鳴女さんの令和ロック物語   作:ディヴァ子

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 オサイズチにしろアオアシラにシロ、操竜になるとやたら頼もしくなる奴結構いるヨネ。


クエスト②:鎌鼬竜オサイズチの討伐

『三位一体、オサイズチ~♪』

「……急にどうしたんスか?」

『いや、何となく……』

 

 狩場のメインキャンプでちょっとだけ駄弁る私とチャラトミ。

 そう言えば、2人で出掛けるのは久し振りかもな。感覚的な問題だろうけど。

 ちなみに、装備はチャラトミが大剣で、私は片手剣だ。ハンターと言えば片手剣だろ。

 チャラトミの大剣は鉱石系の最初期装備である「アイアンソードⅠ」に、自分の血肉を染み込ませた改造品であり、まるでマガイマガドのように禍々しいデザインに変容している。性能的には「攻撃力:90、会心:0、属性:毒」って感じ。どんな改造を施した所で、最初の装備なんぞこの程度の物だろう。

 私の片手剣も「ハンターナイフⅠ」で、しかも未改造品だが、何故か「鬼火属性」が付与されている。あれか、私が「鬼」だからか。

 ……個人的には狩猟笛も使ってみたいが、そうなると玄上ちゃんに出張ってもらうのが一番になってしまうので、今回は遠慮しておく。ヌルゲーは好きじゃないし、何より楽器は武器じゃないのよ。

 

「しっかし、まさかリアルに「一狩り行こうぜ」出来るとは思わなかったっスねぇ」

『それには私も同意する』

 

 この世界へのゲートを開けたのは、ただの偶然だった。

 初めて異世界にお邪魔するには一旦眠る必要があるらしく、その時の“夢見”によって開ける扉が変化するらしい。我が能力ながら博打性が高いスキルだな。今回は事前にモンハンライズをしていたおかげだろう。

 しかし、ギャンブル性があるからこそ選ぶ楽しさがあるし、何より異世界人ならではの“特典”もある。

 

『……で、“これ”が今回の獲物だ』

 

 という事で、私はマップを開いた(・・・・・・・・・)

 そう、これが異世界転移の特典。物語ならチートな能力を、ゲームなら操作性能(・・・・・・・・・)を持ち込める(・・・・・・)

 さらに、偵察用の使い魔を作成する能力は健在なので、それも合わせれば、少なくとも狩猟範囲内の敵状は筒抜けである。

 狩りは情報が命だ。敵を知らなければ返り討ちに遭う。ヌルゲーは大っ嫌いだが、舐めて掛かるような真似はしない。郷に入れば郷に従いつつも、便利な物は使わせてもらおう。

 

「礼拝堂の前にオサイズチが5体も居座っていますね」

 

 「礼拝堂跡」のマップはカムラの里の「大社跡」に似た構成で、礼拝堂を最奥に13のエリアに分かれており、大社跡とは逆に奥へ行けば行く程、傾斜が深まっていく地形になっている。

 解説によれば、元々は大社跡で信仰されていた宗派とは別の密教が行われていた場所で、信者が向こうよりも少なく肩身の狭い思いをしており、その結果こんな谷底の奥地に礼拝堂を建てたのだと思われる。

 まぁ、結局はどちらも滅んだのだが。諸行は無常である。

 

『他には……げっ、エリア5にクルペッコがいやがる』

 

 クルペッコとは、皆大嫌いな他力本願系の鳥竜種だ。

 ラッパやメガホンみたいな頭に極彩色の羽毛を持つ中型サイズのモンスターで、他のモンスターの声真似をして呼び寄せる特徴があるのだが、ランダムでとんでもない奴まで召喚する為、最悪の場合は仲良死し兼ねない、ヘイトしか湧かないモンスターである。

 確かこの辺りには生息していない筈なのだが、何でいるし。とりあえず関わらないようにしよう。

 

「とりあえず、他の4頭は別動班に任せて、俺たちは一番手前のオサイズチとイズチの群れを倒しちゃいましょう」

『そうだな』

 

 同じクエストに4班も向かわせるなんて手持ち無沙汰になりはしないかと心配したが、この分なら問題無いな。

 つーか、何でこんなに繁殖するまで放っておいたんだよ。馬鹿じゃねぇの。

 

『それはそれとして……』

 

 エリア13から程近い、エリア10の湖に居座っている、このモンスター何だろう?

