鳴女さんの令和ロック物語   作:ディヴァ子

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 セルレギオスってウザいですヨネー。というか飛び続ける奴は基本的に苦手。片手剣だもんナァ……。


クエスト④:千刃竜セルレギオスの狩猟

「あらまビックリ~♪」

 

 毎回毎回巻き起こるトラブルに業を煮やして陳情したら、真ゲスプレイされたでござる。貴様をハントしてやろうか。現代の日本だったら確実に社会的な死を迎えるわよ?

 ――――――はいはい皆、おはよう食。零余子だよ。

 さて、朝の一発目から殺意満天な始まりだけど、仕方ないよね。だって、ギルドの対応がこれなんだもの。丸子の所にはティガレックスが通り縋るし、私の方なんか空からバゼルギウスが急襲して来たんだぞ、コラァッ!

 

「……まぁ、冗談はこれぐらいにして」

 

 冗談になってないし、顔が割と本気なんだけど?

 

「近頃、観測班でも把握し切れないモンスターの出現が多くてね。たぶんだけど、百竜夜行が近いのかも」

 

 フーン、なるほどねぇ。

 原因がライズと同じく風雷神の古龍が原因でマガイマガドが便乗している形なのか、それとも別の要因が存在するのかは不明だが、それなら大型モンスターの大移動があっても不思議ではない。

 

「一応、こっちも最大限の努力はしてるし、ハンターにはそれも込みで挑んでもらってるんだけどね。そもそも、嫌なら断ればいいだけだし」

「ぬー」

 

 ぐうの音も出ない。確かにその通りだ。

 とは言え、このやり場のない怒りを我慢する気は無い。だから、何かクエストよこせや。

 

「そんな苛立つアナタに、素敵な緊急クエストをプレゼントするわよ~ん♪」

「緊急クエスト?」

「ええ。これをクリアしたら、晴れて上位ハンターの仲間入りよ」

「おお……」

 

 それは美味しい。

 しかし、上手い話には裏がある物。どうせ面倒な奴が相手なんでしょ?

 

「内容はセルレギオスの狩猟よ」

「セルレギオス!?」

 

 うわぁ、また面倒なモンスターが出てきたな。

 セルレギオスと言えば、閉じた松ぼっくりみたいな鱗と頭の一本角が特徴的な飛竜種である。怒ると鱗が前へ向かって逆立ち、本当の意味で松ぼっくりになる。

 レックス型とレウス型の丁度中間くらいの骨格を持っており、飛ぶのが非常に上手く、空を縦横無尽に飛び交いながら脚で攻撃を仕掛けて来る。

 さらに、全身の鋭い鱗を弾丸の如く発射してくる事もあり、当たると裂傷状態になってしまう。故に「千刃竜」の異名を持ち、多くのハンターから「ウゼェ」と忌み嫌われている。正直、私も好きじゃない。

 だが、昔のモンハンと違い、コムリの里には「翔蟲」があるので、こちらもある程度は空中戦を挑める。セルレギオスは攻撃力には優れるが、レウスと同じく細身で軽い為、割と簡単に叩き落せる。そうなればこっちの物だ。

 ガハハハ、勝ったな。風呂入って来る。

 

「いや、風呂じゃなくてクエストに行きなさいよ」

「当たり前にマインド・ハックしてんじゃないよ」

 

 という事で、セルレギオスの狩猟を受ける事にした。

 

『やっと終わったの? 話が長いわね』

 

 ちなみに、コンビ相手はまさかの姑獲鳥である。厳正なあみだくじの結果とは言え、こいつと組むなんて御免被りたかったなぁ。

 

「うるさいわよ、アバズレが。待つのが嫌なら、自分で行きなさいよ」

『それこそ嫌よ。ワタシは数少ない自由を謳歌したいんだから』

 

 私、こいつ嫌い。母親みたいに目上振るから。本当は誰よりも子供染みた性格してる癖に。

 ……いや、一番ガキ大将なのは鳴女だから、最下位ではないか。

 まぁいい。私の武器と装備の関係上、こいつとは相性が良い。今回も仕方ないから、コンビを組む事を許してあげましょう。

 

「なら、さっさとついて来なさいよ。これをクリアしたら、ようやく上位ハンターになるんだから」

『あらま、それは嬉しいわね。是非とも頑張りましょう♪』

「ふん……」

 

 やな感じぃー。

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 そして、時と場所は移り、「鍾乳岩窟」。

 溶岩が冷えて固まったようなカチコチの大地が何処までも広がり、その所々に大穴が空いている、という地形で、降りた先には迷路のような鍾乳洞が広がっている。主にバサルモスやイソネミクニなどが生息している。前者は鉱物を食べる為に、後者は地底湖に潜んでいるからだろう。

