ハイスクールD×D 精霊と龍神と   作:きよい

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今回の話の補足のために原作4巻の内容中に補足説明というか多少過去回をやらなくては。
じゃないと「今回の内容よくわかんないことになっちゃったぜ」という方が続出しそうなので……。


14話

 これで、終わったか。

 コカビエルは倒したし――回収されたけど。

 聖剣も無事破壊した。

 俺は緋夥多という存在を知ることができ、退けることにも成功した。

 祐斗は眷族のみんなに囲まれて、帰ってきたことを喜ばれているみたいだ。

 あいつも、本当の意味で居場所を掴めたみたいだな。これなら、もう大丈夫。

 などと俺が考えていると、部員のみんながなぜか俺の方に集まってくる。

「カイトくん、ありがとう。キミにも、心配をかけたかな?」

 祐斗が真っ先に口を開き、そんなことを聞いてくる。

「心配なんかしてねえよ。その、なんだ……帰ってくるって信じてたからな」

 それを信じて動いてた俺の心境を察しろよ。

 って、おい。そんな嬉しそうな表情を向けてくるな。

「おまえも帰ってきたんだし、もういいだろ。俺はそろそろ帰るよ」

「なあ、カイト。おまえと緋夥多って、やっぱなにか関係があるんだよな?」

 踵を返そうとしたところ、イッセーに問われる。

 いま、ここで話していいのか? アンラ・マンユの名は知られちまったけど、全部を話して、本当にいいのか? いや、まだきっと――

「その話をするには、俺自身の心の準備がいる。いろいろ、本当にいろんなことがあったんだ。4年前からの話をするには、まだ早すぎるよ……」

 その言葉をどう解釈したのかは知らないが、それ以上イッセーが口を開くことはなかった。

「そう。でもね、カイト。これだけは教えて。あなたはアンラ・マンユ。かの邪神と関係があるの?」

 代わりに、部長が口を開く。

「関係があるっていうより、アンラ・マンユが俺のことを欲しがってるってだけですよ」

「……それは、あなたの神器をってことかしら」

「神器も要因のひとつだと思いますけど、あいつが欲しいのは覚醒した俺という存在ですよ」

「あらあら、狙われているのがカイトくん自身なら、私たちも出来る限り力になってあげたいですわ」 

 部長との話の最中、後ろから首に朱乃さんの手が回される。

「ちょ、なにごとですか!?」

「さっき、イッセーくんが言っていたんです。カイトくんの戦う姿が、一人寂しそうで、どこかにスッと消えてしまいそうだと」

「……。それは……」

 否定できない。

 俺はみんなに出会ってからも、イッセーと堕天使の一件でも、ライザーとのゲームも、重要なときは一人で戦ってきた。他人の力を、必要としなかったんだ。

 もう一度失うことを無意識に避けて、一人で全てを守ろうとしてたのか。今日だって、イッセーは隣に居たけど、突っ走っても大丈夫な局面でしか戦わせてない。

 結局、俺は一人で戦うことを望んでいたっていうのか……。

「……いまは、否定してくれなくてもいいですわ。でも、これから先、少しずつカイトくんの過去も教えてください。そしたらきっと、カイトくんも私たちと一緒に戦う意味がわかってくるはずですから」

 語ったわけでもないのに、俺の心中を見透かしたような発言。……顔に出てたかな。

 でも、この一言は俺の深い部分には響かない。

 今日で大分俺の周りも変化が訪れた。予期しない人物との邂逅は、俺に戦う意味を再確認させるには十分すぎる程だ。

 いまの仲間を守りつつ、必ずアンラ・マンユを消滅させる。

 でも、いつかはいまの仲間たちとしっかりと向き合って、肩を並べて戦っていけたら。――そう思う。だから、いまだけは。きっと遠くない未来に望んだ通りになると信じて、嘘をつこうじゃないか。

「いまの一言は、痛いくらいに響きますね……。だから、今日の俺を、俺は否定します。俺だって、一人で戦って行けるわけじゃありませんから。だから――」

「だから、仲間を頼っていけることも強さになるんだ」

 俺が言わんとしたこととは違ったが、祐斗がそう続けた。

「僕は今日、それに気づけたよ、カイトくん。だから僕は、仲間であるキミのことも、守ってみせるよ」

「……そうか。ありがとな。なら俺も、おまえらを全力で守ってやるさ」

「それは心強いね。キミとだったら僕は、どこまでもいけそうなんだ」

「俺、おまえになにもしてないぜ?」

「いや、多くのことを見せてもらったよ。キミの戦い方、思い、いろんなことが僕を成長させてくれるんだ」

 祐斗には、そう映っているのか。俺の姿は、そんな憧れに似た、誰かを成長させられるようなモノじゃないのにな……。

(もう、認めてもいいじゃない。あなたは、この駒王学園オカルト研究部の仲間で、あなたが守るだけの場所じゃなくて、あなた自身も守られ、支えられる場所なのよ)

 頭の中で、レスティアの声が響く。

 ああ、ああ。そうなんだ。もう、とっくにわかってたさ。でも、まだ俺は素直になれない。いまの仲間の全てを認めることは、いままで共にいた仲間が過去になるようで……。アンラ・マンユの闇に呑まれたあいつらが、遠い存在になるみたいで……。

