鳴女さんの令和ロック物語   作:ディヴァ子

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「どうしてバサル、すぐに爆発してしまうん?」
「真面に斬り合うのが阿保らしゅうて、爆破してるからや。やっぱり邪魔な岩盤は発破解体やで」


クエスト③:岩竜バサルモスの狩猟

 やぁ、皆の衆!

 わしじゃよ、丸子じゃよ~♪

 つい最近、鳴女をぶち切れさせてしまい、ふるぼっこにされたばかりじゃが、今日もわしは元気じゃ。ま、妖怪だからねー。

 そんで、今回はもんはんとか言うげぇむの世界に入り込み、はんたぁをする事になった訳じゃが――――――これがまぁ、面白いの何の。

 お前ら恐竜かと言いたくなる化け物共を相手に、知恵と勇気と技術を持って、命懸けの戦いを挑むとか、単純に燃えるじゃろ。雑魚を蹴散らす無双げぇむも良いが、こういう達成感のある強敵を相手取るのもわしは好きじゃ。

 さらに、今度の異世界旅行には六部も付いて来てくれておる。まさに百人力じゃ。わしらが揃えば、どんな敵にだって負けはしないぞぇ。

 

「はぁ~い、皆大好き、緊急クエストの時間ですよ~♪」

 

 そんなこんなで大型もんすたぁと戦って来たわしらじゃが、ここで昇格する為の行事が起きたようじゃの。

 内容はばさるもすとか言う岩竜を狩猟しろ、との事。こやつはぐらびもすという鎧竜の幼生で、放っておくと進化してしまい、多大な被害を齎すから、子供の内に狩っておくのが定石なのだそうじゃな。

 さらに、ぼるぼろすやぷけぷけなど、他にも大型もんすたぁが頻繁に出現しており、それらも同時に狩猟して欲しいとの事じゃ。鳴女は迷わずぷけぷけを、零余子はぼるぼろすを、あでるはりおれいあを選んだから、わしらは素直に岩竜狩りをするとしよう。

 という事で、出発じゃ~♪

 

『はいよー、かろ~ん!』『グモグモ』

 

 舞台は「砂岩地帯」という岩の多い砂漠地帯。入り組んだ地形が面倒じゃが、礼拝堂跡よりは歩き易いので、今回は楽に進めそうじゃ。

 ちなみに、乗り物ぽけもんは「かろんだいと」という大蜘蛛。移動は遅めだが、馬力と特殊能力に長けておる。特に毒攻撃が強力じゃな。他にも糸で縛り付ける事も出来る。これらの能力に何度助けられたか。

 

『何度乗っても慣れんのぅ……』

 

 しかし、相変わらず潔癖な六部はあまり好かんようで、毎回乗る度に嫌な顔をしている。そんなに嫌なら、自分の乗り物を捕まえれば良いのに。

 そう言えば、鳴女たちは「じんおうが」と「ぐらがぐぁ」とか言うもんすたぁを捕まえとったな。わしも何か捕まえてみたいのー。今回の獲物である岩竜でも良いぞぇ。

 

『キィッ!』『ギャァッ!』

 

 おっと、雑魚敵の登場じゃ。確かあれは、「ふろぎぃ」じゃったか。毒を吐きよる厄介な連中じゃ。ここはかろんに頑張ってもらおう。かろんは元から毒持ちなので毒には強い。

 

『クォオン!』『ギィッ!?』『ギャギャッ!』

 

 さらに、毒蜘蛛だからか、糸を武器に戦う事も出来る。粘つく投網で縛り上げ、痺れ毒を食らわせる。まさに忍びの技よ。あっと言う間に、有無を言わさず、ふろぎぃたちを始末した。素晴らしい。素材失礼します。

 

『うーん、おともが強過ぎるのぅ』

『だが、油断は大敵じゃぞ。大型モンスター相手に、こうは行かないからな』

『確かに……』

 

 おともが強いのは嬉しいが、頼り過ぎも良くない。あくまで彼らは補助役じゃからの。わしらがしっかりせねば。

 さて、それはそれとして、狩猟対象の岩竜は何処におるのかの?

