なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「『逆憑依』が、ですか?」
「そもそも『星解』でも解除できないような繋がりだからね。それが世界規模だとどう見えるかってのはなんとなく予想も付くというか」
それこそ、無明の闇に瞬く星のようなもの、というか。
道標としてはこれほど目立つものもなく、結果世界を越えようとする・越えられる実力のあるものに取っては非常に目立つ世界になっている、と。
……まぁ、こっちの人達からすると『止めろー!!』みたいな感想しか抱けそうにない気もするが。
ともあれ、現状のこの世界が余所の世界からの影響……侵入者を呼びやすいし受け入れやすい状態になっているのは事実。
「ならば何故、現状発生しうるそれらの侵略は
「……その二つを除くのですか?」
「この二つは特殊なタイプだからね、今回の話だと『他の侵略者』にあてはまるのはハルケギニア関連だけなんだよ」
どちらかと言えば、『逆憑依』がきっかけとなって発生した他の侵略者、と言うべきか。
……そういう意味では【星の欠片】もある意味それに当たるんだけど、そっちはそっちで経緯が別なのでここでは割愛。
すさまじく雑に言うと、そっちは
ともあれ、ハルケギニアに関しての話に戻るけど。
「本来、現状の次元境界面の不安定さからすると、もっと色んな世界に繋がっていてもおかしくない、というのは事実。繋がるというかもっとランダムになるべきであって、一つの世界だけが接続先になってるのがおかしい、って文脈だけど……ともかく、少なくともこの世界から余所に行く分に関して、ハルケギニアしか飛べる先がないのはおかしいってのは事実なわけ」
「こちら側には目印になるようなものがないから、か?」
「そういうこと。こっちに来る分には色々目印があるけど、こっちからはそういうものを見ることができないから、原則何処に繋がるかも運になるはず、ってわけだね」
それも、繋がらずに何処へも行けない……みたいなパターンの方が遥かに多いはずというか。
その場合、最悪次元の狭間に放り出されて二度と回収不可能、ということになる可能性が非常に高い。
しかもその場合、世界から弾かれたのと同じ扱いになるため永遠に時を刻めなくなり、結果なにもない世界に自分一人きり漂流する……いわばカーズみたいなことになるパターンが大半というおまけ付き。*1
「……それはまた、なんとも恐ろしい話ですね」
「コンパスなしに大海原を航海するようなもの……を、馬鹿みたいに難易度爆上げしたもの、って感じだからね、正直に言うと。それが大半、って言うなら余所の世界なんて行きたくない、ってなるのが普通でしょ?」
「前人未到の大海原に漕ぎ出す……というのは雰囲気はいいが、基本的には単なる自殺行為ということだな」
その言い方はどうかと思うが……とはいえ、確かに真理を付いている。
アンデルセン氏の言うように、単に余所の世界に行けるようになったからといって軽率にそれを実行するのは、単に死にに行くようなもの。
ゆえに、『ハルケギニアにしか繋がらない』という現状は、つまり──、
「……こちらから誤って移動してしまった時のためのセーフティ、ということですか?」
「そういうことです。……いやまぁ、やったの多分マーリンだけどね?」
「ここで出てくるかあのロクデナシの夢魔め!」
そう、なにかの間違い……もしくは偶然によって世界移動に巻き込まれた人間が発生した際、それを保護するため……というのが、恐らくこちら側からの移動の際ハルケギニアにしか繋がらない理由、だと思われる。
そしてそれを主導したのが、(『逆憑依』事件を起こした何者かのやることに勝手に共感した)マーリンである、というのも同時に予測できる。
何故かって?そりゃ勿論、現状それができるのはマーリン以外に居ないからだよ。
「……なるほど、千里眼か!確かにあのロクデナシの
「その通り!そこから考えると、ここでいうマーリンが『逆憑依』じゃなくて本物の・幽閉されてる方のマーリンだってことも合わせて判明するってわけですよ!」
