なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
変なウイルス・細菌大量だねぇ、とうだうだ言いながら仕分けを続ける私達。
とりあえず難しいことを考えるのは仕分けが終わってから、と決めたからこその行動なわけだが……それでも中々終わりは見えてこない。
「視認できる大きさのものもあるけど、大半は目にも見えないような大きさのモノばかり。それが山になるほどいるってんだから、そりゃ数的には天文学的になってるってやつだよねぇ……」
「幾ら体内で増えようが、基本的には肉眼視できないって話なんだから当たり前なんだけどね」
そもそも、目に見えると言っても一ミリにも満たないような塊。
その時点でその大きさになるために何個集合してるんだ、とツッコミを入れたくなるレベルなのだからさもありなん。
……てなわけで、二度目の休憩タイムである。
感覚的時刻は三時前後なので、いわゆるおやつ休憩というやつだ。
「そしておやつ休憩なのだから用意するのはこれ。お紅茶にお茶請けですわよー」
「なんで中途半端にお嬢様口調……?」
え、ノリ?
……まぁともかく、用意したのは紅茶とそれに合うお茶請け達。
具体的には普通の紅茶と砂糖やミルク、それからクッキーとかドーナツとかマカロンとか、その辺りのこじゃれた食べ物達である。
レモンもあるので各自レモンティーでもミルクティーでもストレートティーでも、好きなフレーバーで味わってくれと任せた私であった。
……え?茶葉の品種?生憎詳しいことはよく知らんので、『星女神』様から貰ったモノをエミヤんから教わった手順でとりあえず抽出したもの、ってことになるのかね?
「……とかなんとか説明したら、ささらさんが思いっきり口の中のモノを吹き出した件について」
「だ、だだだ大丈夫かささら?!」
「だ、だいじょうぶ、じゃないですぅ~……」
「重症だな。まぁ気持ちはわからんでもないが」
「……いや、ジッと見つめられても困るといいますか」
別にサプライズしようとか思ってたわけじゃないので……。
確かにこの茶葉は『星女神』様に貰ったもの──すなわち彼女の御用達の一品なわけだが、淹れ方よく知らない私に渡す辺り扱いの難しいものではないのだろう。
……ここでいう『扱いの難しくない』というのは、雑に扱うのに躊躇する──つまりお高いものではない、という意味合いも含む。
ゆえに、別に恐縮に思ったりする必要はないのだけれど……『星女神』様の名前が出てきたので反射的にむせた、みたいな感じのようだ。
「俺は生憎とその『星女神』とやらとは面識がないが……その上で敢えてツッコむのであれば、
「いやー、そういうのは無いと思うよ?そもそもこれ、私が持ってるお茶請けを見た後で用意してくれたモノだし」
「ふむ?その言い方だと、そっちはお前が用意したということか?」
「いんや?『月の君』様に持たされたやつだけど」<ブフーッ!!?
「……一応聞いておくが、わざとか貴様?」<ウワァ!?ダイジョウブカササラー!?
「……ソンナコトナイデスヨー」
いやまぁ、ささらさんの反応が面白いことは確かだけど。
単に今のは彼女が二人の事情を知らない……というだけの話なのでどっちかと言うと過剰反応というか。
元々『月の君』様は一般人である。
……いやまぁ、あれを一般人と呼んでいいのかについては諸説ある*1が、その辺の細かいことは置いておくと
なので、持たされたお茶請けはその辺で普通に買えるものなのである。具体的にはカス○ル缶のクッキーとミ○ドのドーナツとか?
いやまぁ、それはそれで『月の君』様なにやってんの、感が出てくるわけだが。
「……いやホントよ。一応姿を隠してるとか、そういう話じゃなかった?」
「『星女神』様に見付からなきゃなんでもいい、みたいな感じだろうからねぇ……私もこれ渡された後で『あれ、さっきの人『月の君』様じゃね?』って気付いた形だし」
無論、それを『星女神』様に言うような愚は侵さなかったが。
なんでかって?下手すると滅茶苦茶嫉妬されるからですね!!
