なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「うーむ二日酔い……こういう時には【俯視】が効くんだよネ!」
「誰に向けた台詞なんですそれ?」
はてさて、あのあと飲み明かして屋敷に戻ってきた私達は、そのままベッドにイン。
残りの仕事は明日の私達に任せた、とばかりに眠りに就いたわけだけど。
うん、結構飲んでたから頭痛がずんがずんが*1してるんだよね()
そんなわけで酷い二日酔いの皆様におすすめするのがこちら、【俯視】。
えー、それって魔眼みたいなノリの物体なんでしょー?
なにがどうすれば二日酔いに持ち出すことになるのよー、とでも言いたげなそこのお嬢さん!
そしてそこに紐付く特殊な干渉法を新たに生み出すものでもありますれば。
然るにこの技法、従来の手段では解決策すら見付からないような物事を終息に向かわせる切っ掛けとなりうるのです!
「なるほど?つまりはこういうことか、締め切り三分前原稿白紙の状態から
「なんでそう極端な例を持ち出してくるんです?まぁ極めてれば行けますが」
「行けるのか……」
冗談だったのに、とでも言いたげなアンデルセン氏に苦笑する私である。
昨日も述べていたが、【俯視】は極めると魔眼に近しいモノになるわけで。
その結果として、『視ることで文章を刻む』みたいな方向性に伸ばせれば、アンデルセン氏の言うような状況に対応することも可能だろう。
……まぁ、そうなるためには本人の素養?的なものも必要になるわけだが。
視ることと文字を綴ることを同一のものとして扱う、みたいな感覚が必要になるわけだからね。
「でもまぁ、仮にそういう方向性で伸ばせたら便利ではあると思いますよ?その場合扱いとしてはBMI*2とかに近いものになるんだろうし」
「おかしいな、オカルトの話をしていたはずが急にベクトルが反転したんだが」
「これはおかしなことを。最終的に魔眼みたくなるってだけで、【俯視】は最初から科学の側の技能ですよ?【星の欠片】の一種なんですし」
「欺瞞にもほどがあると言えばいいか?」
なお、最終的に脳波読み取りみたいなノリになる、と告げたところ微妙な顔をされる羽目になった。
……別におかしなことは言ってないんだけどねぇ?
まぁともかく、起きて二日酔いも解消したのならやるべきことは一つ。──そう、朝食のお時間である。
「流石に朝からゾンビちゃんのとこには行かないけど、かといって飯を作れる人間が何人いるやら……」
「おいこら、なんでそこで私の方を見たか言ってみろ」
「クリスちゃん料理下手だもんねー。私は完璧超人だからなんでもできるなんて思ってるなら私の再現度の低さを甘く見ていると言っておくよ」
「それは威張って言うようなことなのですかねぇ……あ、生憎と私も胸を張れるほど上手、とは言えませんねぇ。本来のジェイド・カーティスなら仕様的にできるのが普通なのでしょうが」
「俺に関しては論ずるに値せん。……そうなると、そこの領主様ができるか否か、ということになるわけだが」
「無理ですぅ~なんならジーク君の方がまだマシですぅ~」
「ダメだこいつら早くなんとかしないと」
……なし崩し的に、私が作る羽目になったんですけどね!
原作内で料理下手だと明言されてしまっているクリスはともかく、本来なんでもできるタイプの人間である束さんが役に立たないとは思わなかった……。
同じ理由で、ゲームシステム的にメンバーの大半が料理のできるテイルズ*3出身のジェイドさんも密かにあてにしてたのだが、結果はご覧の通り。
……うん、再現度云々の話が出てくればこうなる、ってのはなんとなくわからんでもないけどさぁ?
特にこの二人、できるのが普通だけど
で、アンデルセン氏にはそもそも期待してないので除外。
じゃあささらさん達はどうなのか、といえばご覧の有り様である()
……え?なら琥珀さんに頼めばいいんじゃないかって?
