なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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動かない図書館、動く

「反省回も終わったからブラックジャック先生を連れて戻ろう、っことになったんだけど……」

「まさかその流れで、おぜうさまとその召喚者のパチェさんを連れて帰る羽目になるとはねー」

「というかパチェって現地人なのになんで一緒に来ることに?」

「それはもちろん、こっちの世界が面白そうだからよ!」<バーン

「ええー……」

 

 

 君は「そこまでよ!」ってやってるパチェさんのアスキーアートを見たことがあるかな?

 もし見たことがあるなら、今パチェさんがやってるのはそのポーズだって思っておくといいよ()*1

 

 ……とまぁそんなわけで(どんなわけだ?)、今しがた口頭で説明した通りパチェさんとおぜうさまを引き連れ戻ってくることになった私達である。

 ルイズやダンブルドア氏とはあのまま向こうで別れたのだが、そうしてこっちに戻ってくる際にパチェさんに頼み込まれてしまったのだ。

 

 本来なら無闇矢鱈にこっちの人を向こうに連れていく、なんてことはしないのだけれど……あまりにもしつこかったこと(恥も外聞も投げ捨てて足元にすがり付いて来られた)。

 および、ダンブルドア氏から苦笑い混じりに「連れていってやってくれんかね」とお願いされてしまったため、渋々連れていくことになった次第である。

 

 ……あのダンブルドア氏の様子から察するに、向こうでも大層アグレッシブなんだろうね、このパチェさん……。

 

 

「褒め言葉として受け取っておくわ!」<ムキュッ*2

「なんでこの人こんなにドヤ顔なん?」

「我が親友と同じ姿形だが、ここまでアグレッシブなのは流石に初体験だな!」

「……キャラ崩壊かどうか一瞬躊躇う貴方の言動もどうかと思うけどね」

 

 

 一気に東方濃度(?)が増したからか、微妙に疲れた顔をしているゆかりんである。

 本当ならこのまま執務室もといゆかりんルームに戻るところ、彼女達が増えたことであれこれ起こりそうな気がするので一緒に付いてくる……とのことだったので、その辺りの心労が胃に来ているのかもしれない。

 

 まぁ、そうでなくともこれから向かうのは隔離塔。

 普通の神経してたら『行きたくねー』ってなるのはわからんでもないのだが。

 

 

「おや、そうなのですか?」

「そうなのDeath(です)。……単純接触の時点でヤベー、って人ばっかりだからねぇ。まぁ、最近は企業努力によってその辺も解消はされてきてるんだけど」

「されてきてるんだけど?」

「その分最後まで残る人ってのは濃ゆい、ってことになるわけでして……」

「あー……」

 

 

 キャラとして濃ゆい、くらいならまだなんとかなるのだが、これが持っている性質的に濃ゆい、だとちょっと触れ方に困るというか?

 まぁ、それにしたって本当に触れられない相手──他の全員が退所したら最終的に彼の城になる、みたいな境遇の戯言遣いとかに比べれば、遥かにマシだという話になってしまうわけだが。

 

 とはいえ、その辺は口にしない私である。

 面白半分に触れていい相手じゃないってのが一つと、一応そこら辺の子細を知らない人が混じっているのが一つ……みたいな?

 特にこのパチェさんは、なんだか危険だとかダメだとかそういう制止が効きそうにないため、自動的に『知られちゃいけない』カテゴリに入っているため余計のことである。

 

 ……彼の話はその辺にしておくとして。

 じゃあそんな危ない相手を連れていかなければいいだけの話では?……というツッコミに対しては、さっきの『ダンブルドア氏の表情』が答えとなる。

 うん、原作の彼女って病弱なイメージがあるのだけれど、この彼女はまっったくそんな様子がないのよね。

 なんならウルトラ健康優良児、木とかあったらそのままするする昇っていきそうですらあるというか。

 

 それだけなら単に、この子がパチュリーじゃなくて単なる他人の空似ということになるだけなんだけど……ここで引っ掛かってくるのがとある男の存在なのであった。

 

 

…………( <●><●>))」<ジーッ

「…………」

 

 

 ……はい、こうして珍しく目を逸らしてらっしゃるブラックジャック先生ですね。

 さっきの月戦が終わったあと、ふと彼に視線を向けたところ、パチュリーの方を見てなにやら感慨深そうな顔をしていたのである。

 そのことについて尋ねようとした時には、彼の表情はいつもの仏頂面に戻っていたのだけれど……あれは確かに、なにもない相手に向けるものではなかった。

 

 なのでこうして、ずーっと彼に視線を向け続けているのだけれど……うん、説明するつもりはないのかこうして顔を逸らし続ける始末。

 なにが始末が悪いって、あくまで私の視線を避けてるだけで、それを他人に気付かせてないってのがね……。

 今もほら、ゆかりんに話し掛けられているけど『なにも悪いことしてないし隠し事もしてませんよ?』みたいな顔で普通に受け答えしてるし。

 

 ……後ろめたいことがあるというよりは、なにかしら()()()()()()()()()()()()感じ、というべきだろう。

 例えば患者の個人情報を隠している、とか。

 

 ……うん、()()()()()()()()()()()()()ってのが一番しっくりくるからこそ、こうしてジト目で見る羽目になってるわけですよ。

 わかりやすく言うと『貴方、このパチュリー治療したことあるでしょ?』というか?

