なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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おかしいのは僕だけか!()

 はてさて、偽札騒動から暫く経ち、次のプールへと移動した私達。

 そんな私達を待っていたのは、これまた奇っ怪なプールなのでありました。

 

 

「……ええと、これは?」

「硫酸のたまったプールです」

「シンプルにデンジャラスゾーンんんんんんっ!!!」

 

 

 ははは、白羅でも打ってんのかな()*1

 

 はい、ってなわけでともすれば遊戯王にあるよく似た名前のカードを思い出しそうなプールでございます*2が、別にそれが元ネタというわけではない。

 あと、別に悪の組織の使う拷問道具ってわけでもない()

 

 

「じゃあなんのためにあんだよこんな危険物……」

「そりゃまぁ、その感想が答えというか?」

「は?」

 

 

 銀ちゃんの疑問の声に苦笑を返しつつ、私が返した答えは単純明解。

 そう、()()()()()。そんなものがあったら危ない、という共通の思いが噂となり、それがアクアの行った収集に巻き込まれこうして形になったわけである。はた迷惑だね?

 

 

「いや本当にはた迷惑なんですけどォ!?そもそもこんな外気に触れるような保管してたら下手すると爆発するんですけどォ!?」*3

「その辺は心配ないよ」

「はぁ!?」

「よく見りゃわかるけど、この硫酸()()()()()()()()()()()()だからね」

「……はい?」

 

 

 いや、そもそもだね?

 確かに【星の欠片】は無法者だけど、別に積極的に他者を害するようなものではないんだわ。

 ……いや、滅ぼしたがりがなに言うとんねんって言われたら困るんだけどそうじゃなく。

 

 シンプルに考えて貰えばわかるのだけど、仮に皮膚に付いたら早急に洗い流さないと皮膚が焼け爛れるどころか中の筋肉までやられる硫酸を、なんの対処もなしに()()()()()()()()()()()()()()?……って話なのです。

 

 

「……非殺傷設定?」

「その通り。確かにこれは『死なないようにダメージを削減する』モノだけど、同時に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()でもあるわけ。……結果、単純に持ち込もうとするとそもそも郷内に入れないなんて事態になるし、仮に郷内で精製しようものならまず間違いなくゆかりんに報告が行くわよ?」

「え、ここで私に振るの?……こほん。ええまぁ、確かにその場合は私の元へと通知が来ることになっていますわ。その後、私のスキマによる監視を受けて頂くことにもなりますのよ?」

「あーなるほど。境界操りゃ怪我もしねぇってか?」

「そもそも事故らないようにもできますので」

 

 

 その辺八雲紫の面目躍如よね、とはゆかりんの言。

 

 ……まぁともかく、硫酸みたいな劇物を郷内で扱う場合、非殺傷設定による防護だけに留まらず、ヤバそうならゆかりんが止めますよーみたいなわかりやすいストッパーまで用意されることに繋がるわけでして。

 

 結果まず間違いなく、プールに並々と貯められた硫酸……なんてものは準備段階で却下される、ということになるのでしたとさ。

 ……え?それだとこのプールが噂によって作られたもの、って話と矛盾しないかって?ノンノン、そうじゃないんだなこれが。

 

 

「ノンノンって……」

「そこに引っ掛からないでいいのっ!!……おほん。噂と一口に言うけど、それってつまりは気質・要するに【兆し】なわけなのよ」

「……あー、噂の時点で過度に人を傷付けるようなものは弾かれる、みたいな?」

「というよりかは、傷付けるような【兆し】にならないようにアクアが無意識に調節してる、って方が正解かな」

 

 

 確かに、無作為に噂を集めれば危険物になる可能性はとても高い。

 だがしかし、今回の噂の収集という行為は、それが意識的にしろ無意識的にしろ【顕象】であるアクアによるものである。

 ……言い換えると、|人を傷付けるモノ【鏡像】になる可能性が最初から除かれていた、ということになるわけだ。

 

 人に危害を加えるのが【鏡像】、そうじゃないのが【顕象】である以上、この状況で噂を集めれば自然と【顕象】側に近付くのは自明の理。

 結果、噂としてはありがちな『硫酸のプール』は、こうしてそれを元ネタにしたプールへと変貌を遂げたわけである。

 

 

「なので、実はこれ正確にはメロンソーダのプールなんだよね」

あれー!?