 

『マップを見てみたらどうじゃ?』『それもそうじゃの』

 

 敵状把握こそ勝利への近道。せっかく便利な能力を貸し出されとるんじゃから、有効活用せねばの。

 

『えーっと、十一番地におるようじゃ』

『他のモンスターはどうじゃ?』

『うーむ……七番地に「くるるやっく」、三番地に「ぼるぼろす」がいるの』

『ふむ、ならばボルボロスへ先に仕掛けよう。操竜状態にしてバサルモスに挑み、乗り換えてからクルルヤックの方へ誘導しよう。それが一番率が良い』

『うむ、それで行くかぇ』

 

 流石は六部、頼りになるのぅ。商家の一人息子は伊達ではないな。

 それじゃあ、一番近場のぼるぼろすへ挑むとしよう。そうして渇いた岩場を進む事しばらく。

 

『ボロァアアアアァァッ!』

『居おった』『仕掛けるぞ』 

 

 小さな湖の傍に、ぼるぼろすとやらがいた。岩と泥に塗れた頭突き恐竜のような姿で、尻尾が棍棒になっているのが特徴じゃの。

 おそらく、頭突きと尻尾で殴るのが主な格闘戦術じゃろう。問題はどんな特異能力を持っておるかじゃな。別名が土砂竜じゃから、泥でも吐き付けて来るのかの。そうなると、接近戦は危険かもしれんな。

 まぁ、わしは双剣じゃから、嫌でも近付かねばならんのじゃが。

 とは言え、六部の弓で援護があれば、そこまで苦労はすまい。

 そもそも、こいつはただの乗り物じゃから倒す必要も無いし、さっさと操竜状態にするとしよう。

 

 ――――――ピィイイイッ!

 

 会敵とほぼ同時に、まるで沸騰した薬缶のような音を立てて、ぼるぼろすが突撃してきた。

 

『食らうものか!』

 

 わしはそれを軽く横へ移動する事で、簡単に躱す。やはり重量級、力はあっても速度はそこまでではない。すぐさま足元に潜り込み、切り付けた。

 

『ぬぅ、硬いのぅ……!』

 

 だが、感触は今一。鳥竜種のようにはいかんか。武器もまだ「ぴこ・めりす」の一番目だからのぅ。目指せ、「ぐれいす・そうる」じゃな。

 

『ロァアアッ!』『危なっ!?』

 

 とか何とか考えていたら、ぼるぼろすが尻尾をぶん回して来おった。知っとるぞ、あれを食らったら、内臓が破裂とかするんじゃろ?

 しかも、身体をぶるぶると震わせたかと思うと、人一人は飲み込んでしまいそうな泥塊を幾つも放って来おったから、さぁ大変。あまりに近過ぎて、避けるのが精一杯じゃった。

 

『グヴォォオオッ!』

 

 そして、退路を塞いだ所に、頭を大きく振り被り、潰しに掛かって来る。こ、こやつ、強いぞ!?

 

『こっちじゃ!』『ゴァッ!?』

 

 しかし、そこに閃光玉が一つ投げ込まれ、ぼるぼろすの目を晦ませる。六部じゃな。わしは咄嗟に目隠ししたから大丈夫じゃが、ぼるぼろすは堪った物ではあるまい。

 

『せいっ!』『ウボロォッ!』

 

 さらに、怯んだ所に六部の連弓が炸裂。見事に昏倒させ、操竜状態に持ち込んだ。流石は六部、頼りになるのぅ!

 

『それじゃあ、ちっとばかし乗らせてもらおうかのぅ!』『ボルヴァアアゥ!』

 

 という事で、手透きのわしがぼるぼろすに跨る事にした。六部は泥を被るのが嫌じゃろうからな。わしが一肌脱いでやろう。

 

『見敵必殺!』『ボロォォッ!』

『バヴォオオオオッ!』

 

 岩の谷間を進む事しばし、狩猟対象である岩竜ばさるもすを発見した。

 見た目は岩山。ぼるぼろすが小さく見えるくらいにでかい。如何にも力一辺倒と言った感じで、動きは非常に緩慢。振り返るのでさえ、そこそこの時間を要していた。

 だが、その分だけ装甲の厚さは相当な物で、切り掛かっても弾かれるのが目に見えている。あと、何か溶岩とか吐き出しそう。

 とりあえず、攻撃してから乗り換えじゃ!

 

『行け、ぼるぼろす!』『ボルァッ!』

『バヴォッ!?』

 

 ふむ、流石は大型もんすたー同士。硬くともだめーじは入るようじゃの。動きが鈍いから、反撃の暇を与えずに黙らせる事が出来る。

 

『バヴォォォ……』

 

 よしよし、地に伏せたな。あとは最後にでかいのを一発入れてから、こやつに乗り換えて――――――、

 

『丸子、今すぐ離脱しろ!』『………………ッ!』

 

 しかし、いよいよ乗り換え準備に入ろうとした瞬間、六部が声を上げた。何だか分らんが、六部は勘が鋭い。わしは殆ど反射的にぼるぼろすから飛び退いた。

 そして、まさにその刹那。

 

『グラヴォオオオオオッ!』

 

 ばさるもすの外殻が弾け飛んで、より厳つい見た目の竜へと変じた。

 

『ゴヴァアアッ!』『ボロァッ!』

 

 さらに、大きく口を開けたかと思うと、溶岩どころか火砕流のような熱線を吐き、ボルボロスをあっと言う間に退けてしまった。

 これは、もしや……!?

