鳴女さんの令和ロック物語   作:ディヴァ子

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 さらばコムリの里ヨ!


クエスト⑦:怨虎竜マガイマガドの討伐、そして!

『おぅおぅ、やってんねー』《どうにか間に合いましたね》

 

 眼下で吠え滾るマガイマガドの姿を見て、とりあえず一安心。里が壊滅して火事場泥棒が出来ないかと思ったぜ。

 やぁやぁ、諸君。一流ハンターの鳴女さんだよー。

 うん? ハンターなんぞやってないで、いい加減に鬼太郎と戦えって? 知らんなぁ。

 まぁ、それよりも今の狩猟だ。現在、百竜夜行の終盤にマガイマガドが襲撃し、里が絶賛大ピンチ中である。

 ちなみに、里長のコムリは既にくたばっているらしい。詳細は不明だが、鎧に毒を仕込んでるような奴だから、アデルの逆鱗に触れてぶっ殺されたんだろう。あいつ、理由もなく部下や身内を蔑ろにする輩が大嫌いだからな。予定調和でしょ(笑)。

 さてさて、それはそれとして、どうしたもんかねぇ?

 ……マガイマガド、欲しいんだよなぁ。攻撃の隙が少ない上に威力もあるし、特性さえ発揮出来れば無限に戦える。オトモンでも操竜でも活躍出来る、素晴らしいモンスターだ。

 正直、ポケットに収まりそうもない古龍よりよっぽど役に立つ。条件があるのかもしれんけど、あいつらボール使えないんだよ。マスターボールなら、弱った所に投げれば行けるのかもしれんけど、勿体なくて使う気にならん。ポケモンあるあるである。

 

「……おい、ボケっと見てないで手伝え!」

『仕方ないなぁ……』

 

 怒られちゃった♪

 いやぁ、あまりにも1人で頑張ってるから、ついつい高みの見物しちゃったよ。

 だが、そいつは私のペットだ。誰にも渡さん。

 

『行け、ジンガ!』『ヴァォオオオン!』

《殺れ、グランガァ!》『ギャォオッ!』

 

 という事で、私たちも参戦。

 

『やってやるのじゃー!』『死ぬがいい!』

『紫玉寄こせやぁ!』『欲張りねぇアナタ』

『お待たせ、アデル!』《ウッシャアア!》

 

 そして、他のメンバーも次々と戦場へ乱入し、マガイマガドをフルボッコにする。比喩ではなく、本当に一方的なリンチである。

 

『……グガァッ!』

『戻れ、ジンガ!』

《グランガァ、「はかいこうせん」!》『ガグァアアアアッ!』

『グルヴォォッ!?』

 

 何せ、こっちは何時でもモンスターをボールに戻せるのだ。常にヒット&アウェイしているような物である。殴っては戻し、殴っては戻し、その繰り返し。食らう事で無尽蔵に回復するマガドと言えど、この戦術の前ではどうしようもあるまい。そのままタコ殴りにされていたまえ。

 

『グヴヴゥゥ……!』

 

 おっと、ようやく体力が尽きて来たか。毒も回っているようだし、さっさとゲットして回復の薬を使ってやろう。

 

「ううっ……!?」

 

 しかし、いよいよ以てボールを投擲しようとしたその瞬間、生き残っていた受付嬢が突然頭を抱えて苦しみだした。

 

《死ねぇ! 死ねぇ! 死ねぇえええっ!》

 

 さらに、ギャァアアンと目を見開き、エフェクトの掛かった声で物騒な事を叫び出す。何か見た事あるぞ、これ。具体的に言うと、風神雷神の古龍夫婦とかの辺りで。

 このパターン、もしかして――――――、

 

『キャァアアアアアアアアッ!』

 

 凄まじい地鳴りと浮遊感。谷間の全てを吹き飛ばすような勢いで大地が捲れ上がり、地中から巨大な化け物が現れた。

 鰭の無いプレシオサウルスを思わせる姿をしており、胴体の側面から七本の触手が生えている。この触手、先端が一つ目の蛇のような頭になっており、それぞれが独立して動かせるようだ。

 だが、特筆すべきは、その桁違いの大きさだろう。ダラ・アマデュラと同等かそれ以上の巨体を誇り、八つの谷と八つの峰を覆う八首八尾の巨龍である。体感だけど。

 まぁ、何と言うですかね、

 

「な、何故ここにヤトノカミが!?」

『知るかそんなもん!』

 

 どう見ても日本爆裂な超古代妖怪ヤトノカミです、本当にありがとうございました。マジで何で居るし。確かに古龍種って言われても信じられるけどさ!

