なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
流石に真っ二つになった程度で止まることはない、とばかりに再生している月に感心しつつ、改めてダンブルドア氏の方を見る私。
彼は相も変わらず月の向こう、赤い空の中に浮いていたのだが……両断したはずの月が再び引っ付こうとしているのを確認し、興味深そうに一つ笑みを浮かべていた。
「なるほど、随分と生き汚いようだな、お前は。──なら、もう少し踊ろうか?」
「え!?誰あのイケメン!?っていうか強っ!?」
「キュルケ、あんた……」
「アンタ、もう既に思いを寄せる人がいるんじゃないんスか?」
「
「……あ、なるほど。
こっちとしては、リンボの構成要素の一つになっているモノへの変身が果たして問題ないのか否か、ということの方が気になるのだが……うん、キュルケはその辺りの話は知らないわけだし、気にしなくても仕方ないよなというか……。
まぁともかく、今のダンブルドア氏が近接戦闘の鬼であることは疑うようもあるまい。
見なよほら、真っ二つに巻き込まれたおぜうさまが縦に割れた自分を自分で引っ付けてるのを。
あんだけ綺麗に切れるんだから疑う余地はない……え?気にするところそこじゃない?真っ二つになった私を心配しろって?
「いえその、吸血鬼なのでこれくらい平気でしょうとしか」
「いや平気だけどね?!実際に大丈夫だったけどね!?でもびっくりしたんだけど?!マジックでもなんでもないんだけど?!種も仕掛けもあるんだよ!?!?」
「落ちつきなさいよ……」
「これが落ち着いていられるかぁ!!」
まぁヒートアップ。普通の存在なら死んでるから仕方ないといえば仕方ないけど。
ともかく、近接戦闘要員が二人に増えたことで余裕も……え?そもそもなんでダンブルドア氏がセフィロスに変身してるのか答えろって?
そんなの声繋がりとしか言いようがないじゃんね?*1
ってなわけで軽くスルーし、改めて戦術の組み立て直しである。
おぜうさまが盾役()であるなれば、ダンブルドア氏は矛役、攻撃主体の扱いだろう。
生憎それがモシャスによるものである以上、いてつくはどうに弱いのは変わらないだろうけど……、
「逆に言えば、解除する相手として気を付けるべき存在が増えるということ!分散ターゲット状態の攻撃なんて恐るるに足らず、というやつですよ!」
「気のせいかしら、私にはビジューの発言がフラグに聞こえるんだけど……」
「まぁうん、そういう風に聞こえることを前提にしてる部分もあるんじゃない?」
「はぁ?」
ああして軽々と月を真っ二つにできる火力、最早無視することはできないだろう。
かといって彼に掛かりきりになってしまうと、それはそれでなにやら致命的なことをやってきそうな私を放置する羽目になる、と。
つまり必然的に、処理能力を二方向に割り振る必要が出てくるわけだ。
そんな散漫なやり方でなんとかなるほどこっちは甘くないので、必然的にこっちの勝ちの目も多くなると。
……キュルケがこの台詞をフラグじゃないかと気にしていたけれど、その辺はルイズの言うように
冷静に考えればわかると思うが、いてつくはどう食らったあと危ないのはダンブルドア氏の方。
私はあくまでバフのかけ直しに迫られるだけだが、向こうはガタ落ちした身体能力で向こうの攻撃を避ける必要があるのだ。
月の使う攻撃というのは基本的に『ディスガイア』繋がりによるプリニー落とし。*2
……正確には集めた罪をプリニーの形にして落としてきているだけであって、本当にプリニーが落ちてきているわけじゃないのだが……うん、こっちのプリニーに恐慌をもたらすには十分だよね()
そうでなくとも、落ちた箇所で派手に爆発する攻撃である。
見た目の滑稽さに反して、意外と火力が高いことは間違いないだろう。
なにより
「……なるほど。必然的に彼は回避に気を払う必要がある。フライで避けられはするだろうけど、解除のタイミングによっては不可避の連携になる可能性もある」
「元が元ですので、それでも当てるのは至難の技でしょうけどね。それでも冷静に見ればそれが隙であることは事実。その隙を消すのであれば──」
「……もっと隙だらけの相手を置いておけばいい?」
「そういうことになりますね」
その辺の隙を狙われないようにするために、こっち側が狙われる優先度を上げておく必要がある、と。
そもそも向こうから見て危険度が高いのはこちらの方、ゆえに狙われる優先度もこっちが高いのだが……折角ターゲットを分散させることに成功したのだから、それをまた一つに戻すような真似はするべきじゃあない、というわけである。
そのために必要なのは、ダンブルドア氏の隙が現れる度に的確に邪魔をすること。
彼に集中して落としたあと、ゆっくりこちらを攻めればいい……なんてことを考えさせないように動くこと、である。
「そういうわけですので、他の生徒達の避難も済みましたし早速やりますよー!禁じ手、
「ビジューが増えた!?」
「すごい」
そのためにやれることはただ一つ、こっちの厄介さを跳ね上げること!