 見た目は赤ピンクに染まり孔雀みたいな飾りの付いた馬鹿デカいガーグァって感じなのだが、こんな奴いたっけか。ティアーザ地方の前例があるので、正史には存在しないモンスターである可能性もあるから、意識だけはしておきたい。

 ともかく、さっさと奥まで行って、オサイズチをハンティングだ。ボルデビサスに跨って、優雅な低空飛行の旅と洒落込もう。

 

『えいえい』『ギャァアアッ!』

 

 道中で出遭った雑魚敵はゲームで鍛えた動きで制圧。片手剣は盾で殴る物。

 

《オラオラァッ!》『ピギャアアアッ!』

 

 チャラトミさんや、大剣を太刀みたいに軽々と振り回すのは止めて頂けます?

 そんなこんなで鉱石やアイテムをしっかり回収しつつ、進む事しばらく。

 

『いたいた……』「群れてますねぇ」

 

 西洋の本場というより、大正時代によくあった“西洋風”の廃屋近くに、イズチが数匹と馬鹿デカいイズチが1匹いる。あの馬鹿デカいイズチが、オサイズチである。攻撃パターンは同じような系統のドスバギィやドズフロギィと似通っており、尚且つ体液飛ばしに属性が無いという残念な仕様だが、あの鎌尾の一撃は只管に痛いので、しっかりと避けながら狩ってしまうとしよう。

 

『とりあえず、ジャンピング爆弾!』『ギャオォオオオッ!?』

 

 開幕の挨拶は、大タル爆弾の投擲からだ。これ、翔蟲受けで体勢を即座に立て直せるのよね。

 

『せいっ!』『ピギィッ!』『ギュギャァッ!』

 

 続いて、滑り込みからの切り上げコンボでオサイズチをぶん殴りつつ、他のイズチも巻き込み牽制。

 

『チャラトミィッ』《アイサーッ!》『グギャアアォッ!』

 

 そして、怯んだ所にチャラトミが大剣で強襲。その一撃でイズチ共を殲滅し、オサイズチにも手痛いダメージを与えられた。

 

『……仕掛けて来るぞ!』《了解!》『ギィイイイッ!』

 

 だが、この世界の生物は基本的にタフであり、そう簡単に死にはしない。尻尾の部位破壊には成功したが、それでも体当たりなどは仕掛けて来る。

 ま、大振り過ぎてまるで当たらんがね。初心者御用達の雑魚大型種だから、苦戦はしないわー。

 

『ギガァヴォッ!』『しゃらんらしゃらんら~♪』『ギギィィツ!?』

 

 さらに、オトモに連れてきたボルデビサスとラランテスがこれでもかとフルボッコにする。鎌鼬が蟷螂みたいな奴らにやられとる……。

 

『ていっ、せいっ、ドラァッ!』《せいぁっ!》『ゴギャアアアッ!』

 

 そして、シールドバッシュコンボと大剣の一撃により、オサイズチが倒れた。討伐完了だ。

 

『……って、何だか物足りないなぁ』

「下位装備とは言え、経験者ですからねー」

 

 苦戦するとは思えなかったが、ここまであっさり倒せると、何だか物足りなくはある。あのデカいガーグァでも狩ってみるか?

 

「――――――っ、鳴女さん!」

 

 と、チャラトミが急に声を出して森の一角を指差した。そこにいたのは、

 

『クルペッコ……!』

 

 何時から覗いてやがった。というか、これはもしかして……!

 

『アヴォオオオオオン!』

 

 すると、クルペッコが狼の遠吠えのような声を出し、

 

『グヴォオオオォオンッ!』

「『ジンオウガだとぉ!?』」

 

 さらに、声に釣られてジンオウガが出現した。ダイヤウルフと竜を融合させたような、滅茶苦茶マッシブでバリバリな雷狼竜である。

 ――――――って、いやいやいやいや、下位とは言え、この装備でジンオウガはマズい!

 その上、呼んだクルペッコは逃げてやがるし。どうすんだよ、この状況!?

 しかし、弱り目に祟り目は付き物だった。

 

『ガァァグヴァアアッ!』

「『ドワォッ!?』」

 

 知らぬ間に、あのガーグァみたいな奴までエリア移動して来ていたのだ。

 こいつ、近くで見ると本当にデカいな。ジンオウガと殆ど同じサイズなんだけど。大きさが似通っているという事は、実力的に同格である可能性が非常に高い。

 ヤバい、マジでどうしよう。モ、モドリ玉が欲しい……!

