なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、意図せぬバグワールド突入が結果オーライだったっぽいって話だけど。
その意図せぬ、ってところが引っ掛かってると思われるので、その辺も説明していくとしよう。
「まぁ単純に言うと、控えめに【星の欠片】で触れた結果なんだけどね?」
「やっぱりキーアのせいじゃねーかっ!!」
失礼な、
どういうことかと言うと、そもそも今回のそれは干渉と呼べるほど強いものではなかったのがその大きな理由だ。
「干渉と呼べるほど、」
「強くない……?」
「そ。さっきも言ったけど、相手に干渉しようとして私がなにかしようとすると、ほぼ確実に反作用で酷いことになるんだよね」
「その理由は、せんぱいのランクの問題ということですよね」
「そうだねー」
そう、真面目に対処をしようとすると、今の私はやり過ぎる可能性が高い。
なので、私がなにかをするというのはおすすめしない、という話になっていたわけなのだけれど……。
「干渉しようとしてなくても、そもそも【虚無】自体が干渉力とか侵食力が高いんだよね。だから、普通にやってるだけでも……」
「……僅かに影響を与えてる?」
「そういうことー」
確かに、無限を打ち破るのには無限をぶつけるのが一番ではある。
しかし、そもそも【星の欠片】の本質はあらゆるものより小さいということ。
それは【星の欠片】同士でも発揮されるモノであるため、必然的に私の操る【虚無】は相手の中に含まれていることになるわけで。
結果、私がちょっとでも触れていると、必然的に相手の中の【虚無】が反応する可能性が生まれるのである。
「んで、それによって相手の動きがバグると。私がなにかしたわけじゃなく、相手が勝手におかしくなったみたいな扱いになるから変な影響も発生しにくいんだよね」
「なんつーか……とことん無茶苦茶というか、理不尽だなお前……」
「そのツッコミは大分今更だと思うよ?」
そのお陰で解決してきたことも多いし?
……まぁともかく、こっちがなにかをした結果ではなく、相手方が勝手にバグって発生したのがこの世界……って扱いになるので、相手にこっちがなにをしているのか?……みたいなところを気付かれずに動ける、というのは明確な利点だと思われる。
「え、気付かれてねぇの?俺らがここにいること?」
「意図してないバグだからね。そりゃまぁ、正常な部分しか見てない相手からしてみれば、いきなり消えたとしか認識できてないと思うよ?」
「ええー……」
自分の体の不調は気付き辛いという話があるが、それに近い話になるだろうか?
……【星の欠片】は小さいもの、そして私は三番目に小さいもの。
必然的に、私の干渉というのは大抵の相手にとってウイルスのそれに似た者となる。
そして、それによって発生する影響というのも、結果として同じような大きさの扱いになるため……密かに進行しているガンのようなものになるわけだ。
相手が気付くころには大抵手遅れ。
この場合だと、相手の喉元に私たちが近付くまでまず気付けない、みたいな感じになるだろうか?
「まぁ、ガンとは違って私らの進行は全然楽じゃないんですけどね……」
「ガンに例えるのは不謹慎じゃない?……って部分は置いておくとしても、まぁこのバグ空間を抜けなきゃいけないってことだからそりゃまぁ、ねぇ……」
なお、相手の懐に侵入できたのは確かだけど、代わりに向こうの法則を無視した動きを強要されるわけでもあるので、正直難易度に関しては下がってない・寧ろ上がってるかもしれなかったりする。
まぁ、向こうの指示に従ってたら目的地には辿り着けなかったことを思えば、こっちの方がいいというのは間違いないんだけども。
「ただまぁ、バグ空間からは脱出するのも一苦労だからねぇ……」
「そうなのか?」
「バグの影響を受けているからバグ空間にいる……って扱いだから、そこから抜けるならバグの影響を綺麗さっぱり消さなきゃいけないわけだけど……」
「本当にバグの影響を消せているかどうか、少なくとも私たちから確認するのは難しい……ということですね」
通常、バグ空間から普通の場所に抜けるのは難しい。
何故かといえば、そもそもバグ空間にいること自体がおかしなことであり、そこからの移動も保証がまったくないため。
わかりやすく言うと、バグを一度発生させるとその『発生させた』という事実が残り続け、結果遠目には普通に見えても実際はバグ(の影響を受けた)空間にしか行けなくなるのである。
「……違いがよくわかんねぇんだが?」
「例えば今ゆかりんのスキマを使って通常空間に戻るとして、それってつまりサポートされてない場所からサポートされてる場所に移動する、って扱いになるわけじゃん?」
「うん?」
「移動先は正常でも、移動前のデータはおかしいってことになるわけでしょ?……つまり、バグの影響が残ってる、ってことになるわけ」
「え、そのレベルの話なのかこれ?」
「生憎そのレベルの話なのよ」
普通の場所から移動した際の差はまさにそれ。
以前居た場所としてバグの影響が残るため、結果としてバグから抜けきれていない、という扱いになるのである。
無論、これを繰り返すことで影響を限りなく小さく(正確には遠く)することはできるが、『一つもバグに影響されていなかった』と言い張ることは不可能なことも理解できるはず。
この辺、一度でもバグやチートを使うと許されない、という話にも繋がるんじゃなかろうか?
