鳴女さんの令和ロック物語   作:ディヴァ子

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何となく買った「シャイニングパール」、まだ封すら切ってない事実。何故こんなにも抵抗があるんだロウ。


終わりの始まり

「袈裟斬り!」

『『『せいっ!』』』

「水平斬り!」

『『『てぇい!』』』

「ジャストラッシュ!」

『『『はぁっ!』』』

 

 私の指示に合わせて、数多くのホムンクルスが素振りする。このグループは「片手剣」だが、他にも「双剣」や「大剣」に「弓」など、様々な武器で練習中である。

 ……やぁ、諸君。私だ、アデル・フォン・アスワングだ。

 つい先日、何故か復活したヤトノカミをどうにか討伐し、モンハンワールド(タイトルの方ではなく世界線的な意味の「ワールド」)から命からがら帰還したのだが、怪我に見合うだけの凄まじい戦力を得られた。モンスターや現地生物も然る事ながら、“素材”や“技術”の入手が一番大きい。

 その結果が“これ”だ。ほぼ忠実に再現した防具や武器を手に訓練する、使い魔軍団の完成である。

 ホムンクルスのような直立二足歩行はそのまま装備し、吸血蝙蝠や魔犬などの動物的な連中はオトモ系の装備を使っている。おかげでモンハン気分が未だに取れていない。

 まぁ、戦術強化の為だから考えない事にしよう。

 ちなみに、持ち込んだモンスターの一部はこちらで繁殖させている。ディノバルドとラージャンは難航しているが、リオ夫婦の方は上々だ。元が亜種だった事もあってか、希少種や特殊個体も次々と生まれている。時空の歪んだブリガドーンだからこそ成せる業だろう。

 鳴女はそれを個人で行える訳だが。本当にチートな奴である。

 あっ、そう言えばあいつ、遂に懐妊したらしいわね。その数日後に出産したそうだけど。どうなってるんだ、あいつの身体は……。

 余談だが、私はティンカーベルなのでよろしく。……誰か良い人を紹介して。

 

『おやおや、精が出ますな』

 

 と、ボンヤリ下らん事を考えていたら、通りすがりのヴォルフガングに声を掛けられた。今日も優雅なダンディで何より。

 

「それはそうだろう。ベアード様曰く、「来訪者」の復活が間近らしいからな」

 

 鳴女が出産に踏み切ったのも、その関係だとか何とか。まるで意味が分からんぞ。

 

『そのようですね。しかし、これ程の戦力があれば、何の問題も無いのでは?』

「いいや。こいつらはあくまで雑魚狩り用だ。獣相手の技は人間には通用せん」

『……例の「鬼殺隊」ですね』

「そうだ。鳴女曰く“悪鬼羅刹すら殺す異常者集団”らしいからな」

 

 狂った人間程厄介な物は無い。

 獣のように食らい付き、野生に有るまじき執念で襲い続ける、本当の悪魔たち。知恵と勇気を振り絞り、時には神すら滅ぼす、勇者と言う名の狂人。

 化け物を殺すのは、何時だって人間なのだ。

 むろん、無策と言う訳ではない。そちらはそちらで育成中である。毒は同じ毒で以て制する物だ。

 

『それはそうと……妹君の方はどうなさるおつもりで?』

「………………」

 

 アニエスは今、鬼太郎たちと共にある。難民であるマレーシア妖怪への対応を機に、本格的に向こうへ味方するつもりらしい。

 

 ――――――いい気な物だな。誰のせいでそうなったと思っている。

 

 戦力強化は元から決まっていた事だし、あんな話も聞かない連中に慈悲を掛ける程、私もベアード様も優しくは無い。“皆仲良く手を取り合う”など絵空事である。

 それだけならまだ分かるが、全滅の憂き目にあった直接的な原因は、間抜けにもヴォルフガングを住処に案内してしまったお前自身なんだぞ、アニエス。

 

「手は尽くした。後は運命に委ねるさ」

『………………』

 

 私の曖昧な返答に、今度はヴォルフガングが何とも言えない表情で沈黙した。

 まぁ、言いたい事は分かる。でもね……私もそろそろ、疲れて来たんだよ。話を聞かない、聞き入れない奴が多過ぎる。仕事量も多過ぎる。誰か助けて。

 

「……さて、私もそろそろ上がるよ。リオレイアの卵か孵りそうなんでな」

『すっかりブリーダーが板に付いて来ましたね』

「ほっといてくれ」

 

 癒しが欲しいんだよ、私は。この疲れた心に潤いを!

 そういう意味では、アニマルセラピーは効果的だ。生まれたてのリオレウス(かリオレイア)に刷り込みして、第三の親として甘えて欲しい。可愛いんだよ、あいつら。プチリュウとかフェアリー・ドラゴンみたいで。円らな瞳で擦り寄って、ペロペロして来るんだよねぇ~♪

 他にもジャラガンダーやジェライジン(最近進化しました)も子供生みそうだし、ブリガドーン内部は(モンスターに限って)ベビーラッシュが来ている。これがまた可愛いの何の。

 嗚呼、何て幸せな空間なんだ……。

 

《急報、急報!》

 

 と、またしても下らん事を考えていたら、伝令係のホムンクルスがいそいそと駆け寄って来た。そんなに慌ててどうした。

 

《――――――つい先程、多数の空間変換が起こりました! ポケモンたちによる、世界侵食です!》

 

 さらに、今告げられる衝撃の凶報。

 どうやら、世界がポケモンワールドに取り込まれつつあるらしい。単なる侵攻ではなく、情報ごと書き換えて来る辺り、コズミックホラー感が溢れている。

 ……って、いやいやいやいやいや!

 

「まるで意味が分からんぞ!?」

《あと、ヒガナ・アマデュラを名乗る魔女より、「中々来ないから、こっちから遊びに来ちゃった♪」との伝言が……》

「あのクソアマァアアアアアッ!」

 

 誰か、私に安息日をくれッ!




◆ポケモン

 地球とは遠く離れた星に住む、不思議な不思議な生き物。姿形は様々だが、摩訶不思議な技や特性を持ち、“ある程度自分の大きさを変えられる”という共通能力がある。現地の人々はその能力を利用し、自らの手持ちとしてバトルしたり共同生活を営んでいる。
 元々は「ポケモン」というドメインは外来種である可能性が示唆されており、生態系を乗っ取る処か文明そのものを書き換えて侵食したかのような印象も与える、若干怖い部分もある(単なる死に設定だろうが)。というか、ポケモンに都市伝説は付き物である。レジ系とかね。
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