なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「ナルホド、コレカラハ観光客ガッポガッポトイウコトデスネ」
「オークさんから『ガッポガッポ』とかいう俗な表現が!?」*1
「ワタシノコトノナンダト思ッテマス???」
はてさて、これからこの異世界が忙しくなるということをこちらの人々(代表してオーク君、およびアマツ君)に伝えたわけだけど。
彼らから返ってきた反応はご覧の通り、若干以上に微妙な反応なのであった。
……いやこう、もうちょっと未知への警戒とか恐怖とかがあってもいいんじゃないかな?
特にオーク君、貴方はよくよく誤解されるとかなんとか言ってたじゃないですか。
「エエマァ。デスガ、コチラニ来ラレル方トイウノハ、原則コチラノ事情ヲ知ッタウエデイラッシャルノデショウ?」
「え?ええとまぁ、そうなるね?」
「──デシタラ問題アリマセン。我等ガ新領主様、ナラビニキーア様ガ『問題ナシ』ト証明シテクダサッタ方ノミガイラッシャルノデアレバ、問題ナド起キルハズモアリマセンノデ」
「うわー!?無垢な信頼が痛いですー!!」
「うわびっくりした。……なんで唐突にそっちの姿に?」
「オークさんの純粋さが、私ことキーアを浄化してしまったからですよ……」
「???」
そんな私に向けられたのは、オーク君のあまりに純粋な信頼感。
……いやまぁ、実際には私だけに向けられたものじゃないけど、それでも『領主様のついで』というにはちょっと眩しすぎるものが飛んできたというか……。
そりゃまぁ、魔王属性である普段の
結果、いきなり姿の変わった私に困惑するジーク君、という珍妙な光景が繰り広げられる結果になったのでしたとさ。
『まぁともかく、外からお客さんがやって来るのは間違いないのでしょう?』
「そうですね~。少なくとも私は暫く入り浸ることになるのではないかと~(白目)」
「おや、それは何故です?」
「防疫の観点から、皆様に健康診断を受けていただく必要があるからですね~」
「……この方、色々担当しすぎでは?」
「いや、一応他にも担当してる人はいるので……」
なにこのブラック企業、みたいな声を発するジェイドさんだが……。
こちらとしては、琥珀さんの発言を素直に受け取られる方が困るとしか?
特に今回話題の健康診断の場合、琥珀さん以外にもブラックジャック先生とかトキさんとか、とにかく彼女の代わりにそれらを担当してくれる人物は複数居るのだから。
……え?それはそれとして琥珀さん自体が便利に扱われているのは事実?
キーアん子供だからわかんなーい☆
「なんと、自ら子供であるとご主張なされるとは!ではでは、早速私を握って頂いて」
「止めて(真顔)」
「キリアさんなのにキーアさんの口調で主張するほどイヤなんですか!?」
いや……誰だってマジカルルビーに身を委ねるのはイヤなんじゃないかな……。
まぁこの話はお互い悪かったということで水に流すとして。
話を戻すと、確かにここの住人達の健康診断を行う必要がある、というのは間違いあるまい。
なにせ、彼らは生粋の異世界住民である。……発生に『逆憑依』が関わってない辺り、真の意味での未知との遭遇というか?
「一応、『逆憑依』系共通の病気耐性──現状の体調から大きく逸れることがない、という性質を持つ彼らと、そもそも病気以外のなにもかもと相性の
「なるほど。はるかさんのような一般の方には大問題、ということですね」
「えっ」
「……一応言っておきますが、ちゃんと防御してますからね?」
「い、いいいいいやですねぇ疑ってませんよ決して!?キーアさんのことだからついうっかりやらかしそうだなー、なんてことは決して!!」
「それは語るに落ちる、というものでは?」
滅茶苦茶疑っている、と自ら証明しているようなものでは???
いやまぁ、疑われるような所業を積み重ねてきたのはお前だ、と言われるとちょっと言葉に詰まるのだが()
とはいえ、はるかさん相手なら話は別。
肩書きとかはともかく、身体的にはあくまで一般人に留まるのがはるかさんなのだ、彼女が同行する際にはわりと気を付けているのだ、私は。
……ゴンさん化とかは忘れろ、いいね?
