なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「まずは私から行くわよー!風四つ、カッタートルネード!」
「なによその雑な詠唱!?……ええい、フレイムボール!!」
「──冷厳なる氷剣の儀式、アイシクル・ディザスター」*1
「……儂は時々思うのじゃが、この子は本当に一般人なのかのう……」
はてさて、本格的な戦闘が開始したわけなのだけれど。
先陣を切ったのは追加メンバー・魔法使い組達。各々が好き勝手に、されど的確に月へと魔法を叩き込んでいく……。
のはいいんだけど、キュルケ以外マジでおぜうさまを巻き込むことに容赦も躊躇いもないのはなんなんだろうね?()
特にタバサ、君ってば『逆憑依』でもなんでもない現地一般人のはずなんだけど、なんだってこうその辺の事情を疑いたくなるような言動してるの、と思わず困惑したくなること頻りである。
いやまぁ、彼女のお父上と伯父様の両方が『逆憑依』なので、明確に一般人かと言われると少々疑問が浮かばないでもないわけなのだが。
ついでに言うと、
「ん。これからの時代単なる無口・クール系は埋没していくだけと聞いた。なにせ人気属性、似たようなキャラは後から後から湧いてくる。──だから自分だけの個性を出せ、とお父様達に言われた」
「なにを子供に教えているのでしょうあのお馬鹿共は」
……あーうん、無口・クール系キャラは大体その源流に綾波レイ……もしくはそこから派生したキャラクター達の影響を受けているため、自然と似通ってくるとかそういうことなんだろうけど。
それを実の娘・ないし姪に聞かせて進路を左右する、というのはちょっと待てや案件以外の何物でもないと思うわけなんだけどこれ如何に?
……今度ガリアに訪問した時その辺り詰問しておこう、と心の中で決心しつつ、四人の攻撃が月にどれほどのダメージを与えたのか確認しておく私。
一応、キュルケ以外の三人はスクウェアスペルを使用したみたいなので*2、ある程度のダメージは期待できるはずなんだけど……。
『縺、縺セ繧薙↑繝シ繧、縲√l繧、縺ヲ繝シ繝ウ』
「うわぁ効いてない!?」
「ふむ、威力を減衰させられたということかのう?」
「冷静に分析してる場合ですか!?とりあえず一旦離れてください!!」
発生した土煙が晴れた先には、ほぼ無傷の月の姿が。
ダンブルドア氏はこれを威力減衰の結果と捉えたみたいだけど……私は違う。
いてつくはどうが飛んでくるのを予見したのでみんなを下がらせつつ、おぜうさまに優先して強化を掛け直しながら改めて確認し……自分の目がおかしくなったわけではない、と認識し直す。
思わず目を疑ったけど……うん、どうやら見間違いではなかったようだ。
「と、いうと?」
「ダメージを受けなかったのではなく、受けたダメージを回復しています。あれ、滅茶苦茶な回復能力で無理矢理耐えてるんですよ」
「えーっ!?」
真祖の姫──吸血鬼の特性を持つせいなのか、あの月はどうにも自身を復元する機能を持ち合わせているらしい。
その結果、どれだけその質量を削ったとしても瞬く間に損傷が補填されてしまっている……と。
本来そのレベルの復元には膨大なエネルギーが必要となるのだが……あれが月であること・本来は罪を清めるモノであること・集めた罪をエネルギーに転換していることなどから、結果として復元に必要な分のエネルギーを確保することに成功しているらしい。
「後者はわかるけど、月であること自体が理由ってのは?」
「月はこの星の衛星、すなわち繋がりを持つもの。……罪を転換してのエネルギー精製だけだと明らかに間に合いませんが、この大地の竜脈も利用しているのならばその辺りの説明は付いてしまう、ということですね」
「……なるほど、つまりその関係性を断つところから始めないとダメってわけね」
そう、穢れを清める赤い月としての機能を用いて罪を自身に集め、それを薪としてエネルギーの火を燃やす……というのが、あの月の持つ基本的なエンジンだろう。