そしてそれが、『星女神』様がくれた茶葉が大したグレードのモノではない、という証左でもあるのだ。
「……渡した相手を知っていれば、渡す茶葉もグレードが上がっていたと?」
「そういうとこ負けず嫌いというか、気にしいなところがあるのであの人……」
そう、嫉妬すると同時、『あの人が渡したのなら』と見栄を張るのが『星女神』様なのである。
そこには『月の君』様から渡されたモノの価値は関係がない。あくまで
そういう意味で、今回の『星女神』様にはこれが『月の君』様からの贈答物であると知られていない……という状況は、公平公正な対処を彼女が行っているはず、という理屈付けにも繋がるわけで。
「さっきも言った通り、渡した相手を抜きにすれば普通の店屋物でしかないからね、これ。ならまぁ、『星女神』様も変に高級なモノを渡したりはしてこないだろうってわけ。……まぁ、ささらさんからしてみれば、そもそもこの二人が渡してくれたもの、って時点で恐れ多くなるのは想定外だったけど」
あれだ、なんやかんや私自身が彼女達と(比較的)普通に接している、というのも感覚のずれる要因になっていたというか?
真っ当な【星の欠片】ならその二人には平伏するのが普通、位の差があると気付いて無かったというか。
……まぁ、それを言い出すと私自身もそこと同じような立ち位置になってしまっている、なんて話に繋がってくるわけなのだが。
「……つまり、それに関しても気にするな、と?」
「まぁ、そうだねぇ。別に今ここで二人の悪口を言ったとしても、別に怒られたりはしないだろうから気にしないでもいいよ、みたいな感じというか。まぁそういうこと言ってる奴の顔を見に文字通り顔を覗かせる可能性もなくはないけど」
「気にした方がいいじゃないですかやだー!!」
なお、そこまで話した結果世にも珍しい『普通に喋るささらさん』の姿が見られたりしたわけなのだけれど。
そこを本人にツッコんだ所、『(ある種の)命の危機なのに、そんな悠長なこと言ってられるわけないじゃないですかぁ』とマジレスされてしまったのであった。
それはまぁ、確かに。
はてさて、変わらず休憩中の私達。
基本的にミルクティーしか飲まない私が、砂糖とミルクをだぼだぼ紅茶に突っ込んでいると。
「……いや、幾らなんでも入れすぎじゃない?もはやそれ、ミルクティーってより砂糖とミルク紅茶入り、って感じじゃない?」
「いきなりなに言ってるのクリス?……個人的にはロイヤルの方がいいけど*2、それはさすがにって感じで我慢した結果がこれなんだけど?」
「いやなに言っとるんだ己は」
なんだ、ミルクティ狂いかなんかか貴様は、とか言ってくるクリス。
そんな彼女に私が返す言葉はこれしかあるまい。──そうだが?
「迂闊に冷たいものを飲むとお腹を壊す私が、そんなことを気にせず飲める冷たいもののうちの一つがミルクティーなのだ。水分補給にも普通に使うレベルだぞ私は」
「糖分過多で死ぬわ!!?」
なお、他に当てはまるのはお茶類・スポーツ飲料系のみである。()
とまぁ、私の体質についてはどうでもいいから置いとくとして。
改めて話し始めるのは、休憩後どうするかというお話。
……具体的にはいい加減【俯視】使わね?……のお誘いである。
「ま、まだ諦めてなかったんですか!?」
「いや諦めてなかったというか……」<チラッ
「は、はい?なんで私の方に目配せを?……ええと、私・手元のカップ・お茶請けとドーナツ達……という感じに、視線を動かしあばばばばばばばばばば」
「うおっ!?なんだいきなり壊れたか!?」
「ある意味間違ってなくて草」
「笑ってる場合じゃないんだけど!?」
そんな私の言葉に『イヤですよ』とばかりに声をあげる琥珀さんだが……私の見ている先を追っかけたのち、突然発狂し始めた。
こういう時、頭のいい人は話が早いからいいですね()
「……まさかとは思いますが、この状況になることを『星女神』様は事前に察知していらっしゃる、と?」
「大当たりー。……ついでにいうと、
「……つまりはあれか?その【俯視】とやらの取得は
「特にさっきから私が積極的に行ってる相手は、その辺さっさと気付いて欲しいなー的意味合いもあったりしますねー」
「あああああああもおやだあああああああ」
……何度も私が主張する理由。
それは単にこの状況をとっとと解決したい、みたいな意味合いもあれど、それ以上にもっと大きな必然性があるからこそ……というようなモノであると述べた方が正解に近い。
わかりやすくいうと、次のようになる。
──神は言っている。そんな装備で大丈夫か、と。*3
その後、琥珀さんが崩れ落ちたことは言うまでもない()