「まぁ、ともかくです。はるかさんになにかあったらココアちゃんが哀しみますし、彼女以外の人達だって悲しむでしょう。『逆憑依』の方々は頑丈なので普段は雑ですが、相手が
「な、なるほど……道理で最近席を譲られたり道を案内して貰うことが増えたと……」
「すみません多分それは別枠です」
「ええっ!?」
いやうん、できる女性みたいな空気を醸し出すはるかさんだけど、名前繋がりなのか頻繁に
周囲からしてみるとわりと危なっかしいのだろう、多分。
なお、それだけ転ぶ割に彼女に『逆憑依』の兆候はない。
以前なら単にそれだけだと【継ぎ接ぎ】としても程度が薄い、とか思っていたところなのだが。
しのちゃんという特殊例が現れたことで、もしかしたら
……個人的にはモカさんが怪しいと思ってます。*3
まぁ、それはともかく。
なんやかんやで愛されてるんだろうなぁ、という感じのはるかさん。
そんな彼女にもしなにかあれば、それこそその時彼女の護衛になってた人間に非難が集中するのは自明の理。
んなもの望んで欲しいわけもないので、それが必然的に彼女への保護が手厚い、という証明になるのでしたとさ。
「な、なるほど……ところで一つお伺いするのですが、仮にその保護がなかった場合、私はどうなっていたのでしょうか……?」
「……聞きたいんですか?」
「あっいえやっぱり遠慮しておきま」
「では説明致しましょう。危険性を知らなければ警戒すべきこともわかりませんからね」
「わー!!聞きたくないって言ったのにー!!」
ははは諦めておくれはるかさん。
君のゴンさん化は色々と不幸な行き違いだったと納得して貰えたけど、そのあと会議が滅茶苦茶紛糾したことは事実なんだ。
そういう空気感が貴方への『逆憑依』をガードしている……みたいな考察もあるけど、それはともかくとして自分自身でも己の迂闊さと言うものを味わってくれたまえ()*4
「というわけでさくさく説明して行きますねー。まずオークの話からですが」
「ア、イキナリソコカライクンデスネ」
「ご本人がすっごい恐縮そうにされてるんですけど!?」
「あくまで彼ではなく、一般的なオークの話ですので。……実態がどうであれ、『逆憑依』が成立する世界でオーク種が現れた場合、彼らは極端な生態を【継ぎ接ぎ】されることになるでしょう」
「うわー!!【継ぎ接ぎ】ぅー!!?」
「具体的にはアイギスタイプの超・戦闘民族になるか、はたまたR-18作品によくあるタイプになるか、ですね。大本の元ネタである指輪物語タイプになる可能性は限りなく低いかと」
まず真っ先に問題になるのが、オークという種族そのもの。
元々オークという名前自体が指輪物語の創作物であり、後の作品はそこからイメージを膨らませていったとされるが……、それに近いのはアイギスのオークであるとか。
まぁ、実のところそっちはそっちで日本的武者系のキャラクターと化しているため、やっぱりなにか違うのだが。
対してR-18作品に登場するオークというのは、恐らく元義のオークが持つ習性『自己の文化を持つのではなく、他種族から奪った文化をねじ曲げ利用する』を拡大解釈したものだろう。
他種族に自身の子供を生ませ侵食する……というのは、史実においても文化侵略の一方法として編み出されたものであるわけだし。
あとはまぁ、オークという種がエルフを堕落させたもの、ないしエルフを模して作られたものというのも、昨今のオークのイメージの元になっているのは間違いないだろうか?
そこら辺はあくまで前提知識としてさらっと流すとして。
いわゆるR-18的オークの特徴というと、催淫効果を持つとかそういうやつだろう。
「さいいんこうか」
「体液とか体臭とか、彼らが発するものに女性を虜にする効果がある、みたいなやつですね。無論そういうものを持たないパターンもありますが、仮に持っていてそれに気付かず近付いてしまったら……あとはお分かりですね?」
「尊厳ノ破壊、トイウヤツデスネ……」
「 」
おおっと、はるかさんが固まった上、オーク君が遠い目をして黄昏てしまった。
……まぁ、オーク君はそういうオークが蔓延る世界で最後に生き残った異常者……もとい特異例。
典型的R-18オーク達には思うところがありすぎるのだろう。……かといって武闘派オーク達とも迎合できない性格な辺り、なんというか可哀想な気もしてくるのだが。
「ソウデスネ……ワタシトイウ存在ハ一人キリ。ソレヲ寂シク思ウ気持チモナクハナイデスガ……オカゲデコウシテ領主様ト出会ウコトモデキマシタ。ソウイウ意味デハ、私ハ恵マレテイルノカモシレマセンネ」
「オ゛ーグざ゛ん゛!!」<ガシッ
「ワッ、ハルカサン!?」
「少゛じでも゛疑゛っでごめ゛ん゛な゛ざい゛ぃっ!!」
「ア、ハイ。気ニシテナイノデ大丈夫デスヨ……?」
「聖゛人゛ん゛っ!!」
……オー、こりゃ収拾付かねぇわ。
あまりに清い心を持つオーク君に、ダミ声になるほど泣いてるはるかさんやらおもむろに上を向いて目蓋を押さえてるジェイドさんやら、今の発言だけでみんな浄化されてやがる……。
アンデルセン氏まで