なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「とりあえず、噂のプールがどこにあるのかとかはわかってるの?」
「いんや全然。そもそも夜になんねーとわかんねーし、仕方がねーからこうやって時間を潰してたんだよ」
「はい、そういうわけなのです!」
「なんでちょっと自慢気なの……?」
はい、そうこうしているうちに別行動していたらしい桃香さん達も合流。
改めて、問題解決のためのチームが結成される運びとなったわけでございます。
まぁ、噂が夜主体なせいで、今のところ特にこっちでできることはないんだけどね!
だからって遊んでていいのか、と言われるとちょっと疑問だけど。
「……いやつってもよー、この施設も最近できたばっかりだし、仮に聞き込みするにしても誰に聞いてもよく知らねー、としか返ってこねーというか」
「あーうん、そもそもその噂にしたって、出所不明でいきなり湧いた言ってたもんねぇ……」
とはいえ確かに、銀ちゃんの言い訳にも一理あるのかもしれない。
この施設自体、アクアがつい最近作り出したものであるのはご存じの通り。
にもかかわらず、既に変な噂が流れ始めているのがおかしいというか、湧き方によってはさっきの『未来が過去の~』方面の話になりかねないというか。
そもそもの話、さっきまた広くなっちゃった()から、余計に重要な手がかりを探すのが難しくなってそうだし?
「そうだよ、よく考えたらまた広がってるじゃねーかここ。幾らなんでも軽率に広がりすぎだろマジで」
「その辺は【星の欠片】由縁の施設特有の問題、って話だよねー」
ふと思い出したのか、小さく愚痴り始める銀ちゃんに励ましの言葉を投げつつ、小さく苦笑する私である。
……自分がルールを作る側である【星の欠片】、そりゃまぁルールに縛られないのは当たり前というか、こっちのルールとは別のルールに縛られた結果というか。
ともかく、起きてしまったことを愚痴っても仕方ないのは事実。
ゆえに私たちがすべきなのは、これからどうやって問題を解決するのか、ということについての考察だろう。
「と言っても、夜まで待たないといけないのでしょう?それまでは自由行動にでもするの?」
「いやいや、
「……なるほど?」
そんな私の言葉に、パチュリーが首を傾げていたが……確かに、問題が夜に起きるものである以上、その原因を明確にするにはそれこそ夜を待つしかないのは間違いないだろう。
とはいえそれが現在配置されているプールの種類を確かめないでもよい、という話にはならない。
というか、そもそも現在私たちの元にある手掛かりはその噂だけ。
……裏を返すと、いざ夜になっても目的のプールが見付けられないまま一日が終わる、なんてパターンが起き得る可能性も否定できないのである。
なにせ、今の私たちには目星の付け所すらない。
これがTRPGなら、GMも反応に困る状態だろう。
サイコロを振らせるにしても、そのきっかけ自体をまだ掴んですらいないのだから。
幸運万能説で振らせてもいいけど、いつまでもそのままだとTRPGとして成り立っていないというか……。
「……つまりなにが言いたいんだ?」
「せんぱいは恐らくこう言いたいのですよね?このままだと『偶然問題を解決できた』という扱いにしかなりそうにない、と」
「なりそうにないっていうか、確実にそうなるというか……」
「あん?」
なおこの話、どうにも感覚が共有できていない様子。
まぁうん、見えてるものの差的には仕方がないよねーと思いつつ、とはいえその辺明言するのもよくないので曖昧に笑っておく私である。
……可能な限りわかりやすくいうと、今のままだと必要な情報が足りてない、というか。
「TRPGで例えたからなんとなくわかるかもだけど……今のままだとベストエンドへのフラグが全然足りてない、みたいな?」
「……バッドになるとよくないタイプの話だと?」