そして、これを解消する手段というのも基本限られており……、
「
「……まさかとは思うんだが、もしかしてそのセーブの破棄っつーのは……」
「ご想像の通り、今の私たちを捨てる──言い換えると
「実質的な死ね宣言!?」
ははは、流石にそこまでは言ってないよははは。
……まぁうん、普通にやれる手段として巻き戻しを考えなきゃいけなくなる辺り、バグの利用がどれほど重いのか?……という話である。
「まぁそれだとあれなんで、一応ちゃんと対策は考えてあるよ?」
「な、なんだよ驚かせやがって……じゃあ長丁場になるなら一回戻るってことも」
「生憎『星解』使ってなかったことにする、って方法だけどね」
「oh……」
なお、その辺の情報も結局は因果の一種なので、全部なかったことにできる『星解』を使えばなんとかなったりはする。
資金洗浄*1が近いと言えば近いが、あれより確実性は遥かに勝る……みたいな?
まぁ、『星解』を使うということは必然的に私が全力を出す必要があるため、結果として相手の喉笛に食い付くその間際以外には使えない手段、ってことにもなってくるのだが。
相手には気付かれるし、下手すりゃ周囲に変な影響を発生させかねないし、みたいな?
……そんなわけなので、ここからの攻略において一時帰還みたいな甘いことは許されない。
ぶっつけ本番、TASさんの如く綺麗に初見攻略を進めて行かなければならない、ということになるのであった。
「呼んだ?」<ニュッ
「呼んでな……アイエエエッリアルTASサンナンデッ!?コワイッ!!」
「ん、たまに登場してたから今更」
「わぁもう滅茶苦茶だよ」
なお、バグ世界だからかTASとか迂闊なことを言ったからか、なんか唐突に特別講師が生えてきたけど私は知らん。知らんったら知らん。
……っていうかこの子…………だから、見事に私の動きがもたらした影響に引っ張られてるんだけど私は謝らない。代わりに沈黙する()
「……いや、TASさん?それにしちゃあなんか髪が黒いというか……TASさんって金髪幼女じゃなかったっけ……?」*2
「ん。バグ世界だから私の見た目もバグってる。それでいいと思う」
「いいのか……?」
なお、当の彼女は困惑の視線を向けられつつ、普通にやる気である。
……単純に面白そうだから張り切ってるだけだろ、ってのがありありと想像できて個人的には渋い顔だが、しかしここからの難題を思うと私以外の人間が銀ちゃん達を指導した方がいい、というのも確かなのでなんとも言えない私である。
……仕方がない、と小さくため息を吐き、改めて身長的には大差ない彼女──TASさんに向き直る私。
「それじゃあ……銀ちゃんRTAさん改造計画、任せた」
「ん、任された。大船に乗ったつもりで任せて欲しい」
「……いやちょっと待った?なんか俺に話をせずにヤベー計画進んでね?俺に許可も取らずにヤベー計画進んでねぇ?!」
「ん、任せて。貴方にはこれからどんな難題も華麗にクリアしフラグを全て総舐めできるような人間になって貰う」
「へループ!!俺死ぬやつ!!これ間違いなく俺死ぬやつー!!?」
あーあー聞こえない聞こえない。
……残念だが銀ちゃん、ここで彼女の指導を受けられるのは寧ろ幸運なんだ。
諦めてRTAさんになれるよう励んでくれたまえ。
……ってなわけで。
「TASさんが りんじのなかまになった!」(裏で鳴り響くファンファーレ)
「ええ……」