……キュルケやタバサが居ないのならもっと派手に増えるのだけれど、今回は自重して計二人に分身。
魔法や魔術ではなく忍術による分身なので負担は低め、かつ魔術などの他の技術と組み合わせるのにも向く多重影分身はこういう時の心強い味方と言えるだろう。
……うん、単に私がやる分には他の方法でもいいんだけどね?
ほら、ごまかしの方向的に後々ビジューちゃんにもやって貰わないといけないってことを考えると、魔法と併用できる技術の方がいいというか……(目そらし)
王都の方で無理難題吹っ掛けられることが決定したビジューちゃん本人がくしゃみをしているような気配を感じつつ、増えた私と示しあわせる私。
「「私が増えることにより、バフを解除されても即座にかけ直すことが可能!これによりバフの切れ目を可能な限り消し去り、貴方の余裕はゼロになる!」」
「縺。繝ァ縺」縺ィ縲∝国諤ッ縺倥c縺ェ繧、繝弱◎繝ャ?!」
「「ははは!なに言ってるのかわかりませんが悔しがってることはわかります!ですが止めませんよ!勝てば官軍です!!」」
「うわぁ」
「ビジューがハジけてる……」
いてつくはどうの問題は、それによりバフ効果が全て剥がされてしまうというところ。
裏を返せば、剥がされても即座に同じものをかけ直せればそれでオッケーなのである。
とはいえ普通はそれも難しい話。
バッファーが一人ならチャージタイムの関係から再度同じ事をするのは難しい、なんてことも多いだろう。*3
今回の場合、『エスコート・ステート』はスキルが付与されてからの時間が重要となるため、余計に同じバフをかけ直すことが難しいということになる……。
「「なら、消されることを前提にバフの倍率を調整すればいいというだけの話!残念でしたね赤い月、このバフとっても汎用性高いんですよ!」」
「蟷セ繧峨↑繝ウ縺ァ繧ょ国繧ュ繝ァ繧ヲ縺吶℃縺ェ繧、!?」
「……気のせいかしら、なんだかあの月がなに言ってるのかわかる気がするのよね私」
「わかる。多分卑怯だとかなんとか言ってる」
……だったら、端から消されること前提の時間・倍率設定にすればいいというだけの話。
そもそもの話、『エスコート・ステート』はバフに見せ掛けた後乗せ強化。
本人そのものを拡張するような形式であるため、それが解けた際に本人に与えるフィードバックを考慮した結果として、あれこれと制限を付けているだけなのである。
裏を返せば、
で、今回の場合。
ほっとくと際限なくスペックを跳ね上げ続ける『エスコート・ステート』は、赤い月からしてみれば必ずどこかのタイミングで打ち消さないといけないもの。
とはいえいてつくはどうもずっと使えるわけではない、となれば効果的なタイミングで使うことを心掛ける必要がある……。
その効果的なタイミングをずらしたり消したりなかったことにするのが、今回の分身型わんこそば式バフ追加法!
仮想空間に予めバフを展開することで経過時間を稼ぎ、いてつくはどうが飛んできたタイミングで消えたバフを補充!
それにより、いてつくはどうの効果を限りなくゼロにする……ふっ、完璧な作戦だ!
まぁ、実際のところ結構穴があるというか、雑な対処なんだけどねこれ。
主に後々同じ事をさせられるだろうビジューちゃん以下略。
……仮想空間にバフを展開といいつつ、実際はそこまで経過時間を稼いでいるわけでもない。
この辺りはビジューちゃんに教える予定の『エスコート・ステート』の代替呪文のCTを考慮したモノとなっており、俯瞰して見ると大体いてつくはどうが飛んでくる・飛ばせる状態になるくらいで効果が最大になるような設定になっている。
要するに、向こうも必死になればギリギリ間に合うくらいの時間・効果量の設定になっているわけだ。
いやね?確かにこの赤い月は結構な強敵だとは思うんだけど……正直言うとORTとかに比べたら遥かに弱いんですわ、再生力はこっちのが高そうだけど。
となると、表面的にはともかく内面的には終わったあとのことを考えるような余裕も出てきてしまうわけでして……。
まぁ、余裕がなかったらビジューちゃんに余計な負担を背負わせる羽目になってた……ということでもあるので、単純に悪いとも言い辛いのだけれども。
そんなわけで、微妙に周囲との温度差を感じないでもない戦闘、ということになるのでしたとさ。