なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「人類はもっと母に感謝すべき、そうすべき」
「なんだ今の」
「ティアマトさんですね……」*1
はい、そんなわけで差し迫る母の日に向けて、感謝の言葉やら何やら色々贈る羽目になったキーア以下数名でございます()
……母の日って怖がるようなもんじゃなかった気がするんだけどなぁ?
まぁ姉の日とかが捏造されるよりは遥かにマシなのだが。
ともかく、
「あんまり感極まらせると、みんな赤ちゃんにされかねないからほどほどにしないとねー」
「今おぞましいこと口走らなかったか?」
「気のせい気のせい」
うんまぁ、以前ほどではないけど要注意人物なのは変わってないわけで。
そのため、変に感動させても後が怖い……ということになり、ほどほどの感謝を示すのがいい……という話になるのでしたとさ。
……うん、なるんだけどね?
「それでいいのか、って言われるとちょっと困っちゃうんだよねぇ」
「感謝していることは確かなのですから、そこを抑えるのは悪手でもあるということですねぇ」
ジェイドさんの言う通り、感謝の気持ちを示すのであればそれなりの態度があるでしょう、みたいな話でもあるわけで。
わかりやすく言うと、適当な感謝の仕方は寧ろ失礼になるだろう、ということになるだろうか?
言い換えると相手を怒らせかねない、というべきか。
「……いやまぁ、キリアのことだから怒ったりはしないと思うんだけどね?ただほら、幼い見た目の母親って言うと、返ってくる反応ってなんとなく予想できるというか……」
「ああなるほど、さっきの
それも、単に怒って癇癪を撒き散らすのならまだマシな方。
見た目が子供なこともあいまって、盛大に泣き散らす可能性もなきにしもあらず、なのだ。丁度先ほど通り掛かったティアマト神のように。
……いやまぁ、正直キリアが泣き散らす姿とか想像も付かないのだが、同時に怒って相手を折檻する、という方向に向くのはさらに想像できない。
となれば、怒らせるようなことをした結果返ってくるのは涙……という予想になるわけで。
「……泣き散らすんじゃなくさめざめと泣かれた場合も罪悪感酷そうよね」
「あー、ありえそう……」
ゆかりんが思わずとばかりに呟いていたけど……確かに。
泣き散らすのも泣き喚くのもちょっとイメージにないけど、静かにさめざめと泣かれるのはぎりぎりイメージできる。
そしてそうなった場合、相手の機嫌を直すのは相当大変なことになるだろう、ということも。
……正直、そのパターンの方が単に母性爆発した時より面倒そうなのも確かなので、どうしたものかと悩む原因になっているのであった。
「話を聞く限り、素直に感謝した方が良さそうだけど……」
「それでも躊躇が脳裏を過るから困ってるんだよぅ」
「なるほど?」
で、ここまでの話を
……というおぜうさまの主張が正しく聞こえてくるはず。
はずなのだが、それはあくまでも新人達だけの話。
ボクが絡むとややこしくなりそうだから、と今回の話に加わることなく隔離塔最上階に再度引きこもった戯言遣いを除いた、以前からこのなりきり郷に住んでいる面々……私とゆかりんとブラックジャック先生にはるかさんなどは、なんとも言えない表情でむむむ、と唸っていたのであった。
「そんなに躊躇するほどなの?」
「その間の記憶を思い出したくなくなる程度には。わかりやすく言うとクリークを前にしたタマモみたいな?」*2
「それは……なんというか……」
まさに人類母顕現、というか?*3
母性の暴走したキリアはまさにそのライン、対面すればその時の記憶はまず思い出せなくなることうけあいである、主に恥ずかしさとか色んな感情ゆえに。
「……いやまぁ、実態としてはおぞましいくらいに甘やかされる、って感じなんだけどね?ただ尊厳すら剥ぎ取られるレベルの甘やかされ方だから、抜け出せなかったらそのまま永遠の赤ちゃん生活が約束されるレベルというか……」
「怖っ!?」
「そうよ怖いのよ、だから困ってるのよ今回は……」
こちらの説明に一様にドン引く新人達を前に、深々とため息をはく私たちである。
……いやホント、どうしようかしらねこれ?
