なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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リマスターやら新作やら、過去が活発な今日この頃

 はてさて、遠回しの忠告がようやく受け入れられ、琥珀さんは涙ながらに【俯視】習得のために頑張り始めたのであった。

 ついでに、その間手持ち無沙汰になるだろうからと他の面々にも伝授中である。

 

 

「扱い方をミスるとヤバイけど、そんなのここにあるもの全部に言えちゃうことなので……」

「だからといって、危険物を無闇矢鱈に増やすようなやり方は正直どうかと思いますけどねぇ」

 

 

 苦笑しているジェイドさんに、こちらも苦笑を投げ掛ける形で対応する私である。

 ……うん。トラブルの対処のために新たなトラブルの種を生み出すとか、それどこのアトラス院?……って言われたら否定しきれないのは事実ですね()

 

 でもまぁ、そのリスクに見合った効果があるのも本当の話。

 なので、みんなには悪いのだけどしっかり覚えていってほしい。

 流石に【星の死海】にご招待、みたいなことにはならないだろうからほら、ね?

 ……え?はるかさんがすっごく『嘘だぁ』とか言いたげな視線を向けてきている?はははは()

 

 ……まぁともかく。

 みんなに【俯視】をプレゼント計画は特に詰まることもなく恙無く進行。

 結果、みんなが順当に【俯視】を使えるようになったわけなんだけども……。

 

 

「真面目な話、効率が倍どころじゃないのですが?」

「だから言ったじゃん。イヤなのはわかるけどさっさと覚えた方がいいって」

「……いや、俺が言うのもなんだがこれはよかったのか?生憎と俺自身それほど()()()とは言えん方だと思っていたが……少なくとも見え方だけなら、ある程度追い付いたような気さえしてくるぞ」

「んん?……あーなるほど、アンデルセン氏の場合はそうなるんだね」

 

 

 そうして得た新たな視界に、皆が皆驚愕の表情を浮かべていたのであった。

 特にそれが顕著なのは琥珀さんとアンデルセン氏。

 前者は特に『星女神』様からのプッシュがあったため当たり前だが、それに加えてアンデルセン氏まで驚きが強いのは少し不思議な感じというか?

 それもまぁ、本人の発言を聞けばなんとなく理由も理解できたのだが。

 

 

「【俯視】の本質は()()()()()()()()()()()()()こと。……言い換えると()()()()()()()()()()()視界が増える、ってことになるわけだから……」

「あーなるほど、アンデルセン氏の場合は原作に近い()()()()()のような形になるのね」

「多分だけど、本来のアンデルセン氏なら感覚で理解するものを、彼の場合は【俯視】による翻訳的なものを介した形で見えてるんじゃないかな?」

「……おい、この視界は俺だけのものじゃないのか?プライバシー侵害で訴えるぞ」

「申し訳ないんですけどその辺り【星の欠片】ですので……」

「……ぬぅ」

 

 

 そう、人間観察能力。

 これもまた『視る』技能なので、【俯視】での補助が可能なのである。

 これにより、アンデルセン氏の能力は明らかに上昇。

 恐らく今の彼には、視た相手の情報がシミュレーションゲームのように表示されていることだろう。

 

 ……なお、【俯視】は『神断流』と同じく普通の人も使える『道具タイプ』の【星の欠片】である。

 それゆえ、程度としては(した)の方になるので、ある程度のランクの【星の欠片】なら()()()()()()()()()()()形で覗き視ることも可能だったりする。

 

 無論、【俯視】によって増設された視界というのはその個人の魂に密接に結び付いたモノであるため、下手なことをすると悪影響を受けまくるなどのデメリットもあるのだが……その辺も私とかのレベルになると、ねぇ?

 ……まぁ、その辺補助できる人がいないと困る部分もあるので、みんなの安全のためにも大目に見てほしいところなのだが。

 

 

「皆さんの安全のために、ですか?」

「うむ。【俯視】で増える視界は()()()()()()()()()もセットになったものだから、うっかり暴走とかしちゃうと止めるのが大変なんだよね」

 

 

 で、その大目に見てほしい最たる理由が、【俯視】を覚えた人間がうっかり暴走した際の安全装置的なモノ。

 単に視るだけではなく、視たものへの干渉手段をも含むのが【俯視】であるが、それゆえにこれを覚えた人間が好き勝手に動き始めた時、それを止める手段というのがとても少ないのである。

 

 以前も言った通り自分も【俯視】を覚える、というのが一番簡単な手段ということになる。

 例え相手の視界を窺い知れずとも、同じラインには立っているので邪魔はできる……というわけだ。

 

 だがしかし、その場合守れるのはあくまで自分の身のみ。

 暴走相手が他に被害を出すのを止める、ということには使えないのである。

 まぁ、その辺に関しては言われてみればそうだ、って話になりそうだけど。

 

 

「自分だけの新しい見え方、それゆえに妨害とかも全部すり抜ける……確かに、邪魔の仕方はちょっと思い付きませんねぇ」

「なんなら自分への被害は【俯視】を覚えれば防げる、というのも少し疑問に思うくらいだよねー。そういうもんなんだと言われればそうなんだろうけど、原理的には止められる理屈に結び付かないというか」

「その辺はほら、【星の欠片】相手にも効かないって点が理由というか」

 

 

 スタンドが見えない人間はスタンドになす術がない、みたいな感じが近いのだろうか?