 

 

 ……はい、遊戯王云々言ってたのがそもそもフラグだったと言うね()

 

 本来、硫酸の色と言うのはなにかを溶かした後でもない限り、基本的にはほぼ無色、ないしはどれだけ濃くなっても()()なのである。

 ところが、遊戯王カードに描かれているそれは、()()()()()

 ……罠なので既になにかを溶かした後なのかもしれないが、それはあくまでもカードの設定の方の話。

 噂によって形作られたこのプールにとっては、さほど関係のない話でもあるわけで。

 

 いやまぁ、噂を元にしてるなら反社会的組織の拷問アイテムとして、既に誰かを溶かした後です……なんてノリもあるかもだけどね?

 

 

「どっこい、硫酸に人なんか突っ込んだら爆発するのが関の山、よくあるじゅくじゅくに溶けていく……なんて方向にはまず成らないからねぇ」

「やめて微妙に詳細説明するのやめて」

「まぁ、想像状態でも良い絵面ではないよねぇ」

 

 

 酸に対するイメージが大抵間違っているのが起因というか?*4

 ……まぁともかく、緑色の硫酸なんてものがあんまり一般的ではない、というのは間違いあるまい。

 

 となると、だ。

 こうして、硫酸を騙った別のもの、として再現する方が楽だし問題もないし、なんなら()()()()()()()()()()()()()だって見えてくる。

 

 

「繋がり……?」

「あ、なるほど。少し危険な要素のある甘味、ということですね!」

「ねぇ?もしかしてこれ、俺に甘いもん摂るの怖い、って思わせようとしてる何者かの陰謀が関わってたりする???」

「さぁ?」

 

 

 ……はい、今しがたマシュが述べたように、プリンだのゼリーだの杏仁豆腐だののご同類ってことですね()

 

 そうしてこの硫酸……もとい、メロンソーダの真実に至った銀ちゃんはというと、流石に自分がピントポイントに狙い打ちされ過ぎじゃね?

 と、困惑したような顔を見せたのでありましたとさ。……その辺は私からはなにも言えないなー()

 

 

*1
正式名称『白羅滅精』。『キング・オブ・ファイターズ』のキャラクター、クローンゼロおよびオリジナルゼロが使う技で、kofのボスキャラが大抵一つは持っている全画面技。クローンゼロ自体が『北斗の拳』のキャラクター、羅将ハンをパク……オマージュしたキャラであり、『白羅滅精』自体もそのネーミングは彼の技由来である(名前は同じだが見た目の違う技)。技を使う時に『んんんん』と唸るのがお約束()

*2
『硫酸のたまった落とし穴』。裏側守備表示のモンスターを確認し、それが守備力2000以下なら破壊できるという効果を持つ。地味にイラスト違いがあったり、初出の時点では攻撃力参照罠だったりと、変に特徴のあるカードの一枚

*3
硫酸の持つ特徴の一つ。物質が水に溶ける際、安定した形になる為周囲の水分子を引き寄せ、一つの分子集団になることが知られている。この反応を水和と呼び、モノがよく溶けるというのはよく水和するとも言える。硫酸はこの水和の際に大きな熱を発生させるため、結果として水分が蒸発し、周囲に硫酸を撒き散らす──簡潔に言うと突沸(ばくはつ)してしまう。それを避ける為、硫酸を水と混ぜる際は必ず()()()()()()()()()()()()()()()という形式を取る。逆にすると大変危険。また、間違って濃硫酸を溢してしまった際なども、少量の水で薄めようとするのではなく大量の水で一気に薄める必要がある。なお、ここ銀時が言及したのは空気中の水分に反応する可能性について。実際には濃硫酸は強い吸湿性を持つため、水溶液の蒸気から特定の物質を選り分ける為に使われたりもする

*4
なんでも溶かすもの、というイメージ。基本的には化学反応なので、何もかもを溶かし尽くして止まらない……なんてことはあり得ない。まぁ、流石にプールレベルの量を使われたら、人一人くらいは溶かせるだろうが

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