なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……つまり、『逆憑依』によって起きる滅びに相当するのがお前、キルフィッシュ・アーティレイヤーだと?」
「前提条件とか全部諸々で考えてみると、ってやつだね。私が居ることで『滅び』が身近に扱えるものにスケールダウンした、とも言えるけど」
はてさて、わりと衝撃的な事実……事実?が飛び出したわけだけど。
状況証拠などから考察するに、恐らくこれはほぼ間違いないことだと思われる。
そりゃそうだ、普通の現実のテスクチャ内であからさまに異常な法則を振りかざす『逆憑依』なんて存在、百害あって一理なし……は流石に言いすぎだが、とはいえ害がないだなんて口が裂けても言えないだろう。
確かに、異界由来の技術による生活の質の向上など、もたらされた福音も数多いだろう。
だがしかし、それを受け入れることによって併発する問題──わかりやすいところで言えば
そも、それはわかりやすい問題であって、本題は【星の欠片】が実際に顕現しかねないほどの世界の歪みの方が、問題としてはよっぽど深刻だろう。
私という存在を当てはめられたからこそなんとかなっているが、裏を返せばそれがなければあっさり次の日には世界が滅んでいた、なんて可能性も否定はできまい。
「なにせ実際、何度か滅んでるからね!」
「ああ、ハロウィーン……」
「ああ、ハロウィーンか……」
「そこで彼が納得している辺り、原因は例の人でしょうね……」
……うん、エリちゃん関連の話とか、止める手段なければ普通にドカーンだからね!
まぁこれはあくまで目に見える滅亡の例であって、ここでいう世界の危機は目に見えないものの方が多いのだけれど。
「次元境界面の脆弱性が一番の理由だから、場合によってはクトゥルフの邪神が飛んでくるとかどこぞの永劫回帰がやって来るとか、ともかく酷いことになる確率がずっと付きまとってたって話になるんだよね」
「うへぇ」
わかりやすく言うと、例えば水銀さんがこっちのじゃなく本家本元だったり、はたまたビースト達がイマジナリーじゃなくてモノホンだったり……みたいなことが起きていた可能性があるというか。
そこら辺を解決するために呼び寄せられた?のが、なにを隠そう私だったというわけだ。
「滅亡という現象に私というフィルターを被せた、ともいえるかも?無論最初の内私にそんな自覚は無かったけど……最初っからマーリンが干渉してきてた辺り、わりとギリギリだったのかも?」
「形の無いものに形を与えて制御できるようにした、ということか。……確かに、やり方としてはこれ以上無いが、真実を知った時に本人がどう思うかはまた別の話、というやつだな」
「個人的にはゆかりんナイス、流石なりきり郷の
「……それ、絶対本人の前で言わないでくださいね?」
言わんが?流石に人の心案件だわ。まぁ、個人的には褒めたいってのも間違いじゃないんだけど。
……ともあれ、だ。
本来発生するはずのなかった【星の欠片】がこうして現実になったのは、元を辿れば『逆憑依』が跋扈していたから……。
そこから【星の欠片】に繋がるルートが、か細くとも存在したからというのがその最たる理由。
そしてそれが求められた理由もまた単純、あのままなにも対処せずに時が過ぎていれば、突発的な要因により対処もなにもないままにこの世界が滅び去っていただろうから、というもの。
私達【星の欠片】は滅びに引き寄せられて現れるものだが、同時に滅びそのものでもあり、またそこから再生する新たな世界をも内包するモノである。
「それゆえに、この概念を持ち込むだけであらゆる滅びが雑に制御できるようになるのよね。特に、今回みたいに知らず知らずのうちに滅亡への道を歩んでいた、みたいなパターンだと劇的というか」
「本来物理が効かない現象に物理干渉を通せるようになるようなもの、というわけだな。……そしてその概念を導入するついでに、次元境界面の安定についても任を担わせたと」
で、この世界自体の滅びを起因として私を呼んだついでに、それを特定の世界と行き来させることで強い繋がりを持たせ、本来次元境界面が脆くなった際に起こりうる問題──他世界からの未知の侵略、というそれを一点に絞ったと。
「……もしかして、【星の欠片】がよく来訪するようになったのは、」
「うむ。本来起こりうる邪神や水銀さんの襲来を代替したもの、ってわけ。確率として存在する以上、なんとかして消費しないと問題山積みだからね」
滅びは起きうるもの、としてその火種がそこらにある世界であったのだから、それをなんとかして消費しなければならない。