 何れにしろ、翔蟲無しでは落ちたが最後、一々道を行ったり来たりしなければならない、はっきり言ってクソミソなフィールドだ。

 ただ、鉱石がそこら中で採掘出来る為、素材集めには向いている。あと、何故か地表部に蜂の巣がいっぱいあるので、これもまた重宝する。

 これで相手がセルレギオスじゃなければなぁ……。

 そもそも、ジャングルの秘境みたいな場所に棲んでいる筈のお前がなんでここにいるんだよ。あれか、また誰かに棲み処を追われたのか。

 ま、とにかく狩猟を始めるとしよう。

 

「先ずはハチミツと鉱石集めね!」

『そんな悠長な事してて良いの?』

「分かってないわねー。素材集めをしないなんて、ハンター失格よ?」

 

 ハンターの仕事はモンスターの狩猟が主だが、納品や採集クエストもあるし、何より装備を作るのに金と素材が掛かる。こうした小さな努力をコツコツと積んでおくと、後で楽になるのである。特にハチミツは、ある意味で鉱石以上に使い道があるので、積極的に集めておくといい。

 

『……分かったわよ。それじゃあ、一旦二手に分かれて、ターゲットを探しつつ素材を集めましょう』

「そうね、それじゃあバイバイ♪」

『随分と嬉しそうね』

 

 そりゃそうだろ。ほれ、早くあっちに行け、シッシッ!

 

「それじゃ、一緒に素材集めしようか、ノームくん!」『ピキュッ!』

 

 という訳で、ここからはノームくんとハチミツデートね。

 ノームくんはこの世界でもトンガリ帽子と人間形態を入れ替えられる上にオトモとしてカウントされていないので、色々と手伝いをして貰っている。単純に人手が増えるし、何より有事の際に大活躍してくれるのだ。

 

『ルゥギャアアアアッ!』

 

 そんなこんなで呑気に特性:みつあつめしていたら、セルレギオスがエリア移動して来た。もう少しじっとしてればいいのに、忙しい奴だな。

 しゃーない、挑むとしよう。

 

「オラオラオラッ!」

『ルヴォオオオッ!?』

 

 武器を抜き、撃ちまくる。

 私の武器は「王弩ライカンⅠ」。鳴女に頼んでジンオウガの素材を分けて貰った事により出来上がった特注品である。攻撃力が高くブレも無い、使い易いライトボウガンだ。反動が若干大きいのが難点だが、そこは使い方次第だから、気にしても仕方ない。

 ライトボウガンはガード不能な分、機動力と連射力に優れているんだから、ガンガン撃つべしだ。撃って撃って撃って、撃ちまくる~♪

 

「弾込め頼むよ、ノームくん!」『ピキッ!』

 

 さらに、私にはノームくんという頼れるサポート役がいる。以心伝心、心も身体も通じ合っているから、私が欲しい物を的確に込めてくれるし、いざとなれば岡目八目の視点で危機を察知してくれる。こんなにちっちゃいのに、飯伏銀なのだ。

 

『ルギャォオオン!』

 

 おっ、飛び上がったか。セルレギオスはレックスに近い飛竜種だから最初は着陸しているが、ある程度攻撃すると飛翔して反撃してくるのがパターンである。

 しかし、その戦法に苦しめられたのは過去の話。今は「鉄蟲糸技」という、必殺技があるのよ!

 

「そぉい!」『レギャヴォッ!?』

 

 鉄蟲糸技の「扇回跳躍」で空中へ躍り出て、そのまま弾丸を撃ち込み、すぐさま叩き落す。

 そして、怯んでのた打ち回っている所へ、起爆竜弾を設置しつつ、容赦なく撃ちまくる。死ね死ね死ね、死んだモンスターだけが良い素材になるんだぁ!

 

『ルギャヴォオオオッ!』

 

 すると、復活したセルレギオスが怒り状態になった。相変わらず松ぼっくりですね。怒っていると落としにくい筈だから、ここはオトモを乗り回して、距離を取りながら様子を見よう。

 ちなみに、私のオトモはヒドクーイ。全身毒塗れの死鳥ポケモンだ。触れただけで毒に侵されるので、本来なら跨る事など不可能なのだが、不死身の私には関係ない。

 むしろ、敵の反撃で毒を盛れるのだから、有難いくらいである。猛毒万歳。

 

『レギャアアアアッ!』

「うへぁっ!?」

 

 ヤバい、アホな事を考えていたら、鱗が一発当たっちゃった。

 その上、衝撃でヒドクーイから落されてしまった。マズいマズい、ノームくんもピキピキ騒いでる。これは大技が来る前振りだ。まさかの連続キックかぁ!?

