なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
慌てて弁明する銀ちゃんの発言を纏めると、次のような内容になった。
曰く、夜な夜なここにあるプールの一つで、なにかが泣いているような声が響いてくる……その謎を調査してほしい、みたいな依頼を受けたと。
「ここまで私たちが見てきたプールから察するに……そういう噂を持つプールの情報をアクアが収集して再現してしまった、とかみたいな話ではなく?」
「いえ、そういうわけではないのです。なんと言えばいいのか……いつの間にか唐突にその噂が湧いていた、というのが近いのかもしれません」
「ふむ?」
銀ちゃんの主張を聞いて、同行していたアクアに確認してみたのだけれど……なるほど、彼女が原因となって起きた話ではないのだと、
この辺は彼女が【星の欠片】であるがゆえに、気付かぬうちに自身が遠因となったなにかを引き起こしている……なんてこともあり得ないとも言いきれないのが、微妙な問題を引き起こしているわけなのだが。
とはいえ確かに、
「……なんつーか、随分とめんどクセー言い回しだな?」
「いやだって、ねぇ?仮にアクアのせいじゃないんだとしても、下手に私がそこを触れると
「いやお宅なに言ってんの???」
なおその時私がした不思議な物言いに、銀ちゃんがなんじゃそりゃとばかりに首を傾げていたけど……この辺は【星の欠片】特有の問題すぎて、そこに理解のない・ないし関係のない人間にはわかりにくいだろうし伝わりにくいだろうなー、としか言えない私である。
……あれだ、時間軸に囚われない存在特有の『未来の存在なのに過去の一事件の原因となりうる可能性がある』みたいなややこしいやつ?*1
大いなる力には大いなる責任が伴う*2というが、【星の欠片】もまたその流れに逆らうのは難しいというわけだ。……区分的には弱い力なんだけどねぇ?
「まぁ愚痴はともかく。【星の欠片】は根幹をなすもの・そもそも過去との相性がいいから下手なことを言うもんじゃない、ってことよ」
「なるほど、口は災いの元とか言ってたけど……」
「せんぱいの場合は本当にそうだったんですね……」
「……うん、そうなんだけどそこで残念なものを見る目で見られる謂れはないんじゃないかなーってキーアん思うわけ」
わかってるんなら自重しろとか、そういう視線かな?
とはいえそもそも心掛けだけでなんとかなるんなら今私はこうなってないんだわ、って感じでもあるので苦笑するだけに留めておく次第である。
ともかく、だ。
こうしてこの施設そのものに変な噂が立っている、と認識した以上は楽しい楽しいプールタイムは終了。
思考を切り替えてトラブル解決に邁進すべき、と具申する次第なキーアさんである。
「その心は?」
「聞かれちゃヤバい人達に既に聞かれちゃってるのでごまかしようがないです()」
「はい?……って、あ」
……え?なんでそんなに張り切ってるのかって?
基本、事件を解決するにしてもそこまで積極的に動いているわけではない(状況に走らされることはあっても、解決しなきゃと使命感めいたものを抱いて動いているわけではない)私が、何故ここに来て積極的に動こうとしているのかがわからない?
いや今答え言うたやん。
……はい、そうですね。
状況を分かりやすくするために、今回の同行者を思い出してみましょう。
まず私とマシュ。お馴染みに見えてマシュが居ない時も結構多いので、ちゃんと揃ってるのは珍しいかも?
とはいえ最近の傾向としては珍しい、的なものでしかないので特段トラブルの元になるようなことはありません。
……え?マシュが暴走する可能性?そこに関しては知らんな()
ついで、アクアとオルタ、それからゆかりん。
アクアとオルタは【星融体】なので問題の元になりうると言えるが……逆に言うと今の状況が既に問題が起こったあと、とも捉えられるためこのタイミングでは問題なしの方に区分けされる。
流石に同時にトラブルを多発させるような相手は、このなりきり郷だとエリちゃんくらいのもんだ……みたいな話でもある。
じゃあゆかりんはどうなのかというと、そもそも彼女は問題を解決する側の人間。
ごく稀に異変の首謀者になることもあるけど、基本的に彼女は中間管理職的板挟みに合ってることの方が多い人物、やっぱり問題を引き起こす人物としてはカウントし辛い。
じゃあ、今しがた合流したよろず屋組はどうなのか、って話だけど。
これが銀ちゃん単体とかならまぁ、問題の発生源として注意しておいた方がいいかもしれないけれど。
今回の彼らは一人の欠けもなくよろず屋御一同での参加、となればそこに付与される属性は原則『トラブルの解決側』である。
まぁ、元がギャグ世界の住人なので、その辺確実とまでは言い難いけど……ともあれ、自分から事件の首謀者になる可能性も、ここから事件を引っ掻き回す可能性も共に低いと言わざるを得まい。
──となれば、だ。
ここまで明言を避けた、
なにせその二人、片方ずつでもわりとヤバいのに揃ってるとヤバさが振り切れる類いの、本来ならコンビにしちゃいけないタイプの人物なのだから。
「なるほどなるほど。つまりはこういうことね?この難事件、私が解決してみせるわ!ツェペシュの名にかけて!」*3
「夜な夜な鳴き声……ゴーストの類いかしら?こっち固有の種族だったり?なにか特別なことができたりしないかしら?ああ観察したい調べたい隅々まで明かし尽くしたい……」
「……ね?」
「ダメだこりゃ!!」
……はい、なんかすっかりスイッチの入っちゃったおぜうさまとパチュリーさんです。地獄かな?()
というか、前回のあれこれでこっちは彼女達を好きにさせることがどういうことになるのか、痛いほど身に沁みているというのに。
どうしてこの二人は、その辺まっっったく反省してないというか気にしてないんでしょうね???
……え?私の行動に反省の必要のあるような物事はなにもない?常に私は正しい道を歩いている?この世でもっともドス黒い悪かな?()*4
まぁそんなわけでして。
張り切る彼女達を止めることは不可能、ならば変な方向に突っ走らないように率先して監督するしか問題を延焼させずに解決するのは無理……と悟った次第なわけです。
流石にこれは他の人にも理解できる話だったようで、みんな一様に渋い顔をしていたのでしたとさ。当人達以外。
……そこは気付いてほしいなーって(白目)