 

『ヴァォオオオッ!』『ガァグァアアッ!』

『お?』「あいつら、喧嘩を始めましたよ」

 

 だが、現れたガーグァっぽい奴は私たちには目もくれず、ジンオウガに向かって金切り声を上げている。頭や尻尾の飾り羽まで開いて、完全に挑発してやがる。

 

『グルヴォオオッ!』『ギャガァアアッ!』

 

 そして、あっという間もなく、縄張り争いが始まる。これは操竜に繋げられるチャンスである。少し離れた所から見ていよう。

 

『ヴァルゥッ!』

 

 先ずはジンオウガの攻撃。

 例の「お手」3回でデカいガーグァ(「グラガグァ」というらしい)をバシバシと切り裂き、尻尾の振り下ろしで吹っ飛ばす。

 

『ガァグァアアアアッ!』

 

 しかし、グラガグァは倒れるどころか全く怯まず、クルルヤックよろしく嘴で連続攻撃。あのジンオウガを後退させた。

 さらに、そのタイミングで何故か尻を向けたかと思うと、いきなり大量の無精卵を生み出して、ジンオウガに浴びせた。

 この卵、1つ1つが爆弾になっているらしく、威力も小タルと大タル級の爆発力が入り混じっており、それをビシュテンゴの柿の如く飛ばしてくる為、見極めて防ぐのは容易ではない。というか、ガードでどうにか出来る気がしないのだが……。

 

『アヴォオオン! ガヴォオオン! ……グヴォァアアアアアアッ!』

 

 だが、そこはタフで強い牙竜種。多少面食らいはしたものの即座に蓄電を開始し、「超帯電状態」となって反撃に打って出た。雷を伴う激しい連撃がグラガグァを襲う。

 しかし、ここで予想外の事が起きる。

 

『グァァァ……ギャォオオオオオオッ!』

 

 何と攻撃を受け切るばかりか、それを糧にグラガグァも超帯電状態となり、真っ赤な稲妻を纏った。そんな馬鹿な。

 

『ガグァアアヴォオオオオオッ!』『グヴォオオッ!?』

「『嘘ぉっ!?』」

 

 その上、大きく口を開けると、ラージャンもビックリな電撃ブレスをぶっ放した。お前は本当にガーグァの親戚なのか!?

 だが、これは千載一遇の大チャンスだ。今の一撃で、ジンオウガが操竜待機状態になった。ここは乗っからせてもらう!

 

『行け、私のジンオウガ!』『ゴヴァアアアアッ!』『グァッ!?』

 

 人の操作が加わったジンオウガはさっきまでとは動きがまるで違い、瞬く間にグラガグァをぶっ倒した。同時にジンオウガも力尽き、虫の息になる。こいつら攻撃力が高過ぎるやろ。

 

『チャラトミ、ボール持ってるか!?』

《はい、ラブラブボールとムーンボールを1個ずつ!》

『何でオシャボ持って来た!?』

 

 まぁいい、この際ボールの種類なんて関係ない。どっちも気絶してる、今が捕まえ時なんだよぉ!

 

『せいっ!』《オラァッ!》

 

 そして、投げたボールで2匹を無事にゲット。オトモン化する事に成功した。

 嗚呼、疲れた……まだHR2なのに、何でジンオウガやグラガグァと戦わなきゃならんのじゃーい。

 

「……帰りますか」『そうだね』『ギャォッ!』『しゃららら~♪』

 

 とにもかくにも、当初の目的であるオサイズチは討伐した。ついでのイベントがヤバ過ぎたけど。ゴリゴリと精神も削られたし、さっさと帰ってご飯食べよう……。




◆グラガグァ

 本来は天敵であるジンオウガの背にいる「超電雷光虫」を何度か捕食した、選ばれしガーグァのみが到達出来る突然変異の鳥竜種。
 アンジャナフを超える巨躯とジンオウガに匹敵するパワー、無尽蔵とも言える体力を持つ化け物で、超電雷光虫を食べた影響により放電やブレスを放つ事が可能となった。他にも無精卵に爆発性の体液を混ぜ込んで疑似的な爆弾として発射する能力も得ており、接近する事さえ困難な強敵である。
 ちなみに、派手な体色と飾り羽を持つのは異性へのアピールではなく、ジンオウガを挑発して戦いに持ち込む為で、攻撃の最中に超電雷光虫を貪り食べる。むろん敵の反撃に晒されはするが、イビルジョーも根を上げる底なしの体力と回復力のおかげで、何の問題も無い。
 ただし、“牙竜種を興奮させる電磁場を羽から放って挑発する”という特性上、何の旨味もないマガイマガドまで呼び寄せてしまう事があるのが玉に瑕。
 また、元がガーグァなので、この巨体の割りに人懐っこく、ガーグァの頃から育ててくれた相手であれば、甘える仕草すら見せるという。
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