鳴女さんの令和ロック物語   作:ディヴァ子

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 (」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!


這い寄る混沌

 東京都、墨田区――――――スカイツリーの頂点。

 

『つまんなーい』

 

 馬鹿とイキリは何とやら。

 東京で一番高い場所に何事も無く陣取っていた、スマイル団の団長ことダース・マリアボラスは、深々と溜息を吐いた。それはもう、心底つまらなそうに。

 彼女の眼下では、自身が呼び寄せたポケモンたちが、好き勝手に暴れ回っている。正確には召喚ではなく、現地の生物を変質させたものだが、この際それはどうでもいいだろう。彼らがこの世に実在し、被害が続出しているのは紛れもない事実である。

 しかし、人々も逃げ回るばかりではない。大空 つばめをお館様とした「鬼殺隊」が駆け付け、ポケモンたちを次々と討ち取っている。大半は瀕死状態で済んでいるが、柱級の隊士を相手にした者は……考えない方が良いだろう。

 だが、それも所詮は多勢に無勢。変化したポケモンはそこら中に居る上に、どんどん増え続けている。マリアボラスが健在な限り、終わりはない。倒した数より現れる数の方が多いだろう。

 

『……ん?』

 

 しかし、侵食開始から暫く経った頃、状況に変化が起こった。

 

『あれは……バゼルギウスか』

 

 突如、葛飾区の方にバゼルギウスが出現し、空爆を始めたのだ。

 さらに、直ぐ近くからディアブロスが現れ、それを皮切りとして23区の各地にモンハンのモンスターが現れていく。ポケモンたちも対抗しているが、流石に大きさが違い過ぎる。搦め手やタイプ相性で有利に戦えている者もいるが、体格以上に体重差で押されている者が殆どである。見た目の割りに軽い奴が多いからね、ポケモン。

 そして、それに便乗するかの如く、攻勢を強める鬼殺隊。漁夫の利と言ってしまえばそれまでだが、人の身で強大なモンスターたちを相手取る以上、卑怯千万は誉め言葉だろう。

 そんな事より、モンスターたちの(・・・・・・・・)召喚主だ(・・・・)

 

『これはもしかして、もしかするのかな~?』

 

 ポケモンたち以上に暴れ回るモンハン世界のモンスターたちを見て、マリアボラスは実に楽しそうに笑った。こんな事が出来るのは、自分が知る限り、鳴女しかいないと。

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 だが、現実はそこまで彼女の思い通りにはいかなかった。

 

 ――――――べべん、べんべん!

 

『………………』

 

 破壊し尽くされ、瓦礫ばかりの更地を歩く、琵琶の女。

 しかし、彼女は鳴女ではない。むしろ、芸妓の無惨に零余子や姑獲鳥の要素を付け加えたような姿をしている。

 

(鳴女は言っていた。なるべく凶暴性の高い種族を呼び寄せて、ポケモンにぶつけろと)

 

 彼女の名は「玄上」。進化を重ね続け、自律思考だけでなく、人間の姿に擬態する能力まで得た、鳴女の琵琶である。元々付喪神になっていた彼女だが、この度晴れて一人前の妖怪となったのだ。正確には、鳴女と同じ「鬼」だが。

 さらに、無限城の媒介役だった事も相俟って、鳴女と同レベル……否、転移能力に関しては、それ以上に使い熟す事が出来る。何せディアブロスのような怪獣レベルの大きさも平然と、何度も何度も呼び寄せられているのだから。

 だが、まだまだ「鬼」としては赤ちゃんなので、直接的な戦闘能力は低め。ちょうど原作における鳴女と同様である。

 

「あっ、こいつもしかして、鳴女か!?」

「いや、容姿が全然違うぞ!?」

「擬態しているだけかもしれないだろ!」

「確かに……」

「ともかく、襖に気を付けろ! 想定通りに対処すれば、何とか生き延びられる!」

「わ、分かった!」

『………………』

 

 なので、玄上は真面目に戦う気は微塵も無い。襖攻撃への対策として背中合わせで周囲を警戒する鬼殺隊のモブを前にしても、全く気にも留めていなかった。

 

『さようなら』

「「あっ!」」

 

 言うが早いか、玄上は己を襖で転移させ、

 

『グワヴォオオオオォォォン!』

「「げっ、ティガレックス!?」」

 

 置き土産として轟竜「ティガレックス」を召喚した。

 

『ゴガァアアアアアアアアッ!』

「「わきゃーっ!」」

 

 轟く咆哮による衝撃波で、隊士たちが吹き飛ばされる。

 

「クソッ、耳栓が欲しい!」

「物理的にどうこう出来る代物か!?」

「スキルの話だよ、スキルの! つーか、何なんだよあの女! 鳴女みたいなのがもう1人いるなんて聞いてないよ~」

「泣き言言ってる場合か! 食い止めるぞ!」

「チクショーメーッ!」

『ギャヴォオオオオオオオオ!』

 

 それでもミンチになったりはせず、即座に反撃に打って出る辺り、鬼殺隊なら異世界でも狩人としてやって行けるかもしれない。

 

 ――――――べべん!

 

「な、何だお前!?」「一体何処から!?」

『………………』

『グゴォオオオオッ!』

「「ぎゃーっ、イビルジョーだぁ!」」

 

 そして、転移する度に同じような事を繰り返し、次々と災厄をばら撒いていく、玄上なのであった。

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

「よろしかったのですか、ベアード様?」

 

 そんな仕組まれた地獄絵図を、異空間から見下ろす西洋妖怪たち。黒玉状態のベアード、ヴィクターと合席するベア子、百年物のワインを嗜むウォルフガング、鳴女から貰った血酒を味わうカミーラと、アデル以外の者たちは例外なく寛いでいる。

 まぁ、そう言うアデルも立ってはいるが、全然焦っていなかった。予定通りの流れ(・・・・・・・)だからだ。

 

『構わん。鬼狩り共を活躍させ、人間と妖怪を敵対させるのは当初から予定していた事。このまま狩らせろ』

 

 そう、これはあくまで前哨戦(・・・・・・・)。ポケモンたちが出しゃばって来るのは想定外だが、鬼殺隊を前面に押し出すのは、あの会議にて、最初から決まっていた事である。

 だから、彼らは此度の戦いに手出しをするつもりはない。鬼殺隊も割と頑張っているし、何より鳴女一派が工作活動を続けている。

 さらに、異界や闇の中から、あの女たち(・・・・・)が帰還した。遅かれ早かれ、この騒動は鎮まるだろう。ならば、ドッシリと腰を据えて、高みの見物をするくらいが丁度良い。

 

(……喧嘩を売る世界を間違えたわね、団長さん)

 

 そして、何もしない事にモゾ痒い思いをしていたアデルも、赫い凶星と闇の魔女に続く、鬼殺隊以外の第三勢力の姿を見て、気にする事を止めた。




◆玄上

 鳴女の使う琵琶が付喪神となった後、完全な「鬼」と化したもの。主人と同じく陽光を無効化し、無限城の能力も使えるが、戦闘力はあまり高くない。表面上は非常に無口だが、心の中では結構毒吐いている。中身はまさしく原作の鳴女そのもの。
 名前の由来は村上天皇の愛した琵琶「絃上」に肖った物。元は父親の商売道具だったが、実の娘を売り飛ばそうとした報いを受けた末に、その娘――――――鳴女に拾われ、彼女の一部となった。他人はぞんざいに扱うが、道具は大切にする鳴女の事はかなり気に入っている模様。
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