なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「いやおかしくない?なんで私への扱いどこぞのところてんみたいなことになってるの?」*1
「多分SSの影響かなーって」
「……もしかして爆発オチ?」
「かもねぇ」*2
そんなのイヤー!!?
と叫ぶおぜうさまに回復魔法?を施しつつ、再び前線に送り込む私である。
月との戦闘が開始したものの、これが中々手強い。
正確には無駄に固い、って感じなのだけれど……うん、結構な質量のある物体を殴り壊そうってのは結構な無理難題だなって。
……月で難題だからぐーや*3の出番?いるんかねあの人。
それはともかく、大質量の物体を純粋物理で打ち砕く、というのは中々の難題であることは間違いない。
一応、周囲にバレないように『エスコート・ステート』による補助をしてみてはいるものの……うん、生存方面に再現度が割り振られているのか、おぜうさまの能力増加の速度はあまり芳しくない。
ただでさえ火力不足で停滞気味なのだから、威力を跳ね上げたいのは山々なんだけど……。
「あーもう鬱陶しい!!その微妙な妨害を止めろー!!」
「真祖が混じっているせいで、時々
うん、こっちの対処を読んでいたかの如く、向こうが行ってくる一定タイミングでのバフ消去。
普通の
結果、本来は戦闘中付与しっぱなし(になるように調節するはず)の『エスコート・ステート』を、何度も付与し直す羽目になっている……と。
もし仮に『エスコート・ステート』の使用に魔力消費が必要な場合、あっという間にエネルギーを枯らされてしまうレベルの話……というわけで、微妙に困っている私達なのでありました。
なにが問題って、ゆかりんもおぜうさまを前線に送るのでわりといっぱいいっぱいだし、私の方も迂闊にこれ以上のお手伝いは中々やり辛いってのがね……。
「そこで私達がお手伝いを、と言えればよかったんですけどねぇ」
「有効打を持たん以上、足手まとい以外の何者でもないというわけだな!」
「偉そうに言うことではないと思うんだけどなー。……いや待った、やれることあるかも?」
「はい?それはどういう……」
「君らがやれなくても、やれる人を呼ぶくらいはできるかもってこと」
「……なるほど?」
そんな中、やれやれと肩を竦めるジェイドさんと、どうにでもなれとばかりに声を上げるアンデルセン氏に視線を向けた私は──一つ、この状況を打開する手段があるかもしれない、と脳裏に閃いた案を告げることになったのであった。
「……ふむ。突然やってきた二人には驚いたが……確かに、この状況に全く気付かんかったというのは、中々の異常事態といえことになるのう」
「来た!ダンブルドア来た!これで勝つる!」
「ほっほっ。期待に答えられるとよいのじゃが」
数分後、送り出した二人が連れてきてくれたのは、この学院内で一番頼りになる相手──ダンブルドア氏。
それから、二人とは別口で動いて貰ったはるかさんの連れてきた──、
「……いやちょっと待ちなさい。徹頭徹尾ツッコミ処しかないんだけど!?なんで貴方達月と戦ってるの!?っていうかこれに気付かなかったの私達!?」
「まーまー落ち着きなさいよキュルケ」
「これが落ち着いていられるもんですか!!?そもそもなんでビジューが居るのっていうか、なんだか髪の色おかしくない!?」
「なるほどスーパーモード。私も肖りたい」
「スーパーモードって何ぃ!?」*6
「あはは……」
懐かしい顔三人、キュルケ・ルイズ・タバサ。
そう、この四人を戦線に加えることで、みんなで月を砕こうという話なのである。
……え?さっきルイズ達でも火力的には足りてない、って言ってなかったかって?