そこに月というこの星の衛星であることの証明と、月のお姫様である真祖の要素を足すことで、結果としてこの星からのバックアップを得ることに成功しているのだ。
……実態としてはこの星に激突して地表のモノを全て滅ぼそうとしているのだけれど、その辺りも真祖──型月の設定を引用することで成立させている節があるというか。
「ともかく、あの月をなんとかして概念的に切り離す必要がある、ってことでしょ?その辺なにか策とか無いの?」
「無くはないですが……」
「無いですが?」
「その間バフが途切れますのと、流石にその辺は向こうも気付くでしょうから真っ先に妨害に動かれる可能性が高いといいますか」
「……なるほど、貴方が狙われる可能性が高いってわけね」
なので、まずは相手の不死性?の無効化を狙う必要があるということになるのだけれど。
あれが月である、という因果まで切ろうとすると、必然的に私がやるしかない、ということになる。
具体的には『星解』使え、という話になるんだけど……短いスパンでごりごり使いすぎじゃないかな、って思わないでもない。
なんなら『星女神』様辺りが『星解』をもっと使えー、とばかりに誘導してるんじゃないか、って疑いたくなるレベルというか。
まぁ、ここで使わないなら使わないで、この面倒臭い月を他の方法でなんとかする必要が出てくる……ということになってしまうのだが。
正直そんな方法思い付かんので、ここで『星解』を持ち出すのは既定路線である。
ただ、使うと決めた場合もそれはそれで問題がある。
なにが問題かと言うと、あの月に真祖が混ざっているのがそれ。
わかりやすく言うと、真祖は自然の具現化のようなものであるため、こっちが『星解』を使おうとする
無論、私自身は別に超反応されようが大して変わらないんだけど……相手は大質量の月、よってその超反応は周囲を巻き込むモノである。
今はこっちの戦闘行動に付き合ってくれてるけど、超反応される場合はある意味形振り構っていられない状態でもあるわけで。
結果、押し留めるもなにもなくそのまま(ハルケギニアが)ゲームオーバー、みたいなことになりかねないわけだ。
ついでに言うと、『星解』の準備中はいてつくはどう関係なしに『エスコート・ステート』は解除しなければならない。
言い換えるとレミリア嬢以外まともに戦えなくなる、ということにもなりかねないわけで……余計に月を押し留め辛くなるだろう、という目測すらついてしまうわけである。
「……ふむ。つまり彼女だけに任せぬように立ち回ればよい、ということじゃな?」
「はい?……ええとまぁ、そういうことになりますかね……?」
「ではなにも問題はない。この老人に任せて貰うとしようかのう」
「はい?……ええと、ミスタ・ダンブルドア?付かぬことをお伺いしますが……なにをするおつもりで?」
「なに、こうするんじゃよ。──モシャス」
「ドラクエ呪文!?」*4
いやいつの間に覚えたそんなもん!?
……とこちらが困惑する姿に笑みを向けながら、彼は突如現れた煙に包まれていき──、
「……!?月が真っ二つに!?」
「さぁ、このハルケギニアに絶望を贈ろうか?……なんてな」
「その姿好きなんです!?」
突然、辺りに響いた音に皆が空を見上げる。
見れば、そこに浮かんでいた月が真っ二つになっている光景が、目の前に広がっていたのだ。
そのあんまりにもあんまりな様子に皆が口をあんぐりと開けており──それを見て笑うかのように、周囲に響くのは一人の男の声。
……先ほどまで隣にあったはずの煙はいつの間にか消え失せ、代わりに真っ二つになった月の向こうに移動している。
煙が晴れた時、そこにいたのは──長大な刀を振り下ろした姿で止まり、こちらを見る美丈夫。
──ダンブルドア氏の変身したセフィロス。
彼がお茶目に笑う姿を見ながら、私は色々とツッコミたい気分を抑えるのに必死になっていたのであった……。
いや、その姿は色々と誤解を生むって!!