 

『一旦退避!』

 

 ともかく、ここは一度距離を取ろう。奴は石化ブレスを吐く。物理的なガードが不可能な理不尽攻撃をわざわざ食らってやる筋合いは無い。

 

「ひぃっ!」「助け――――――」

 

 さっそく、逃げ遅れた里の者たちが石化していった。

 

「い、嫌だ……死にたくな――――――」

 

 ついでにアデルの相方だったメラルも石化。絶望の淵に沈め。

 

「儂は間違っていたというのか……どうすれば、良かったんじゃ……」

 

 あと、しぶとく生きていた里長コムリも石となる。やり方が間違っているとは言わんが、お前は存在自体が間違ってるんだよ。

 

『シャアアアッ!』

 

 そして、ヤトノカミの咆哮で残らず砕け散った。これにてコムリの里、終了~♪

 まぁ、どうせ口封じに全員殺すつもりだったし、手間が省けたわね。周囲から孤立している集落だからこそ、あんなにもボールをポンポン使ってたんだよ。情報はなるべく秘匿しておくに限る。

 

『グルヴヴッ……!』

 

 おお、マガマガは生き残ってたか。てっきり巻き込まれて死んだかと思ってたけど。流石は牙竜種、動きが素早い。空も飛べるしね。

 しかし、これ以上の継戦は無理だろう。猛毒状態かつ瀕死寸前だからね。

 

『という事で、マガドゲットだぜ~♪』『ガヴゥゥ……!』

 

 という訳で、思い切ってマスターボールを投げてみました。君はここで伏せていたまえ。頭文字Mだから丁度良いし。

 

『死ねぇええええっ!』『危なっ!?』

 

 ついでに、その数瞬後に石化ブレスが過ぎったから、二重の意味で丁度良い。

 おい貴様、人のマガドに何してくれてんじゃあっ!

 

『アデル、お前……調子はどうだ(・・・・・・)?』

 

 私は近くに退避していたアデルに声を掛けた。メラルを躊躇なく見捨てる辺り、こいつも大分染まって来てるねぇ。元々感化され易い奴だからな。

 

「――――――行けそうだ!」

 

 すると、アデルは手をグッパーしながら己の調子を確かめ、力強く答え――――――、

 

『デュワッ!』

 

 さらに、眩い光と共に巨大化した。

 そう、私が確かめたのは、アデルの枷(・・・・・)の外れ具合(・・・・・)。私たちは異世界に来ると大幅に能力を制限されてしまうが、時間経過で徐々に調子を取り戻していく。世界の法則と個人差により外れ具合はマチマチで、今回は最後まで私は解放されなかったが(というか、私は次元連結システムでもあるので、そもそも外れ難いんだけど)、アデルはどうにか間に合ったようだ。

 だからこその、巨大化だ。この蠅声為邪神(ハバエナス)でも見せた技により、敵と同じ土俵で戦う事が出来る。

 とは言え、それでも子供と猛獣くらいのサイズ差があるのだが。どんだけデカいんだよ、お前は。

 つーか、よくこんな馬鹿デカい奴を正面から倒せたな、鬼太郎。そう考えると全盛期の彼はそれはもう凄まじい物だったろうし、修行を積んだ今となっては、正真正銘の化け物になっているかもしれない。

 戦いたくねー。命は大事にだよ。

 

『デァッ!』『キャァヴォオオオオッ!』

 

 そして始まる、大怪獣バトル。闇の巨人と暗黒の蛇神が戦ってる。石化ブレスは強力だが、あくまで妖術の類に近い技なので、魔法に長けるアデルなら対抗魔術で何とかなる。

 

『グフハハハハッ!』『ぐっ……!』

 

 ま、地力では明らかに負けているのだが。そりゃあ、あのサイズ差じゃね。巨体をグルングルンと回して八本の首を連続で叩き付ける、モンスターで言う所の必殺技でアデルを崖壁へ貼り付けにした。

 ……こりゃヤバいな。

 