「その結果がこれ、っていうのは笑えばいいのかしらね?」
「うんまぁ、変に感極まられるよりそっちの方が嬉しいかも」
「ぶっちゃけるわねー」
あれこれ考えた結果、最終的に私たちが導きだした答え。
それは、彼女へ夕食を振る舞う……というものであった。
普通の母親なら普通に感極まりそうな子供()が作る夕食だが、しかしてキリア相手だと少々話が違ってくる。
……見た目の近い私と違って、キリアの方は食事の必要性はないためだ。
「【星の欠片】は食べなくても生きてられるからねぇ。そのせいというべきか、食事に対する感動は少し感度が低くなっちゃうのよね」
「それでいて、ちゃんと自分に向けての感謝は感じられるから失礼にはならない、と」
「そうそう」
必要性のない・あくまで娯楽に当たるモノとなると、それを与えられた時の感動というのは少々低いモノとなる。
料理がそうなることは基本ないのだが、その辺は特殊な存在である【星の欠片】ゆえ、ということになるのだろうか?
まぁ、ともかく。
現状私たちができることで、なるべくしっかり感謝の意を示しつつ。
かつ、相手にそれを過剰に感謝させないとなると、料理を振る舞うのが一番であるというのは間違いなく。
ゆえに私は他の面々に調理を任せ、キリアの隣で一緒に食事をしているのであった。
……え?なんでお前は調理側に回らずに、一緒になってご飯を食べているのかって?
「そりゃもちろん、感謝のためのモノだからって一人で食べてたら味気ないからですよ?」
「まぁ、感謝とは言っても話だってしたい、って感じになるのはある意味必然よねぇ」
娯楽としての食事である以上、それだけだと感謝の意として足りてないから……である。
確かに、子供達から料理を振る舞われたら嬉しくなるのは間違いないだろう。
が、しかし。どんなに美味しいモノであれ、それを一人で楽しむとなるとどことなく味気なくなるものでもある。
無論、一人でも楽しめる人は楽しめるだろうが……今回みたいなパターンの場合、みんなが調理に回るよりは何人かが一緒に食事をすることで、その中で発生するおしゃべりを楽しんで貰う……という方向に発展させるのがよいだろう。
じゃあ、なんで私だけなのかって話なんだけど。
……うん、他の面々遠慮()しやがったでやんの。押し付けられたとも言う。
「まぁ、気後れするのもわからないでもないけどねぇ」
「そうねぇ。それだと寂しいからささらちゃんも誘ったんだけど……」
「滅茶苦茶震えた声で断られたね。恐縮過ぎてモノの味とかわからなくなりますぅ、って感じに」
実は道連れを一人、用意しようかとも思っていたんだけど……。
結果としてはご覧の通り、その当人は私たちに挟まれるとか死ねと言ってるのと同じですぅ(意訳)、って感じに辞退したのであった。
辞退できるなら私も辞退したいんですけどねぇ……。
とはいえその辺を口にすることはない。
失礼云々もそうだが、なんだかんだで現在は楽しんでいるから、というところも大きいというか?
「猫可愛がりされなきゃ、別に付き合う分には嫌なところなんてないし……みたいな?」
「私としては感謝してるんならもっと甘えて欲しいんだけど……」
「普通逆じゃないっすかね???」
日頃の苦労を労うのなら、寧ろキリア側が甘えるべきだと思うんだけど。
……とはいえその辺は個人差の範疇、本人がそれがいいと言うのならそうなのだろう、としか言えまい。
無論、そっちは遠慮しておく私なのだが。……遠慮しただけだとあれなので、代わりに彼女のグラスにワインを注ぐ私である。
「ところでこの料理、主に作ってるのは誰なのかしら?」
「ジェイドさんが陣頭指揮って感じだね。流石はテイルズ出身、料理のレパートリーが多いのなんの」
現状説明はそのくらいにしておくとして、今現在並べられている料理についての話に移行すると。
こちら、基本的にはジェイドさんの計画したコース通りに提供されているもの、という形になっている。
できないわけがないという表面上の空気、及び原作由来の描写ゆえのある意味当然の帰結なわけだが……それを抜きにすると、なんだかんだでデルセンが料理上手側だった、というのが意外というか。
「俺本人というよりは元の俺由来のスキルだろうな」
とは本人の言だが、はるかさんより手際よく食材を刻んでいたりしたため、正直一部の人間的には驚愕が強いかもしれない。
なお、料理の品出し?はゆかりんの領分、食べ終わった皿の片付けはゲンガー君の領分。
パチュリーはデルセン達に混じって調理班、他の残りは大抵皿洗い組である()
「なんで私がこんなことを……」
「レミィは料理が下手くそなんだから仕方ないでしょう。悔しかったら猫の手くらい覚えなさいな」
「別に包丁如きで私の手は切れないんだからよくない?」
「よくないわよ!!人に出す料理なんだけど!?」
……うん、バックヤードの会話についてはスルーでお願いします。
なおこの後、結局料理だけでは満足しなかったキリアのために、追加の感謝を示すことになったのだけれど……。
うん、その辺については黙秘させていただきます、はい(白目)