久方ぶりにその存在に触れられた本物のマーリン。
より正確にはそこに込められた様々な感情を察知した、とかなのだろうが……ともかく、その存在理由について共感し、なにか手伝えることはないかと考えたはず。
「そこで思い付いたのが、ハルケギニアに居た自身の同位体──『逆憑依』のマーリンを通して、
「……うん?お二人を、ですか?」
「そう。正確に言うと私を、だけどね」
現状を見たマーリンは、恐らく私が先ほど説明したような懸念を抱いたことだろう。
その理念こそ立派だが、急拵えなのかそれ以外の部分の保護が甘い『
それはハッピーエンドを求めるマーリンにとって、なんとも惜しいものに見えたことだろう。
少しの瑕疵が全体を損ねかねないそれは、それを生み出した者のバッドエンドすら誘発する……。
「だから、彼は一つお節介をした。一際強い存在感を持つ
「ええと、つまりキーアさんは二つの世界の間に橋を掛けるために体よく使われていた、と?」
「結果的には、ね?【星の欠片】が往復する世界、なんて普通はあり得ないってのもその辺を後押ししたというか」
前から述べている通り、本来の【星の欠片】は世界の滅びを言祝ぎ次代の世界を育む糧となるもの。
普通なら一つの世界に留まり続けるモノであり、
結果、私がこっちとあっちを往復するだけで、次元という壁に明確な穴が、それもちょっとやそっとのことでは崩壊しないような、もはや整備されたトンネルみたいな穴が空くことになったというわけである。
……私は掘削用のドリルかなにかかな???
とはいえ、体よく使われたことに文句を言うつもりはない。
さっきから言っているように、このトンネルが開通していなければより酷いことになっていたのは事実。
そういう意味では寧ろ、『よくぞ私が気付く前に行動してくれた』と感謝したい気持ちすらあるのだ。
……感謝したあとに『やっぱ殴らせろグランドロクデナシ』って気分にもなるわけだが。
「え、それは一体どうして?先の話を聞く限りですと、感謝で止まるのが普通なのでは……」
「その辺はほら、マーリンは
「はい?」
「……極論を言うと、【星の欠片】なら誰でも良かったんだよ。単にあのタイミングで使えるのが私だった、ってだけで」
「!?」
というより、他の【星の欠片】との接点がその当時存在しなかったというか。
……いやまぁ、それもそのはず。
実のところ、私以外の【星の欠片】がこの世界を見付けられるようになったのは、そうして私が
「……はい?」
「おかしいとは思わない?この広い世界の中で、初めて確認された『逆憑依』としての【星の欠片】。それも、『逆憑依』であるはずなのにも関わらず、『逆憑依』する元となる人物が存在しないような有り様の人物……。そう、キルフィッシュ・アーティレイヤーという存在は本来『逆憑依』になんてなるわけがない。それが成立したのは、偏に
「!?」
さっき触れたように、この世界は『逆憑依』達が溢れることで、実質的に
そう、【星の欠片】の発生条件をほぼ満たしていたのである。
だがしかし、その時点においては【星の欠片】は私の脳内にしか存在しないもの。
現状はこうして
……にも関わらず、何故【星の欠片】である私が『逆憑依』として成立したのか。
それはつまり、『逆憑依』を起こしうる背景を持ちつつ、【星の欠片】の知識があるモノであったがため。
分かりやすく言うと、元々の『俺』を通してなら、【星の欠片】は成立しうるものだったのである。
「……そ、それってまさか」
「あえて責任者に責任を全部投げるとすると。──つまり、
「「「な、なんだってー!?」」」
うーん、我ながら突拍子もない結論。
なおこれ、聞かせたら絶対ぶっ倒れるのでゆかりんには言えない類いの真実だったりする。
……『逆憑依』として頑張ってたら知らず知らずのうちに世界を滅ぼしかけてたってのもそうだし、それを解決するために友人を【星の欠片】になるように誘導した、みたいな風にも見えてしまうわけだからね。
三日三晩寝込むどころの話じゃないでしょ、実際。