勇(ぎゆう)擬きめ。

 

『そうかよ。なら、証明してみせろよ』

「………………」

『だから、何か言えやぁっ!』

 

 ――――――ジムリーダーのサトウが勝負を仕掛けて来たッ!

 

「……行け」『ギャラァアアアッ!』

 

 サトウの一番手はギャラドス(Lv39)。

 あれだけコイキングを使っていたから、もしかしてとは思っていたけど、マジで出して来やがったな、赤い奴を。ロケット団かおのれは。

 

「馬鹿め! ビルドアップだ、ラランテス!」『しゃらんら~♪』

 

 しかし、使って来るのが分かっていれば、対処は簡単だ。どうせ威嚇持ちだから、それを利用してやればいい。お陰様で最初からフルスロットルですよー。

 

「……「りゅうのまい」」『ギャヴォオオオッ!』

 

 勝手に龍流舞いしてろ。所詮、貴様は本当の水柱じゃないのさ。

 

『食らえ、「ばかぢから」!』『シャラァアアアッ!』

 

 ここはリーフストームをぶっ放したい所だが、ギャラドスは特防の方が高いので、ここはわざわざ上げてくれた攻撃力で馬鹿力を打つ。例え半減だろうと、一段階上がった状態なら結構なダメージになる筈である。

 

「くっ……「こおりのキバ」!」『ギャラァアアアッ!』

『ぬぐっ……!』『しゃらぁ……!』

 

 だが、ギャラドスには氷の牙がある。素の威力がゴミみたいな数値だけど、流石に弱点かつ一段階上がった状態で噛み付かれると痛いな。

 とは言え、一発KOにはならないので、このまま攻める。ビルドアップも済んでるから、もう一発受けても素で耐えるからね。

 

「……「かみくだく」」『ギャヴォオオオオォォン!』

『ラランテス、耐えてもう一発!』『シャラララッ!』

『ギャラァッ……!』「……戻れ、ギャラドス……!」

 

 今度は噛み砕いてきたが、これを耐え切り、反撃の馬鹿力で叩き落す。ついでにHPが半分以下になった為、持たせておいたオボンの実で体力もそこそこ回復し、準備は万端。

 さぁ、次は何を出して来る?

 

「……行け、ミロカロス」『ヒィュワァア~ン!』

 

 ミ~ロ~カ~ロ~スぅ~ッ!

 マジかよー。ヒンバス混じってたから、あるいはと思ってたけど、本当に出して来るなよなー。その上、色違いのふつくしい個体(Lv39)だし。

 つーか、ギャラドスにミロカロスって、ここは本当に3番目のジムなのか? 情け容赦が無さ過ぎじゃない?

 まぁ、それはそれとして、どうするかな。

 ミロカロスはギャラドスと同速で意外と早いし、ラランテスじゃどの道先手を取られる。ならば、ここは賭けに出るしかない。

 

「……「れいとうビーム」!」『キュラァ~ン!』

 

 くっ、技レコードを使ってやがんな。ガチガチの技構成しやがって。

 ……頼む、耐えてくれ、ラランテス!

 

『……しゃらん!』

 

 ――――――ラランテスはナキメを悲しませまいと持ち堪えたッ!

 

 ラランテスぅ~!

 これで勝ったぞ!

 

『ラランテス、「にほんばれ」!』『しゃらららぉ~ん♪』

 

 ラランテスが天を仰ぐと、人工の太陽が生み出され、天気が快晴となった。

 

「「れいとう――――――」

『「ソーラースラッシュ」!』『シャラプッシュ!』

『ヒァァァア~ン……!』「……戻れ、ミロカロス」

 

 どうだ、流石に二段階パワーアップしたソーラースラッシュには耐えられまい。さっさと引っ込みやがて。

 ……さて、問題は“最後の1匹”だ。3番目のジムだから、今回から3匹に増えてるんだよね。

 

「……行け、ダイアルド」『グヴァアアヴォォオッ!』

 

 そして、このダイアルド(Lv40)である。

 HPしか能の無いコイキングタイプの魚ポケモンであるマスキングの進化形で、キングサーモンとマーレーコッドを足して2で割ったような見た目をしている。全身が鋼の鱗に覆われ、頭頂部に鹿の角と藻の髪が生えた、その有様は、まるで三平が挑んだあの竜神滝の主だ。