 あとは【星の欠片】同士の干渉は原則()()()()()()()という話をここに加えると、【俯視】持ち同士の干渉も打ち消し合う理由が見えてくるというか。

 明確に同じ系統なのだから、どちらが低いなどということはないわけだ。

 結果、【俯視】同士の異常干渉は打ち消し合う……と。

 

 その理屈で行くと、他者への干渉だって【俯視】で邪魔できるのでは、という話になるわけだけど……。

 結論だけ言うと、できなくはない。ないのだけど、現実的に不可能である……というのが答えになる。

 

 

「……んん?」

「この話のポイントは、干渉がかち合った場合に打ち消し合うという部分。そしてそのかち合う条件は、()()()()()()()()()()()()ってことになる」

「……あ、もしかして?」

「気付いたみたいだけど一応明言しておくよ。魂による見方である【俯視】の場合、同じ場所を視るのはほぼ不可能に近いんだ」

 

 

 ……そう、同じ場所に干渉したら打ち消し合うわけだけど、その『同じ場所』というのが問題なのだ。

 

 魂をレンズとして物の見方を増やすのが【俯視】。

 そしてそれは、既存のあらゆる見え方と乖離しているためにあらゆる障害をすり抜ける、というもの……。

 つまり、視ること自体が干渉の一つであることを考えると、他者からは()()()()()()()()()()()()()()ということでもあるのだ。

 

 

「自分が対象になっているとわかるなら、焦点を自分に合わせれば自然と相手の視線と自分の視線が交わる──()()()()()()()。結果、【俯視】を覚えた相手に【俯視】での干渉は無効、という状態に持っていけるってわけ」

「そんな力業なやり方だったんだ……」

「別にバリアーを張る技能ってわけでもないからね、【俯視】って」

 

 

 まぁ、()()()()()()()()()()()()()干渉というものに敏感になるから防げる、というのはちょっとズルい気がするのは確かだが。

 なお、【星の欠片】相手だと話はまた変わるのだが……結局いつもの『干渉受けたら死ぬのでそれ以上やる意味ないですよ』なので、こっちに関しての解説は割愛。

 

 ともかく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()止められる、というのがこの話の本題。

 そして【俯視】による視線は外から窺い知ることが不可能であるため、結果として他者に対しての干渉をこっちも【俯視】を使って妨害する、というのは現実的ではないという話になるのであった。

 

 

「一応、相手が誰を視ているのかを推理して決め打ちする、なんて無茶なやり方もできなくはないと思うけど……ゲームで言うなら一ドットでもずれると打ち消せない部分が出てくるというか、そうしてずれた自分の一ドットも視てる相手に影響することになるから本末転倒、みたいな?」

「思った以上に力業だった!!?」

 

 

 また、そもそもの話として打消しを狙うのならこっちも【俯視】を使う必要がある──裏を返せばこっちも視ている相手に干渉する必要がある、ということでもある。

 完全に打ち消せたのなら問題ないだろうが、視ている部位がずれていたりすると互いの効果範囲が完全に重ならず、結果として互いの干渉が微妙に残る……みたいなエグいことに発展する可能性も否定できない。

 

 そうなったら悲惨どころの話ではない。

 干渉の方向性にもよるが、最悪視られた相手がバラバラになったりする可能性も否定できない。

 助けようとして被害を拡大していては目も当てられないだろう、そういう意味でハイリスクローリターン過ぎるのが【俯視】同士をぶつけての打ち消し合い、ということになるのであった。

 

 

「ここまで聞いた上で、暴走した【俯視】使いを相手にしたいと思う?」

「……思わないかなぁ」

「でしょう?その点私が干渉する場合対応率百パーセント!まさに餅は餅屋、頼りたくなることうけあいじゃない?」

「そうかもしれないけど……」

「しれないけど?」

「自分から言い出すもんだからすっごく胡散臭い」

「……酷くね?」

 

 

 その点、相手の視界を借りる(うえに魂の視覚云々のデメリットも無視できる)【星の欠片】──もとい私による対処ならば、その辺の問題の発生率はゼロ。

 少なくともここにいる誰よりも安全に処理できると断言できてしまうわけなのだ。

 

 ……なのだけど、みんなから返ってきたのは胡散臭いとか頼りないとか、そんな感じの反応なのであった。

 いやまぁ、言いたいことはわかるけどみんな酷くね?

 思わず涙目になった私は悪くないと思う……。

 

 

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