 

『ギャォオオ……キャアアッ!?』

『せいやっ!』

 

 と、危ない所で姑獲鳥が登場。「ブレイクフォールンⅠ」というグラガグァの素材から作れる狩猟笛でヘッドバッティングし、セルレギオスを墜落させる。

 さらに、気絶しているのを良い事に三音旋律を決めて、私の体力を回復し、その他色々をアップしてくれた。よしよし、それで良い。それこそが狩猟笛の本領だからね。

 

「……遅い!」

 

 だが、遅い。何処で何をしていた。

 

『ちょっとフリーサイドクエストを達成したくてね』

 

 この野郎、立派にハンターしやがって。

 

「……もういいわ。さっさと倒すわよ!」『言われずとも!』

 

 さぁ、ここからは私たちのターンだ――――――と意気込もうとした、その時。

 

「うきゃあ!?」『地震!?』

 

 突然、地面が大きく揺れ出した。

 しかし、自然現象としての地震ではない。何かを掘り起こす音がするし、段々と揺れがせり上がって来ているからだ。

 

『ピキューッ!』

 

 これは……ヤバい!

 

「退避!」『分かってる!』

 

 そして、私はヒドクーイに跨り、姑獲鳥はオトモがジャカロップなので翔蟲を使って、空中へ退避した、まさにその瞬間だった。

 

『ジェルァアアアアアッ!』

 

 地面を捲り返して、見覚えの無いモンスターが現れた。

 全身が茶褐色の分厚い甲殻に覆われ、リオレウスに似た顔立ちとクシャルダオラのような骨格を持つ、巨大で逞しい飛竜種。飛ぶのはそこまで上手くなさそうだが、パワーとスピードを両立出来ていそうである。

 一体何だ、こいつは!?

 

『「シェルレウス」よ!』「はぁっ!?」

 

 今明かされる、衝撃の真実ゥ。

 姑獲鳥曰く、このモンスターは絶滅種である筈の、シェルレウスなのだそうだ。何で知ってるし。

 

『前に図鑑で見たから間違いないわ!』「はぁ……」

 

 暇なんですねぇ?

 

『呆けてる場合じゃないわ! シェルレウスが絶滅した原因は、環境適応能力の低さから。つまり、種族としての身体能力は相当な物の筈よ!』

「マジでか!」

『レギャアアッ!』『ジェルァアアアアッ!』

 

 とか何とか言っている間に、セルレギオスとシェルレウスが縄張り争いを始めた。空へ舞い上がり、一方的な攻撃を加えるセルレギオスに対して、シェルレウスは自慢の装甲でダメージを無効化している。幾ら鱗を撃ち込もうと蹴りを入れようと、まるでバサルモスやグラビモスを剣で切り掛かった時のような音がするばかりで、全然堪えていない。

 確かに姑獲鳥の言う通り、身体能力は相当な物らしいわね。

 

『グルゥゥゥ……ジェラォオオオッ!』『ルギャヴォッ!?』

 

 と、攻撃を受け続けていたシェルレウスが、前脚に力を入れたかと思うと、セルレギオスの上を取る程の大ジャンプをして、ナルガクルガのように翼を刃の如く使った三連撃を叩き込んで、地面へ叩き落した。

 そして、リオレウスよろしく滑空しながら尾撃と毒を食らわせ、着陸後は動けないよう腕で押さえつけつつ、至近距離から火炎放射を叩き込んだ。何、その即死コンボ!?

 どうしよう、セルレギオスは瀕死になったけど、このままじゃ狩猟達成の証が回収出来ないんだけど。

 

『フッ!』「あっ!?」

 

 すると、姑獲鳥が持って来ていたスピードボールでセルレギオスをゲットしてしまった。

 

『逃げるわよ!』「えっ、あ、うん!?」

 

 さらに、有無を言わさず戦線離脱。ギルドへの報告も兼ねて、さっさとトンズラしてしまった。

 ――――――あれ、これってつまり?

 

『セルレギオス、ゲットだぜ~♪』

「このアマぁあああああああっ!」

 

 私だけオトモンの捕獲に失敗してしまった、という事である。チクショウ!

 

「今度は絶対に捕まえてやるからなぁ、シェルレウスぅ!」

『ジェラァ?』

 

 意味不明な負け犬の遠吠えに頚を傾げるシェルレウスに中指を立てつつ、私は泣く泣くクエストから帰還するのだった。

 ちなみに、標的は狩猟しているので、無事に上位ハンターにはなれましたとさ。チャンチャン♪




◆シェルレウス

 絶滅種とされる、リオレウスやリオレイアの祖先に当たる飛竜種。
 茶褐色の分厚い甲殻と逞しい前脚を活かしたパワーファイトが得意で、初めは攻撃を受けて様子見をしてから一気に攻め立てるのが基本パターン。
 また、殆ど滑空しか出来ない翼はナルガクルガの如く鋭い刃であり、大型モンスターも一撃でダウンさせる威力を誇る。ついでに食らうと裂傷状態になってしまう。
 さらに、尻尾に毒がある上に火炎放射まで出来る為、一度攻めを許すと回復する暇は全くと言っていい程にない。
 このように凄まじい力を持つ本種であるが、急激な環境の変化に適応出来ずに絶滅した――――――かに見えたが、一部の個体が地下へ生活の場を移し、隠れるようにして生き延びていた。
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