(……そう。なら私もいまはもうなにも言わないわ。あなたの気持ちの整理がつくまで、この話はやめましょう)

 それっきり、レスティアの声は聞こえなくなった。

 その後、酷い有様になった学校(半分くらいは俺の剣技の余波だったりしたが)を直すということで、俺は戦いでの疲労から、みんなに労われたあと家に帰された。

 

 

 

「ただいま……」

 学校に居る間は、残った気力でどうにか立っていられたが、帰ってくればそんな必要もない。

 俺は足から力が抜けるのがわかった。

 鈍い音ともに、俺の体が床へと転がる。

 そういや、仲間っていえば家族であるオーフィスにも、いろいろ恩があるっけな……。仲間を失った頃に出会って、それで――

「ありゃー、これまた大分無茶してきたのかにゃー?」

 倒れこむ音で気づいたのか、黒歌が顔を覗かせる。

「無茶なんかしてねえよ」

「強がんなくていいにゃ。疲弊しきってることくらいわかるわ」

 こっちの黒猫さんも俺のことはお見通しですか。まあ、仙術が使えればそういうのもわかるものなのか? 俺は使えないからわかんないけど……。

 それに、確かに体はガタガタで今日はもう使い物にならないけどさ。それ以上に、神経すり減らしてくたくただ。

 俺は、どうすることが正解なんだろう……。あいつらと、イッセーたちとこれからも一緒にいれば、少しはいまの気持ちに整理が――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……寝ちゃったにゃー」

「カイト、もう寝た?」

「ぐっすり。よっぽど疲れたと見えるよ」

「そう。……。……迷ってる。カイト、多くのこと、悩んでる」

「よくわかることで。それで、本当にいいのかにゃ?」

「……いい。我、静寂のために、かれらへの協力に専念する」

「それじゃあ――」

「もうじき我、ここから消える。カイト、きっとわかってくれる」

「……わかったにゃ。なら私も、そうするにゃー」

 

 

 

 

 

 

 コカビエル襲撃事件から数日後。

 俺はいままでと変わらない生活を送り、部員のみんなとも普通に接していた。結局、現状維持ということで決着したわけだ。

 人間というのは実に都合のいい生き物だよな。こうだと決めてしまえば、ある程度は悩ますにいられるんだ。だから俺は、今日だってここにいる仲間を思って、楽しく生活していくさ。

 と、決意新たに部室に顔を出すと、普段のメンバーに加え、もう一人見知った顔がいた。

 なにやらイッセーや祐斗とも普通に話しているみたいだ。アーシアとも、笑顔でなにかを楽しそうに話しているけど、何事だ? 前回来たときとは全然態度が違うじゃないか。

「あら、カイト。今日は遅かったのね」

「え? あ、はい。ちょっと担任と話し込んでて。というか、なんでここにゼノヴィアが?」

 そう、部室にいたのは聖剣使いであるゼノヴィアだ。

「やあ、カイト。そういえば言ってなかったな。神がいないことがわかったから、破れかぶれで悪魔に転生したんだ。リアス・グレモリーから『騎士』の駒を頂いて、それで、この学園にも編入させてもらった。今日から高校二年生でオカルト研究部所属だ。よろしく頼むよ」

「お、おう。事情はわかったけど中々ついていけない展開だったよ。けどまあ、仲間ってことなら大歓迎だ。よろしくな」

「カイトにも紹介が済んだことだし、ひとつ話しておくことがあるわ。今回の一件、堕天使の総督アザゼルから、神側と悪魔側に真相が伝わってきたわ。それによって、近いうちに天使、悪魔、堕天使の代表が会談を開くらしいの。なんでも、アザゼルが話したいことがあるそうよ」

 部長は一度話しを区切り、俺たち全員を見てから話を続ける。

「その場に、私たちも招待されているわ。事件に関わってしまったから、今回の報告をしなくてはいけないの」

 この一言に全員、驚愕の表情を浮かべている。それもそうか。誰だって、各組織の代表が集まる場に居合わせろなんていわれたらそうなるよな。

「イッセー、頑張れよ。変な行動起こさないようにな」

「あらカイト。なに人事みたいに言ってるのかしら? あなたも当然参加するのよ」

「へ? 俺は人間ですよ。今回の会談には関係ないんじゃ」

「あなたは悪魔側の協力者でしょう。それに、今回の一件に関わってるし。参加させない方がどうかしてるわ」

 部長の一言に、俺は打ちのめされた。俺だって、代表の会談場所に好んで行く趣味はないのだから。

 どうせ、そこには白い龍も来るんだろうな。

 はあ、なんだか落ち着けない日々が続きそうだ。でも、いまの仲間と過ごす時間なら、そんな慌しい中でも、なんとかなりそうだ。

 オーフィスたちとだけだったときよりも、俺の日常は明るい方向に向き始めてるみたいだ。

 




次回からは原作4巻の内容に入っていく感じでしょうか。
TSヴァーリさんや吸血鬼の子とかに出番が回ってきますね。
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