 

『……マップの表示が「グラビモス」に変わっておる!』『くっ……!』

 

 事前情報よりも体躯が大きかったから何か変だとは思っておったが、やはり成体になったのか。厄介じゃな。

 

『一旦退くぞ!』『分かっておる!』

 

 どう考えても、今の装備では勝ち目がない。精々他のもんすたーを操竜して弱らせるくらいしか方法が思いつかん。幸いこやつはそこまで早くはない。先ずは逃げながら考えるとしよう。

 だが、運という物は、何処までも偏って流れる物らしい。

 

『ぬっ、何じゃあれは!?』

『ティガレックスじゃ!』

 

 何と行く先に通りすがりのてぃがれっくすが現れてしまった。

 てぃがれっくすと言えば、「轟竜」の名が示す通り、凄まじい咆哮で衝撃波を発生させる事で有名なのだそうじゃ。他にも狂ったように繰り出してくる突進は避け辛く、離れていても岩をかっ飛ばしてくると言う。何と面倒な事か。

 前門のてぃがれっくす、後門のぐらびもす。諺としては間違っておる気がするが、今の状況にはピッタリじゃな。

 ――――――いや、待て。冷静に考えろ。これはある意味では良い巡り合わせじゃ。

 

『六部!』『分かっておる!』

『ギャオォオオオオオオオ!』

 

 わしが目配せすると、言うが早いか、六部はかろんから離脱し、未だこちらに興味を示さないてぃがれっくすを攻撃。自らに敵意を向けさせた。

 むろん、戦うつもりなど毛頭ない。初期装備で勝てる程、どちらも甘くはないからじゃ。

 だからこそ、同士討ちをさせて、弱った所に止めを刺す!

 卑怯でも何でもない、これは命の奪い合いじゃからなぁ!

 

『グラヴォッ!』『ゴギャアアアッ!』

 

 さっそく、誘い出されたてぃがれっくすとぐらびもすが争いを始める。彼らは基本的にちっぽけな人間よりも、目の前の脅威を優先する。

 その間に、わしは持ち合わせた大樽の爆弾を全て投入可能な状態にする。置いて使ったりはしない。こういう乱戦の時は、こう使うんじゃ!

 

『そりゃあっ!』

『ゴルォ!?』『ギャオオッ!』

 

 わしはかろんから離脱しつつ、空中から爆弾を投げ落とす。本来は設置型じゃが、そんな悠長な事を言っている場合ではない。なるべく、ぐらびもすに当たるようにぶん投げ、爆風で叩き付けられる前に翔蟲で体勢を立て直し、即座にかろんに戻る。これを三回程繰り返す。

 その過程で、てぃがれっくすは逃げ出した。元々蚊帳の外じゃったからの。付き合いきれなくなったんじゃな。……予定通り。

 

『せぇい!』

『グヴォオオッ!』

 

 そして、残るぐらびもすに、爆破で装甲が削れた箇所へ鋭い連撃を叩き込む。これは刃毀れ確定じゃな!

 

『こっちじゃ、うつけ者!』

『グルヴォォォ……バヴォッ!?』

『馬鹿め、ハンターの知恵を舐めるでないわ!』

 

 さらに、六部が怒るぐらびもすへ攻撃を仕掛け、自分へ敵意を向けさせ、見事に落とし穴へ誘導。

 

『今じゃ、丸子!』『合点じゃ!』

 

 捕獲用麻酔玉で眠らせた後、持ち合わせのへびーぼーるでげっとしてやった。目的は狩猟じゃから、これでくえすとは完了じゃな。

 

『ふぅ……帰るかの、丸子』

『そうじゃな』

 

 ついでにぎるどに文句を入れてやる。鳴女の時といい、情報管理があまりに杜撰過ぎるぞ!




◆グラビモス

 岩竜バサルモスの成体で、別称は「鎧竜」。
 その名の通り、凄まじい装甲厚の動く岩山で、リオレウスやディアブロスを超える巨体を誇る。
 パワーはもちろんの事、確実性の高いブレス攻撃(通称「グラビーム」)や溶岩弾など、様々な意味でバサルモスをグレードアップした存在。あと、これでも飛竜種だから一応は飛べたりする。
 その分、動きはバサルモスに輪を掛けてすっトロいが、自慢の岩壁装甲で全てを弾き返しまう為、何の問題も無い。
 まぁ、そんなグラビモスも、覇竜アカムトルムの前では手頃な御馳走なのだが……。
 そして、何故かモンハンライズに出して貰えなかった可哀想な奴。バサルモスは居るのに。同じような被害者に、ドスジャギィやドスファンゴなどがいる。
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