「んー、どうだろうねぇ。どうなるのかとか私からは言えないというか見えないというか……」
「なんだよ歯切れが悪ぃな……」
「いやだって、ねぇ」
思わずジッ、と銀ちゃんを見つめてしまう私。
……明言するのはよくなくて、可能ならみんなで気付いて欲しくて。
その上で誰かが突出するのはよくなくて、まぁ色々(フラグが)埋まってて……。
……うん、端的に言うと
まぁ色々ミスってパチュリーとおぜうさまの行動を止められてないんだけど()
とはいえその辺はまだ挽回の利く方。
私がそっちに注力すれば、恐らくシナリオを上手い方向に誘導するのは難しくないはず。
まぁ、誘導し過ぎるのはよくないので、
「……あーなるほど」
「え、今のでわかったのかよゆかりん」
「ゆかりん言うなっ。……まぁうん、
「……ハァ?キーアのせいにされる?」
ゆかりんは気付いたようで、それ以上余計なことを言うことは控える様子。
……彼女の言う通り、【星の欠片】は未来から過去に影響を与えるものであるので、この状況下から
個人的にはそんなことしようとは欠片も思っていないため、可能な限り他人事を貫きたいのだけれど、生憎完全に関わらないのはもう不可能なので、その辺上手いこと調整したいわけで。
……となると、だ。
銀ちゃんにはご自分で必要なフラグを獲得し、ベストエンドを目指して欲しいなーと思う次第なのです、はい。
「……いや遠回し過ぎてわかんねーよ。とりあえず、俺になにか起きるってことか?」
「
「露骨に目ぇ逸らした!?え、マジで?今回俺になにか起こるタイプなの?この施設この嬢ちゃんが作ったやつなのに?俺たまたま来ただけなのに???」
「寧ろ必然にしないとあとあと問題になるんだよなぁ……」
「どういうことなの?!」
こっちの発言に振り回され、銀ちゃんが発狂しておる。
……残念だけど、迎えたエンドによっては発狂どころじゃ済まないから精々頑張ってもろて。
それと、これだけだと可哀想だから、なんで銀ちゃんが頑張らないといけないのか、その理由についてさらっと説明しておこう。
「まず【星の欠片】。影響を過去に与えて未来を変える可能性があるってわけで、今回みたいなパターンだとあんまり動かしちゃいけないタイプね。まぁ今回のシナリオ的に全く介在しないのは無理、みたいなこともあるけど」
言い方を変えると、
影響を与えることを事前に定められているので、寧ろ参加しない方があり得ない……みたいな状況なのが
「……んん?」
「んで次、おぜうさまの能力。『運命を操る』と言いつつ、基本的には珍しい確率の物事を引き寄せる、みたいな方向になってるらしいって話ね」
「お、私も関係あるのか?」
基本ということは、
これを組み合わせると、『私が必要じゃない話に私が関わるのは珍しい(上に、現在それが発生しやすくなっている)』となる。
「で、そういうパターンの話の時に私が関わるとどうなるのか、というと」
「……言うと?」
「話の規模が大きくなりやすくなる。本来なら街一つ程度の規模だった話が、国一つの存亡を揺るがすような話になる……みたいな感じね」
ただでさえ珍しいものが発生しやすくなっている上、私が必要ない物事に関わるとなると、自動的に私が黒幕に収まってしまいやすくなるわけで。
……その結果、本来なら精々誰それが喧嘩したー、程度で終わるはずの話が、ともすれば誰それが国を賭けて戦争を始めたー、みたいな規模にまで拡大しやすくなってしまうのである。
なおその場合、私は自動的に聖杯みたいな扱いになる。
物事の規模を拡大するための基盤として体よく扱われる、というわけだ。
「つまり、今の状況を大雑把に説明すると!今この話は幕間になるか本編になるかの瀬戸際ってことだよ!」
「すさまじくメタいこと言い出したこいつー!?」
まぁ、私には燦然と輝く『本編』の文字が見えているので、彼らには内緒だけど可能な限り被害を小さく収めるのが目的なんですけどね、初見さん。()