なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「愉快な友達だね。選択の後悔がないのならいいことだと思うよ」
「は、はは……」
はてさて、最上階。
そこは彼、戯言遣いの居城なわけだが……そこで待ち構えていたのは都合四人。
始めに戯言遣いその人、それからなにやら呑気に紅茶を呑んでるおぜうさまとパチュリー、そして最後の一人。
「きゅう……」
「……もしかして、貴方を狙って?」
「まぁうん、そういうことになるね。なんというかこう、赤子でもやらないようなことを実行できるその蛮勇に憧れなくもないよ」
戯言だけどね、と言いながら彼もまた紅茶を一口。
……なんで優雅に午後のティータイムしとんねん、というツッコミは呑み込み、改めて最後の一人に視線を向ける。
その人物……人物?は、見たところなんというか……うん、正直言葉にし辛い感じの存在であった。
なんでかって?そりゃ勿論、その見た目が
型月ならアンリマユ、名探偵コナンなら犯沢さん……まぁ、そんな感じのキャラクターが脳裏を過る、まさしくシルエットそのものな存在というか。
……どうにも
らしいんだけど、どうにも反応に困る。
いやだってねぇ?見た目的には確かにアンリとか犯沢さんとかのそれだけど、
かといって【星の欠片】でもないっぽいし……あれかな?他者に危害を加えたい、迷惑を掛けたい……みたいな【兆し】が集まって形を持ったのはいいけど、適切な姿が出てこずに中途半端に物質化した存在、みたいな?
正直自分でも言っててよくわからんのだけど、それもこれも相手が単純な【顕象】でもないのが悪いというか……。
「む、違うのか?」
「ああうん、詳しく視てみたんだけど、どうにも種族というか所属というかがハッキリしないというか……」
そんな私の言葉に、不思議そうにこちらを見てくるデルセンである。
……うん、普通なら『逆憑依』なり【顕象】なり【鏡像】なりの種別を見分けられるんだけど、このまっくろくろすけに関してはその辺が曖昧なのだ。
いっそ
「あ゛ーっ!?」
「ぬぉわっ!?いきなり喋るなこの大馬鹿者が!?」
「おっとごめん……ってそうじゃなくて!そういうことかこれぇ!?」
思わず大声をあげてしまったのも無理はない。
だって今しがた脳裏を過った予想が答えであるならば、一応筋が通ってしまうからだ。
ついでに、なんでわざわざ戯言遣いにまでちょっかいを掛けに来たのか、っていうことまで答えられてしまう。
「ほう?どういう答えを思い付いたんだ?」
「
「……は?」
そうして出した答えに、デルセンは困惑したような声をあげたのだった。
──ゴーストタイプというのは、ポケモンに登場するタイプ──いわゆる属性のようなものの一つ。
現実で言うところの幽霊に類するそれは、しかして
「いわゆる悪霊の類いが多い、ってやつだね。まぁ魂だけの状態で現世に残り続けようとすると、なにかしらの強い意思──この場合は強い怨みとかを持っていることが前提になるから、ってところが大きいわけなんだけども」
その問題というのが、基本的に危ない種類のモンスターが多い、という点。
メキシコの死者の日──死者を恐れるのではなく死者を笑って迎える日であるそれをモチーフにしていると考えられる、ご三家の一角・ラウドボーンのような例外も幾つかあるものの。
タイプにゴーストを含むポケモンというのは、基本的に危険な性質を持つモノが多いのだ。
複合タイプに「あく」や「どく」を持つモノが多いのも、そのイメージを助長するというか。*1
「……確か、一部のゴーストタイプは相手に取り憑いて殺すみたいなことが平気で書かれているのだったか」
「そうそう。特に風船に見せ掛けて小さい子をあの世に連れていこうとするやつとか、船を沈めて生命エネルギーを吸いとろうとするやつとか……見た目がかわいいやつほど危険だったりするんだよね」*2
「なんの嫌がらせだ、それは」
「手持ちにしてても危ないやつもいる辺り、ゴーストタイプと付き合うのは命がけだよねー」
ミミッキュとかヌケニンとか。*3
……まぁ、あくまでフレーバーであってゲーム中はその辺の危険性を意識することなんてほとんどないのだが、それが『逆憑依』なり【顕象】なりの対象になったのなら話は別。
前々から言っている通り、基本的に【兆し】関連のモノというのは中身となった存在の命を守るためのもの。
それは他の【兆し】が守っている命であっても同じことで、原則【兆し】から生まれたもの同士は命のやり取りを行うことができない、という制約が存在する。
……いやまぁ、正確には普通にやっても中身までダメージは貫通しないのだけども。
とはいえ、積極的に命の危険を及ぼすようなモノを通すわけでもあるまい。
──そう、命の危険を及ぼすようなモノを通すわけではない。
言い換えると、
「……待て、もしかして」
「そう、この黒いのはゴーストタイプの持つ
「良い方がいる、ってことだね」
この黒いのの正体。
それは、【兆し】としてこちらに現れる際、
ならば、それと対になるよい要素の塊がいるはず、というのは誰にでも予測できること。
ここまで話が進んだのなら、答えは簡単だろう。
デルセンをゴールに突っ込んだあと、一切の痕跡を現さなかったもう一つの存在。
それは恐らく、ゴーストタイプのよい方の側面。
悪戯好き程度の性質しか持たない、アニメで見るようなタイプのゴーストポケモン達。
となれば、だ。
必然、そんな
「というわけで、私の従者のゲンガー君だ!よろしくな!」
「……従者が従者を持つってどうなのかしらね」
「それを言ったらそもそも私が貴方の従者だってところからしておかしいんだけどね!」
「げんげん」*4
「わぁ」
こうして、なんだか盛大に意味不明なことになっているのでした。
……そっかー。良い方でも結局まっくろくろすけみたいなもんなのかー……。