『おい、お前ら行くぞ!』

《合点です!》『了解じゃ!』『分かっておる!』『しょうがないわねぇ!』『もう一踏ん張りよ、姑獲鳥。そしたら帰ってお風呂入るんだ……』『頑張って、アデル!』《ヤッテヤルゼェ!》

 

 私の合図で、全員が己の武器に自らの全霊を込める。枷が外せなくても、物に力を宿す事は出来る。それを思い切りぶん投げてやれば、即席の水爆ミサイルの完成だ。

 

『閻魔大王によろしくなぁあああっ!』『ギャヴォオオオッ!?』

 

 怯んで動けないアデルに止めを刺そうと身体を回し始めていたヤトノカミに、9本の武器が突き刺さる。8本は頭部に、1本は胴体に直撃し、今度はヤトノカミが怯んで動けなくなった。

 

『はぁああああっ! ……デリャアアッ!』

『ギャアアアアアアアアアアアアアアッ!』

 

 さらに、その隙を突いて、アデルの必殺光線が炸裂。ヤトノカミは内部から大爆発した。その衝撃で谷にあった何もかもが吹っ飛び、見るも無残な奈落の底と化したが、とりあえずクエスト達成だな。

 ……報酬を払ってくれる人が居ないのが、問題だけどね。

 

「おめでとうございます~♪ クエスト達成ですね~♪」

 

 と思ったら、まさかのひょっこり受付嬢からサプライズプレゼント(つまりクエスト報酬の授与を)された。生きとったんかいワレェ。

 

「そりゃあ、生きてるよ。この程度で死ぬ程、軟じゃないもん。人間と一緒に(・・・・・・)しないでよね(・・・・・・)

『……お前、何者だ?』

 

 私の質問に、受付嬢が答える。

 

「コムリの里の美人受付嬢のヒガナ・アマデュラ。だが、それは世を欺く仮の姿。時には駅員のモルフォード・タメリスク、時にはスマイル団の団長ダース・マリアボラスでもある、「千の貌を持つ女」。その正体は……」

 

 そして、何者でもないナニカが、その正体を垣間見せる。黒く禍々しい外殻を持つ、人型生命体――――――外なる神。

 

『たまにはあっちにも来てよね。良い暇潰しになるし、ボブも待ってるかもよ。それじゃあね。ウフフフフ……ギャハハハハハハハッ!』

 

 さらに、意味深な事を言い残して、ナニカは去った。

 

『……帰るかぁ』《そうっスね》

 

 まぁ、疲れたから、元の世界に帰るけど。色々試したい事もあるし。

 

「………………」

『何をボーっとしてんだよ?』

 

 元に戻ったアデルがボケっと里の跡地を眺めていたので、ちょっと話掛けてみたら、

 

「……まるで「奈落の谷」だな」

 

 そんな事を呟いた。

 まぁ、気持ちは分かるけど、考え過ぎじゃね?

 

『諸行は無常な物さ。そんな事より、置いて行くぞ』

「はいはい、分かりましたよーだ」

 

 そして、これからの事に備える為、私たちは元の世界へと帰還するのだった……。

 

 さーて、次は何をしようかなー。




◆ヤトノカミ

 第5期の鬼太郎におけるラスボス。姿がヤトノカミというよりヤマタノオロチなのは内緒。
 遥か太古の昔に閻魔大王によって封印された古代妖怪であり、凄まじい巨体と神力を持つ蛇神。その息は生きとし生ける者を石化させ、妖力を放つだけで百鬼夜行を引き起こすなど、常軌を逸する能力を持つ。性格も凶暴で、殺す事と奪う事しか考えていない。
 閻魔大王に本体を倒された後、八つあった魂を分割され、その内の一つは人間の魂に宿る形で封じられた(残りは己の牙から生まれた大蛇女が持っていた)。本来は絆パワーによって解放される事はない筈だったのだが、現代社会の荒んだ人間関係のせいで封印が綻び、風祭 華の代になって遂に復活。日本中を壊滅させようとしたが、チート・オブ・チートな鬼太郎の放った地獄究極奥義の頂点・列闘星覇によって、自分が石化して砕け散った。
 今作における彼は、八つの内の六つの魂を異世界に飛ばす形で復活の機会を狙っていた。残りは原典通り大蛇女と、とある人物の魂に封印されている。
 つまり、もう5回は遊べるド~ン♪
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