 しかし、凄いのは見た目だけではない。こいつもギャラドスやミロカロスと同じ540族であり、キングドラと同類のみず/ドラゴンタイプである。素早さを溝に捨てた代わりに他のステータスが凄まじく、HP種族値が125で残りがAll95という、とんでもない野郎だ。

 しかも、特性がさいせいりょく/しぜんかいふく/マルチスケイル(隠れ特性)の3つ。自重しないにも程がある。ラストがこいつとか、嘘だろオイ。

 だが、ダイアルドの素早さはラランテス以下の筈。ここは最後の鼬っ屁になろうとも、攻めるしかない。

 

『ラランテス、「リーフストーム」!』『シャラララァン!』

 

 ラランテスのリーフストームが唸る。せっかく積んだのだから馬鹿力で行きたいが、無暗矢鱈に突っ込むとマルチスケイルで耐えられた上に懐に入ってしまうだけの結果になりかねないので、一発目は遠距離技で行く。

 

「……「りゅうのまい」」『ガヴォォオオオッ!』

 

 ダイアルドが力強く舞い上がり、リーフストームを正面から吹き飛ばしながら、凄まじい勢いで躍り出て来る。

 くぅっ、やはり舞って来たか。ギャラドスの時とは違い、これは普通にキツいよー。こうなったら、やるっきゃない!

 

『「ばかぢから」!』「「ドラゴンファング」!」

『シャラァアアアアッ!』『ゴヴァアアアアア!』

 

 覚悟完了したラランテスの馬鹿力と、ダイアルドのドラゴンファング(威力85/命中100のドラゴン物理技)が激突する。一方は祈るように鎌を突き出し、もう一方は全てを呑み込もうと大口を開いて襲い掛かった。

 タイミングはほぼ同時。押し負けた方が一気に食われる、ガチンコ勝負である。

 

『行けぇえええええええええっ!』

「食らい付けぇええええええっ!」

 

 私とサトウの叫びがフィールドに轟く。無口な彼女も、3タテされ掛けているという後の無さが、テンションを天元突破させているのだろう。

 

『――――――シャァラァアアアアッ!』『ギャヴォオオオオッ!?』

 

 しかし、勝つのは私とラランテスだ。積み上げた筋肉は嘘を吐かない。何たって、天邪鬼は千人力なんだからなぁ!

 

『グヴォォォ……』「戻れ、ダイアルド」

 

 リーフストームでマルチスケイルの特性を掻き消され、そこへすかさず三段積み馬鹿力を叩き込まれたダイアルドが倒れ伏し、サトウのボールへと戻されていく。

 つまり、この勝負は私の完全勝利である。ヤッタネ!

 いやー、マジでラランテスが3タテしちゃったよ。一番の新人なのに、何時の間にか42レベルなんですけど。嬉しいけど、頑張り過ぎじゃない?

 

『しゃら~ん♪』

 

 よしよし、後でサロンに連れてってやるからな~♪

 

『オラ、ジムバッチ出せ!』

「……「カスカードバッチ」を渡す。それと、この技マシンも……」

 

 という事で、「カスカードバッチ」と「たきのぼり」の技マシンを貰った。微妙にカロスの風を吹かせるな。風と言うか、滝だけど。とりあえず、おのれ鱗滝。

 とにもかくにも、3番目のジム、クリアだぜ~♪




◆シダッパ

・ティアーザ図鑑№046
・分類:しだくさポケモン
・タイプ:くさ
・性別:あり
・特性:ほうし/ちょすい(隠れ特性)
・種族値
 HP:55
 こうげき:45
 ぼうぎょ:40
 とくこう:68
 とくぼう:50
 すばやさ:82 
・図鑑説明
 古いタイプのくさポケモン。種ではなく胞子で増え、乾燥に弱い為に水辺から離れられない。はっきり言ってかなり弱いが、栄養も少ないので襲われる事は稀である。ただし、そのDNAには、太古の時代にドラゴンであった記憶が刻まれているという。
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