鳴女さんの令和ロック物語   作:ディヴァ子

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 モンハン楽しー。ちなみに武器は片手剣一筋。盾は鈍器。


一狩りしようぜ

 闇の携帯獣世界で一悶着があってから数日。

 

『おい、アデル。一狩り行こうぜ』

「お前は何を言っているんだ……」

 

 アデルをクエストに誘ったら、何故か疑問符を浮かべられた。その一言から察しろよ。

 ……やぁ、諸君。バッチは3つしか集められなかったけど、無事に夢から覚めた鳴女さんだ。

 そんで、今目の前で頭に「?」が浮かんでいるこいつが、アデル・フォン・アスワング。つい最近、ちょっと本気で殺し合った仲だ。

 いやー、デバフが掛かっている上に子供ボディというハンデまで背負っていたとは言え、マジで三途の川が見えたのは槐の邪神や鬼太郎との戦い以来だったわ。割と頻繁だとか言ってはいけない。私もそう思ってるから。

 なーんで皆、私の事を危険視して排除しようとするのかね。こんなにも魅力的な女だというのに。

 

「それはお前の性格が悪いからだ」

 

 ヒデェ言い草だなぁ。

 

『何だよ、ちょっと友情ごっこをしつつ心の中で嘲笑ってただけじゃないか』

「お前はゲスだ。それ以上でもそれ以下でもそれ以外でもない。もう一度言おう。お前はゲスだ」

 

 そこまで言うか。大事だからか。

 まぁ、アデルからすればそうなるか。妹の命が関わってるんだもんね。分かった上でやったんだけど(笑)。

 だってさぁ、仕方ないじゃん。家の大事なラッキーアイテムを使われるんだから、少しくらい意地悪しても良いだろうが。ちゃんと頼まれればOKしたんだし。

 

『という事で、水に流そうぜ?』

「お前を三途の川に流してやろうか」

 

 あーもう、これだよー。

 ちなみに、アデルはあれ以来、私に対して敬語を使わなくなった。

 親密度が増したのか、はたまた敬うような相手ではないと判断されたのかは知らないが、こいつは敬語よりもドスの利いた喋り方が似合っていると思う。何もしなくても威圧感のある見た目だからね。中身はポンコツだけど。

 

『まぁ、それはそれとして、狩りに行こうぜ』

「いや、だから意味が分からないんだが……」

『そのまんまの意味だよ』

「だからこそ分からないんだよ!」

 

 えー、モンスターをハンティングしに行く以外、どんな意味があるって言うんだ。

 

「……モンハンは苦手なの」

 

 意外と普通の理由だった。正直でよろしい。

 

『何だ、まさか自分で狩る方が楽だからとか言わないだろうな?』

「流石にそこまでじゃないけど、概ねそんな感じね。アクションゲームをすると身体まで動いちゃうし」

『脳筋だな』

「お黙り!」

 

 いるよなー、そういう奴。邪魔で仕方ないし、やられたらやり返してやるけどね。

 

『……安心しろ。別にゲームをしようってんじゃない』

 

 だが、何の問題もない。ノープログレムである。

 

実際に狩りをするのさ(・・・・・・・・・・)

「………………!」

 

 そして、私が特別な襖を召喚してやると、アデルは驚きつつも納得した、という顔になった。

 

「――――――“異界”にも繋げられるようになったのか」

 

 そう、“それ”が答えだ。

 ヴィクター曰く、前回のポケモン世界は単なる夢現ではなく、平行世界にアクセスした結果なのだという。ティアーザ地方も、ネオ・ボランティアやスマイル団も、ボブと新たなポケモンたちも、確かに存在していた、という事である。

 そもそも、夢自体が曖昧な事象であり、脳の働きによる物だけとは言い切れない事例も多い。それこそ、魂だけが抜け出して(・・・・・・・・・)現世や常世を彷徨っている(・・・・・・・・・・・・)、としか言い様のない時すらある。前回はそれを利用したのだ。

 さらに、そのアクセス方法として、ヴィクターは私の「無限城」や姑獲鳥の「夢幻香」を参考にしたという。亜空間を繋げられるのなら、夢の異世界とだってリンク出来ると踏んだのかもしれない。

 それはつまり、私にも出来る(・・・・・・)という事である。何せ参照元だからね。

 しかも、それだけではない(・・・・・・・・)

 

『ほれ、大事なモンだろ。狩りのオトモにでもしな』

「これは……」

 

 私が投げ渡した物を見て、アデルが絶句する。

 そりゃそうだ。夢の産物である筈の、モンスターボールが6個あるのだから。

 これこそが、贋作と真作の違い。ヴィクターの怪しい機械は夢を繋げるだけだが、私の無限城は(・・・・・・)夢の産物を持ち帰れる(・・・・・・・・・・)

 もちろん、何でもOKという訳ではなく大きさの制限があり、具体的に言うと襖(今の所は最大で八畳敷)より大きい物は持ち込めない。襖が壊れたらアウトだからだ。

 ついでに、襖が閉まった時点で夢との繋がりも断たれるので、ポケモンボックスみたいな別の場所と(・・・・・)リンクしている物(・・・・・・・・)は無用の長物と化す。ポケモンの場合は6個ずつ引き出して持ち帰ればいいので、大した問題ではないが。若干面倒臭いけど。

 ようするに、私の無限城は“夢の広がる能力”という事である。向こうの技術を丸パクリも出来るし、大抵のモンスターは卵で持ち帰れば飼いならす事も可能だ。

 何せ私の妖気は相手の脳内情報を(・・・・・・・・)書き換える力(・・・・・・)があるみたいだからな。魔獣や怪獣の調教はお手の物よ。超獣は無理かもしれんけど。

 そして、ポケモンと違ってモンハンの世界にいるモンスターは文字通りの脅威であり、生物兵器として申し分のない能力を持っている。武器や防具といった装備品も捨て難い。侵略する価値(・・・・・・)はあるだろう。

 

『ま、単にクエストをやってみたいだけなんだけどね』

「ぶっちゃけたな」

『そりゃそうよ』

 

 だって、夢と冒険の世界を旅出来るなら、富と名誉を命懸けの狩りで得る世界を満喫してみたいじゃないか。何だかんだで私も身体を動かすのが好きだしねー。

 

「……まぁ、我が軍のプラスになるのなら」

『じゃあOKって事で、皆で狩りに行くか!』

 

 そういう事になった。




◆モンスターハンターシリーズ

 カプコン製のアクションゲーム。所謂「狩りゲー」の始祖とも言うべきシリーズであり、出た当初こそあまり話題に上がらなかったものの、武器や装備の多様性に魅力的なモンスターなどの要素が合わさり少しずつ人気を高めていき、今や大人気タイトルとなった。
 基本的に村や街の外に広がる秘境へ赴き、クエスト対象になったモンスターを狩猟し、その死骸から剥ぎ取れる素材などを使って武器や装備を強化して、次の狩りへ挑戦するというルーティンのゲームであり、内容そのものは単調だが、敵が普通に化け物なのでゴリ押しが通用せず、シビアなタイミングの下に敵の弱点を突いて行くという、無双ゲーとは違うハラハラ感が味わえる。
 ちなみに、モンハン世界は過去に「超文明」とでも言うべき物が存在していたが、それが滅んでしまい、文明が変な形で衰退した状態にあるらしい。
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