 ……過去の患者が元気に動き回っているならそりゃ感慨深くもなるだろうし、患者の個人情報を周囲に吹聴するなんて愚の骨頂だからこっちの追及を避けている理由にもなる。

 

 なるんだけど、それだと同時に患者であるパチュリー側からなにもないのが気になる、というか。

 ……まさかとは思うが、この間のささらさんのところみたいに、以前までハルケギニアとこの世界の間には長大な時間のずれが発生していて、たまたま向こうに迷い込んだ先生が彼女を治したけど、それは彼女の幼い頃──記憶に残るような時期のモノではなかった、とかじゃああるまいな?

 で、病弱だったのが完治したパチュリーはすくすくと育ち、いつしか記憶の彼方の恩人に会いたいという一心で色々な場所を探すようになり──その結果、自然と好奇心旺盛な人物に育ってしまったとか。

 

 好奇心から突っ込んでいく悪癖も、それが誰かを探し続けてのものなら止めろとも言い辛い。

 ゆえに、ダンブルドア氏も苦笑いするだけで彼女を止めよう、みたいなことにならなかった……。

 

 とまぁ、そんな予想が私の脳裏を過ったわけである。

 ……流石に全部当たってるとは思わんけど、掠ってそうな気がするのはなんなのか。

 

 ともかく、二人の間になにかしらの関係があることはほぼ確定的。

 となれば、パチュリーの方が止まらないのは道理だし、同時に先生の方も微妙な空気を醸し出すのも仕方のないこと。

 

 

「……余所でやってくんないかなー」

「ん?キーアちゃんなにか言った?」

「なにもー。ところでおぜうさまって人工太陽は大丈夫なん?」

「は?私五百年ものの吸血鬼ぞ?流石に人工太陽なんか幾らでも耐えられ私の右手がいつの間にか炭化してるぅ!?

 

 

 ほんのりラブコメ風味、とでも言えばいいのか。

 なんで唐突にそんな話になっているのかという不満を押し込めつつ、こちらを振り返ったゆかりんが首を傾げる様に苦笑する私である。

 そのままごまかすように、おぜうさまの現状に話を逸らしたのだけれど……うん、逸らしたつもりが寧ろ大問題だったよ(白目)

 

 いや、流石に日傘の影の範囲から出てたところがそうなってるだけとはいえ、自分の右手親指が炭化してるんなら気付きなさいよ……。

 あれか?なりきり郷の非殺傷指定が変な噛み合い方して、本人の感じ方的にはじりじり炙られる程度のモノでしかなかったとか?

 もしくは端から命に届かないことがわかっていたため、肉体の方が問題ないと無視していたのか。

 

 なんにせよ途端に慌て始めたレミリアを放っておくわけにもいかないので、みんなして日影を作りつつブラックジャック先生が処置に移れるようなスペースを確保することになった私達なのでありましたとさ。

 ……え?その時のパチュリーさん?「レミィってばだらしないわね」とかなんとか嘆息してましたよ?ブラックジャック先生の様子にはまっっったく着目してませんでしたよ?

 

 ……やっぱり予想は単なる予想だったってことかな、それとも微妙にピンと来てないだけかな、これ?

 なお、肝心のおぜうさまの右手親指だけれど、完全に炭化して粉のように崩れてしまったため、対処に困ったのち輸血パックを飲ませてみたところ、あっさり新しい指が生えてきて思わずみんなで『きもっ』ということになりました。

 ……キモいとか言うなー、っておぜうさまが憤慨してましたが些細なことですね()

 

 

*1
仁王立ちした上で左手の本を頭の横に構え、右手をバッと開いたポーズ。説明されるより『パチュリー そこまでよ』とかで検索した方が早い。全年齢向けの掲示板において、話の内容が未成年に対して良くない方向に向かい始めた時に、その軌道修正を図る目的で投下されるAA。二次創作のパチェさんは大概えっちぃので軌道修正には向いてない、とか言ってはいけない()

*2
パチュリーの鳴き声(?)元ネタは『東方萃夢想』の魔理沙のストーリモードにおいて、負けたパチュリーが第一声目に発した言葉『むきゅー』。『ばたんきゅー』などと同じく、負けた際の『やられたー』的音声に当たる。そこから派生し『むきゅっ』など彼女の行動に付随する擬音語のようなものとなった

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