必然的なそれは私という存在を生み出すことで消費したけど、偶発的に起こるそれはまた別の解によって消費しなければならない。
そこで利用されたのが、私という目印を目掛けてくるであろう他の【星の欠片】達。
……わかりやすく言うと、この間のウイルス君もなんならうちの娘であるユゥイも、なんならキリアや『星女神』様の来訪すらも
まぁ、これに関してはそれ以外──エリちゃんやイマジナリーなビースト達にも当てはまる話なのだが。
「『逆憑依』って現象が止まらない限り、その反動として滅びの種は生み出され続けてるってわけだね。そしてそれらの種は、必然私やその関係者達が片付けるようになっている……と」
「……聞けば聞くほど、盛大なマッチポンプのように思えて来ますねぇ」
「まぁ、間違ってないからねぇ、その見方も」
なにせ、私達は『逆憑依』がなんのために生まれたのか、というのを知っている。
……起こりうる悲劇を回避するためのものであるそれは、ゆえにこそそれが増える度『悲劇を回避した反動』を生み出すものでもあるわけで。
そりゃまぁ、そんなものが複数集まっていれば、例え余所の世界からやって来たモノでなくとも、そのうち縁を歪めて世界を滅ぼしていただろうことは想像に難くない。
──そして、そんな結末を許さない存在は少なくとも二人。
マーリンと『逆憑依』を始めた人物、彼らはそれをなんとかしたいと思っていたが、しかして彼らにその手段も案もなかった。
「そこに、たまたま
はぁ、とため息を吐き、自身の両手を眺める私。
そこにどれほどの思いが込められているのか、はたして私はそれを受け止められているのか。
思わずそんなシリアスな考えが思考を過る、そんな空気感なのであった。
「で、真面目な話はこれくらいにして」
「おっと?」
はてさて、なんか色々語ったけど。
とはいえこれらは前提知識、ブラックジャック先生がどうなったのか、ということを予測するために必要な条件の部分である。
というか、なんなら下手に話が漏れるとゆかりんが首吊り始めかねないのでここだけの話として打ち切っとかないといかんのだ。
……え?
まぁともかく。
これらの前提を念頭に置いた状態で、改めてブラックジャック先生の行き先を考えてみると。
「さっき言った通り、他の世界から先生を拐った……ってのが一番可能性が高いわけ。なにせ物理的にはほぼ不可能、なら物理じゃない手段でやるしかないってわけだけど」
「その場合、この世界に無数の世界が繋がっているわけではない……というのが考察ポイントに上がってくるわけですね」
「そうそう。見たことも聞いたこともないような場所から穴が繋がる、なんてことは少なくとも私がこうして存在する限りあり得ないってわけ」
この世界は不安定だが、それは制御された不安定さということになる。
私という存在がこの世界にある限り、そこで起きる問題は
例えば【星の欠片】関連、例えば『逆憑依』として現れた滅亡案件。
そして、何度も行き来したことによって深く結び付いた異世界、ハルケギニア案件。
特に元々の私は『ルイズを元ネタにしていた』*1ので、ハルケギニアとの繋がりは意外なほどに大きい。
そのため、異世界案件となれば私が関わる限り、ほぼ確実にハルケギニアにその理由があるもの、ということになる。
「で、ここで一つ予想を挟むんだけど……向こうでの私の役処って、本来の主人公の立場に突っ込まれたオリキャラ、って感じなのよね」
「ふむ?」
さて、ここでおさらいである。
向こうで私が目覚めたのは、とある少女の中。
その人物、『キーア・ビジュー・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌ』はその名前からわかる通り、原作におけるルイズの姉・ちい姉さまことカトレアの養女としての役割を持っている。
……ところで、原作におけるカトレアの特徴はどんなものだっただろうか?
「え?えーと……」
「小さい頃から病弱、ベッドの上から降りることもままならぬような存在……そんな感じだったか?」
「ええ。そして、彼女の養女となったビジューちゃんも原作のルイズと同じく、彼女を慕いその病弱な体を心配していた……」
「……ん?まさか」
……まぁうん、ここまで語ればわかろうというもの。
かつて私と一つであったビジューちゃんには、私の持っていた知識の一部が受け継がれている。
となれば、
ええまぁ、はい。つまりはそういうことです。
「隔離塔前にハルケギニアかちこみ編じゃ、皆のもの!」
「「「えーっ!?」」」
寄り道の開幕のお知らせだ、泣いて喜べ!()