ハイスクールD×D 精霊と龍神と   作:きよい

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9話

 にして、まさか帰ってきて早々、イッセーが連れて行かれるとは……。

 一度帰って来た俺とイッセーなのだが、イッセーはすでに部長の母さんによって連行された。なんでも作法を習わせるとかで。祐斗はもちろん、ギャスパーも一通りはできるらしい。だからイッセーだけ、という形なのだが。まあ、習うのはそれだけじゃなく、グレモリー家が思うその後のことも考えての指導が待ってるんだろうな。

 頑張れよ、イッセー。

 

 

 俺はと言えば、アザゼルと話をしながら時間を潰していた。

 いきなりガブリエルさんのところに行くのも抵抗があったからだ。

 そのおかげか、いまは総督さまとイヅナの力と、若手悪魔の集まりのときの襲撃との一件の話をするはめになった。

「カイト。イヅナの件だが、あの裂け目……。あれは、リアスたち若手悪魔の一件と同じ力なんじゃねぇのか?」

「……。まあ、そりゃ気づくよなぁ。勘弁してくれよまったく」

「その口ぶりからすると」

「ああ。あの力は明らかにイヅナだと思う。襲撃犯はイヅナなんだろうな」

 でも、俺にはひとつだけきれるカードがある。

 それは先日、サーゼクスさんとの話で決まったことだ。

 アザゼルがこの場でなんと言おうと、やらせはしない。

「そうか。サーゼクスたち悪魔側がなんて言うかは知ったことじゃねぇが、俺にとってはそんなこと問題じゃない」

「……。……どういう、ことだ?」

「だから、俺はおまえの意見を尊重してやるって言ってるんだよ。イヅナの件は問題にはさせない。悪魔側がなにを言おうとだ。仲間ってのは大事にするもんだからな。俺も――過去に多くを失った身だ。若いやつがそんなことで悩むのを見てるとむかつくんだよ」

 アザゼル……。不器用な言い方でしか伝えられないのだろう。

 それでも、よくわかる。

 サーゼクスさんといい、アザゼルといい、トップがこんなにあまくていいのかよ。

「ありがとな。アザゼルも、サーゼクスさんも、みんないいやつばかりだ。――ありがとう」

「礼なんて言うんじゃねぇよ。俺は俺の思った通りに動くだけの、欲望に忠実な堕天使さまだからな」

 頭を掻きながらそう言うアザゼル。

 照れてるのかね? からかいたいところだが、そんなことをしてやっぱり問題にすると言われても困るからな。チクショウ。

 まあなんにせよ、サーゼクスさんとは一度話しておかないといけないのかな? いや、でもまだ襲撃者誰かばれてないしだいじょうぶか。

「カイト、この一件。サーゼクスになにか言われたら一応は話しておけ。隠しておくと後々問題にされることもあるからな」

 総督はそういう考えですか。

「わかった」

「よし、ならそろそろガブリエルのところに行け。俺と話して時間を潰してる場合じゃないぞ。いつイッセーが戻るかわからないからな」

 うわー……。ばれてたか。

 でもそうだよな、いつかは行くんだし。

「はいはい、行ってくるよ」

「なんにもないといいな。いや、逆に美味しい展開を期待中だったか?」

「うっさいな。なんにも考えてねーよ」

「つまんねぇなぁ」

 一旦アザゼルと別れ、俺は一人、ガブリエルさんの待つ自室に向かった。

 あれ? やっぱりまだ俺の部屋にいるんですね?

 

 

 

 

 

 

「失礼します」

 なんで自室に入るのにこんなこと言わないといけないのだろうか。

 と入ってみると、そこにはやはりと言うべきか。すでに座って俺を待っていたガブリエルさんの姿があった。

「あら~、帰って来たんですね。待ってましたよ」

「すいません、遅くなったみたいで」

 俺はそう謝ったが、ガブリエルさんは笑顔のまま首を振ってくれた。謝らなくていい、と言っているように感じる。

「それじゃあさっそくですけど、話を始めましょうか。あまり、いい話ではありませんが」

 ガブリエルさんは少しだけ表情を暗くし、口を開いた。

 なんの話かは知らないが、確かにいい内容ではなさそうだ。

「まずはそうですねぇ。天界の話を少しだけしましょうか」

「天界とも関係があるんですか? 俺、そちらの方には行ったこと無いと思うんですけど」

「行ったことがなくても、会談のときにカイトさんに伝えたかったことには関係がありますから」

 そう言われては黙るしかない。

「天界では、神器持ちの子供を幼いころからひきとり、育てることが数多くあります。それは孤児であったり、親に頼まれてのことだったり」

「へぇ……。それは、人間だけですよね?」

「はい、そうですよ」

 今日の話し方はいつもみたいにおっとりした感じじゃないな。

 それにしても、人間だけか。これが他の種族とのハーフにも通用するならいいんだけど。そうすれば、俺のところにいた何人かは救われてたのかもな。

「カイトさんは、両親はいたんですか?」

「いえ、残念なことに顔も知りませんよ。本来の家族の顔は、写真ですら見たことありませんから」

「そうですか。ならやはり――」

 ガブリエルさんの隣で座りながら話していた俺は、隣からの力により横に倒された。

「お、おお!?」

 特に痛みはないし、攻撃をくらったわけじゃないな。

 これは――ひっぱられただけか!

 後頭部がなにか柔らかいものに当たる。真上を見上げると、そこにはガブリエルさんのか――あれ? 顔が見えない……。変わりになんか突出した柔らかそうなものが見えるよ。

 ひっぱられた時点で、ガブリエルさんがしたことだと見当はついた。だから、きっと倒れてすぐ上に見えるのはガブリエルさんの顔だと思っていたのだが……。いやいや、流石四大セラフの一人にして、天界一の人気を誇るお方だ。まさに規格外!

 というか、この状況はあれか、膝まくらか。なんか最近多いな。

 にしても柔らかいなぁ。

「毎日枕にして寝たいくらいだ」

「はい?]

 やべ、声に出ちまったか……。

「枕、ですか?」

「い、いえ。なんでもないですよ、なんでも」

「毎日私を枕にして寝たいんですねぇ」

 おおっとぉ? なんか変な誤解を生みそうだ。いや、確かに言ってることは俺が言ったことと比べて間違っているわけではないけどさ! やっぱ言い方って大事だよね!

「堕天する心配がなければ問題ありませんよぉ。今度ミカエルさまに掛け合ってみましょう」

 手を叩き、名案とばかりに笑うガブリエルさん。

 笑顔が見えないけど喜色ばんだ声で笑顔なのだろうとわかる。

「っていうかなんで膝まくらなんですか?」

「そうですねぇ……。一度してみたかったから、ではダメですか?」

「他の人にやるっていうことは?」

「訂正しますねぇ。カイトさんに一度してみたかったんです」

 そうですか。なら仕方ない? のかな。

「でもこれいいですねぇ。これから毎日します」

「します!?」

 せめてしましょうか? っ感じに疑問系で言ってくれれば断る術があったのに……。

 っていやいや!

「さっきなにか言いかけてましたけど、なんですか?」

 そろそろ話を戻さなくては。決して誤魔化したいわけじゃない!

「ああ、そうでしたそうでしたぁ」

 ガブリエルさんは思い出したように、次の言葉を紡いだ。

 

「やはり、カイトさんをあのとき天界で保護するべきでした――」

 

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