「ですのでこうします!拡散する
「うわっ!?なにするのよいきなり……なんだか急に力が湧いてくる!?」
「なるほど、これが虚無のパワー。今なら氷河とか作れそうな気がする」
「私も私もー。母様クラスとまではいかないかもだけど、結構大きな竜巻起こせそうな気がするわー」
「ほっほっ、三人は呑気じゃのう。──では儂は、その異名に恥じぬように努めるとしようかの」
なので、やることは単純。
現在おぜうさまにだけ使っている『エスコート・ステート』の対象を全体に広げる。
それにより、みんなの火力を上げるというわけだ。
これで、月を砕くに足る火力をみんなに出させるというわけである。
本当なら、他の生徒達にも同じ様にやって戦力を追加しておきたいところなんだけど……流石にそれは自重。
後々帰ってくるだろうビジューちゃんに余計な迷惑が掛からないように、対象はできる限り少なくしておくべき……というわけだ。
その上で、ある程度優秀な生徒として知られている三人娘とダンブルドア氏を対象に選ぶことで、そもそも今から起きることは彼女達自身の能力の高さによるものであると誤認させよう……という狙いもあったり。
「なるほどねぇ。……ところで、一つ聞きたいんだけど」
「ええと、なんでしょうかレミリアさん?」
「私以外に前に出て殴りに行く人はいるのよね?いるわよね???」
「……防御にも強化を割り振っておきますので、頑張って耐えてくださいね。避けてもいいですけど」
「遠回しに私を巻き込むって言ってるわよねそれ!?って、ギャー!!?イヤー!!?」
……なお、連れてきたのが全員
いやでも、これは仕方のないことなのよ。
そもそも近距離戦に対応できる魔法使い、というのがこっちの世界だと少ないんだもの。
一応ダンブルドア氏とかルイズとかはその辺やれなくもなさそう(本来ここにタバサも含めるのが普通なのだけれど、この世界のタバサは単なる中二病みたいなものであり、あんまりシュヴァリエとしては期待し辛いので除外)だけど。
「ごめーん、流石に
「儂もちょっとばかり遠慮しておきたいところじゃのう。しっかり動こうとすると、ある程度慣らしが必要なようじゃ」
「……まぁこんな感じで、貴方と比べるとそもそもの肉体の頑強さが足りていないと申しますか……」
「なんなのよもー!?」
うん、流石に今のおぜうさまみたいに、みんなの魔法に晒されながら前戦に出られる人ってのが居ないというか?
一応話を聞く限り、『エスコート・ステート』によるステータス増強状態に慣れさえすれば、ダンブルドア氏も前に出られなくもない……みたいな感じらしいけど。
それは裏を返せば、その辺気にせず前に出られるのは現状おぜうさましかいない、ということになるわけで。
いやまぁ、私が出られるんならそれが一番楽なんだけどね?
でもそれをするなら少なくとも一回ここから離れた後、別の姿……シルファとかの姿に変身してくる必要があるというか。
そんでもってそれを許してくれるほど目の前の月は優しくないというか?
「ただでさえ、ここから先五人分の『エスコート・ステート』を適宜掛け直さなければなりませんので!」
「ああなるほど。火力を間に合わせるためにはバッファーとしてフル回転するしかないのね、大変ねー」
「そうそう、大変なのですよルイズ姉さま。……そういうわけなのでお願いしますね皆様」
「あーもう、あとでちゃんと説明しなさいよね!」
「大火力は正義。星を砕くとか自慢になる」
「俺達はどうする?」
「他の生徒達の避難誘導をお願いします!ここから先はその辺気にする余裕がないと思いますので!」
「なるほど、承知しました」
それでは改めて、仕切り直すとしよう。
──周囲を染める赤い月。
それは、真祖なる吸血鬼の意思を歪に写し取った、不吉の象徴。
罪を犯した者共の穢れを清めるはずのそれは、罪を犯した者共の罪を呑み込みその紅きを増す呪いの月と化している。
それがもし、この世界に衝突すれば──このハルケギニアが滅びることは間違いないだろう。
その暴威に立ち向かうのは、銀の髪の虚無使いに導かれし勇者達。
彼らは一様にその月を向き、彼の者の悪逆を許すまじとその肩を震わせている。
これより始まるは、星を守る戦い。
どこかの世界の
「……え!これってそんな大袈裟な話だったんスか?!」
「そういう風になってしまったんです。……こうなったら、貴方にも頑張って貰いますからね」
「しまった、逃げ損なったッス!?」
微妙に締まらないやり取りをしながらも、その戦いの火蓋は切って落とされたのであった。