「違うな、間違っているぞ!そりゃちゃんと再現された琥珀さんならその言い分も通るけど、生憎この琥珀さんはアンバー混じりの存在!上手い料理になにか仕込む……いわゆるアグネスタキオン(二次創作の姿)*6みたいなことになりかねんのだ!」
「なんでこのタイミングで余計な【継ぎ接ぎ】呼び込みそうなこと仰ってるんです???」
いやほら、なんか微妙に今の琥珀さんなら似てるかなー、と。
あとは中々増えない仲間にしょんぼりしているタマモとかをこの前見たので、その辺の解消を願ってのことというか。
なんてことを言ったら笑顔で拳が飛んできた。解せぬ。
……まぁともかく、消去法的に私にお鉢が回ってきたことは事実。
仕方がないので、腕によりを掛けて()朝食の準備に取り掛かった私なのであったとさ。
「……あれ?そういえばキーアさんって、滅茶苦茶下手ってわけでもないけど得意って言うほどではない、みたいな腕前だったような……?」
「いつの私の話をしているのかね?ほれ今日の朝食じゃい」
「滅茶苦茶美味しそうな朝食が出てきたんだが?」
「人は見た目によらない、というのは本当だったんですねぇ」
「おう、文句があるなら食べなくてもいいぞこのヤロー」
なんじゃいみんなして私のことあれこれと。
……いやまぁ言われるようなことしてるだろお前、とか言われると困るんだけども。
まぁともかく、料理に変な細工をするつもりは毛頭ない私がお出ししたのは、オーソドックスな朝食達。
……とはいえ朝は
具体的にはまず主食が米かパン、汁物がポトフか豆腐の味噌汁。
飲み物はラ・フランスのドリンクやお茶系統、それから主食は朝なので軽めに鮭やししゃもを焼いたもの、もしくはベーコンエッグなどの洋風なものが並ぶ。
一応、不味いような出来にはなってないはず、とみんなに前もって説明しておいたのだけれど……。
「なんというかこう、半信半疑みたいな顔をしているのはどういう……?」
「いやこれ、食べても良いものなのかなと」
「おうこら遠回しに【虚無】で作ったもんなんじゃ、みたいなこと疑ってんじゃないよ」
流石にそんなモノ出さないよ!?
私のことなんだと思ってる……トラブルメイカーとか言われそうだから聞くのは止めておこう()
ともあれ、ここにある料理はなにかズルをして用意した、とかではない。
単純に『かようちゃんには負けてらんねぇ!』とばかりに私が必死になって覚えたという、それだけの話である()
「……あー、かよう、かようかー。確かにあの子を引き合いに出されると、こっちとしても納得するより他ないというか」
「ふむ……聞き覚えのない響きの方ですが、どういった作品出身の方なのでしょう?」
「オリジナルですがなにか?」
「はい?」
「誤解を招くような言い方すなし」
この私の言葉に、真っ先に理解を示してくれたのは彼女の保護者的立場でもあるクリス。
他の面々は会ったことがない、みたいな人もいるため反応はまちまちだった。
ジェイドさんだけは、質問に返ってきた答えに宇宙猫になっていたけど。
……まぁともかく。
かようちゃんを引き合いに出したけど、生憎あの子と競いあえるようなレベルにはまだ達していない。
精々、趣味でちょっと料理をする人……くらいの腕前でしかないため、味についてはあまり期待しないで欲しい……とだけ最後に付け加え、朝食開始の合図をした私である。
「結果、結構好評な件について」
「流石にホテルやらそこらの食事と比べるのは酷だが、さりとて文句を言うほど酷いわけではない。……いや寧ろ、素人が出したものと考えると十分以上に及第点だと言えるか?」
「いやなに目線それ?」
「批評家目線だが?」
「……貴方が言うと反論しにくいんですが」
少なくとも食事評論家ではないでしょ貴方、って感じなのだが、さりとて彼の批評が間違っているとは思い辛い、そんな微妙な立場からの発言に思わず困惑する私である。
ともあれ、概ね食べた人からの反応は好評。
田舎の食堂とかと同じライン、みたいな反応をされるのが大半であり、特に問題なければ今後も頼みたくなる……みたいな評価に落ち着いたのであった。
「……ほ、ほんとぅにたべてもかまわないのでしょうかかかかか」
「落ち着けささら。気持ちはわからなくもないが、そんなに緊張してたらわかる味もわからなくなるぞ」
「そんなこといわれましてもももももも」
「うわぁ」
なお、ささらさんだけは緊張からかガッタガタ震えてました。
……上司に料理を振る舞われたようなものだから仕方ないけど、それにしたってビビりすぎじゃないですかね……。